あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

DV被害支援室poco a poco 庄司薫のコラム

暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか④

 
 DVから逃れる。被害者に襲いかかるいい知れぬ不安感、やっぱり私は怖いというあなたへ① 暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか③
 子どもにとっては、とてもツラいことであるけれど、父親の本性を“明らか”にしていくひとつひとつのプロセスはとても大切なことである。
 怯えさせられて何もいえず、過緊張を強いられ、身動きできない。身も心も縛られて過ごす生活や、モノを買い与えられるだけの愛情なんて誰も望んでいない。
 DV加害者自身が、時に被害者自身も、親からの愛情を受けずに育っている。誤った愛情の“かけられ方”を体験として学んでしまったのである。だから、無邪気に愛情を求める子どもに嫉妬し、その反動がからかい、ひやかし、虐待行為になっていく。わが子であっても心の中でも信用できないと思っているから、怯えさせ、モノの褒美を与え従わせようとしていく。モノや金をもらって喜ぶ姿にしか、親としての安心感をえられないのである。
 これは、前頭葉が発達していない動物を手懐けるのと同じやり方である。DV加害者である父親は、その脳機能を虐待のある家庭環境(生育環境)で獲得できなかった。
 DV・虐待の世代間連鎖の哀しい現実がここにある。自分も他人も信じられなくし、相手を思いやる心を獲得できないのである。しかも、安定した心地よさに恋い焦がれているにもかかわらず、安定した生活に「この状態は、長く続くわけがない」との不安感や不信感が頭をもたげ、居心地が悪くなるのである。恋い焦がれている安定した心地よさを友人、恋人、配偶者に求めるわけであるが、「どうせ傷つくことになるのなら、私の方から(安定を)手放した方がいい」とわざと“嫌われる”ように仕向けていったりする。
 支配のための暴力のある家庭環境、DV環境で育つ子どもにすり込まれた言動や習慣を治すには(正す、直すではなく)、二つの選択肢しかない。
 ひとつは、DV加害者である父親の言動や行動を一切止めさせて、習慣を改めさせることである。しかし、暴力の中で育っている被虐待者である父親は、脳機能を獲得していないことから、習慣を改めることなどできない。改めるのであれば、支配した思いにかられる対象のない状態(妻子と離れて暮らす)で、学び直しが必要なのである。
 もうひとつは、父親から離して育てることである。その中間はない。父親が快感をえている「からかい行為=虐め、暴力・虐待行為」は、子どもたちの心を傷つけ、心を壊し、人格を歪める生産工場となる。遺伝的なものではない。胎児以降の脳の成長過程による影響(損傷)であるから、後天的なものである。日常生活の中で、日々繰り返される言動、習慣、恐怖のもとで少しずつ青写真のようにゆっくりと確実にコピーが造られていってしまうのである。しかし、哀しいできごとは、“これまで”父親になにもいえない母親のことを、「わたしがつらい思い、苦しい思いをしているのに助けてくれなかった」として“憎しみ”の対象としてしまうことである。母親のことを何もできない情けない奴と心の中で罵り、父親に何もいえないやるせなさを母親にぶつけるのである。必死の覚悟で家をでたにもかかわらず、父親そっくりの汚いことばで母親を罵倒し、ときに手をあげるようになっていくのである。
 あなたの子どもに、父親と同じ被虐待児としての十字架を背負わせない決断をして欲しい。


2011.4/1
2012.4/28 改訂
2013.4/24 ブログ再構成・再編集にともない掲載場所を移動
2013.5/14 加筆・修正

※ DVの本質は、本来対等であるはずの男女(夫婦間、交際者間)の関係に、上下の関係、支配と従属の関係を成り立たせるためにパワー(力)を行使することですから、”関係性”で理解する必要があるわけです。つまり、「上にたとう(支配しよう)とする者」と「下におかれる(支配され、従属させられる)者」という”関係性”であることから、①カテゴリー[Ⅲ-2]「Ⅰ-3.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか(1)-(6)」、②「Ⅲ-2」「Ⅰ-4-(2)デートDVから結婚に至る経緯」に目を通していただければ、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法)」第二条の三にもとづいて作成される「都道府県(市町含む)基本計画」の中で「対象とする暴力として、身体的暴力、性(的)暴力、精神的暴力、経済的暴力がある」との記載が意味するものについて理解を深めていただけると思います。
 そのうえで、本記事のテーマ、相反する拒絶と受容のことばやふるまいを繰り返されることにより思考混乱をおこし、暴力の恐怖により機嫌を損ねないように意に添うようにふるまうなど、暴力に順応することで生活を続けざるをえなくなった、つまり、暴力のある環境で生活を続けること=マインドコントロール下におかれてきたのかを理解していただくには、加害者特性の理解、つまり、DV加害者がどのようにふるまうのかを理解すること、その支配するための暴力により、被害者はどのような“負”の思考パターンに陥っていくことになるのかを理解することが大切です。
 そこで、③カテゴリー[Ⅲ-6]「Ⅳ-24.DV加害者に共通する行動特性」に目を通していただき、その中で説明している「感受性訓練に似通った言動パターン」を頭に入れて、④カテゴリー「Ⅲ-2」「Ⅰ-5.被害者心理。暴力で支配、マインドコントロールされるということ」に目を通していただくことによって、“人との関係性”のいう捉え方でDVを認識することがいかに重要なことなのかを理解していただけると思います。
 また、生活を共にしていた交際相手(元を含む)、あるいは、配偶者からの暴力から逃れるために女性センターや警察を通して施設への一時保護を求めたリ、地方裁判所に保護命令の発令を申立てたりすることについては、⑤カテゴリー「Ⅲ-6」「Ⅳ-21.一時保護の決定、保護命令の発令。「身を守る」という選択」で、さらに、⑥「婚姻破綻の原因はDVにある」として、家庭裁判所に離婚(夫婦関係調整)調停を申立てるときには、「Ⅳ.「婚姻破綻の原因はDVにある」ときの離婚(21-26)」において、DV事件特有の問題、そして、それに準じた考え方の重要性などを理解していただけると思います。
 加えて、暴力のある家庭環境で子どもを育てることは、面前DVとして、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」では“精神的虐待”とみなされることから、暴力のある家庭環境で育ち、再び、交際相手や配偶者から暴力を受けることになった被害者も併せて、⑦「Ⅲ-2」「Ⅰ-1.虐待の発見。DV家庭における子ども」、「Ⅲ-4」「Ⅱ.暴力のある家庭で暮らす、育つということ(6-12)」において、子どもへの心身への影響についての理解を深めていただければと思います。
 なお、「DV被害支援室poco a poco」では、DV被害者支援として、ア)女性および母子への暴力・DVへの相談、イ)「婚姻破綻の原因はDVにある」とする離婚調停に向けての支援、ウ)暴力(「暴力のある家庭環境で育った」を含む)で傷ついた心のケアをおこなっています。最初に、カテゴリーⅠ「はじめに」に目を通していただければと思います。




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