あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-18]<児童福祉・行政・司法、介護、育児>新聞事件簿。母子を取巻く環境

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(6)継母の苦悩比べられる重荷、嫉妬。 再び選んだ離婚の道

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(7)親としてなぜ血縁にこだわるのか 言葉に気負いはなかった <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(5)揺れる境界線「だってパパ傷つくもん」 本当のこと言えなかった
二度目の離婚後、娘とおそろいの食器を買いそろえている。娘へのいとおしさが増した
 「メリークリスマス!」
  静香さん(38)は小学一年の長女映美ちゃんとジュースで乾杯した。イチゴがふんだんに飾られたケーキをほお張る愛娘の笑顔に、静香さんは泣きそうになった。
  二人きりのクリスマスは何度目だろう。昨年春までは、この日は父親もいっしょにお祝いできると信じていたのに。

  静香さんは昨秋、二回目の離婚に踏み切った。


  再婚相手(42)は小学校五年の男児を連れており、姫路市のマンションで四人の新生活が始まった。男児はすぐに静香さんに懐いた。長女は「にいにい」と男児の背中を追いかけた。仲良しの二人は、端から見ると血のつながったきょうだいのよう。週末は夫の運転で海へドライブ。夢にみた家族像だった。
  ひとつだけ気がかりなことがあった。いつまでたっても静香さんを「映美ちゃんのお母さん」と呼ぶことだった。同居後間もなく聞いてみた。
  理由は別れた母親だった。再婚前に男児に静香さんを「お母さん」と呼ばないよう言い聞かせていたのだ。「もし呼んだら親子の縁を切るって言われたんや」。その言葉に頭を殴られた。
  「そうやったん」と言うのがやっとだった。男児をぎゅっと抱きしめたが、心の中で何かが崩れていった。
  実母への嫉妬(しっと)、比べられる重荷、遠い理想…。
  静香さんの心のさざ波を、男児は察知したのかもしれない。少しずつ態度が反抗的になってきた。以前は素直だったのに、注意しただけで怒鳴り声を上げ物を投げる。あんなに仲が良かった映美ちゃんをたたくようになった。
  頼りにしていた夫は、週末も仕事で家を空け、「血がつながってないんだから、関係を築くには時間がかかる」と繰り返す」だけ。妻の苦悩にどうしたらいいのか、わからない様子だった。
  ストレスは体をむしばんだ。吐き気が止まらず寝込む。男児の言動はさらに乱暴になり、「お母さんのところに行きたい」と言い出すようになった。映美ちゃんは「赤ちゃん返り」して、何をするにも過剰に甘え、夫とは距離を置いた。そんな姿に夫はいらだった。
  結婚当初は、静香さんも夫も実子と継子を同じ目線で見ることができたのに、いつからか実子を守ることに必死になっていた。夫婦げんかが増え、静香さんの体重は激減した。一家でドライブしたのは遠い日のことだった。


  離婚届けに判を押したとき、静香さんは涙が止まらなかった。
  夫を嫌いになったわけでなく、男児のお母さんになりたい気持ちもまだあった。この一家の妻として母として頑張るのか、それとも愛娘を第一に考えるのか。すり減った心は後者を選ぶしかなかった。
  「苦しかった。夫婦愛で乗り切れるほどステップファミリーは甘くなかった」。静香さんは振り返る。「母子家庭のときは、両親そろって子どもがいる普通の家族にあこがれた。でも、心が通わなければ意味がないんです」
  苦い思いは消えず、体も完全に回復したとはいえない。それでも、母と娘で過ごす穏やかな今の時間は、何物にも代え難い。

=文中仮名=
(坂口紘美)

2009/01/03



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