あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

DV被害支援室poco a poco 庄司薫のコラム

ちょっと説明..エゴグラムとは。

 
 <産経新聞>「キレる子供、低年齢化」小中高校生の暴行行為が過去最高 デートDV。つきあう人、結婚した人は..暴力をふるう父親そっくりの人..
 エゴグラム(egogram)は、エリック・バーンが考案した「交流分析TA:Transactional Analysis」をもとにジョン.M.デュセイが考案した自己分析法(性格分析法)である。人の性格や人とのかかわり方などの人の心を自我の発達(親とのかかわり方)に準じて「5つの領域」に分類し、グラフにして表す。
交流分析は、人と人の交流を自我状態(5つの心のどれを主に使っているか)に分解して考え、やりとりを分析するものである。
 バーンの交流分析では、“親の心”のP(Parent)、“合理的な大人の心”のA(Adult)、“子どもの心”のC(Child)の3要素を用いたが、デュセイはPをさらに“厳格な親の心”であるCP(Critical Parent)と“保護的な親の心”であるNP(Nurturing Parent)に、Cをさらに“自由な子どもの心”であるFC(Free Child)と“従順な子どもの心”であるAC(Adapted Child)に細分化し5つの要素で分析した。この5つの心の割合をグラフで表すと、高低とバランスが読みとることができる。その高低のバランスが、その人の傾向、特徴を表す(エゴグラム)ものと考える(エゴグラムは15歳以上に適用する)。
 つまり、エゴグラムは人が持っている5つの心(自我=エゴ(ego))の割合(エネルギーの強弱)から、自分や他人あるいは生き方に対する人それぞれの基本姿勢と行動パターンが判るとするものである。エゴグラムを参考にしながら他者とのコミュニケーションの特徴や問題を分析する「やり取り分析(交流分析)」をしながら、実際の対人関係の問題(悩み)を改善していくに役立てるのである。交流分析での「自我状態」は、精神分析の「自我構造論」とも対照させることができ、「CP=超自我(道徳命令)・A=自我(現実適応)・FC=エス(イド,本能的欲求)」と置き換えて解釈することができる。
 そこで、医療の現場では心療内科、精神・神経科などで患者の治療方針の方向づけや、性格の偏り、問題・障害や適応の程度を知るために活用している。また、企業の現場では、健康維持・メンタルヘルスの改善、リーダーシップ開発・マネージメント開発に活用され、教育の現場では、子どもの性格の特徴を知ることによって、生徒指導・進路指導・職業指導などに活用している。

<5つの要素>
<P>(Parent:親の心)..無意識のうちに両親(または親の代わりとなるもの)などの影響を受けて形成され、模倣をして行動し、思考するとする。
 ・CP(Critical Parent:厳格な親の心)..信念に従って行動しようとする父親のような心を表す(価値観、道徳的、批判的、偏見的な面を持つ)
 ・NP(Nurturing Parent:保護的な親の心)..思いやりをもって他者のために世話をする母親のような心を表す(保護的、養育的、優しく、受容的な面を持つ)
<A>(Adult:合理的な大人の心)..事実にもとづいて検討・判断する大人の心を表す。「今、ここ」でどのようなことがおきているのかについて感じ、冷静で、客観的に思考する。
<C>(Child:子どもの心)..子どものころにどのようにふるまったていたかと同じように、自由に行動し、感じ、思考する。
 ・FC(Free Child:自由な子どもの心)..自分の欲求・感情に従って行動する、明るく無邪気で自由な子どもの心を表す(明るく、天真爛漫、自己中心的、ワガママな面を持つ)
 ・AC(Adapted Child:従順な子どもの心)..自分の感情を抑えて、他人によく思われようとする従順な子どもの心を表す(従順、素直、消極的、依存的な面を持つ)

        P(親の心)     A(大人の心)   C(子どもの心)
         |          |         |
5つの領域  CP(厳格な親の心)  A(大人の心)   FC(自由な子どもの心)
       NP(保護的な親の心)          AC(従順なな子どもの心)
 この5つの心の割合の高低とバランスが、その人の傾向、特徴として考える。

・CP(Critical Parent)
 高いと、支配的・ルール重視・批判的。
 低いと、友好的・ルーズになりがち。
・NP(Nurturing Parent)
 高いと、献身的・面倒見が良い・お節介。
 低いと、閉鎖的・人のことに無関心。
・A(Adult)
 高いと、合理的・理性的・打算的。
 低いと、感情的・非合理的。
・FC(Free Child)
 高いと、解放的・無邪気・創造的・享楽的。
 低いと、失感情的・楽しめない。
・AC(Adapted Child)
 高いと、妥協的・世間体を気にする・行儀が良い。
 低いと、非協調的・権力に屈しない・人目を気にしない。

 “NP(擁護的な親)”は母性的な保護や優しい共感に相当するものであり、“AC(従順な子ども)”は権威や社会規範、集団行動などへの消極的な適応性に相当するものであるが、“CP(批判的な親)”と“AC(従順な子ども)”が強くなり過ぎると、「感情・欲求の過剰抑圧」によって環境への不適応が起こりやすくなってしまう。
 交流分析では“C(子ども)”の中に存在する現実的な判断をする自我状態として“小さな教授(little professor)”というものを仮定している。“小さな教授”というのは、“Cの中にあるAに近い認識力・判断力・理解力”のことである。子どもながらに周囲の状況や人間関係を観察しながら、自分がどのようにふるまえばよいのかを考えようとする自我状態なのである。
 “小さな教授”の自我状態は、幼児期前期あたりに発生すると推測されている。小さな教授は知的好奇心が旺盛であり、情緒的刺激(温かい感情反応)を求めながら直感的思考や創造的活動を志向するという特徴がある。“小さな教授”にもとづく現実的な判断(生き方の選択)によって、子ども時代は「FC(自由な子ども)」を働かせて、周囲を気にせず自由奔放に楽しく遊んだり、「AC(従順な子ども)」を働かせて、目上の立場の大人や社会のルールに大人しく従ったりするのである。

 「エゴグラム」の解釈を少し超えるが、支配のための暴力・DVのある家庭環境に暮らさざるとえなかった子どもたち(親の過剰な期待に必死に応えようとしてきた“親にとって都合のいい子”“親にとって手のかからない子”を含む)は、この“小さな教授”の自我状態としての「AC(従順な子ども)」を顕著な特徴として抱えている。私は、この「AC(従順な子ども)」と「CP(批判的な親)」の特徴にフォーカスして、DV被害者の方を注視している。
 最初、「私は親から暴力を受けてはいない」と話していたのが、「父親は厳しかった」と話しはじめ、やがて、「父親に逆らうことはできなかった」とか、「父親に自分の考えをいうことはできなかった」と表現を変えはじめると、「親の期待に応えようと一生懸命に頑張ってきた“いい子”だったが、結局、どんなに頑張っても親には認められなかった」とか、「私は親の手を煩わせないために、親にとって手のかからない“いい子”だったと思う」と話す。こうした「AC(従順ないい子)」の特性を抱えている人たちの多くに、共依存の特徴やアダルトチルドレン(AC)を抱えていることがみてとれるのである。
 そして、多くのDV被害者にこの特徴をみいだすことができる。DV被害者の方たちのサポートに携わる人たちは、“従順ないい子”でなければならなかったのが親の暴力(過剰な期待感から厳しくするなどを含める)の影響なのか、それとも交際している相手や婚姻関係のある配偶者から支配のための暴力・DVなのか、その見極めが大切となる。幼児期をどう過ごしたかによってうつ病の発症率が変わることや、虐待やいじめを受けて育った人たちが成人後にトラウマ体験によるPTSDを発症しやすく、しかも症状が酷くでる事実から、DV被害者の方たちの状態を正しく読み取ることが何よりも重要になる。初期介入においてこの見極めを誤ると、発症したPTSDの症状からの回復が大きく遅れてしまう。DV被害者を援助する者は、初期介入にあたって見極めを誤ってはならないのである。

2010.10/5
2013.4/24 ブログ再構成・再編集にともない掲載場所を移動



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