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[Ⅶ-22] 継続情報<震災・地震/火山/氾濫>ストレスとトラウマ、命と心を守る

<毎日新聞>東日本大震災:食物アレルギーの子、被災地からSOS

 
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4月24日(日)2時34分配信

 アレルギー対応食品の備蓄や受け入れ態勢の不備は、過去の大地震の際にも指摘されてきたが、反省は生かされなかった。東日本大震災発生以降、アレルギーの子を持つ母親らで作る患者会には、被災地からのSOSが次々と入っている。

◇対応食、支援物資にまぎれたまま
 「盛岡アレルギーっ子サークル・ミルク」(盛岡市)の藤田美枝代表(27)は震災発生直後、刻々と伝えられる沿岸部の被害状況に居ても立ってもいられず、全国の患者会で作る連絡会にメールを送り、被災地の患者への支援を求めた。
 藤田さんは、各地の患者会から集まった支援物資を岩手県の窓口に届けたり、県の窓口あてに送ってもらったりしたが、10日後に県の物資集積所を訪ねると、支援物資は積まれたままだった。「ニーズがない」との理由で配送されていなかったのだ。藤田さんが「食物アレルギーの患者は一定の割合でいる」と説明すると、県の担当者は「把握するだけの余裕がない」と答えたという。
 藤田さんは「避難所でよく配られるカップ麺やパン、卵などは、アレルギーの子どもは食べられない。アレルギーのない人は待てば足りない物が来るが、アレルギーの子どもに必要な物は待っても来ない。行政側の支援やルール作りが必要だ」と訴える。
 藤田さんらとともにアレルギー患者への支援活動を行う「エコ・ライス新潟」(新潟県長岡市)の豊永有マネジャーは「アレルギー対応食の備蓄があった名古屋市から仙台市に送られたアレルギー対応食が、一般の支援物資に紛れて行方不明になった」と指摘する。「現地の集積所でさんざん探したが、結局、見付けられなかった」という。受け入れ態勢を整えていた仙台市ですら混乱があったようだ。
 阪神大震災などで支援経験がある「アレルギー支援ネットワーク」(名古屋市)は、藤田さんら現地の患者会と協力しながら岩手、宮城、福島の3県で計10カ所に拠点を設置。避難所にポスターを張り、困っている食物アレルギー患者の掘り起こし作業を続けている。自前の備蓄や、依頼に応じた企業からの提供食品を供給しているが、「患者会だけではマンパワーに限りがあり、たくさんのボランティアの助けで運営できているのが現状」(同ネットワーク)という。【林由紀子、片平知宏】

◇自治体で備蓄に格差
 毎日新聞が都道府県と政令市計66自治体に取材した結果からは、食物アレルギーを持つ人に対応するための備えを巡り、自治体間で大きな格差がある現状が浮かぶ。
 アレルギー対応食品の備蓄で多いのは、アルファ米だ。東日本大震災で被災した仙台市はアルファ米約38万食、アルファ米のおかゆ約1万4000食分を備蓄していた。新潟市はアルファ米約900袋に、アレルギー対応の菓子約50袋、乾パン約120缶などを備蓄している。埼玉県のように「現物の備蓄はないが、協定を結んだ業者から必要な時に提供を受ける『流通備蓄』で対応する」という自治体もあった。
 近い将来、南海地震の発生が懸念されている高知県は、アルファ米を10年度から5年で計7万500食(年間1万4100食)備蓄する。担当者は「南海地震の想定避難者数の1日分の20%に当たり、市町村の備蓄では賄い切れない分を用意する」と説明する。
 アレルギー対応の粉ミルク・食品を備蓄している愛知県は、県と全市町村の備蓄食料のアレルギー対応状況をホームページで公開している。「あらかじめ情報を出しておけば、各自でどれだけ備えればいいかを考え、準備してもらえる」との理由からだ。
 一方、大半の自治体はアレルギー対応の備蓄をしていない。その理由はさまざまだ。神戸市は「アレルギー対応食を確保する予算がない」。山口県や北九州市は「賞味期限が短いので備蓄していない」としているが、通常の乾パンなどと賞味期限の変わらないアレルギー対応食品もある。
 京都府は「市町村からの要請があれば総合的に検討する」という。東海地震の発生が懸念される静岡県は「住民用の備蓄は市町村の担当。県の備蓄は職員向けなので、アレルギー対応は考えていない」と説明した。
 被災した際に、支援物資としてアレルギー対応食品が届いた場合の受け入れ態勢や配布の仕組みがあるのは5自治体しかなかった。その一つの仙台市の担当者は東日本大震災発生後の対応について、「倉庫で保管する際、アレルギー対応食品とそれ以外を分けて保管し、ニーズのある避難所へ送っている」と説明する。
 仙台で支援を行った新潟市は「担当者にはアレルギー対応の粉ミルクなどを持参させ、避難所の受付に張り紙をするなどして周知を図った。今後、新潟が被災した場合も同様の対応を取る」と話す。北九州市は「避難所などにアレルギーの人がいればニーズを聞き、流通備蓄の協定を結ぶスーパーやコンビニなどに発注する」と説明した。
 国は自治体のアレルギー対応食品の備蓄状況について把握すらしていない。総務省消防庁は「災害対策として備蓄を進めるよう呼びかけているが、備蓄の品目や量については自治体に任せており、指示する権限もない。アレルギー対応食品について特別な対応を取る予定は今のところない」としている。【樋岡徹也、福永方人】



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