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[Ⅶ-18]<児童福祉・行政・司法、介護、育児>新聞事件簿。母子を取巻く環境

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(7)親としてなぜ血縁にこだわるのか 言葉に気負いはなかった

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(8)同居という決断一緒の時間を積み重ねて だんだん分かり合える <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(6)継母の苦悩比べられる重荷、嫉妬。 再び選んだ離婚の道
「お父さん、聞いて」。家族そろっての夕食はいつもにぎやかだ
 昨年秋、尼崎市の大ホール。観客席の健一さん(38)はカメラのファインダー越しに、舞台に立った長女を見つめていた。
 淡い紫色のバレエ衣装をまとい華麗に踊っている。健一さんの隣でビデオ撮影していた真美さん(36)は、夫のあまりに真剣な表情に吹き出した。
 西宮市に住む一家はいわゆるステップファミリーだ。小学三年の長女と六年の長男は真美さんの連れ子で、健一さんは初婚。三年間の交際後、二〇〇六年に結婚した。
 「過去は過去。今が幸せならばいい」「なぜ皆、血縁にこだわるのか。最初の家族になる妻とは血がつながっていないのに」
 継父であること、血がつながっていないことを尋ねると、健一さんは不思議そうな顔をする。その言葉には気負いもてらいもない。
 真美さんは、健一さんの両親に初めてあいさつしたときをよく覚えている。離婚し、子どもが二人いることを健一さんが明かすと、健一さんの母は驚くこともなく「子どもたちはかわいい盛りなのに、なんでもっと早く会わせてくれなかったんや」と逆にふくれた。身構えていた真美さんは拍子抜けした。健一さんは「予想してたけど、子どもたちも連れてくればよかったな」と笑った。
 世間体を気にすることもなく、どこまでも自然体。結婚後こんなこともあった。
 健一さんと真美さんが友人の子どもを預かり、外食した。子どもの食べ残しを健一さんは「もったいないなあ」と平らげた。後でそれを聞いた友人は「よその子どもも自分の子みたいに接することができる人なんやね」と驚いた。


 「ほら、また箸(はし)の持ち方がおかしくなってるぞ」「食べてるときに、ひじをつくな」
 健一さんはしつけにうるさい。真美さん以上だ。「宿題終わった」と嘘(うそ)をついて遊びに行った長女を閉め出したことも。
 「自立した人間に育てるのが親の役目。手を挙げない、しかっても子どもを追い詰めない、何が悪いのか説明するのが、僕の子育て」と健一さん。
 小学生のうちは、できるだけ子どものそばにいてやりたい。出張が多い真美さんに代わって、夕食の支度や宿題の確認、翌日の準備をすることもある。「真美がちゃんと稼いでくるなら、僕は主夫をしてもいいよ」と言ったこともあった。
 お互いに足りない部分を助け合って家族がある。真美さんにはそれがとても心地よい。


 健一さんに悩みがないわけではない。
 夫婦げんかで子どもたちが真美さんの味方をした。味付けの好みが健一さんだけ違った。たわいもないことに「血のつながり」を感じることがある。「親子なのに似ていないね」。事情を知らないとはいえ、他人からそう言われるとこたえる。新しい家族もほしい。
 これまで関係を紡いできた長男と長女が、健一さんを意識する日が来るかもしれない。二人は机の引き出しに、ペンダントをしまっている。父、母、子を意味する三つの輪が重なったデザイン。カトリック芦屋教会で挙げた結婚式で、指輪の交換の後、健一さんと真美さんが贈ったものだ。
 「五年先、十年先、子どもが一人で生きていく力をつけて、笑顔でこの家から送り出してやりたいんです」
 そう話す時、健一さんは、心から子を思う親の顔をしていた。

(坂口紘美)

2009/01/05



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