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[Ⅶ-10]<C-PTSD・心の傷と闇>新聞事件簿。DV・虐待、被害者の苦しみ

<ダイヤモンド・オンライン>実は5人に1人が“不安障害”!? 「会社に行けない」人々が急増する理由

 
 <ダイヤモンド・オンライン>パニック障害と「ウツ」―“いま”を生きづらい現代人への警鐘 ―「うつ」にまつわる誤解 その(21) <ダイヤモンド・オンライン>薬物よりも再発予防の効果あり 認知行動療法とパニック障害
 通勤電車に乗れない。1人では不安。上司にモノが言えず、間に家族が入らないと話ができない――様々な事情から、「会社に行くことができない」と訴える「不安障害」の人たちが増えてきているという。
「とくに、母親などに付き添われて来る30代くらいの人が増えた」と指摘するのは、精神科、神経科領域の様々な外来に対応している昭和大学付属烏山病院(東京都世田谷区)の高塩理助教(精神医学教室)。
 最近、平均的な5つくらいの中堅企業で働く約400人の会社員に対し、高塩助教ら精神科医が直接、面談などを行ってスクリーニングしてみたところ、驚くべき結果が出た。400人の中に、「社会不安障害」の疑われる人が12%。「パニック障害」や「全般性不安障害」、「PTSD」などの項目でも、それぞれ5~10%の“予備群”が潜在していた。つまり、きちんと正確に診断すれば、「サラリーマンの5人に1人は不安障害に罹っている可能性があり、さらに少なくとも10人のうち6~7人は何かしら精神的に困っている」というのだ。
「『うつ』の症状を拾う点数方式のチェックシートも併せてやってもらったのですが、これ以上超えると危ないという甘めの点数で評価を設定しても、3人に1人近くは『うつ』の危険水域に達し、4人に1人が確実に引っかかる点数で働いていた。メンタルヘルスで見ると、想像以上に根の深い日本の職場環境の現状がわかったのです」(高塩助教)
 これらの企業の中には、職場内で自殺者が出たり、電車への飛び込み自殺を目撃した社員がいたり、近親者とのトラブルなどがあったりと、聞かなければわからないようなショッキングな出来事を経験している人もいた。しかし、職場では皆、表面上は何事もないように働いていたという。
「外来の中には、休職者や退職者だけでなく、取締役から中間管理職などの立派な肩書きを持った50代の人たちも目立ちます。中には、すでに定年退職した60代の男性もいました。『人前で話すのが苦手なため、出世をすべて断って来たのに、冠婚葬祭のときにスピーチをしなければいけないから』という理由で初めて受診に訪れ、不安障害であることがわかったのです」(高塩助教)

検査を受けても「異常なし」? 突然襲われるパニック障害の恐怖
 さて、同大学附属東病院(東京都品川区)では、10年近くも前から、この不安障害の一種である「パニック障害」の外来にも力を入れている。
 本連載本連載第7回でも紹介したように、一部上場企業のトップ営業マンだった30代のフジタさん(仮名)が、社長のあいさつの途中や通勤電車の中で突然、発作に襲われた、あの症状だ。
 現在、会社を辞め、実家で“引きこもり”生活を続けるフジタさんは、1人暮らしをしていたとき、夜中、どうしようもなく不安に襲われた。寝ているとき、心臓がバクバクして、死にそうになる。「この恐怖心があるため、新しい仕事に行く勇気が生まれない」と訴えていた。
 実際、フジタさんは、正確な情報がわからないため、治療はまったく受けていない。薬も一切飲んでいなかった。ただ、周囲から「働けないことをなかなか理解してもらえないのが辛い」とこぼす。
 高塩助教によると、パニック障害の特徴は、急な動悸や息切れ、心筋梗塞かと思われるような胸の苦しみや痛み、喘息などで喉にモノが突っかかって息ができなくなるような状態、手足がしびれて脳梗塞のように歩けなくなる症状だという。
 本人は、救急車を呼ぶものの、救急病院に着くころには発作の症状が落ち着いてしまって、いろいろな検査をやっても何も異常が見つからない。普通なら安心するところなのに、本人の中で「これはおかしい」という疑念が高まり、医療機関などで調べてもらううち、パニック障害であることに気づかされる。
 この“パニック”は、脳の信号の誤作動によるもので、いつ何どき、襲われるかわからないため、「晴天のへきれき」とも言われているそうだ。
 パニック障害が起きやすい場所は、混んだ電車内や雑踏の人混み、飛行機の機内、会議中の会議室、エレベーター内など。急に逃げ出せなくなってしまったと思われる環境で発症しやすい。自分自身で、状況をコントロールできなくなってしまうからだという。
「死ぬかもしれない」と恐怖心を抱いても、実際に亡くなることはない。ただ、高速道路で車を運転中に襲われる人もいて、危険な場合もあるようだ。

「脳のもろさ」が原因? 大人になっても初めて発症する人も
 では、どのような原因で、パニック障害が起きるのだろうか。高塩助教は、こう説明する。
「原因として考えられるのは、元々の脳の脆弱性。もろさです。アレルギー体質と同じように、脳の構造上の機能の問題であることが、科学的に裏付けられてきました。そして、生まれ育った環境や、ストレスを受けやすい生活が影響しています。例えば、両親が怖かったり、上司がすぐ怒ったり、追い詰められていくような厳しい環境の中にあって、非常にまじめで、一生懸命指示に従おうとすると、行き詰ってしまうのではないでしょうか」
 また、心理学的には、幼少期や思春期の環境要因が絡んでいるのではないかと言われているという。
「ただ、最近わかってきたのは、同じ兄弟でも、なりやすい人となりにくい人がいることです。遺伝的要因も否定されてはいませんが、複合的な要因だろうと考えられています」(高塩助教)
 そもそも、この症状は、幼少期や思春期に発症する。上がり症だった、赤面症だった、引っ込み思案、どもりやすかったなどの傾向は、「不安障害の前段階症状」と位置づけられ、大人になるにつれて落ち着いていくといわれる。
「赤くなりやすいとか、人前に立つとどもってしまうような傾向は、一時期だけで、ある程度、目立たなくなると言われてきました。しかし、結局のところ、ずっと大人になるまで引きずっているのです」(高塩助教)
 こうした傾向を抱えた人たちは、会社に入っても、自分が不安障害を抱えていることに気づいていない。しかし、フジタさんのように、あるとき突然、発症することがあるのだ。
 こうしてパニック障害が発症すると、社会生活に支障をきたすことになる。高塩助教によれば、その多くの人は、「通えないのなら、もう会社に来なくてもいい!」などと言われ、会社を辞めざるを得なくなり、そのまま引きこもって、親の年金でひっそりと暮らす人も少なくないという。
 ただ、中には、元々仕事ができる人たちも多いため、勤務していた企業に通えなくなると、退職して自分で会社を立ち上げた人もいる。自分が時間や場所を自由に調整できる仕事であれば、何とか支障をきたすことなく働くことができるからだ。

丈夫な人ほど要注意! 日頃の「脳のケア」が重要
 とはいえ、自分がパニック障害だとわかった人たちは、どのように対応すればよいのだろうか。高塩助教は、こうアドバイスする。
「不安になりやすい最大の要因は、自分の状態が、何が何だかわからないからです。わからないままでは、ますます不安になるだけです。これまで、さんざん救急などでタライ回しにされてきた末、何も異常がないと言われてきた。しかし、こういう疾患があって、こういう治療法があるのかと、自分の症状のことを理解するだけでも、落ち着いてくるものなのです」
 そのためには、きちんと診断を受けることが必要。パニック障害を迅速に治療するのであれば、薬物と認知行動療法の併用が有効という。

 では、パニック症にならないようにするためには、日頃、どのように心がけたらよいのだろうか。
「社会人になって発症するのは、脳のケアのできていない人がほとんどだからです。睡眠不足で、休みが取れていない。家族との時間も持てない。あるいは、家族のいない生活を送っている。仕事に忙殺されて、自分の好きな時間がなかなかない。そして、脳を酷使してしまうため、脳が疲弊してきて、オーバーヒートを起こす。脳が働かなくなるのです」
 そこでまず、睡眠を6~8時間はとる。そして、バランスのいい食事をとること。ストレスの少ない生活を心がけて、あまり無理をしないことも重要だという。
 熱が出るなど体調を壊せば、体の異常がわかって、脳も体と一緒に休ませることができる。ところが、なまじ体が丈夫な人ほど、脳に無理なしわ寄せが来てしまうからだ。
 もちろん、脳もある程度の無理は効く。同じような過重労働であっても、「自分が成長できる」「金銭的に余裕がある」「希望が持てる」などの環境が持てれば、生き生きと生活していくこともできる。
 実際、トップの人たちは、まったく睡眠とらないで仕事している人も少なくない。しかし、トップに付いていく従業員は、希望が持てていないと、脳はダウンする。報酬、休み、評価など、自分が成長できたり、実感できたり、希望に持てることができれば、企業は不況を乗り越えられるのかもしれない。
「パニック障害などの症状のことも理解してくれる会社であれば、すぐにでも働ける」
 と、フジタさんは言っていた。
 こんな先の見えない不況には、企業も上司も自分のことに精一杯で、皆、余裕がない。生活に追われる従業員は、孤立した中で、過重労働せざるを得ない現実がある。国は、職場にゆとりを持たせて、メンタルヘルスに理解を求める施策を行っていく必要がある。




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