あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

DV被害支援室poco a poco 庄司薫のコラム

暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるか①

 
 暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか③ ことばは心の足音、心が発する音も”音”
 DV被害者である母親が、「うちの子は、先々のこと(先回りをして)を考えるのが心配なの。想像力が豊か過ぎる」と話す。しかし、暴力のある家庭で育つ子どもたちの先々のことを考え不安になるのは、想像力が豊かなのではない。
 「失敗したらからかわれる、笑われる」「間違えたら怒鳴られる」といった強迫観念、被害妄想に囚われてのものである。「こういうことをいったら・・」と、人がどう思うかに思いが及ばない。自分の発言、行動が相手にどう映り、どう思われるかを想像できない。だから、不安になる。「失敗したらどうしよう」「~したら、どう思われるだろう」「~したら、嫌われる」「~したら、怒られる」と不安感、被害妄想に囚われているのである。やがて子どもの成長とともに、父親がそうしているように喧嘩になる(怒られる)ことを兄弟姉妹、友だちとのコミュニケーションとしてしまう。もし、想像力が豊かなら、どうしたらいいのかわからないときに思考を停止させず、あれこれ考えるし、相手を思いやれるのである。
 この状態が酷くなると、思春期、青年期を経て、加害者である父親のように病的な被害妄想で、他の人を翻弄しはじめるようになる。「~だから、きっと~になる」といった思考パターンが強調されていくと、嘘、偽り、つくり話に発展していってしまう。クラスの中で煙たがられ、孤立しやすくなる。そして、周りの気を惹く(注目される)ために、面白おかしい話をつくったり、モノや金で壊れかけやすい対人関係を維持しようとしなければならなくなる。逆に、何度も何度も人が嫌がる、気に障ることばかりするようになる。それは、「よくもまあ、凝り性もなく」と比喩されるように、人が嫌がる行いを繰り返す。
 子どもにとって、DV加害者である父親との生活は、幼児のころからいい争いを、からかい・ひやかすことをコミュニケーションそのものと捉え、すり込み、身につけていくしかないのである。敢えて 「気に障ること」を持ちだしていく。そういったコミュニケーションじゃないと、人の関わりを持てなくなっていくのである。
 わがままが通る家の空間だけでなく、公共の場で“我を忘れ”て暴れまくる。まるで、DVという支配のための暴力で母親を思い通りにするがごとく、子どもは暴れることで我を通そうとする。そして、人をコントロールすることを学んでいく。子どもは暴れると親がいうことをきく、いうなりになることを成功体験として学び込んでいくのである。その成功体験が、学校で、家庭で繰り広げられていくようになる。
 多くのDV加害者は、他人の前で、愛想よく、大判振る舞いをする。それは、必要以上によく見られたいからである。そのときに、期待した“尊敬される(心底楽しんで、喜んでもらおうじゃなく、かけひきでしかない)”といった反応が返ってこなかったら、「あいつは恩知らずだ!」と誹謗中傷し、関係が深ければ憎しみに変わる。それは、一般のかかわりのない人に対しても、羨望があるとき、一瞬にして非難と憎しみにすり替わる。心の中に「深い怒り」があるからである。
 DV加害者の思いやりに欠けた暴言は、生育期に親からすり込み、身につけたものである。それとともに、暴力の中で暮らすことによって、子どもは脳機能の問題(脳の萎縮)が絡んでくることを知らなくてはならない。
 あとは、母親として、子どもたちにこれ以上すり込まないように、学習しないようにする決断をして欲しい。子どもたちの心を壊さない方法はただひとつ、それは、DV加害者のもとを一刻も早く去ることしかない。そのことをあなたに知って欲しいのである。


2011.4/1
2012.4/28 改訂
2013.4/24 ブログ再構成・再編集にともない掲載場所を移動
2013.5/14 加筆・修正

※ DVの本質は、本来対等であるはずの男女(夫婦間、交際者間)の関係に、上下の関係、支配と従属の関係を成り立たせるためにパワー(力)を行使することですから、”関係性”で理解する必要があるわけです。つまり、「上にたとう(支配しよう)とする者」と「下におかれる(支配され、従属させられる)者」という”関係性”であることから、①カテゴリー[Ⅲ-2]「Ⅰ-3.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか(1)-(6)」、②「Ⅲ-2」「Ⅰ-4-(2)デートDVから結婚に至る経緯」に目を通していただければ、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法)」第二条の三にもとづいて作成される「都道府県(市町含む)基本計画」の中で「対象とする暴力として、身体的暴力、性(的)暴力、精神的暴力、経済的暴力がある」との記載が意味するものについて理解を深めていただけると思います。
 そのうえで、本記事のテーマ、相反する拒絶と受容のことばやふるまいを繰り返されることにより思考混乱をおこし、暴力の恐怖により機嫌を損ねないように意に添うようにふるまうなど、暴力に順応することで生活を続けざるをえなくなった、つまり、暴力のある環境で生活を続けること=マインドコントロール下におかれてきたのかを理解していただくには、加害者特性の理解、つまり、DV加害者がどのようにふるまうのかを理解すること、その支配するための暴力により、被害者はどのような“負”の思考パターンに陥っていくことになるのかを理解することが大切です。
 そこで、③カテゴリー[Ⅲ-6]「Ⅳ-24.DV加害者に共通する行動特性」に目を通していただき、その中で説明している「感受性訓練に似通った言動パターン」を頭に入れて、④カテゴリー「Ⅲ-2」「Ⅰ-5.被害者心理。暴力で支配、マインドコントロールされるということ」に目を通していただくことによって、“人との関係性”のいう捉え方でDVを認識することがいかに重要なことなのかを理解していただけると思います。
 また、生活を共にしていた交際相手(元を含む)、あるいは、配偶者からの暴力から逃れるために女性センターや警察を通して施設への一時保護を求めたリ、地方裁判所に保護命令の発令を申立てたりすることについては、⑤カテゴリー「Ⅲ-6」「Ⅳ-21.一時保護の決定、保護命令の発令。「身を守る」という選択」で、さらに、⑥「婚姻破綻の原因はDVにある」として、家庭裁判所に離婚(夫婦関係調整)調停を申立てるときには、「Ⅳ.「婚姻破綻の原因はDVにある」ときの離婚(21-26)」において、DV事件特有の問題、そして、それに準じた考え方の重要性などを理解していただけると思います。
 加えて、暴力のある家庭環境で子どもを育てることは、面前DVとして、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」では“精神的虐待”とみなされることから、暴力のある家庭環境で育ち、再び、交際相手や配偶者から暴力を受けることになった被害者も併せて、⑦「Ⅲ-2」「Ⅰ-1.虐待の発見。DV家庭における子ども」、「Ⅲ-4」「Ⅱ.暴力のある家庭で暮らす、育つということ(6-12)」において、子どもへの心身への影響についての理解を深めていただければと思います。
 なお、「DV被害支援室poco a poco」では、DV被害者支援として、ア)女性および母子への暴力・DVへの相談、イ)「婚姻破綻の原因はDVにある」とする離婚調停に向けての支援、ウ)暴力(「暴力のある家庭環境で育った」を含む)で傷ついた心のケアをおこなっています。最初に、カテゴリーⅠ「はじめに」に目を通していただければと思います。




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