あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-18]<児童福祉・行政・司法、介護、育児>新聞事件簿。母子を取巻く環境

<神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編(1)ひとつ屋根の下一人で育てる苦労より、継父母の苦労を選ぶ

 
 <神戸新聞>ずっと家族がほしかった ステップファミリー編 (2)母の代理切り刻まれた顔写真 初めて寂しさに触れた <神戸新聞>ずっと家族がほしかった(8)命をつなぐ子どもたちに幸せを
扉を開けると、玄関に靴や傘がぎっしり並ぶ。笑い声が外まで聞こえた
 「お母さん、ステップファミリーって、うちみたいな家族のことやんなあ」
 十月半ば、台所で晩ご飯を支度中の和子さん(44)は、中間テストを控えた高校一年の次男の声に振り向いた。
 「そうやで。何で急にそんなこと聞くん」。見せられた家庭科の教科書にはこう記されていた。
 〈子どもを連れて再婚した家族をステップファミリーと呼ぶ〉
 和子さんと夫の洋一さん(44)は離婚を経験している。以前の配偶者との子どもはともに二人。結婚後、二人の子どもに恵まれ、現在三男三女、八人の大家族で宝塚市に住む。
 一家には、離婚や再婚の話題を避けたり、はばかるような雰囲気はない。夕食後の団らんの中で、こんなことがあった。
 高校二年の長男が、ブランド品を持っているクラスメートの話を始めた。洋一さんが加わり、話が脱線していく。
 「借金取りっていうのはすごいねんぞ。父さんの前の奥さんもすごい借金つくってなあ…」。深刻な内容を鷹揚(おうよう)に語る言葉に不自然さや誇張はない。苦い失敗を笑い飛ばしてしまうおおらかさが洋一さんにはあった。
 テレビドラマで離婚の話が出れば、親子で口をそろえて「うちと一緒やなあ」。幼い三男や三女の口から「離婚」という言葉が出ることもある。きょうだいげんかが始まると、「本当のきょうだいじゃないもん」「お母さんのおなかから生まれてないくせに」といったせりふが飛び交う。
 包み隠さず何事もオープンに、が洋一さんと和子さんの子育て方針だが、家族の中では当たり前のことが一歩外に出るとそうでないことがある。
 中学一年の次女が「うち、お父さんが違うねん」と何げなく友達に話した。「えー、かわいそう」。思ってもみなかった反応に戸惑い後になるほど悔しさが込み上げた。
 「血がつながってないのは不幸なん?」


 洋一さんと和子さんは小中学の同級生だ。離婚後、子どもを連れて大阪市内の実家に戻った。
 一九九八年夏、互いの長男が通う小学校の盆踊り大会で再会。学校行事や公園で顔を合わせるようになり、家族ぐるみの付き合いが始まった。
 和子さんに懐(なつ)いた洋一さんの子どもが、帰りを家の前で待つようになった。登校をいやがるその子を自転車の後部に乗せ、和子さんが小学校に送っていくことも何度もあった。
 「寂しいんやろなあ。一緒に暮らそうか」
 もう結婚はこりごり。そう決めていたのに、二人の気持ちは動かされた。周囲は案じたが、あれほど、学校をいやがっていた洋一さんの子どもが、同居後は元気に登校しているのが支えになった。大丈夫、今度こそ、うまくいく。
 「力を合わせて四人の子どもを一人前にしよう。一人で育てる苦労より、再婚して継父母をする苦労を選ぼう」
 二〇〇〇年二月、親族が集まり、居酒屋でささやかな宴を開いた。


 洋一さんと和子さんは、かつての配偶者との間の子どもたちに、ぬぐいきれない負い目がある。大人の都合で母や父を奪ってしまった申し訳なさや家族に幻滅したのではとの不安がある。だからこそ今の家族を大切にしたいと思う。
 「子どもたちが一番。人並みに家族を築ける大人に育てる責任が私たちにはある」
 今、「お父さん」「お母さん」と呼び、きょうだいで派手なけんかがある。
 ごく当たり前のことをこの家族ができるようになるまで、九年という時間がかかった。


 二〇〇七年、離婚件数は約二十五万五千組に達した。愛した人と別れ、新たな出会いの中で、再び家族を築こうとする人たち。いくつものステップファミリーの物語を伝える。

=文中仮名=
(この連載は坂口紘美が担当します)

(2008/12/25)



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