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[Ⅶ-11]<家族問題。親殺傷・ひきこもり。性同一性障害>新聞事件簿。どう向合う

<毎日新聞>境界を生きる:続・性分化疾患/5止 「独りじゃないよ」呼び掛け

 
 <毎日新聞>性分化疾患:未成年3000人 04年以降受診、学会が初の調査 <毎日新聞>境界を生きる:続・性分化疾患/4 職場の無理解「心壊れそう」
 ◇当事者ら、ネットで発信/自助グループ設立も
 大学病院のベッドで目覚めると、20人ほどの医学生に囲まれていた。医師が「この人の症状は……」と説明を始め、学生たちはチラチラと自分を見ながらメモを取り、気遣う言葉もなく立ち去った。

 青森県むつ市の角本沙織さん(25)は性分化疾患の一種「先天性膣(ちつ)欠損症」だ。高校3年の夏、初潮が来ないため産婦人科で検査を受けて分かった。

 自宅から離れた大学病院で膣の形成手術を受けた。「珍しい症例なので記録を残したい」と言われ、「他の患者の役に立つなら」と受け入れた。だが、あまり年齢が違わない学生たちの視線は耐え難かった。「自分はモルモットじゃない」。ベッドのカーテンを引き、声を殺して泣いた。

 体外受精で帝王切開すれば出産は可能だが、子宮や卵巣の発達が不十分なためリスクを伴うと説明された。病棟の産科から赤ちゃんの泣き声が聞こえてくる。わが子を抱く母親に自分との違いを見せつけられ、うらやましくて、悔しかった。

 病気のことを親友にも言えずに高校を卒業した。バーテンダーを目指し東京の専門学校に進み、大手町や銀座のバーでシェーカーを振った。男社会に食らいついていくのは心身ともにつらい。彼氏への「子どもを産んであげられない」との負い目も重なり、19歳でうつとパニック障害になった。

 仕事に出られず引きこもる日々。インターネットに明け暮れるうちに、同じ疾患の人が集まるサイトを見つけた。苦しいのは自分だけではなかった。思えばバーテンダー時代に出会った客たちも、それぞれに悩みを抱えていた。「もう無理するのはやめよう。子どもが産めなくてもいい」。現実を受け入れてから、気持ちが楽になった。昨春、しっかり体を治そうと実家に戻った。

 その年の夏、ベルリン世界陸上選手権女子八百メートルで優勝した南アフリカのキャスター・セメンヤ選手が女性であることを疑われ、世界的に報じられた。思いを伝えたくなり、ネット上で自分の病気を公表した。

 <隠す必要も、自分を責めて生きる必要もどこにもない。死にたいくらい悩んで生きてる人もいるって事を、少しでいいからわかってほしい>

 そんな文章に、多くのコメントが寄せられた。角本さんと同じ病気で手術を受けようか迷っている人、子どもを持てないことに悩む人もいた。一人一人に「頑張って」と返事を出した。

 今は機会があれば病気のことを話している。「傷つきはしないか」と心配する両親の気持ちは分かる。それでも「自分が訴えることでみんながこの病気を知ってくれれば、多くの患者が生きやすくなる」と信じている。

   *

 性の問題をタブー視しがちな社会の中で、誰にも言えないコンプレックスにさいなまれ、将来を描けない。そんな現状を変えていこうという当事者たちの動きが少しずつ広がってきた。

 北関東で暮らす起業家の男性(36)は今年2月、性分化疾患などで陰茎が発達しない人とその親でつくる自助グループ「石ころの会」(http://isikoronokai.flxsrv.org/)を設立した。

 ネット上などで他の当事者や家族の話を聞くうちに「性分化疾患の人の多くが性的な発達障害を負っている。性生活への不安や深い孤独感を軽くできれば」と考えたのがきっかけだ。手紙で相談に応じたり、実際に会って胸の内を聞く。本人も親も、言葉にすることが自分と向き合う一歩になる。

 名前の由来は金子みすゞの詩。「道端の石ころにも魂がある」との思いをこめた。まだ知名度は低いが「行き場のない人々の灯台」でありたい。【五味香織、丹野恒一】=おわり




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