あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-5]<虐待>新聞事件簿。隣の家の子どもは大丈夫?子どもを助けてあげて!

<毎日新聞>殺さないで:親権見直し/4 放浪する「裸」の未成年

 
 <毎日新聞>殺さないで:親権見直し/5止 ほんろうされ続け <毎日新聞>殺さないで:親権見直し/3 「隠れた傷」根深く
 関東地方で生活困窮者の支援団体の活動を手伝い、ライブ活動も続ける男性(22)は5年前、母親から突然、「里子だから家を出るよう」告げられた。
 里子と知らされずに育ったが、記憶の中の食卓は両親と兄の3人だけで囲むもの。ご飯は自室で一人で食べ、兄から殴られても父は知らん顔だった。
 中学生で不登校となり、高校は1年で中退。バイク事故で入院した17歳の時、母親と児童福祉司が病院に来た。「本当は親でないの」。児童福祉法に基づく基準で、里親への委託は原則18歳までと定められていた。
 行かされたのは、行き場のない未成年者を支援する「自立援助ホーム」。郵便配達で30万円ため、半年後に里親と暮らした市でアパートを借り、清掃などのアルバイトで食いつないだが、地元の少年に恐喝され、アパートはたまり場に。そのまま飛び出した。
 戻ろうとしても援助ホームは受け入れてくれない。所持金も保証人もなく、携帯電話すら契約できない。公園で寝泊まりし、行き倒れて運ばれた病院も追い出された。ホーム時代の仲間の誘いで転がり込んだのは遠方の少年の住み込む寮。1部屋に10代の5人。給料日の少年にカードゲームをもちかけ、現金をせしめた。「自分のことで精いっぱい。何でもありでした」
 住所をなくして1年近く。友人名義の携帯電話を手にできた時、すぐ援助ホームのやさしかった元職員に電話し、支援団体にたどり着いた。
 「これから行くとこ泊まれるんすか」。洋服を詰めたごみ袋を手に現れた男性の話をスタッフは熱心に聞き、入浴や洗濯を習慣づけるよう丁寧に説いた。19歳で生活保護を受けたが、福祉事務所の窓口で過去を思い出して号泣。殺したり殺されかける寸前で目覚める夢を何度も見て、大家のささいな苦情を極度に気に病み、アパートにいられなくなったこともあった。
 寄り添い続けるスタッフは振り返る。「人がこんなに傷ついて生きてるなんて。最初は分からなかった」
 親の死別や不明などで親権者がいない子供の場合、施設などを出た後に身元保証が得られず、行き場をなくす例が少なくない。民法などは児童相談所や親族らの申し立てで、家庭裁判所が未成年後見人を選任すると定めるが、児相が申し立てた例はほとんどない。未成年後見人は、社会福祉法人などがなれる成年後見と違って個人に限られる。民法改正案は、法人も未成年後見人になれるようにしたが、親権者のない未成年全員に後見人選任を義務づけることは見送られた。
 「自分は何でここにいて、一人なのか」。男性は今も眠れない日が少なくない。だが、昨年暮れの支援団体のクリスマスでは、ギターと歌を披露した。路上生活者らの集会でライブを、と頼まれてもいる。そして、同居していた少年らを今も案じる。「彼らは今も、何の支援も知らない」【野倉恵】=つづく

毎日新聞 2011年3月6日 東京朝刊




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