あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

DV被害支援室poco a poco 庄司薫のコラム

DVから逃れる。被害者に襲いかかるいい知れぬ不安感、やっぱり私は怖いというあなたへ①

 
 DVから逃れる。被害者に襲いかかるいい知れぬ不安感、やっぱり私は怖いというあなたへ② 暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか④
 第三者の私がDV被害者のあなたに対し、「DV環境下自体が子どもにとって心理的虐待にあたること」とか、「あなたの夫はさまざまな人格障害を抱えている可能性が高いという事実を知らせるといったこと」が、正論という名の“ことばの暴力”になるのでないかと、私は日々葛藤している。
 私はDV被害者のあなたに事実を知らせることが、どんなに心を痛め、時に傷つけてしまうことがあることを理解している。そして、私はDV被害者のあなたが、子どもたちに手をあげていることもちゃんと理解している。
 事実はただひとつ。あなたは「叩いて、怒鳴ったことで、子どもたちの心を傷つけていると自覚がある」ということだ。一方のDV加害者であるあなたの夫は、暴力を受けて育ったために暴力という自覚がまったくなく、子どもには人格などない、傷つく心など持ち合わせていないとの認識しかない。
 あなたの「このままでは子どもたちは大変なことになる」、「社会性のない大人になってしまう。“なんとかしなくては”という焦り」、「“どうしてわかってくれないの?”といった苛立ち」からの“叱責”と、「恐怖によって、怯えさせて心を支配することを目的」とした“恫喝”とはまったく次元が違うものである。前者には心がこもった愛情のある暴力、後者には心もなく、愛情のかけらもない自分に従わせ奴隷化させるための暴力でしかない。しかも、その暴力を楽しみ、快感に浸るための暴力である。その違いを私は理解している。
 その支配下にある“家の中心”にあなたがいて、そのどうしようもできない“やるせなさ”が子どもに手をあげさせている。そして、してはいけないと思っても、思わず手をあげてしまい、その結果、自分を責め、あなた自身が傷ついていることも私は理解している。
 だから、恐怖に支配されているあなたは悪くない。今の環境がそうさせてきただけと、私は何度も繰り返しいい続けたい。
 DV環境下で子どもに手をあげる母親は皆そう、悪くないのである。悪いのは、すべてを巻き込み、皆の心を壊していく異常者であるDV加害者ただひとりでしかない。
 たとえ、DV加害者の暴力に怯え、怖さから逆らうことができずに、一緒になって虐待を行って子どもを死(心の死)にいたらせたとしても、母親は被害者で悪くない。なぜなら、捕まって時間の経過とともにマインドコントロールがほどけてくると、泣き崩れ、許しをこい、後悔の念にかられるのは母親だけなのである。そういった事実も私は理解している。
 ただし、傷ついた心をきちんとケアしないままに(野放しに)していると、さらなる悲劇を生んでいくことも理解している。
 私は、DV被害者のあなたが子どもに手をあげていること事態を問題にはしない。心が壊れかけているあなたと子どもが逃れる手助けをしたいだけである。あなたと、あなたの子どもを、DV加害者である父親の快楽のために、これ以上、心が破壊されないように願ってやまないのである。
 DV加害者とはいえ、長く生活をともにしてきた夫のもとから逃れる、時に探しだされ連れ戻される恐怖から身を守るために、居所を隠しての生活を余儀なくされる。そのために仕事を辞めなくてはならない。子どもも突然姿をくらますかのように学校を去り、転校先もままならない決断を下さなければならない。それは、あなたにとって、とてもツラい選択だということも理解している。
 DV加害者の父親から遊び、挨拶として身につけさせられてしまった習慣、応じないと嫌われる、怒られる、怖いという思いを、子どもから払拭するのは大変なことである。しかし、なんとか子どもの心を守ってあげて欲しい。
 その決断は、母親のあなたにしかできない。


2011.4.1
2012.4/28 改訂
2013.4/24 ブログ再構成・再編集にともない掲載場所を移動
2013.5/5

※ DVの本質は、本来対等であるはずの男女(夫婦間、交際者間)の関係に、上下の関係、支配と従属の関係を成り立たせるためにパワー(力)を行使することですから、”関係性”で理解する必要があるわけです。つまり、「上にたとう(支配しよう)とする者」と「下におかれる(支配され、従属させられる)者」という”関係性”であることから、①カテゴリー[Ⅲ-2]「Ⅰ-3.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか(1)-(6)」、②「Ⅲ-2」「Ⅰ-4-(2)デートDVから結婚に至る経緯」に目を通していただければ、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(配偶者暴力防止法、いわゆるDV防止法)」第二条の三にもとづいて作成される「都道府県(市町含む)基本計画」の中で「対象とする暴力として、身体的暴力、性(的)暴力、精神的暴力、経済的暴力がある」との記載が意味するものについて理解を深めていただけると思います。
 そのうえで、本記事のテーマ、相反する拒絶と受容のことばやふるまいを繰り返されることにより思考混乱をおこし、暴力の恐怖により機嫌を損ねないように意に添うようにふるまうなど、暴力に順応することで生活を続けざるをえなくなった、つまり、暴力のある環境で生活を続けること=マインドコントロール下におかれてきたのかを理解していただくには、加害者特性の理解、つまり、DV加害者がどのようにふるまうのかを理解すること、その支配するための暴力により、被害者はどのような“負”の思考パターンに陥っていくことになるのかを理解することが大切です。
 そこで、③カテゴリー[Ⅲ-6]「Ⅳ-24.DV加害者に共通する行動特性」に目を通していただき、その中で説明している「感受性訓練に似通った言動パターン」を頭に入れて、④カテゴリー「Ⅲ-2」「Ⅰ-5.被害者心理。暴力で支配、マインドコントロールされるということ」に目を通していただくことによって、“人との関係性”のいう捉え方でDVを認識することがいかに重要なことなのかを理解していただけると思います。
 また、生活を共にしていた交際相手(元を含む)、あるいは、配偶者からの暴力から逃れるために女性センターや警察を通して施設への一時保護を求めたリ、地方裁判所に保護命令の発令を申立てたりすることについては、⑤カテゴリー「Ⅲ-6」「Ⅳ-21.一時保護の決定、保護命令の発令。「身を守る」という選択」で、さらに、⑥「婚姻破綻の原因はDVにある」として、家庭裁判所に離婚(夫婦関係調整)調停を申立てるときには、「Ⅳ.「婚姻破綻の原因はDVにある」ときの離婚(21-26)」において、DV事件特有の問題、そして、それに準じた考え方の重要性などを理解していただけると思います。
 加えて、暴力のある家庭環境で子どもを育てることは、面前DVとして、「児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)」では“精神的虐待”とみなされることから、暴力のある家庭環境で育ち、再び、交際相手や配偶者から暴力を受けることになった被害者も併せて、⑦「Ⅲ-2」「Ⅰ-1.虐待の発見。DV家庭における子ども」、「Ⅲ-4」「Ⅱ.暴力のある家庭で暮らす、育つということ(6-12)」において、子どもへの心身への影響についての理解を深めていただければと思います。
 なお、「DV被害支援室poco a poco」では、DV被害者支援として、ア)女性および母子への暴力・DVへの相談、イ)「婚姻破綻の原因はDVにある」とする離婚調停に向けての支援、ウ)暴力(「暴力のある家庭環境で育った」を含む)で傷ついた心のケアをおこなっています。最初に、カテゴリーⅠ「はじめに」に目を通していただければと思います。




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