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[Ⅶ-20]<ことば>プレス。道徳・教養、思考。心の肥やしを「知識のひきだし」に

<アゴラ>公害のオークション

 
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5月3日(火)7時50分配信

原子力が化石燃料より(死亡率でみる限り)安全だというのは、WHOもOECDも指摘する世界の常識だが、今それをいうことがpolitically incorrectであることは確かだ。それは9・11の直後に「飛行機は自動車より安全だ」というようなもので、いくら正しくても人々はそれを感情的に受け入れない。
このようなバイアスが生じる原因は、原発ではエネルギーの発生源で被害が出るのに対して、化石燃料では採掘事故や大気汚染など、離れた場所で被害が出るからだ。汚染者と被害者を分離することは人々のバイアスを利用して社会的コストを小さく見せる方便で、汚染者が被害者に賄賂を払えば、パレート効率的になりうる。これをコースの定理と呼ぶ。温室効果ガスの排出権取引の考え方である。
 実は原発の場合も、本源的な汚染者はエネルギーを消費する都市なので、汚染者と被害者が分離されており、汚染者が電源交付金という形で発電所の地元に賄賂を払っている。つまり電力会社は、地元から公害の排出権を買っていると考えることができる。都市は賄賂によってエネルギーを入手し、地元は公共投資で互いに利益を得ているので、この取引はパレート効率的である。
これは高度成長期に田中角栄が編み出した都市から地方への所得再分配のテクニックの一つだが、今こうした政治手法が限界に来ていることも否めない。特に賄賂が文字どおり政治家への贈賄になって利権化したことが、地方の荒廃とエネルギー政策への不信感をまねいた。かといって都市に発電所を立地することは困難だし、コースの定理からみても非効率である。
だから今後は、発電所や米軍基地などの迷惑施設を建てるとき、公害のオークションをやってはどうだろうか。たとえば東電が発電所を建てるとき、全国の市町村に呼びかけて電源交付金のオークションを行ない、最低価格を出した自治体に落札するのだ。理論的には、際限なく交付金の額を上げれば、どこかで買い手がつく。落札額が過大になったときは、政府が補填すればよい。
これは結果的には、今の電源交付金と同じ地方への再分配だが、政治家が介在しない分だけ透明で、長期にわたる地元との交渉も必要ない。これは周波数オークションと同じなので、利権を失う政治家や官僚はいやがるだろうが、政治力のない民主党にとってはいいかもしれない。
この手法は、放射性廃棄物にも応用できる。河野太郎氏も指摘するように日本の核燃料サイクルは破綻しており、国内では再処理施設や高速増殖炉はあきらめたほうがいいだろう。だから途上国に開発援助で再処理施設をつくり、日本の放射性廃棄物を有償で処理すればいいのだ。これは有害な廃棄物の不法投棄を禁じたバーゼル条約違反になるおそれがあるので注意が必要だが、当事国の政府が合意すれば廃棄物を海外で処理することは可能である。
これは京都議定書で定められた国際的な排出権取引と同じ考え方である。排出権の計測には不確実性が大きいので、それを国際的に取引するのは非効率的だが、放射性廃棄物は取引の対象が明確なので、CO2よりはるかに取引は容易だろう。こういう公害の輸出には環境団体が反対するだろうが、途上国でもっとも多くの人命を奪っているのは、汚染ではなく貧困だ。公害の輸出で途上国が豊かになれば、パレート効率的な結果をもたらすことができる、というのがコースの定理の教えるところである。



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