あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-12]<いじめ・差別・貧困>新聞事件簿。傷ついた子どもの悲鳴

<中日新聞>【いじめと生きる】第7部 大人たちへ (5)本音

 
 <中日新聞>【いじめと生きる】世界中で・・ 英国 解決の道、仲間が手助け <中日新聞>【いじめと生きる】第7部 大人たちへ (4)ばれなきゃ
2007年7月2日

「どけっ」。ホームレス支援雑誌を売る男性はしばしば“本音”をぶつけられる。


■守るべき「建前」消え 「自分だけ」むき出し
 「くさい!」。愛知県岡崎市の小学校教諭、竹内謙作(38)が以前、ある中学校に勤務していたころ、級友たちから、そうののしられ、仲間外れにされていた少女がいたという。両親に事情があり、何日も洗濯していない服を着てきてしまう。実際に、少しにおったことも、あったのかもしれない。

 竹内は悩んだ。多分、「人に向かってくさいなんて言っちゃだめだろ」としかったところで、子どもたちは、聞かないだろう。彼らが言いそうなことは想像がついた。だって、本当のことだもん-。

 結局、少女の家庭の事情も打ち明けて、じゅんじゅんと説いた。ようやく、いじめはやんだ。

 くさい、だけではない。太っていればデブ、背丈が小さければチビ…。子どものいじめは、遠慮のない“本音”がむき出しだ。

 ただ、竹内は言う。「何とか分かってくれるだけでも子どもの方がましですよ」

 竹内は学校でこんな経験を何度もしている。理解の遅い子に合わせて授業を進めていると「そんなことしてたら、うちの子の勉強が遅れる」と、親がクレームをつけてくるのだ。

 確かに、それは本音だろう。だが、それをそのまま教師にぶつけてくるとは…。自分だけじゃなく、みんなのことを思いやる。そんな“建前”はどこに行ってしまったのか。

 「学校は学び合う場なんですから」と懸命に説明するが、「それでも」と親は引き下がらない。納得してくれたためしがない。

 ホームレスを支援するNPO「笹島診療所」(名古屋市)のスタッフでもある竹内によると、ホームレスは日常的に嫌がらせを受けているという。「中身の入ったジュースをぶつけられたり、ね」

 名古屋市の高速道路の高架下で青いビニールシートの“家”を構える男性(52)も「ひどいこと言われるのなんか、しょっちゅうだわ」と苦笑いする。

 例えば、ある時は、自分の方を見ながら、母親が小学生ぐらいの息子に向けて言っている言葉が聞こえてきた。「におうから近寄っちゃだめ」

 あの中学校で少女を「くさい」といじめていた子どもたちと、この母親との間に大差はない。

 JR名古屋駅近くの路上で、ホームレス支援の雑誌「ビッグイシュー」を売る自身ホームレスの男性(55)は、いきなり、見知らぬ三十代半ばぐらいの男性から怒鳴りつけられたことがある。「どけっ! 自転車が止めれんやろ」。そこは駐輪禁止区域だったのに。相手がホームレスなら遠慮も礼儀も必要ない-。これもまた、そんな本音の表出だったのか。

 ニッポンの産業界でも「利益よりも労働者の立場」という建前がグラグラと揺さぶられている。

 昨年十一月の政府の経済財政諮問会議で、日本経団連会長の御手洗冨士夫ら民間議員が示した「労働ビッグバン」構想。企業活力を高めるため、と言えば聞こえはよいが、要は、労働者を守るために企業側に課せられていた義務や規制を大胆に緩和、廃止しよう、ということ。利益のためには労働者を守る規制は邪魔-という企業側の本音がむき出しである。

 もちろん、建前ばかりでは物事は前に進まない。だが、やせ我慢してでも、忍ぶべき本音、こだわるべき建前も、あるはずだ。大阪大コミュニケーションデザイン・センター准教授の平川秀幸(43)は言う。「市場原理主義がはびこる中、自分が損をしてはたまらないと、企業も人々も焦っている。そこには、人は他人を思いやるもの、という建前が入り込むすき間はない。社会として下品です」

 そんな大人の世界を子どもは見ているのである。 (敬称略)

<子どもたちから>
 大人にはもう少しビシッと格好をつけてほしい。でも、現実はそうでもないらしい。名古屋市の繁華街・栄にいた高校二年の少女(16)は「うちのお母さん、いつも『お金が欲しい』って言ってる」。両親から「もうかる仕事に就いて、私たちを楽させて」と言われたことがある高一の少年(15)は、鼻白んだそうだ。確かに、それは親としての本音かもしれないが、あからさまに言われると…。「お金とか、親のために勉強してるわけじゃないのに」

 連載「いじめと生きる」は今回で終了します。島田佳幸、酒井和人、森川清志、辻渕智之、伊藤章子が担当しました。




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