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[Ⅶ-22] 継続情報<震災・地震/火山/氾濫>ストレスとトラウマ、命と心を守る

<読売新聞>[緊急連載]震災に遭った時(3)服用薬の具体名伝えて

 
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 医師の往診を受ける被災者たち。持病を持つ人たちに薬を届けることは緊急の課題だ(16日、山形県米沢市の市営体育館で) 「インスリン製剤が底をつきそうだ」
 15日朝、日本糖尿病協会理事で京大教授の稲垣暢也さんの電話が鳴った。知人で岩手県宮古市にある熊坂内科医院理事長、熊坂義裕さんからだった。
 インスリン製剤とは、糖尿病患者が血糖値を下げるのに使う薬で、毎日注射しなければならない。
 熊坂さんによると、同市内の多くの医療機関は診療できない状態。糖尿病患者を診療できるのは同医院と県立宮古病院だけで、インスリン製剤を求めて診察に訪れる患者が後を絶たない。
 同協会理事の菅原正弘さん(菅原医院院長)は「食事を十分取れなくても、インスリン製剤を使わなければ血糖値は上昇してしまう」と指摘する。協会は同日、メーカーを通じインスリン製剤を宮古に送った。
 被災地では、糖尿病患者が血糖値を管理し続けるのは難しい。インスリン製剤が確保されていても、十分な食事が取れない状態で普段と同じように使うと、逆に低血糖を起こす恐れがある。菅原さんは「食事の量に合わせて量を減らすことが必要だ」と説明する。
 避難所で必要な薬が手元にない場合は、担当者に伝えることも大切だ。その際は日ごろ飲んでいる薬の具体的な名前も伝える。同じ効果の薬でも複数の種類があり、飲み慣れない薬で代用すると、副作用が出ることがあるからだ。
 例えば、血圧を下げる降圧剤は種類が多く、血圧を下げる仕組みも異なる。
 菅原さんによると、血管を広げるカルシウム拮抗(きっこう)薬は、めまいや立ちくらみが出ることがある。体外に塩分を排出する利尿薬は、尿酸値が上がる場合がある。血圧を調整するホルモンに働くARBは、腎機能が低下した人が服用すると不整脈を起こすこともある。
 菅原さんは「飲んでいる薬の名前が分からなければ、受診している医療機関を担当者に伝えてほしい。運良く連絡がつけば、薬の名前を調べられる」と助言する。
 地震で建物が一部損壊した東北大病院では、緊急患者の診療に当たっている。てんかん科教授の中里信和さんは、知り合いの医師から「被災した患者のために、抗てんかん薬の処方をしてあげてほしい」などの相談を受けた。
 しかし、厚生労働省は地震発生翌日の12日、医師の処方箋がなくても、患者が薬局で必要な薬を受け取ることができるという通知を出した。このことが、患者はもちろん、医師にも十分に周知されていないのだ。中里さんは「知らないで困っている患者は多いのでは」と懸念する。

(2011年3月17日 読売新聞)



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