あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅱ]DV被害者支援、1年間の記録。ドキュメントDV。恐怖で家に縛られ、卑下‥

5.最後に..親からの暴力ですり込まれ学習した暴力。更生と治療

 
 トラウマ体験者、回復のための最初の質問票(A)(B*) 4.お前は俺のもの! 執着して離さない加害者の病理
 突然怒りを爆発させるDV加害者は、自分への不満、自分の存在価値を感じられない。親から受けた虐待行為(過干渉、過保護など不適切な親のかかわり方も詮索し、干渉し、束縛する行いとして支配のための暴力そのものとして、虐待行為になる)により、身近な人から見捨てられるかも知れないという苦しみを抱えている。そういった意味では、DV加害者もまた、被虐待者として被害者なのである。
 そこで、被虐待者として、精神科の治療を受けることになったり、DV加害者更生プログラムで怒りをコントロールしたりする方法を学んだとしても、怒りの感情の裏にある苦しみと向き合わない限り、改善は見込めないし、回復は不可能であるといわれる。
 暴力は親から暴力ということばとして刷り込まれ、身につけてしまった感情表現のパターンである。暴力という手段に頼れば、簡単に相手をコントロールできるということを学んできたのである。学習した、刷り込まれた暴力を実行に移すときにDV加害者の心理は、怒りの感情とともに、怖れや不安という感情が大半を占めている。自分の意に添わない言動をされると、「自分の権威が脅かされた」という不安を抱き、脅威を感じる。「自分の存在価値そのものが否定されたのではないか」という恐怖にも襲われる。そのため、怒りの仮面を被って、被害者をコントロールしようとしなければ自身の心のバランスは崩れてしまう。被害者をコントロールするために最も効果的な方法が、痛みと恐怖によって、自分に従わせることのできる、意のままに操れる暴力なのである。
 DV加害者は、大人になるまでの間に暴力を親から“学習”“刷り込み”してしまっている。そのため、暴力を止めさせるのは、“暴力を学び落とす”ための再教育が必要となる。親から受けた心の傷に関しては、確かに癒やしが必要である。しかし、心の傷が癒やされても刷り込まれた暴力、学習された暴力がおさまることは決してない。暴力の背景には、相手を自分の思うようにコントールしたいという欲求と、そのために最も効果的な方法として暴力を正当化する考え方にある。相手を自分の思うようにコントロールしたいという欲求と、そのための最も効果的な方法として暴力を正当化する考え方がベースにある。
 したがって、DV加害者には、「欲求」と「考え方」を変化させるための“再教育”が必要となるのである。「欲求」と「考え方」は、加害者の人格の一部であり、変化させるのは並大抵なことではなく、時間もかかる。
 その再教育の期間、妻や子どもとともに暮しているなら、日々成長していく子どもたちの心を壊し尽くしていってしまう。だから、“再教育”は、自分の思うようにコントロールしようとしてしまう相手、つまり、妻や子どもと一緒に暮していては成り立たないのである。
 DV加害者に必要なのは、「治療」ではなく、「更生」である。
 更生であるから、薬物やアルコール、ギャンブルを介し傷害事件や殺人事件をひき起こした人たち同様に、DV加害者自身が、自分を変えたい、妻子を巻き込んではいけない、離れて暮らさなければ取り返しのきかないことになることを自覚しなければならない。
 冒頭に記した通りにはDV「うまみ」がある。たとえ、DV加害者が更生を望んでも、「うまみ」をえるための対象が側にいるという状況では、その「うまみ」を拒絶することは難しく、更生を拒む要因となる。
 DV加害者は、薬物依存、アルコール依存の患者と同様に、“欲求”の対象となる妻や子どもとの共同生活は、取りあげられる。まず、自分自身で家族を破綻させたことを自覚しなければならない。自身の暴力が家族を破綻させたことを自覚できれば、家族と別れなければならないことを受け入れられるはずである。更生するには、ここを乗り越えなければならない。「妻に加害者プログラムを受けなければ離婚するといわれたから」と人からいわれたから動機だけでは足りない。自らの意志で暴力そのものがどういうものか学び、自覚できてはじめて、スタート台に立てる。そして、スタート台に立ってから、更生率5%にも満たないイバラの道である。
 しかもそれだけでなく、『レポート(Ⅲ)DV・虐待環境が子どもの心身の発育にどのような影響を及ぼすか-対象児童の心のケアのために..DV・虐待によるトラウマが脳の発育に与える影響を学ぶ。-』において詳しく触れることになるが、暴力によるストレスが脳に与える影響は、胎児の期間を含めて33ヶ月である。人とのかかわり方に大きな影響を及ぼす共感性や社交性、そして、感情コントロールといった脳機能の獲得は2才10ヶ月までに獲得しなければならない。支配のための暴力のある家庭環境で育つことで、こうした脳機能の獲得ができなくなるのである。視覚野やブローカー野、脳梁、海馬に与える影響(委縮)、獲得できなかった脳機能は、再生することはできない。
 つまり、上記のような「DV加害者更生プログラム」を受講したとしても、怒りをコンロトール(扁桃体を前頭葉でコントロール)することはできない。さらに、覚醒剤やセックスと同じように、暴力という強烈な刺激を覚えてしまった脳幹は、衝動的に求め続ける暴力の刺激をコントロールすることはできない。脳機能の問題は、「学習」や「更生」で対処できないのである。
 DV被害者は、自身の身を守ることは当然として、子どもたちの脳の健全な発育も守らなければならない。そのために被害者は、「もしかしたら、今度は変わってくれるかもしれない」という期待を一切断ち切らなければならない。子どもの心を守ることを最優先に考えるとき、母親である被害者が取る選択は、加害者のもとを離れ別れる(離婚する)か、身を隠し知らない土地で生活の再建をはかっていくしかない。


結びとして
 妻子に対しての歪んだ愛情として、支配のために暴力をふるう。それは、すべては自身の快楽、うまみをえるためでしかない。緊急一時保護施設に鞄ひとつで逃れてくる被害女性は、一定割合で、ベビーカーに乳児を乗せている。なぜなら、子どもを妊娠、出産すると妻の関心が子どもに向かうことに嫉妬し、暴力がひどくなっていくからである。バタラー(DV加害者)にとって妻を孕ませる(妊娠させ、出産させる)ことは、経済力を奪う(仕事をできなくさせる)という意味で、妻を縛りつけておく重要なファクター(要素)となる。バタラーの中には、避妊に協力しない者も多く、サバイバー(暴力のある生活を生き延びてきた人)は、次の子どもを妊娠し、逃げだす(別れる)タイミングを奪われていくことも少なくない。一方の妻は、妊娠すると、妻はお腹の子どもを気遣い、子どもが産まれてくると、妻は母親として子どもの世話をせざるをえなくなる。親からの愛着獲得ができずに、自分のことだけをかまって欲しい、世話をして欲しいバタラーたちは、妻の世話を一身に受ける子どもに嫉妬し、苛立ち、妻への暴力がひどくなっていくのである。ときには、嫉妬から乳幼児であっても子どもへの暴力(虐待)に向かう。
 この時点で、「これ以上一緒に暮らしていたら、大変なことになる」と逃れることができると、母子への影響は軽くてすむ。そして、新たな人生を切り開きやすい。しかし、この逃れるタイミングを逸し、「子どもが学校をでるまで、がまんしよう」、「私ひとりががまんしたらいいんだから」と、歯を食いしばって耐え続けている女性は少なくない。
 ことばの通じない乳幼児時には、子どもとのかかわりを避けるバタラーたちは、オムツがとれ、身の回りのことを少しずつできるようになってくると、力(パワー)で子どもへの支配を強めていくようになる。そして、子どもの前で母親を大声で罵倒し(面前DVといい、精神的虐待になる)、母親の悪口をきかせ、母親を“とるに足らない存在”と位置づけさせるように試みる。妊娠させ、出産させ、働くことを奪っておいて、「誰のおかげで飯が食えると思っているんだ!」と、恩をきせることばの暴力を浴びせ続ける。否定し、批判・非難し、侮蔑し(バカにする)、卑下する(見下す)ことばの暴力は、自尊心を傷つけ、自己肯定感を奪っていく。そのため、支配と従属、上下関係の中で生き延びることが精一杯の状態になっていく。さらに、暴力のあとは、優しく愛を囁き(なにごともなかったかのように)、セックスを求める。この相反する拒絶と受容のふるまいで混乱させられるとともに、女性はセックスで“契り感”と“絆感”を心の中にとり込んでしまうので、征服欲を満たすセックスは、別れられなくなる大きな役割を果たすことになる。
 子どもを見方にしよう(人質にとろう)とするバタラーは、陰湿で、カッとなると歯止めがきかない。別れ話がでてくると執拗につきまとう。交際相手や配偶者から別れ話を切りだされあと、関係をやり直そうとの思いからつきまとい、ストーカー行為へと発展し、最後は殺傷事件をひきおこすことも少なくない。殺す(殺したあと、自殺するケースを含む)のは、永遠に自分のものにするためである。最近、これらの事件が多く報道されてきているように、かなり危険な行動を伴うケースも少なくない。
 DV・支配のための暴力の本質を認識できていないと、なかなか理解できないことであるが、散々暴力をふるい続けた挙句、アルツハイマー型認知症を発症させ(暴力による強烈なストレスがコルチゾールを分泌させ、免疫力を低下させ、短期記憶を司る海馬を老化させる)、記憶を失い、歩行もままならなくなり車椅子生活を余儀なくされるようになった妻をかいがいしく看病する夫のふるまいは、やっと人形のように口ごたえしない意のままにできるようになった(自分のものになった)ことからくるものである。ときとして、DV・支配のための暴力で、妻を俺のものにしようと試みる人物には、通常では考えられない異常ともいえる“関係性”を求めるということを理解しなければならないのである。

 家をでて別居し、DV・虐待事案に詳しい弁護士のもと離婚調停中、行政・警察と連携をとっていたにもかかわらず、仕事にでている隙に家にあがり込み、学校から帰ってきた子どもを連れ去ったDV加害者もいた。職業は代々続く開業医だ。その後、行政の保護(緊急一時保護施設に入居)のもと身元を隠し、両親や友人、知人の誰にも居所を知らせず、見も知らない土地で子どもとともに生活の再建をはかりながら、離婚調停で子どもの親権を争っている。
 多くのDV加害者は、親としての愛情からではなく、妻を縛る(引き止めておく)ために子どもを巧みに操るのである。幼児が入院したら、「なんでお前が、つき添う必要があるんだ! そのための入院だろうが!」と子どもに嫉妬し、怒鳴る。それでも子どものつき添いに病院にでかけて行くと、今度は、「病院に行くといって、本当は男と会っているんだろ!」と病的な妄想に心が支配され、架空(妄想)の男性への嫉妬に狂い、暴力をふるい、ときにセックスを強いる。夫からの執拗な詮索、監視行動によって、妻は“家”に縛られ、精神的な監禁状態に追い込まれる。被害女性はますます孤立させられてしまうことになる。
 顔や体に痣が残るような殴り方をする暴力であれば、診断書を持って、警察に行き「被害届」をだせば、傷害罪で刑事告訴できる。逃げ帰った実家にきて暴言を吐いたり、ドアを蹴ったりしたら話し合いをせずに、躊躇することなく警察を呼び、「被害届」をだし、接近禁止命令を含む「保護命令」の申立てを地方裁判所におこなえばいい。逃れても見つけだされたらなにをされるかわからない恐怖心を抱えているなら、“一時保護”を求め、緊急一時保護施設(シェルターや母子棟)に保護してもらうことができる。しかし、殴る、蹴るのはお尻やお腹、けっして痕跡が残るようなことはしない。ずる賢く、計算ずくで自分の支配力を高めるために暴力をふるい、しかも、外ではことば巧みで愛想がよく世間受けがいいのが、DV加害者の厄介なところなのである。
 さらに、「この程度は暴力なんかじゃない、俺は親からもっと酷い暴力を受けてきたんだ!」と悪びれることはなく、「お前が従わない(ケンカをふってきた)から、手をあげたんだ!」と暴力そのものを正当化してしまう。まったく罪の意識がなく、自分の行いが妻や子を苦しませているとは思いもおよばない。相手がどう思うか、どう感じているのかに思いを馳せることができない。つまり、“共感性”を持ち合わせていないのが、DV加害者なのである。しかも、「あの人が暴力をふるうわけがない。気さくで穏やかな人ですよ」といわれるように演じ、「妻が暴力をふるわれている」と訴えても、「そんなことするようには見えない」となるように仕組んでいくのである。外堀をどんどん埋められ、八方塞の状態になっていく中、日々繰り返される“ことば(否定・批判・非難・侮蔑・卑下)の暴力”、その精神的苦痛ははかり知れない。
 にもかかわらず、“ことばの暴力”は立証が難しい。夫婦であってもセックスを無理強いされたり(レイプ)、嫌な行いを強いられたりする“性暴力”の立証は、なおさら難しくなる。
 相談した医師や弁護士、親兄弟や友人にさえ、「あの人が、本当にそんなことをするの?」、「そのぐらいあたり前よ! がまんしなくっちゃ」と逆に“あなたの方に落ち度がある(悪い)んじゃないの”といったメッセージを含んだ心ないことばをいわれることも少なくない。
 近しい人たちからの何気ない、心ないことばは、被害女性(サバイバー)をさらに苦しめ、確実に追い込んでいってしまう。ここに、二次被害を招いてしまう現実がある。しかも、家庭裁判所の審判員(裁判官)や調停員、弁護士一人ひとりの価値観やジェンダー観によって、夫婦間における暴力そのもの、親子間の暴力(虐待)そのものの解釈が大きく左右されてしまうのである。
 ことばの暴力や性暴力を公の場で立証する。常態化されている暴力の実態把握には、日々の生活状況の流れが欠かせない。断片的なものでは、DV加害者の人となりを理解させるには足りない。暴力をふるう人物像をはっきりと浮かびあがらせなければならない。できなければ、どうしても証拠能力として弱くなってしまう。しかし、幼い子どもたちを抱え、日々の生活の精一杯の中で、しっかりした記録を残していくことはなかなかできるものではない。
 被害女性と子どもの未来を、自身の力で切り開く決意を強く持って、3ヶ月、半年と相談(ヒアリング)、カウンセリングを重ねていく必要がでてくる。その積み重ねが、必ず証拠能力の高いレポート(「DV被害状況書」をもとに書きあげた調停や保護命令の「申立書」や、調停での「陳述書(現在に至る事実経過)」や「準備書面」)となる。

(平成22年8月6日.9月5日)




 突然怒りを爆発させるDV加害者は、自分への不満、自分の存在価値を感じられない。親から受けた虐待行為(過干渉、過保護など不適切な親のかかわり方も詮索し、干渉し、束縛する行いとして支配のための暴力そのものとして、虐待行為になる)により、身近な人から見捨てられるかも知れないという苦しみを抱えている。そういった意味では、DV加害者もまた、被虐待者として被害者なのである。
 そこで、被虐待者として、精神科の治療を受けることになったり、DV加害者更生プログラムで怒りをコントロールしたりする方法を学んだとしても、怒りの感情の裏にある苦しみと向き合わない限り、改善は見込めないし、回復は不可能であるといわれる。
 暴力は親から暴力ということばとして刷り込まれ、身につけてしまった感情表現のパターンである。暴力という手段に頼れば、簡単に相手をコントロールできるということを学んできたのである。学習した、刷り込まれた暴力を実行に移すときにDV加害者の心理は、怒りの感情とともに、怖れや不安という感情が大半を占めている。自分の意に添わない言動をされると、「自分の権威が脅かされた」という不安を抱き、脅威を感じる。「自分の存在価値そのものが否定されたのではないか」という恐怖にも襲われる。そのため、怒りの仮面を被って、被害者をコントロールしようとしなければ自身の心のバランスは崩れてしまう。被害者をコントロールするために最も効果的な方法が、痛みと恐怖によって、自分に従わせることのできる、意のままに操れる暴力なのである。
 DV加害者は、大人になるまでの間に暴力を親から“学習”“刷り込み”してしまっている。そのため、暴力を止めさせるのは、“暴力を学び落とす”ための再教育が必要となる。親から受けた心の傷に関しては、確かに癒やしが必要である。しかし、心の傷が癒やされても刷り込まれた暴力、学習された暴力がおさまることは決してない。暴力の背景には、相手を自分の思うようにコントールしたいという欲求と、そのために最も効果的な方法として暴力を正当化する考え方にある。相手を自分の思うようにコントロールしたいという欲求と、そのための最も効果的な方法として暴力を正当化する考え方がベースにある。
 したがって、DV加害者には、「欲求」と「考え方」を変化させるための“再教育”が必要となるのである。「欲求」と「考え方」は、加害者の人格の一部であり、変化させるのは並大抵なことではなく、時間もかかる。
 その再教育の期間、妻や子どもとともに暮しているなら、日々成長していく子どもたちの心を壊し尽くしていってしまう。だから、“再教育”は、自分の思うようにコントロールしようとしてしまう相手、つまり、妻や子どもと一緒に暮していては成り立たないのである。
 DV加害者に必要なのは、「治療」ではなく、「更生」である。
 更生であるから、薬物やアルコール、ギャンブルを介し傷害事件や殺人事件をひき起こした人たち同様に、DV加害者自身が、自分を変えたい、妻子を巻き込んではいけない、離れて暮らさなければ取り返しのきかないことになることを自覚しなければならない。
 冒頭に記した通りにはDV「うまみ」がある。たとえ、DV加害者が更生を望んでも、「うまみ」をえるための対象が側にいるという状況では、その「うまみ」を拒絶することは難しく、更生を拒む要因となる。
 DV加害者は、薬物依存、アルコール依存の患者と同様に、“欲求”の対象となる妻や子どもとの共同生活は、取りあげられる。まず、自分自身で家族を破綻させたことを自覚しなければならない。自身の暴力が家族を破綻させたことを自覚できれば、家族と別れなければならないことを受け入れられるはずである。更生するには、ここを乗り越えなければならない。「妻に加害者プログラムを受けなければ離婚するといわれたから」と人からいわれたから動機だけでは足りない。自らの意志で暴力そのものがどういうものか学び、自覚できてはじめて、スタート台に立てる。そして、スタート台に立ってから、更生率5%にも満たないイバラの道である。
 しかもそれだけでなく、『レポート(Ⅲ)DV・虐待環境が子どもの心身の発育にどのような影響を及ぼすか-対象児童の心のケアのために..DV・虐待によるトラウマが脳の発育に与える影響を学ぶ。-』において詳しく触れることになるが、暴力によるストレスが脳に与える影響は、胎児の期間を含めて33ヶ月である。人とのかかわり方に大きな影響を及ぼす共感性や社交性、そして、感情コントロールといった脳機能の獲得は2才10ヶ月までに獲得しなければならない。支配のための暴力のある家庭環境で育つことで、こうした脳機能の獲得ができなくなるのである。視覚野やブローカー野、脳梁、海馬に与える影響(委縮)、獲得できなかった脳機能は、再生することはできない。
 つまり、上記のような「DV加害者更生プログラム」を受講したとしても、怒りをコンロトール(扁桃体を前頭葉でコントロール)することはできない。さらに、覚醒剤やセックスと同じように、暴力という強烈な刺激を覚えてしまった脳幹は、衝動的に求め続ける暴力の刺激をコントロールすることはできない。脳機能の問題は、「学習」や「更生」で対処できないのである。
 DV被害者は、自身の身を守ることは当然として、子どもたちの脳の健全な発育も守らなければならない。そのために被害者は、「もしかしたら、今度は変わってくれるかもしれない」という期待を一切断ち切らなければならない。子どもの心を守ることを最優先に考えるとき、母親である被害者が取る選択は、加害者のもとを離れ別れる(離婚する)か、身を隠し知らない土地で生活の再建をはかっていくしかない。
(平成22年8月6日.9月5日)


※ このDV事案の顛末(平成22年12月23日)については、カテゴリー「Ⅳ-1」の「(DV被害者支援レポート)Ⅰ.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか」の冒頭に、思春期(10-15歳、小学校4年生-高校1年生)を迎えるほど子どもが成長しているDV被害者が、DV加害者である夫とのかかわりを断つ、夫婦の関係を終わらせるのがいかに難しいのか、被害者の育った家庭環境、心(情)が揺れる要因はなにか、そして、被害者が譲れないもの(こだわり)はなにかといったキーワードと、心理学的見地(脳はなにを優先するかなど)を踏まえて説明しています。
2015.7.27



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