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[Ⅶ-22] 継続情報<震災・地震/火山/氾濫>ストレスとトラウマ、命と心を守る

<ダイヤモンドオンライン>海水の引かない道を進み、瓦礫の山を登りつつの戸別訪問  被災地に入ったボランティア医師の奮闘日誌③

 
 <ダイヤモンドオンライン>被災者からもらった「希望」  被災地に入ったボランティア医師の奮闘日誌(4) <ダイヤモンドオンライン>津波前後、犬に噛まれて化膿した被災者たち  被災地に入ったボランティア医師の奮闘日誌②
裴 英洙 [神奈川県災害医療チーム(JMAT)ヘルスケアクリニック厚木 医師]
2011.3.26

 3月11日に発生した東日本大震災。多数の死傷者が出て、壊滅的な打撃を受けた被災地・石巻の赤十字病院へ、日本医師会が派遣する災害医療チーム「JMAT」(ジェイマット)の一員として派遣された30代医師の現場レポートを、可能な限りリアルタイムに更新していく。災害そして医療の現場で、日々何が起こっているのか。

日中の避難所は人影がまばら
 災害支援2日目の今日(3月25日)は、石巻市内の住宅を戸別訪問することになった。
 朝7時から石巻赤十字病院内の災害対策本部で開かれたミーティングでは、ある避難所に訪問することになっていたが、そこに行くとすでに地元の医師会等で結成されたチームが診療していた。
 いったん石巻赤十字病院に戻って再び指示を仰ぎ、被害の大きい海沿いの石巻市不動町~湊町の各家庭に回ることになったのだ。
 被災地というとイコール「避難所」という印象が強い。避難所となった小学校や公民館を巡回するだけならこれほど多くの医療チームは必要ないだろう。天気が良いと被災者たちは昼の間だけ避難所を離れ、自宅付近で家財道具を探したり行方不明者を訪ね回ったりしているので、日中は避難所も人影がまばらだったりするからだ。

各家庭を回る、「医療版御用聞き活動」の開始 現地に来てわかったことがある。
 被災者の中には、住宅の1階部分のみ被災したので2階で生活をしている人もいれば、津波には襲われなかったものの電気や水道といったライフラインが壊滅的な人もいる。そのような被災者たちが積極的に医療支援を求めているかというとそうではない。
 中には、慢性疾患の悪化に悩みながらも「病院の手を煩わせたくない」と我慢している人もいれば、持病のために自宅から出られない患者もいる。石巻赤十字病院でも、これら顕在化していない患者たち(=患者予備軍)がどの程度いるのか把握しきれていないのだ。

1本裏通りに入るといまだに海水が
 そこで我々のJMATチームは、受け身で患者を待つのではなく、被災地の各住宅を訪問して病気やけがで苦しんでいないのかを訪ね回る「医療版御用聞き」をミッションとして、目的地へ向かうことになった。

いまだ海水の引かない町
 写真を見ると明らかだが、メインストリートから1本路地を入ると、道はぬかるみ、いまだ津波の海水もひいていない状況だった。昨日の病院勤務で羽織っていた白衣を脱ぎ、神奈川県医師会から貸与された防災服に身を包んで長靴に履き替えて、車を降りた。

 津波で流された信号機。この付近でも生活している人はいる もう1枚の写真を見てほしい。これは住宅の中に信号機が設置されているのではない。
 ともに津波に流されてここにたどり着いたものだ。だが、こんな住宅にさえも、被災者が身を寄せ合うようにして生活している。
 外から見ただけでは、そこに人が住んでいるかどうかわからない。そこで、がれきに気を付けながら住宅付近に行き、「誰かおられますか?」と声をかけるわけだ。
 瓦礫の山を登りつつの戸別往診。錆びた釘が多数出ているので、慎重に歩かねばならない。
 高齢者が毎日踏み分けて歩きながら生活しているのことを考えると、心配になる。

「大丈夫です」と気丈にふるまうが…
 宮城県の気質のせいか、こちらから声をかけても「お疲れさまです。私たちは(健康ですから)大丈夫です」という。
 だが、具体的に「薬は十分ですか?」「切り傷・擦り傷は大丈夫ですか?」「便秘や風邪で悩んでいませんか?」と聞くと、ようやく「実は、以前から服用していた薬が切れてしまって…」と重い口を開く人が多かった。
 午前中いっぱい戸別訪問した限りでは、発熱や風邪、下痢・便秘といった症状を持った人ほど、「たいした症状ではないから」と受診を遠慮しているケースは多いようだった。だが被災地ほど、軽症のうちに治療することが望ましい。重症化しても救急搬送に時間がかかるうえ、人手不足から十分な治療を施せない可能性があるからだ。

深夜までフル稼働の薬剤部チーム
 午前中に被災地の住宅を戸別訪問し、慢性疾患の薬が切れていた患者を重点的にチェック。石巻赤十字病院に戻り、薬剤部には各患者に薬を持っていくように伝えた。だが、薬剤部は、各地から送られてくる薬を必要な地域に分配する作業にかかりきりのようだったので、午後からは我々が薬を持って配達することになった。
 ちなみに、薬剤部も戦場のような忙しさだ。
 避難所や戸別往診への薬剤の遅延ない配達は医療の生命線、一刻も速く薬を届けるため、深夜遅くまでフル稼働しているようだ。
 その姿に頭が下がる。我々も、自分たちでできることはしようということで、薬の配達も行うことにした。

病院にいると助かるのは、ロジスティクスの専門家
 夕方に災害対策本部で開かれたミーティングでは、主に3つの医療活動に重点を置くことが伝えられた。
 1つはエコノミークラス症候群予防だ。
 高齢者は避難所に終日いるケースも珍しくなく、飲食をあまりせず、かつ体を動かさず体育館の固い床の上に座っているため、同症候群になりやすい。
 重点施策のもう1つは、被災者のメンタルケアだ。避難生活が2週間を越え、被災者のストレスも高くなってくる。
 阪神・淡路大震災の時も、地震から2週間後あたりから心の病気に苦しむ被災者が増えたというデータもある。それを未然に防止するためにも、積極的に医療者側から被災者に声掛けをしていくことになった。
 そして3点目が衛生管理。避難所のトイレは、避難所ごとの程度の差はあれ、まだまだ東北地方は寒く、断水のために流水で手洗いやうがいができないので、アルコール消毒等での衛生管理を徹底していくよう被災者に呼びかけるのが重要になる。
 今日の活動を振り返り1つ気が付いたのが、ロジスティクスの専門家が病院にいると助かるということだ。
 災害対策本部には、毎日大量の医薬品が届く。だが、病院には医療の専門家が大半なので、それを各避難所の仮設診療所や患者に素早く届けることが得意ではない。私見ではあるが、在庫管理や物流の専門家がいれば、必要な医療機関に必要な分だけ医薬品を届けることができるのではないだろうか。
 ロジスティクスの専門家は、ぜひ積極的にボランティアを申し出てもらいたいと思う。


■3月25日(金)
AM7:00 病院内災害対策本部でミーティング
午前 被害の大きい海沿いの石巻市不動町~湊町の各家庭を回る
午後 いったん病院に戻り薬を調達。配達するために、再び家庭を訪問
夕方~夜 病院内災害対策本部でミーティング



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