あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

DV被害支援室poco a poco 庄司薫のコラム

DVから逃れる。被害者に襲いかかるいい知れぬ不安感に苛まれ、やっぱり私は怖いというあなたへ③

 
 暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか⑥ 暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか⑤
-DV被害者のやるせない思いを書き綴る。モンスターと真正面から対峙し、明らめる!-

 「離れた心は戻らない」と呟く被害者の夫に対しての心情は、次のように表すことができる。
 私は、あなたからの暴力、DV被害について役所に相談している。だから、私たちは、お願いしたら“保護施設”に収容してもらえる。家をでても、子どもたちを路頭に迷わせることはしない! だから、安心して欲しい。
 だけど、一度収容されたら、実家にも友人にも、当然あなたにも、誰とも連絡することは禁止される。それに、地方裁判所からあなたに対して“接近禁止命令(保護命令)”も出され、警察にも連絡される。それこそ子どもたちの父親を犯罪者扱いにしてしまう。
 私は、役所や支援をしてくれる人に相談してきたけど、子どもたちにそういう思いは絶対にさせたくないと思ってきた。だから、お互いに手紙を書いて、話し合ったんじゃないの! あの時、あなたも「考えさせられた、辛い思いをさせたごめん」と謝ってくれたじゃない。
 私はそれを信じて、もう一度やっていこうと頑張ってきたんだよ。お義母さんとのことだって、私との関係を敢えて悪くしようとしているだけじゃない。子どもたちのことだって、黙ってきたけど、これ以上脅えさせて、暴言が続くようなら、情緒不安定な症状が酷くならないように一次保護も必要だっていわれているんだよ! 役所は躾だなんて思ってなくて、虐待だと思っているんだよ。
 私は、子どもを取られて施設に保護されるなんてしたくない。
だげど、私は不安で、不安でしようがないから、やっぱり子どものことを相談しないといたたまれないし、考えるためにひとりになる時間が必要なの! 子どもたちのことを考えたら心が張り裂けそう。心が壊れちゃうんじゃないかと思って・・。だから、これまで何度も何度も、「子どもたちにそういういい方やめてくれない」とお願いしてきたのに、いつも直ぐに話題をすり替えて、私の気持ちをどうしてわかってくれないの!?
 あなたは何もわかってくれないじゃない。何時も、話題をすり替えて、私を責めるばかりじゃない。で、最後は、いつもの「嫌なら出ていけ!」なんだね・・。
 DV被害者であるあなたは、ずっと夫からの行いを見ないように、気づかないように目を背けてきた。しかし、「私が悪いから、しょうがない」「いっても無駄」「私だけが我慢すればいい」と思わずに、きちんと向き合ったら、「もうこれ以上、耐えられない」となるのである。
 気づいていることと、認めることは、まったく次元が違う。夫婦であったり、肉親であったり、より近しいほど、親しいほど、“信じたい”という色眼鏡をかけて、フィルターを通してみて、感じてしまう。
 DV加害者というモンスターや肉親の借金返済のために身を売っている女性たち、被害者たちも少なくない。そんな思いをさせられても、断ち切れない。ほんの一瞬であっても、身が竦み、心が凍るほどの恐怖を感じさせられてしまっている。逆らったら、なにをされるかわからない。それが、支配のための暴力というパワーの怖さである。
 DV被害者であるあなたは、フィルターをかけずに、ありのままの真実、つまり、DV加害者がどういう人物なのかを見極めなければならない。
 しかし、あなたはやっぱり認めたくない気持ちの方が強く働いて、必死に心のブレーキをかけてしまう。
 DV加害者であるあなたの夫は、暴力のある家庭で育ち、親から暴力を学んだ。一方で、心は傷つき、苦しんだ。しかし、やがて考え方は屈折し、暴力でしか自己表現ができなくなってしまった。日々、暴力に怯えていた幼児期を経て、思春期、青年期には良好な対人関係を身につけることができなかった。生身の人を信じられない被虐待者でもあるDV加害者は、人の気持ちを思いやる、察する能力を持ち合わせていない。だから、人を気遣うことばも感情も持ち合わせていない。そもそもどういうものかわからないのである。
 DV加害者が認める、受け入れることは、一方的に尽くされることでしかない。
 交際当初、とにかく優しく、尽くしてくれたのは、あなたが獲物、ターゲットだったことに他ならない。「あれっ、変だぞ」と感じたことは何度もあったはずである。しかしその時には、DV加害者の巧みなことばに翻弄され、マインドコントロールは進んでしまっている。そして、一度でも心が凍る思いをさせられていたら、もう怖いが先立って逃れられなくなる。
 だから、あなたが悪いわけではない。誰でも巧妙な罠にはまってしまう。決して、自分を責めたり、悔やんだりしないで、あなたとあなたの子どもたちの“これから”にだけ目を向けて欲しい。
 DV加害者の「共感性の喪失」は、暴力のある家庭で育ったことが原因である。生育段階で獲得できなかった脳機能は、もう二度と取り戻すことはできない。
 DV加害者の「嫌なら、でて行け!」「文句があるなら、実家に帰れ!」は常套句であって、そのことばには、あなたの理解している意味をもってはいない。口からでる吠える“音”でしかない。けれども、あなたを脅す、怯えさせるメッセージだけ強烈に放っている。
 あなたが荷物を整理したり、不穏な行動があったら、行動を監視し、牽制をかける。ひいては、子どもを盾にとって家に縛りつけようとする。「でて行け!」は、「でて行けるものならでていってみろ! そのときは、どうなっても知らないぞ!」といった強烈な脅しのメッセージでしかないのである。


2011.4/2
2012.4/28 改訂
2013.4/24 ブログ再構成・再編集にともない掲載場所を移動
2013.5/5

※ DVの本質は、本来対等であるはずの男女(夫婦間、交際者間)の関係に、上下の関係、支配と従属の関係を成り立たせるためにパワー(力)を行使することですから、”関係性”で理解する必要があるわけです。つまり、「上にたとう(支配しよう)とする者」と「下におかれる(支配され、従属させられる)者」という”関係性”であることから、①カテゴリー[Ⅲ-2]「Ⅰ-3.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか(1)-(6)」、②「Ⅲ-2」「Ⅰ-4-(2)デートDVから結婚に至る経緯」に目を通していただければ、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法)」第二条の三にもとづいて作成される「都道府県(市町含む)基本計画」の中で「対象とする暴力として、身体的暴力、性(的)暴力、精神的暴力、経済的暴力がある」との記載が意味するものについて理解を深めていただけると思います。
 そのうえで、本記事のテーマ、相反する拒絶と受容のことばやふるまいを繰り返されることにより思考混乱をおこし、暴力の恐怖により機嫌を損ねないように意に添うようにふるまうなど、暴力に順応することで生活を続けざるをえなくなった、つまり、暴力のある環境で生活を続けること=マインドコントロール下におかれてきたのかを理解していただくには、加害者特性の理解、つまり、DV加害者がどのようにふるまうのかを理解すること、その支配するための暴力により、被害者はどのような“負”の思考パターンに陥っていくことになるのかを理解することが大切です。
 そこで、③カテゴリー[Ⅲ-6]「Ⅳ-24.DV加害者に共通する行動特性」に目を通していただき、その中で説明している「感受性訓練に似通った言動パターン」を頭に入れて、④カテゴリー「Ⅲ-2」「Ⅰ-5.被害者心理。暴力で支配、マインドコントロールされるということ」に目を通していただくことによって、“人との関係性”のいう捉え方でDVを認識することがいかに重要なことなのかを理解していただけると思います。
 また、生活を共にしていた交際相手(元を含む)、あるいは、配偶者からの暴力から逃れるために女性センターや警察を通して施設への一時保護を求めたリ、地方裁判所に保護命令の発令を申立てたりすることについては、⑤カテゴリー「Ⅲ-6」「Ⅳ-21.一時保護の決定、保護命令の発令。「身を守る」という選択」で、さらに、⑥「婚姻破綻の原因はDVにある」として、家庭裁判所に離婚(夫婦関係調整)調停を申立てるときには、「Ⅳ.「婚姻破綻の原因はDVにある」ときの離婚(21-26)」において、DV事件特有の問題、そして、それに準じた考え方の重要性などを理解していただけると思います。
 加えて、暴力のある家庭環境で子どもを育てることは、面前DVとして、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」では“精神的虐待”とみなされることから、暴力のある家庭環境で育ち、再び、交際相手や配偶者から暴力を受けることになった被害者も併せて、⑦「Ⅲ-2」「Ⅰ-1.虐待の発見。DV家庭における子ども」、「Ⅲ-4」「Ⅱ.暴力のある家庭で暮らす、育つということ(6-12)」において、子どもへの心身への影響についての理解を深めていただければと思います。
 なお、「DV被害支援室poco a poco」では、DV被害者支援として、ア)女性および母子への暴力・DVへの相談、イ)「婚姻破綻の原因はDVにある」とする離婚調停に向けての支援、ウ)暴力(「暴力のある家庭環境で育った」を含む)で傷ついた心のケアをおこなっています。最初に、カテゴリーⅠ「はじめに」に目を通していただければと思います。




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