あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-2]<DV(離婚後のストーカー行為含)>新聞事件簿。身近な女性を救おう!

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった 家庭内暴力編(5)世代間連鎖「親父のようにはならない」 そう誓っていたのに

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった 家庭内暴力編(6)怒りのノート感情の爆発「克服」 償いのわが家のはずが <神戸新聞>ずっと家族がほしかった 家庭内暴力編(4)長年の代償あのころには戻れない でも娘に普通の生活を
 DVを見て育った子どもは、人間関係をうまく築けず、DVの被害者や加害者になってしまうという事例が報告されている。すべての子どもに当てはまるわけではないが、「暴力の世代間連鎖」と呼ばれる。
 高齢者施設職員の春彦さん(48)は、10年前まで妻(45)や2人の子どもを殴り、蹴(け)っていた。かつて父が春彦さんや母にそうしたように。
 「親父のようには絶対ならないと思っていた。でも怒りの鎮め方が分からない」
 春彦さんは悔しそうにこぶしを握り締めた。


 自衛官の父は、テレビ番組で生き別れた家族が再会するシーンでは目を真っ赤にしていた。
 涙もろい父が変わったのは、春彦さんが中学1年のとき。管理職に昇進して間もなくだった。「飯がまずい」と食卓をひっくり返し、「掃除がなってない」と母を殴った。「勉強を見てやる」と春彦さんの背後に立ち、間違えると怒鳴ってノートを破いた。仕事のストレスと思われたが、職場のことは一切話さなかった。
 被害者である母の態度も理解できなかった。鼓膜が破れたり肋骨(ろっこつ)が折れたりする大けがをして、医師から離婚を勧められても平気なそぶりをした。高校生のころ、竹刀で殴られた春彦さんを心配するどころか、「私のように素直に聞いていればいい。上手に立ち回るのが大人よ」と言い聞かせた。「あの人は私がいないと何もできない」。暴力がやまない夫をかばった。
 だからだろうか、自立心旺盛な職場の同僚にひかれた。母とは正反対の性格で「女はなめられんように、資格を持たなあかん」が口癖だった。自信を持てず、弱みを見せまいと構えるあまり、春彦さんは自分にも他人にも厳しかった。仲間から浮きがちな春彦さんに「あんまり偉そうにしたらあかん」と正面から向き合ってくれた。
 「彼女といれば、自分の欠点を克服できる」。春彦さんはプロポーズした。


 最初の暴力はあまりにも早く訪れた。
 フランスで過ごした新婚旅行。航空券の手配やホテルの予約などをすべて1人でこなした春彦さんはくたくただった。帰国前夜の夕食の席で、これからの生活についてまじめに話そうとすると、「今、そんな話をしなくても」と妻は笑って取り合わなかった。
 「おれがこんなに苦労してるのに、その態度はなんや」。ホテルへの帰り道、怒りで頭が真っ白になり殴った。謝る妻をいったんは許したが、ホテルに戻ると怒りがぶり返し、部屋から閉め出した。
 新婚生活も思い描いたものと違った。結婚後も働く妻と専業主婦の母を比べてはいけないと頭で分かっていても、雑然とした部屋や間に合わせの食卓が許せない。それでいて自分からすすんで家事をすることもなかった。
 「そもそも家庭的でないところにひかれたのではないか」。そう言い聞かせても不満は消えない。仕事で嫌なことがあった日に、妻が家事を手抜きするところを目撃すると、我慢の糸がぷつんと切れた。
 「いいかげんに片付けろ」と大声を上げ、殴り、蹴った。暴力を振るう頻度は徐々に増し、ひどいときは週1回に及んだ。妻の鼓膜が破れたこともあった。妊娠中は妻の腹部を、子どもが生まれてからは顔をたたいた。忌み嫌った父と同じことをしていた。
 結婚から7年後の1998年、妻は自治体の女性相談窓口ですべてを話した。=文中仮名=

(坂口 紘美)

2010/02/01



もくじ   3kaku_s_L.png   [Ⅶ-2]<DV(離婚後のストーカー行為含)>新聞事件簿。身近な女性を救おう!
FC2 Blog Ranking
*Edit
   
  • 【<神戸新聞>ずっと家族がほしかった 家庭内暴力編(6)怒りのノート感情の爆発「克服」 償いのわが家のはずが】へ
  • 【<神戸新聞>ずっと家族がほしかった 家庭内暴力編(4)長年の代償あのころには戻れない でも娘に普通の生活を】へ