あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅵ-A] 臨床現場からのレポート(1) DV・児童虐待。暴力と精神疾患

家族間暴力について考える~いのちを愛しむ関係であるためにできること~ 友田尋子(大阪市立大学医学部看護学科教授)

 
 <ナショナルジオグラフィック 公式日本語サイト>睡眠時の脳は記憶を“選別”する <毎日新聞>DV:被害者を支援 相談センター新設 あす福岡市
 同時に怒鳴る、説教をする、罵る、脅すといった心理的虐待を受けています。性的暴力もかなりの頻度で行われています。親の気分次第で食事が与えられたり与えられなかったりとネグレクト状態も少なくなく、このような行為を受けていると人間の身体には、全身にさまざまな症状や疾患が現れます。最悪の場合は死に至りますが、死に至らないまでも身体に障害を残す場合も少なくありません。
 このように、暴力が健康に及ぼす影響には、けがなどの身体的影響のほか、うつ、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの主に精神的影響、さらには長年にわたり人間としての価値を否定され続けられたことによる性格や対人関係の変化などがあり、日常生活にも影響を及ぼしていくのです。

●いのちを紡ぐ
 家族間暴力の被害は、直接の被害者だけが受けるものではなく、家族の構成員にも身体的・精神的影響を及ぼす場合があります。また、DV環境下で恐怖と不安を抱えながら暮らしているのは当事者の女性だけではなく、子どもも同様です。DV環境下の子どもへの影響は発達に大きく影響を及ぼし、将来にわたりその影響は続く場合が少なくありません。母親の殴られ罵られている現場を目撃することは、子どもにとって心理的虐待被害であることが、2004年に改正された「児童虐待の防止等に関する法律」に明記されました。家族間暴力を加害・被害問題としてとらえるだけではなく、世代間の暴力連鎖の問題としてとらえる必要性がわかってきたのです。
 子どもたちの目の前で展開される暴力被害を終わらせ、暴力を目撃した子どもたちにケアしなければ、また次の暴力関係が生まれます。暴力問題を通して、どのようにすればわれわれは温かく穏やかな社会を、対人関係を形成していくことができるかが、私たちに問われているのかもしれません。子どもたちが伸びやかに成長・発達するために、家庭の心身の健康が保たれることは必要不可欠なのです。予防的観点からいっても、暴力環境に子どもを置かないようにすれば、子どもが将来に加害者や被害者になる可能性を減らすことができます。一人ひとりの活力を引き出し、さまざまな価値観や異なった性格をもつ個人が、他者と共に生きる営みのなかで個性を表し、自己のアイデンティティを確立していく場が家庭であることは想像に難くないはずです。
 生命に対する畏敬に基づく他者との共存・共生を可能にする家族の再生を信じ、隣同士の家族にアンテナを向けることは「侵害」ではなく人間への「愛慕」であり、家族間の垣根を越えて育ち合うことは家族間暴力への解決支援や予防になるのです。

■ 文献紹介
1.友田尋子編訳、『保健医療のためのDV対応トレーニング・マニュアル』(解放出版、2005年)
 アメリカ・Family Violence Prevention Fondが作成したマニュアルを日本版として翻訳。保健医療関係者がDVは健康問題であると認識し、保健医療ケアとして被害者支援のための介入方法について包括的、実践的にまとめ、さまざまな  背景や技量をもつ指導者が受講者に対して教育するための論点や流れ、方法および教材に関する内容、教育実践するための準備、基本的なトレーニングのコツについてもまとめられています。 CD-ROM付き。
2.友田尋子著『暴力被害者と出会うあなたへ DVと看護』(医学書院、2006年)
 暴力被害者援助の前提となる知識と情報、介入の基本を体系的に解説しています。DVとは何か、DVが心身の健康に及ぼす影響、またDV被害者をどのように発見し、どのような社会資源に結びつけるか、暴力被害者援助の前提となる知識と情報、介入の基本を体系的に解説し、多忙な臨床の場でも実践可能な援助を考えていきます。



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