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[Ⅶ-18]<児童福祉・行政・司法、介護、育児>新聞事件簿。母子を取巻く環境

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(8)同居という決断一緒の時間を積み重ねて だんだん分かり合える

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(9)告知赤ちゃんが生まれた後で結婚してもええやん <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(7)親としてなぜ血縁にこだわるのか 言葉に気負いはなかった
4人の子どもが巣立ち、今は夫婦水入らず。「いつか世界一周旅行がしたいね」
 大みそか、居間の電話が鳴った。
 「着いた? …うん、みんなそろってるよ。…すぐ迎えに行くからね」
 弥生さん(51)が電話を切ると、啓介さん(54)はすでに車を駅に走らせていた。
 年末になると、進学や就職で家を離れている四人の子どもたちが帰ってくる。家族六人で迎える正月も今年で七回目だ。
 弥生さんと啓介さんは中高生の子どもを二人連れて再婚した。当時、弥生さんは自ら購入した川西市の一戸建てで、両親や子どもと暮らしていた。
 多感な年ごろを抱え、働き盛りの夫妻は共に職場で責任ある仕事を任されていた。子どもの受験も近い。「成人するまでは別居婚で」「お互いの家の中間ぐらいに家を借りよう」。再婚前、弥生さんと啓介さんは一年以上話し合った。
 夫婦が共に思春期の子を連れ、これまでの環境が大きく変わる再婚はリスクが大きい―。ステップファミリーの経験則に照らしても、答えは明らかだったが、二人は違った。
 一緒に住むことを避ける限り、戸籍上の家族でしかない。二つの家族が一つになるには、多少無理をすべきではないのか。
 「六人そろって過ごせる時間は限られている。このタイミングを逃せば、この先ずっと家族になれない」
 弥生さんは正社員として働いていた化粧品会社をやめ、転校をいやがる子どもを説得した。啓介さんは新しい家族のために家を改築。子どもたちの様子が見えるよう、居間と台所を仕切っていた壁をなくし、子ども部屋をリフォームした。
 啓介さんの住む京都府北部の田舎町に引っ越したのは二〇〇二年三月。家族をつくる挑戦が始まった。


 思春期の子どもたちに、あつれきが生じるまでにそう長くは掛からなかった。
 血のつながったきょうだいだけで固まり、うち解けられない。啓介さんの連れ子の三男は、弥生さん一家が連れてきた猫にストレスをぶつけた。車で外出するときの座席を決めるのも一苦労した。
 それでも夫妻は一緒に過ごす時間にこだわった。家族そろっての晩ご飯や連休やお盆の家族旅行などで、きょうだいの仲を取り持とうとした。不平を言いながらも子どもたちは後から付いてきた。
 「よそよそしくても、一緒にいればだんだん分かり合えていく」。夫妻はそう信じた。


 進学で三男が家を出た〇七年春から、夫妻二人だけの暮らしが続いている。世話好きの長男がほかのきょうだいにメールを送っているようだ。付き合いの濃淡はあるが、家を離れてもつながっていることがうれしい。そして何より、長い休みがあると、必ず家族全員がここにそろう。
 元日、いつものように六人みんなで近所の神社へ初詣でに出掛けた。帰ってきたら百人一首大会。札を読む啓介さんの声に、皆が集中する。弥生さんと啓介さんは気付いている。きょうだい間の空気は年々、和らいできていると。
 「ゆっくりでいい。子どもたちがここを実家と思っている限り、家族としての時間をこれからも積み重ねていけるのだから」
 七年前の決断で失ったものはある。でも、夫妻はそれ以上のものを手に入れた。心安らぐ時間とそれを共有できる家族を。

=文中仮名=
(坂口紘美)

2009/01/06



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