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[Ⅶ-18]<児童福祉・行政・司法、介護、育児>新聞事件簿。母子を取巻く環境

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(10)父のいる家庭お節料理いそいそと 母の生きざまに共感

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(11)取材を終えて葛藤なき家庭はない 涙を秘め生きている <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(9)告知赤ちゃんが生まれた後で結婚してもええやん
父の日や母の日、4人の子どもたちはプレゼントを贈る
 元日の朝、外は一面の銀世界だった。京都府北部にある彩さん(24)の実家では、家族六人がテーブルを囲んでいた。
 食卓には母(51)自慢のくりきんとんとゴボウのごまあえ。数年前の正月ならば、母が作るお節料理など考えられなかった。父(54)の湯飲みにお茶を注ぐさまは、長年連れ添った夫婦に見えた。
 はしが止まると、恒例の抱負の発表。「四つ目。結婚相手を探す!」。彩さんの宣言に「彼氏ぐらいおらななあ」と皆がうなずいた。
 彩さんが高校三年になる春、母は同年代の二人の子がいる男性と再婚した。購入して六年しかたたない川西市の新築の家を手放し、母と彩さん、三つ下の弟は、京都の男性の家に引っ越した。
 最初の結婚に失敗した後、母は大阪の化粧品会社に就職した。家事の多くを祖母に任せ、正社員として働いた。
 いつも明るく社交的で決断力もある。彩さんの目にスーツ姿の母は若く格好良く映った。交際相手がいてもおかしくないと思っていた。
 「再婚しようと思ってんねんけど」。遠慮がちに母から切り出されても、「いんちゃうん」と素直に受け止められた。十年以上、仕事一筋の母に新しいパートナーと幸せになってほしかった。


 仕事を辞め、母は家庭に入った。職場の送別会では、餞別(せんべつ)に鍋をリクエストした。望んでいたことなのに、その変わりように彩さんは戸惑った。
 きょうだいの間がぎくしゃくした時期、毎晩のように家族会議が開かれた。「お姉ちゃんとして、率先して弟を名前で呼んで」「弟たちに多少の問題があっても大目に見て」―。そんな母の注文に、内心反発した。男性の連れ子の方ばかり見ているようで寂しかった。「もう自分だけのお母さんじゃないのかな」
 実の父親とは五、六歳のころに別れて以来、会ったのは数えるほど。父親像をうまく結べないまま、思春期を過ごした。きちょうめんな新しい父は、仕事が忙しいのに、家族旅行の計画を喜んで自分で練っている。何事も控えめになった専業主婦の母にぴったりの伴侶かもしれない。ハンドルを握る背中を見ながら、そんなことを考えた。
 「家族の中で役割分担がある。お父さんのいる家ってこんなやねんな」
 大好きな母を任せられる安堵(あんど)感。同時に、その母が一人で背負ってきたものに触れた気がした。


 引っ越して七年。父と二人きりになると、まだ会話はぎこちない。血のつながらないきょうだいとのよそよそしさも消えたわけではない。
 家を出て六年、社会人二年目の彩さんは、父の日や父の誕生日にときどきプレゼントを贈ったり、メールを送ったりする。困ったことがあれば、相談しようと思う。頭が堅く口うるさいのが難点なのだが。
 働き始めて、母子家庭を懸命に支えた母の苦労を思い知った。父がいなくて嫌だったという記憶もほとんどない。それほど母の存在は大きかったのだ。
 「離婚には抵抗あるけど、自分の道を歩いているお母さんはすごい。私も子どもから尊敬されるような親になれたら」
 両親が用意した友禅染の振り袖で出掛けた初詣で。散々考えた願いは、ごく当たり前のことだった。
 家族が皆幸せでありますように。

=文中仮名
(坂口紘美)

2009/01/09



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