あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-12]<いじめ・差別・貧困>新聞事件簿。傷ついた子どもの悲鳴

<中日新聞>【いじめと生きる】第6部 @ネット (5)居場所

 
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2007年6月6日

家事をする、りか(奥)。手前はインターネット上のゲーム内で挙げた結婚式の画像(オンラインゲーム「ラグナロク」より)=徳島市内で


そこにいていい 安心感与えられ
 りか(18)は、夫(23)との結婚式をインターネット上のオンラインゲーム内で挙げた。二〇〇五年秋のことだ。

 このゲームは、いわば仮想社会。参加者はパソコンで自分の“分身”であるキャラクターを操り、その世界を生きる。「お金」も流通し「商売」もできる。無論、ほかの仲間とおしゃべりすることも可能で、キャラクターを通じて、出会い、知り合い、“人間関係”も生まれていく。

 だから、りかの結婚式にも、ゲーム内で知り合った仲間たちが“参列”してくれた。「おめでとう!」「お幸せに」。りかには画面に表れる言葉が温かく、うれしかった。

 式は仮想社会で挙げたが、結婚自体は、現実のもの。りかは言う。「リアル(現実)でも式はやりたかったけど、私の場合、祝福される結婚じゃないから…」

 りかは愛知県出身。ネットにはまったのは、中学校でいじめに遭ってからだ。

 「男子グループといつも仲よくしていた」せいで、一年の夏ごろからいじめられた。女子たちのねたみを買ったのか、嫌がらせが続く。彼女らと親しい三年の男子たちに呼び出された。背中に跳びげりされ、階段を転げ落ちた。彼らはみな、笑っていた。

 じきに不登校になった。「もうこの世にいたくない」。気がつくと左手首をカッターで切っていた。「生まれてこなきゃよかった」。そう言うと、母はヒステリックに「じゃあ、死ねば」と声を上げ、包丁を差し出した。

 りかは家の自室に、引きこもった。たまたま、新しいパソコンがあった。ネットのサイトを見て回るうち、文字の会話ができる「チャット」に行き着いた。

 いじめにあってさぁ…

 打ち込むと返事がきた。

 いじめる側は、そんな楽しみしかないんだよ

 何人もかかって、いじめるなんてダサイよなー

 癒やされる感じがした。手首を切った話を持ち出しても、驚かれもせず、理由を問い詰められもしなかった。部屋から出ず、チャットに没頭した。三日間で二時間しか眠らないときもあった。

 ネット仲間が、実際に顔を合わせる「オフ会」にも参加し、何人かの男性と交際もした。多くは不登校など自分と似た経験がある人。まだ中学生だったが一時は同棲(どうせい)もした。「そばでひっついていると安心できた」から。

 実家を離れ遠隔地の高校に進学した後、くだんのネットゲームで出会ったのが今の夫だ。画面で会話すると気楽で面白かった。彼にもリストカットの経験があった。二人は実際にも会うようになる。

 高校を中退し実家に戻っていた時、チャットで「家にいるの、つらいよ」と訴えた。彼は「じゃあ、一緒に暮らそうか」。二人は、彼の住んでいた四国・徳島でアパートを借りた。やがて妊娠。結婚を決めた。

 「ネットでも現実でも同じことがある。それは、出会いで人が変われることだ」。ネットや若者の生き方を題材に著作を続ける作家、渋井哲也(37)は、そう言う。

 そして「ネットは、互いに似ていると思う者同士が集まる場が成立しやすい」と。

 授かった男の子を生後三カ月の時、乳幼児突然死症候群で亡くす悲劇には見舞われたが、りかは今、家事をこなし、飲食店に勤める夫と二人、リアルな日常を生きている。ただ、ネットに支えられて。

 中学生のころから、ネット上のブログ(日記サイト)に詩を書いてきた。「自分はやっぱり“いらない子”なんじゃないか」。今も不安に襲われると、詩をつづる。見てくれているゲーム仲間らから、返信が届く。

 いらない子じゃないよ。好きだから(ゲームで)一緒にいるんだよ。

 ブログの題名は「こころのいばしょ」。パソコンの前でりかが言う。「私はこのおかげで救われているんです」

 (敬称略)




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