あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅱ]DV被害者支援、1年間の記録。ドキュメントDV。恐怖で家に縛られ、卑下‥

4.お前は俺のもの! 執着して離さない加害者の病理

 
 5.最後に..親からの暴力ですり込まれ学習した暴力。更生と治療 ストレス簡易調査票(A)(B*)
 DV加害者は、自己中心的で自信過剰である。しかし、本当の意味での高い自尊心の持っておらず、人の目や周囲の評価を異常なまでに気にする小心者である。「つき合いをやめたい」、「別れたい」といわれることは、自分自身のすべてを傷つけられることに等しく、全存在の否定につながるほど重要なことである。だから、病的なまでに敏感に反応する。
 相手の戸惑いも無視して急接近し、強烈にのめり込んでいく。つき合いがはじまると、過去の恋愛関係を持ちだしては、「本当に自分を愛しているのか」と自分への愛情を疑いネチネチと追求し、既にいない相手(過去の交際相手)に嫉妬し、怒り狂ったりする。ほかの男性(ときに同性の友人)とのやり取りを常に疑い、疑心暗鬼の塊となって、留守中に家探しをし、手紙や贈り物をチェックし、ときに勝手に処分したり、コンセント式盗聴器をしかけたりする。そうすることは、自身が正義を貫くことで、罪悪感を持つこともなく、当然、罪の意識などどこにもない。
 DV加害者は、一度、被害者の弱みを見つけると集中的にそこを攻撃し、精神的にどこまでも痛めつけようとするのである。


(1) 自己愛の塊、自己中心的な考えが..
 加害者Dは自己愛が病的に強く、自分が一番と思っている。女性と交際することも自分を認めて欲しい、自分を特別な凄い人と思われたいがためのである。自分の納得にいく状態が続けばいい人でいられるが、反発されたり、別れを切りだされたりすると自分が否定されたという感情から怒りを爆発させる。
 「つき合いを止めたい」、「別れたい」といわれることは、自分自身のすべてを傷つけられることに等しく、全存在の否定につながるほど重要なことである。そのため、病的なまで敏感に反応する。ときに、加害者Dが婚姻前に行ったようなストーカー行為に走る。そこには、「見捨てられることへの不安感」があるが、それを認めず、相手に嫌がられることで自分を納得させようとさえする。


(2) 加害者の病理性を、DSM-Ⅳ-TRの診断基準に照らしてみると..
 DSM-Ⅳ-TRの診断基準に、ここまでの記述してきた内容を照し合せていくと、加害者Dは「愛着障害」を根底とした「妄想性」に「自己愛性」、「反社会性」、「演技性」そして、「境界性(ボーダ-ライン)」といった幾つかの人格障害(パーソナリティ障害)の特性に合致する。とはいえ、加害者Dは、医師の診断がなされているわけではないので、断定できない。
 また、妻を支配する(いうことをきかせるために心を痛めつけ、恐怖で服従させる)DVという異常な夫婦関係の清算(離婚)を考えるとき、夫のふるまいの異常さが「自己愛性」や「妄想性」といった人格障害のチェック項目に該当するからといって、その名称を持って「夫は自己愛性人格障害だから、離婚する」と主張することは、人物非難することになってしまいかねない。「夫から受けた支配のための暴力・DV行為といったふるまいそのものが、婚姻を破綻させた」と因果関係(論理)を示し、離婚の非は夫の暴力にあると筋道を立てて論証していくことが好ましい。
 長年、夫の異常なふるまいに苦しんできた原因が、人格障害のチェックリストにもとづき、自己愛性人格障害者や妄想性格障害者であったことを知ることと、離婚調停や裁判の場で、配偶者からの支配のための暴力・DVの事実を示すことは別の問題であることを忘れてはならない。
 離婚調停や裁判の場では、夫に“なにをされてきたのか”“どのような状況におかれてきたのか”を、第三者に理解してもらえるように、伝えることに徹することである。
 夫に“なにをされてきたのか”“どのような状況におかれてきたのか”を、第三者に理解してもらえるように、いかに伝えるかについては、別の機会にしたい。


(3) 妄想症的、いつか自分が攻撃される
 DV加害者の多くは、周りの人はいつも自分を貶め、攻撃をしかけようとしている、みな敵だと思い込んでいる。だから、自分が先に攻撃をしかけ、支配し、常に勝っておかないと、相手の方から攻撃をしかけられ、貶められると思っている。他人を信じることができず、さらには自分の存在価値も認められない。そのため、人生は悪意に満ちている、とても困難なものと思っているのである。
 一方で、綿密な計算によって、自分の妄想があたかも現実のできごとであるかのように、周囲の人間を巻き込んでいく。
 加害者Dが婚姻前にとったストーカー行為、そして、昨年(平成21年)の6月、DV相談を知り執拗に責め続けた行為は、明らかな病的な妄想によるもので、パラノイア(被愛妄想)が疑われるものである。a)被害妄想、b)挫折、侮辱、拒絶などへの過剰反応、c)他人への根強い猜疑心、d)誇大妄想、e)激しい攻撃性(誹謗中傷など)、f)自己中心的性格、g)異常な独占欲が、パラノイアの主な症状であり、この7つの基準のうち、4つ以上があてはまるものがパラノイアをされる。加害者Dは、7項目すべてにあてはまる。
 DV加害者が、交際当初にみせる情熱的に見えた強引さは、やがて、気まぐれ、感情のムラ、衝動性といったものに姿を変え、発作的な暴力を伴いはじめる。たまりかねて逃げだしたとなると、執拗なまでの追跡行為をとる。とにかく連れ戻したい、自分の手元に置き支配したいという強い執着心が背景にある。別れに対する強い拒絶、拒否、否認など、被害者が自分から去っていくことに対する強烈な抵抗と反発を示すのである。被害者に対する攻撃の衝動が起こり、強烈な怒りは憎悪の鬼と化す。
 病的な執着心は、交際している段階から頻繁に電話をかけ、頻繁なメールを送るといった傾向を示している。その行いは、日中の行動を監視するためでしかない。直ぐに電話にでなかったり、返信がなかったりすると苛立ち、「どうして直ぐに電話にでないんだ!」、「どうして送ったメールに返信をしないんだ!」と怒りを表してくる。そして、過去の恋愛関係を異常にこだわるなど、とてもふつうとはいえない詮索、干渉といった束縛がひどくなり、支配行為としての暴力が繰り返されることになる。
 パラノイアの傾向を抱える人が、ストーカーになるときには、一見ストーカーに思えないことが多い。
 しかし、誰が何といおうと自分勝手な想像や思い込みで、自分の都合のいいようにしか解釈せず、緻密な計算によって、自分の妄想があたかも現実のできごとであるかのように、周囲の人間を巻き込んでいくことになる。被害者自身が、気がつかないところでストーカーとの熱愛劇を演じさせられていることも少なくない。被害者は徐々に外堀を生められて逃げ場を失い、追い詰められていく。
 23歳の被害者Rが、加害者Dと再会し、遠距離恋愛関係にあった6年間は、まさに、無自覚なままに、加害者Dとの熱愛劇を演じさせられていたのである。しかも、再会そのものが、綿密に計算されたストーカー行為からはじまっているのである。お互いの中学校の同級生から近況を常に訊きだし、その同級生を介し、再会し、同級生を巻き込んだ熱愛劇が繰り広げられていったのである。その結果、30歳になる前に上京したときには、外堀を完全に埋められ、追い詰められていたのである。しかも、熱愛劇を演じている当事者であるため、デートDV被害を受けていることにさえ気づくことはなかったのである。
 デートDV被害者の6割以上が、そのまま加害者と結婚することになるわけであるが、心のどこかに何らかの違和感を抱きながらも、こうした熱愛劇を無意識下に演じさせられていることが真実を覆い隠してしまう要因になっていることも少なくない。
 加害者Dは極端に疑い深く、病的に嫉妬心が強く、他人の動機を悪意あるものと解釈する。自分が迫害されていると感じている。そして、なにかがあると、すぐに爆発する。厳しい罰を与える、暴力のある家庭環境で育ち、愛されているという実感を失ってしまったからに他ならない。


(4) 被虐待者の加害者は、暴力を、人を操ることばとして学んだ
 ボーダーラインの傾向を持つDV加害者は、感情の激しさ、人やものごとを白か黒かに分別する極端さ、自己否定と他者不信、怒りと憎しみの激しさ、見捨てられ不安から、被害者を容赦なく、ふりまわす。時には、「お前がいないと生きていけない」と涙ながらに訴える(涙ながらに訴えたり、謝ったりする相手を受け入れなかったり、許さなかったりするほど冷たくないと思われたくないと心が反応することを見越しての行いである。つまり、状況を打開し、支配関係を維持するための術(すべ)でしかない)。また、ボーダーライン(境界性人格障害)の傾向がある人がストーカーになると、感情の激しさや人やものごとを白か黒かにわける極端さ、自己否定と他者不信、怒りと恨みの激しさ、見捨てられる不安から、被害者を容赦なくふりまわすことになる。別れ話が持ちだされると、「死んでやる(自殺する)」と脅したり、刃物を持ちだして暴れたりと文字通りの修羅場が繰り広げられることも少なくない。被害者は、肉体的にも、精神的にも完膚なきまでに叩きのめされることになる。
 DV加害者は、暴力が常態化されているその生育環境の影響を大きく受けている。被害家族に対しての感情が一定していなく、衝動的な行動で家族を弄んだり、あるいは追跡行為、詮索行為などによって、被害者である女性を支配することにこだわり、その関係に強く執着したりする傾向が特に強くみられる。
 そして、DV加害者の多くが情緒不安定で、行動の予測がつかない。
 いったんキレると、なにをするかわからない。感情や行動に衝動性があり、極端な考えや行動、激しい怒り、強烈な恨みなどが異常に強い。思い通りにならないことがあると、突然物凄い剣幕で怒鳴り散らす。妻の行動を監視し、うるさく詮索する。いったん受け入れられない、敵だと思い込まれると、不安定な感情と突発的な行動で精神的・肉体的に苦しめられ続ける。その結果、被害者は、逃げてもどこまでも追われ、もう逃げられないとの思いに陥り、絶望感にうちひしがれることになる。
 さらに、異性関係を妄想し、疑いはじめると「そいつを連れて来い。俺の女に手をだしやがって許さない! 叩きのめしてやる」と人前で叫び声をあげたり、「(職場への誹謗中傷によって)仕事ができなくしてやる」と脅したりして、他人に迷惑をかけられないと躊躇させるように仕組んだりする。別れ話が持ちだされると、訳のわからない話が繰り返され、文字通り被害者との間で修羅場が繰り広げられ、疲弊してしまうことになる。俺に反発した被害者を肉体的にも、心理的にも完膚なきまでに叩きのめすそうとするからである。
 DV加害者の多くが、精神治療をしても改善しない原因は、生育した家庭内ではコミュニケーションとしてのことばを持たず、人の心を操る暴力を“刷り込み”として学習してしまったからである。しかも、2歳10ヶ月までに、感情をコントロールする脳機能を獲得できず、そのまま成長し、大人になっているからである。 
 さらにDV環境下、虐待環境下で辛い体験にさらされて育った被虐待者の中には、いま暴力を受けているのは自分ではないと思い込み、空想の世界をつくり、その空想の世界に逃げだしてしまい、解離を起こしていることがある(解離性障害)。解離したもうひとりの自分、何人かの自分に名前をつけられていると、それぞれ別人格を持つことになる(解離性同一性障害(多重人格))。
 前述の通り、加害者Dは、DSM-Ⅳ-TRの診断基準に照らしてみると、「愛着障害」にもとづく「自己愛性」、「反社会性」、「演技性」、「妄想性」、「ボーダーライン(境界性人格障害)」といった人格障害の特性に合致する。さらに、精神疾患としての「パラノイア」の特性に合致し、“神のお告げが聞こえる(天から神の声が下りてきた)”といった幻聴がみられることから「統合失調症(精神分裂病)」、まったく別人のようにふるまっている間のできごとの記憶を失っていることから「解離性障害」も疑われる。別のいい方をすると、暴力のある家庭環境で育ち傷つき、アタッチメントを損ない心に闇を抱える被虐待者が、暴力に順応するために身につけてきた考え方や行動習慣の癖が“歪んだもの(認知の歪み)”になってしまっているということである。




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