あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-18]<児童福祉・行政・司法、介護、育児>新聞事件簿。母子を取巻く環境

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(11)取材を終えて葛藤なき家庭はない 涙を秘め生きている

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった 児童相談所編(1)24時間体制判断に迷ったときは 子どもの幸せを最優先 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(10)父のいる家庭お節料理いそいそと 母の生きざまに共感
「家族の印」。結婚指輪の代わりに、子どもたちにペンダントを贈った夫妻がいた
 「ステップファミリー」。手元の辞書には「ステップファザー」(継父)、「ステップチャイルド」(継子)などはあるが、この言葉は見当たらない。「子連れ再婚家族」と訳される。
  初めて耳にしたのは昨年夏。児童養護施設の取材中、ある家族を嘆く職員からだった。
  母親から身体的虐待を受けて入所した小学生の兄弟がいた。実子と継子合わせて六人の育児に追われる母親が、血のつながらない兄弟のしつけに悩み、やがて暴力を振るうようになった。
  「ステップファミリーになじめず、入所する子どもが最近増えている」


  取材したステップファミリーは七組。これをもってすべてを語ることなどできないが、円満な家庭もあれば、そうでない人もいた。
  「他人ではいられないけれど、母親にもなれない。私は何なのか」。再婚に失敗し、涙ぐむ女性が忘れられない。
  継子の男児から何かと実母と比べられ、体調を崩した。勉強を怠けゲームばかりする男児をしかったのは親心からだったが、思いは届かなかった。小さなつまずきがドミノ倒しのように家族の仲を引き裂いていった。
  ステップファミリーで、最もストレスを感じるのは継母という。子育てを任され、夫やその両親から「母」としての役割を期待される。本音や悩みを吐露できる相手は、夫以外となると、どこまでいるだろうか。
  「ステップファミリーは一度にたくさんの人間関係ができる。しかも家庭崩壊を経験し、傷ついた人もいる。心が変化に追いつかないんです」
  今も自分を責める女性に、何も言えなかった。「あなたに話して少しすっきりしました」。その言葉に記者の方が救われた。
  〈差別を受けるのは再婚した当人ではなく、その子どもです〉
  ステップファミリーで育ったという女性からは、つらい手紙をいただいた。
  最初は母に引き取られたが、生活苦から父のもとへ。やがて再婚した父は女性を実家に残し、新しい家族と去っていった。女性は夫と出会い子どもに恵まれたが、自分との結婚を快く思わない相手の両親の言葉に今も苦しんでいるという。「複雑な家の人はやめとけ」「子どもができて里帰りもできないなんて」…。
  〈小さいときは子どもは弱い立場です。(省略)本心を隠して笑って理解しているフリをしていることも多々あります〉
  「理解ある優しい夫が支えです。なにくそという思いで生きているんです」
  電話の向こうで女性は泣いていた。


  程度の差こそあれ、葛藤(かっとう)のないステップファミリーはなかった。ただ、夫婦がしっかり手を取り合い、相談相手がいる家庭は揺るぎないように見えた。こちらが拍子抜けするほど屈託なく話してくれた人もいた。
  「子どもが通っていた保育園や小学校には、ひとり親の家庭やステップファミリーがいて、助け合って子育てをしていた。自分の家庭が特別と思ったことはない」とある夫婦は話した。言葉に気負いはなかった。
  厚生労働省の統計によると、二〇〇七年、離婚件数は二十五万四千八百三十二組。そのうち六割弱は十八歳以下の子どもを伴っている。再婚件数は十八万七千五百二十四組で増加傾向にある。
  家庭のことゆえ、多くの人は口をつぐんでいるのかもしれない。でも、思いをくみとることなら私たちにもできるのではないか。
  「あなたの一生懸命な姿は、子どもたちに届いていると思います」。胸の内を語ってくれた女性にそう伝えたい。

(坂口紘美)
=おわり=

2009/01/12



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