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[Ⅶ-11]<家族問題。親殺傷・ひきこもり。性同一性障害>新聞事件簿。どう向合う

<ダイヤモンド・オンライン>「ひきこもり」するオトナたち⑤ 余命半年宣告でも引きこもりの家族救済に奔走  “親たちのカリスマ”死去に想う「1つの時代の終焉」

 
 <女性セブン>熊本3才女児遺棄の大学生 事件30分後に友人とネトゲ <ダイヤモンド・オンライン>「ひきこもり」するオトナたち④ 「自立できない=恥」という価値観は本当に正しいか 引きこもりに“負い目”を感じさせる日本社会の病理 
2011.3.10

 「ひきこもり」界において、ある種の“カリスマ”的存在だった1人の父親が、3月2日朝、亡くなった。
 日本最大の家族会組織である「全国引きこもりKHJ親の会(家族会連合会)」代表の奥山雅久さんだ。
 享年66歳。死因は、肺がんだった。
 3月6日夕方、埼玉県さいたま市岩槻区の新成寺で行われた通夜に参列して、いろいろな思いが頭を駆け巡った。

アットホームな雰囲気の通夜会場 それとは裏腹に壮絶だった“生きざま”
 朝は冷え込んだのに、日中は春の兆しを感じさせるような、陽気の穏やかな日だった。通夜に向かう途中、赤々とした巨大な陽が落ちていくのを見て、1つの時代が終わったんだなという、やるせない思いに涙がにじむ。
 自らも「引きこもり」状態の長男を抱える奥山さん。10代の頃、すでに骨肉腫を発症して、左足を切断せざるを得なかった。
 その後、広告業界の会社に入社。よく車で川っぱらの土手まで出かけ、夕陽を眺めていた。昔、そんな話をしてくれたことをふと思い出す。
 通夜の会場は、懐かしい顔の家族や当事者、支援者らも集まって、さながら“奥山ファミリー”の同窓会のような感じになった。本人がこの場にいたら、さぞかし、ところ狭しと杖をつき、はしゃぎまくったことだろう。
 しかし、ほのぼのと会場を包んだアットホームな雰囲気とは裏腹に、奥山さんの“生きざま”は壮絶だった。

“引きこもりの親”として 当事者や家族の苦悩を世に知らしめた第一人者
 奥山さんは、自らが“引きこもりの親”として実名で顔をさらし、全国を渡り歩いて、各地で家族会を立ち上げた。その一方で、あまり認知されていなかった「引きこもり」本人や家族の苦悩を世に知らしめ、理解と支援を訴え続けてきた結果、国は2度にわたって「引きこもり対応ガイドライン」を策定し、実態調査を行うまでに至った。 筆者が初めて、奥山さんと会ったのは、10年以上前にさかのぼる。


 2000年の終わり頃、埼玉県旧大宮市の東大宮コミュニティセンターで開かれていた、同会の本部月例会の模様を取材した。月例会では、家庭の状況が同じような家族ごとのグループに分かれ、お互いの悩みを情報交換し合っていた。
 ところが、会場に入ったとたん、100人近い親たちの真剣な重苦しい空気に、こんなに数多くの家庭が、誰にもいえない悩みをこっそり抱えていたのかと知って、驚かされたことを覚えている。
 この年、佐賀バスジャック事件や新潟の少女監禁事件などが発生。皮肉なことに、「引きこもり」という言葉は、被疑者の背景にある問題として、メディアなどで一気に全国区になった。
「うちの子どもも、事件を起こすのではないか…」
 ニュースに接したとき、親たちの多くは、同じような悪夢が頭をよぎったという。台所の包丁をひそかに隠す親もいた。
「本人の甘えだ」「親の甘やかしだ」――そんな「引きこもり」への誤ったイメージが、メディアなどを通じで広まっていた。いわれなき偏見に脅え、世間体を気にして、どこにも相談できないまま、ますます地域に潜在化していくしかない。

「余命半年」と宣告されながらも 全国各地で家族会設立に奔走
 奥山さんが会を設立したのは、2000年のこと。きっかけは、県の精神保健施設の家族会で出会った3家族から始まった。
「1家族だけで、引きこもり問題への対応を県などに訴えても、たらい回しにされるだけだった。縦割り行政のこの国では、限界があったんです」(奥山さん)
 そんなとき、ある現場担当者が「国から通達が来れば、私たちは動かざるを得ない」と、こっそり教えてくれた。
「そうか!全国の家族を組織して、一致団結しよう。国を動かすしか、打開できる方法がない!」
 奥山さんが、腹をくくった瞬間だった。
 黒ぶちの眼鏡に、豊かなあごひげ、杖をついて歩き回る姿がトレードマークの奥山さん。筆者が会った当時はすでに、がんが肺にも転移して、肺の4分の3を削除。2つのがんを抱え、医師から「余命半年」と宣告されていた


 しかし、酒も飲むし、煙草も吸う。「大丈夫なんですか?」と身体を気遣うと、「私は引きこもり問題を世に問いかけるために、生かされているんだから…」と笑って、取り合わない。
 奥山さんは、息子のために家を売り払い、妻とアパートの部屋を借りて、活動に奔走した。親族からは「身内の恥をさらして…」などと、批判も浴びたという。
 しかし、それは「家の恥」として「引きこもり」の存在を隠し続ける家族や、孤立した状態の中で誰にも相談できずに悩む本人に、勇気を振り絞って「助けて」の声を上げてもらうため、自ら「恥」の殻を破ってみせたのだ。
「運命は、受け入れるしかない」
 奥山さんは、そう自らに言い聞かせるように訴える。そして、各地に家族会をつくるため、杖をつきながら、ナップサックを背負い、全国を駆け巡った。

全国の家族たちの“救世主”に 国会議員まで動かすほど組織は拡大
「私には、まるで救世主が現れたように見えました」
 地方支部の設立に同行した筆者に、ある母親は、奥山さんの印象をそう話した。
「病理性を認めたがらない親もいます。批判もありました。しかし、引きこもりは、心の肺炎みたいなものなんです。それが、いいとかイヤとかいう問題ではない。病理性であることを受け入れなければ、やれ“甘やかしだ”とか“精神力で治せ!”“親が何とかしろ!”と、いわれるだけなんです」
 その風貌もさることながら、一言、一言、満身創痍の小さな身体から振り絞るような言葉は、不思議な迫力となって、聞く者の魂を揺さぶるものがあった。
「親が直接、対峙すればするほど、子どもの心はどんどん奥に入り込んでしまう。そのつらさが延々と続くため、親も二重に引きこもってしまう。だから、どんなに厳しくても、親のほうも腹をくくってもらうしかない」
 こう呼びかける奥山さんの元には、地域で孤立していた家族が、思いきってファクスや手紙を寄せるようになり、家族会への入会者もみるみる増えていった。


 また、2001年には、超党派の国会議員による「引きこもり勉強会」に、自民党から共産党までの議員ら約60人が参加。奥山さんは、悲痛な表情で、こう訴えた。
「優しくて、内気な心の持ち主ほど、引きこもりになっている。これは、世の中が病んでいる証拠であり、誰もが引きこもりになる可能性がある。社会にとっても大きな損失であり、いますぐできることから、対応して頂きたい。専門家の養成機関も早急に立ち上げて頂きたい」
 翌02年には、首都東京にも支部をつくろうということになり、支部結成の大会を開いたところ、会場の千代田公会堂大ホールは、定員の約800人をはるかに超える1000人以上の参加者でぎっしり埋まった。もはや「引きこもり」という言葉が、日本の社会にとって無視できない存在であることを如実に表すような光景に思えた。

酒と肴には目がなく、人間くさくて熱い 忘れられない“カリスマ”の素顔
 そんなカリスマ的な存在感を放つ奥山さんも、酒と肴には目がなかった。
 何かの会合で一緒になると、帰りに「ちょっと行かない?」と、2次会に付き合わされる。駅や空港で、「ここの○○が美味しいんですよね」と、余計な口を滑らそうものなら、気が付いたときには、杖をつきながら買いに走って行った。男2人で、場末のカラオケボックスに入り、延々唄い続けたこともあった。
 酔った勢いで、当事者が支援者の言葉を許そうとせず、皆の前で謝らせていた話をしたら、突然、烈火のごとく怒り出して、驚いたこともある。どこか人間臭くて、熱い人だった。
「私は本来、こんなことをやる人間ではなかった。でも、いままでのしがらみが全部なくなったとき、真実がすべて見えた。こんな偽物の社会はおかしい、と誰もが思っている。引きこもりは、そんな問いかけの切り口だと思う」
 混雑した快速列車の中で、やおら養命酒の小瓶を取り出し、車窓を眺めながら語ったその言葉は、いまも印象深い。


「自室からほとんど出ない人」はわずか7% 我々が誤解しがちな引きこもりの実態
 前回も紹介したとおり、内閣府の「若者に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」は、これまで50万人とも100万人もといわれてきた日本の「引きこもり」の実情を初めて把握する上でも、注目されている。
『サンデー毎日』今週号でも特集記事を書いたが、「引きこもりの中高年化」が進み、「職場や就職上の理由をきっかけに引きこもりになる割合が多かった」という傾向が改めて裏付けられたのは、大変興味深い。
 なかでも、小・中・高校の不登校から「引きこもり」になった人は、わずか12%。「大学になじめなかった」人を含めても、不登校が長期化して「引きこもり」になる人は、20%に満たなかったこともわかった。これらの結果から、「不登校」から「引きこもり」になる人が大部分ではなく、むしろ「引きこもり」になりやすい人の一部が、早い段階で顕在化した場合に「不登校」になると説明したほうが理解できる。
 再度確認しておくと、内閣府の調査では、「引きこもり」について、次のように定義している。
≪「ふだんは家にいるが、趣味の用事のときだけ外出する」「近所のコンビニなどには出かける」「自室からは出るが、家からは出ない」「自室からほとんど出ない」状態が、「6か月以上」にわたり続いていて、「(引きこもる)きっかけが統合失調症または身体的病気」や「家事・育児をする」人たちを除いた人数≫
 このうち、「自分の趣味の用事のときだけ外出する」と「近所のコンビニなどには出かける」人を合わせると、「引きこもり」の88%に上るという、そんな全体像も明らかになった。一方、これまでの「引きこもり」像の典型的なイメージが強かった「自室からほとんど出ない」タイプは、わずか7%に過ぎなかった。
 また、前回も触れたように、「家や自室に閉じこもって外に出ない人たちの気持ちがわかる」などと答えた「引きこもり親和群(潜在群)」が推計155万人に上り、社会に出ている人たちの中にも「引きこもり」に近い意識傾向を持った人たちが広がっている状況も浮き彫りになった。




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