あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅵ-H] DV法・ストーカー規制法等、関連法規。男女参画社会理念

女性に対する暴力の撤廃に関する宣言

 
 <産経新聞>ダンベル付きロープに長男を縛る 虐待で母親ら逮捕 暴力のある家庭で暮らす子どもへの代償。傷つく心、失う心、何をすり込まれ、学ばされるのか②
国連総会決議48/104(1993年国連総会で採択)

 1993(平成5)年に国連が採択した宣言で、「女性に対する暴力」を、「肉体的、精神的、性的、心理的な損害や苦痛を生じさせる性別に基づくあらゆる暴力行為」と定義した上で、「暴力」を、「(1)家庭内での暴力(DVなど) (2)一般社会の中での暴力(人身売買、買売春、セクシュアル・ハラスメント、レイプ、痴漢、ストーカー行為、ポルノ、女性に有害な伝統的慣行など) (3)国家による暴力(拘束中や武力紛争下での女性への暴力など)の3つに分類し、その暴力を撤廃するために必要な措置を勧告している。
 なお、性暴力は、性に基づく差別の一形態であり、(男性に対する性の侵害も含まれるが)主に女性に対して行使されているのが現状で、女性の能力の発揮を阻害し、人間としての尊厳を侵害する力を意味する。すなわち、性暴力とは、ジェンダーに基づく暴力で、かつ男性から女性への暴力は性的なものになる傾向にある。
 なかでの性暴力で最も多いのがレイプ(rape=強姦〔ごうかん〕すること。婦女暴行)で、それは、見知らぬ第3者によるものばかりではなく、親しい知人関係、親子、夫婦間でも日々起きている。またこれらは密室、プライベートな空間で起こるため、被害が潜在化する傾向を持つのが特色である。つまり、レイプは、被害女性に肉体的のみならず、精神的打撃を与えるものであり、重大な犯罪である。
 しかも、被害女性が公的機関に相談をしたり、強姦罪が親告罪であるところから、警察等の捜査機関に親告することによって、2次的な苦痛(セカンド・レイプ=性犯罪を告発・提訴する過程で、被害者の落ち度が詮索されたり、事柄と関係のない性的プライバシーが公表されることで、再度の性暴力を受けるほどの心理的被害を被ること)を受けてしまうことが多くある。メディアの報道による周囲の目や、今なお残存する「男尊女卑」の思想から、犯人の加害男性よりも被害者の女性に対する偏見に基づくいわれなき非難が行われ、それでダメージを受ける(傷つく)ことも少なくない。そのため、司法制度の改善(法律制定による保護)が急務の課題になっている。

 総会は、
 すべての人間の平等、安全、自由、保全及び尊厳に関する権利及び原則の女性に対する普遍的適用の緊急な必要性を認識し、
 これらの権利および原則が世界人権宣言、市民的及び政治的権利に関する国際人権規約、経済的、社会的及び文化的権利に関する国際人権規約、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、及び拷問その他の残虐な、非人道的又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約を含む国際文書に掲げられていることに留意し、
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の実効的な履行が女性に対する暴力の撤廃に貢献するであろうこと及びこの決議に定める女性に対する暴力の撤廃に関する宣言がこの過程を補強することを承認し、
 女性に対する暴力が、女性に対する暴力を根絶するために一連の措置を勧告した女性の地位向上のためのナイロビ将来戦略で認められているように平等、発展及び平和の達成にとって、及び女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の完全な履行にとって障害であることを憂慮し、
 女性に対する暴力が人権及び基本的自由の女性による享受を侵害し、害し又は無効にすることを認識し、及び、女性に対する暴力に関してこれらの権利及び自由を保護し促進することが長年にわたりなされてこなかったことを憂慮し、
 女性に対する暴力は、男性が女性を支配及び差別し、女性の完全な発展を妨げる結果となった男女間の不平等な力関係を歴史的に明らかに示すものであること、及び、女性に対する暴力は、女性が男性に比べて従属的地位に置かされていることを余儀なくさせる重大な社会的構造の一つであることを承認し、
 少数者グループに属する女性、先住民の女性、難民の女性、移民女性、農村又は遠隔地域に住む女性、貧困な女性、施設又は拘禁中の女性、女児、障害を有する女性、老齢女性及び武力紛争下にいる女性など、いくつかの女性の集団が特に暴力を受けやすいことを憂慮し、
 家庭及び社会における女性に対する暴力は、収入、階級及び文化の境界を越えて蔓延しており、従って、その発生を除去するために緊急かつ効果的な手段によってこれと対抗しなくてはならないことを、その付属書類で承認した1990年5月24日の経済社会理事会決議1990/15を想起し、
 経済社会理事会が女性に対する暴力の問題を明示に扱う国際文書の枠組みの発展を勧告した1991年5月30日の経済社会理事会1991/l8をさらに想起し、
 女性運動が女性に対する暴力の問題の性質、深刻性及び重要性に対する注意をますます喚起させることに果たした役割を歓迎し、
 社会における法的、社会的、政治的及び経済的平等を達成する女性の機会が、とりわけ継続的かつ特有の暴力によって制限されていることに警戒し、
 上記に鑑み、女性に対する暴力の明白かつ包括的な定義、あるあらゆる形態の女性に対する暴力の撤廃を確保するために適用されるべき諸権利の明白な表明、国家責任に関する国家による公約、及び、女性に対する暴力の撤廃に向けた国際社会全般による公約が必要であることを確信し、
 女性に対する暴力の撤廃に関する宣言を次のとおり厳粛に公布し、この宜言が一般に知られ尊重されるようになるためにあらゆる努力がなされることを強く勧める。

第1条
 この宣言の適用上、「女性に対する暴力」とは、性に基づく暴力行為であって、公的生活で起こるか私的生活で起こるかを問わず、女性に対する身体的、性的若しくは心理的危害又は苦痛(かかる行為の威嚇を含む)、強制又は恣意的な自由の剥奪となる、又は、なるおそれのあるものをいう。

第2条
 女性に対する暴力は、以下のものを含む(ただし、これに限定されない)と理解される。
(a) 家庭において発生する身体的、性的及び心理的暴力であって、殴打、世帯内での女児に対する性的虐待、持参金に関連する暴力、夫婦間における強姦、女性の生殖器切断及びその他の女性に有害な伝統的慣行、非夫婦間の暴力及び搾取に関連する暴力を含む。
(b) 一般社会において発生する身体的、性的及び心理的暴力であって、職場、教育施設及びその他の場所における強姦、性的虐待、セクシャル・ハラスメント及び脅迫、女性の売買及び強制売春を含む。
(c) どこで発生したかを問わず、国家によって行われる又は許される身体的、性的及び心理的暴力。

第3条
 女性は、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、すべての人権及び基本的自由の平等に享受と保護を受ける権利を有する。これらの権利は、とりわけ、以下のものを含む。
(a) 生命に対する権利
(b) 平等に対する権利
(c) 身体の自由と安全に対する権利
(d) 法の下の平等な保護に対する権利
(e) あらゆる形態の差別から自由である権利
(f) 到達可能な最高水準の身体的及び精神的健康に対する権利
(g) 公正かつ良好な労働条件に対する権利
(h) 拷問又はその他の残酷な、非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い又は刑罰を受けない権利

第4条
 国家は、女性に対する暴力を非難すべきであり、その撤廃に関する義務を回避するために、いかなる慣習、伝統又は宗教的考慮をも援用すべきではない。国家は、女性に対する暴力を撤廃する政策をすべての適当な手段によりかつ滞なく追求し、この目的のために、以下のことをするべきである。
(a) あらゆる形態の女子に対する差別の撤廃に関する条約が未批准である場合は、これを批准またはこれに加入すること、または、この条約に対するの留保を撤回することを考慮すること。
(b) 女性に対する暴力に従事することを控えること。
(c) これらの行為が国家によってなされるか私人によってなされるかを問わず、女性に対する暴力行為を防止し、調査し及びまた国内法に従って処罰するために相当の注意を払う。
(d) 暴力を受けた女性に対して引き起こされる権利侵害を処罰し救済するために、国内立法において刑法上、民法上、労働法上及び行政法上の制裁を発展させること。暴力を受けた女性は司法手続きを利用する権利が与えられ、かつ、国内立法によって規定されているように、受けた損害に対する公正かつ実効的な救済を利用する権利が与えられるべきである。国家は、また、かかる手続きを通して救済を求める権利を女性に知らせるべきである。
(e) あらゆる形態の暴力に対する女性の保護を促進するために国内行動計画を発展させる可能性を考慮すること。又は適当な場合には、非政府間組織、特にこの問題に関心のある非政府間組織によって与えられる協力を考慮に入れ、既存の計画の中にこのための規定を含ませることを考慮する。
(f) あらゆる形態の暴力に対する女性の保護を促進する防止的アプローチ及び法的、政治的、行政的及び文化的性質のあらゆる措置を包括的に発展させること、及び、性に敏感でない法、慣行又はその他の干渉のために女性が再び被害者とならないことを確保する。
(g) 利用可能な手段に照らして実行可能な最大の範囲で、必要な場合には、国際協力の枠組みの範囲で、暴力を受けた女性及び、適当な場合にはその子どもが、援助体制と同様にリハビリテーション、育児及び社会的サービス、施設及びプログラム等の特別な援助が受けられるように確保するために活動すること。
(h) 女性に対する暴力の撤廃に関する国家活動のための適当な財源を政府予算の中に含めること。
(i) 法の執行官及び女性に対する暴力を防止し、調査しかつ処罰するための政策履行の責任を有する公務員が女性のニーズに敏感になるための訓練を受けることを確保するための措置をとること。
(j) 男女の社会的及び文化的行動パターンを修正し、両性のいずれか一方の劣等性又は優越性の観念及び男女の定型化された役割を基礎とする偏見、慣習的慣行及びその他の慣行を撤廃するために、特に教育の分野において、すべての適当な措置をとること。
(k) 女性に対する様々な形態の暴力の蔓延に関する、特に家庭内暴力に関する調査を促進し、資料を収集し、統計を編集すること、及び、女性に対する暴力の原因、性質、重大性及び結果に関する調査及び女性に対する暴力を防止し救済するために実行された措置の有効性に関する調査を奨励すること。これらの統計及び調査の成果は公表される。
(l) 特に暴力を受けやすい女性に対する暴力の撤廃に向けた措置をとること。
(m) 関連する国際の人権文書の下で要求される報告書の提出に当たっては、女性に対する暴力に関する情報及びこの宣言を履行するためにとられた措置を報告書の中に含めること。
(n) この宣言に規定された原則の履行を助けるために適切なガイドラインの発展を奨励すること。
(o) 女性に対する暴力の問題を知らしめかつ問題を多少とも解決することにおいて世界中の女性運動及び非政府間組織の重要な役割を承認すること。
(p) 女性運動及び非政府間組織の仕事に便宜を与えかつ向上させること、及び、それらと地方、国内及び地域レベルで協力すること。
(q) 適当な場合には、プログラムの中に女性に対する暴力の撤廃を含ませるように、加盟している政府間の地域組織を奨励すること。

第5条
 国連システムの諸機関及び専門機関は、それぞれの権限ある分野の範囲内で、この宣言に規定された権利及び原則の承認及び実現化に貢献するべきであり、とりわけ、このために以下のことをするべきである。
(a) 暴力を撲滅するための地域的戦略を定義し、経験を交換し及び女性に対する暴力の撤廃に関するプログラムに資金を供給するため、国際的及び地域的協力を育成すること。
(b) 女性に対する暴力の撤廃の問題がすべての人々の間で認識され意識が高められるために、会合及びセミナーを後援すること。
(c) 本問題に効果的に取り組むために人権条約機構間の国連システム内の協力及び交流を育成すること。
(d) 世界の社会状況についての定期的報告書等の社会的傾向と問題を扱う国連システムの諸機関によって用意された分析の中に、女性に対する暴力の傾向についての考察を含ませること。
(e) 女性に対する暴力の問題、特に、暴力を受けやすい女性の集団に関する問題を、進行中のプログラムに組み入れるために国連システムの諸機関の間の調整を促進すること。
(f) ここで述べられた措置を考慮し、女性に対する暴力に関するガイドライン又はマニュァルの作成を推進すること。
(g) 人権文書の履行に関する任務の遂行において、適当な場合は、女性に対する暴力の撤廃の問題を検討すること。
(h) 女性に対する暴力に取り組む非政府間組織と協力すること。

第6条
 この宣言のいかなる規定も、一国の法令又は一国について効力を有する国際条約又は国際文書に含まれうる女性に対する暴力の撤廃に、より貢献するいかなる規定にも影響を及ぼすものではない。



出典:(財)人権教育啓発推進センター 人権啓発担当者用資料集




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