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[Ⅶ-12]<いじめ・差別・貧困>新聞事件簿。傷ついた子どもの悲鳴

<中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (6)グループ 「仲良し」なのに・・ 生まれる「黒い羊」

 
 <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (7)話す 吐き出すことが ”クスリ”になる <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (5)ストレス 根底には競争意識 「加害」に走らせる
2007年3月21日


 本当に、近ごろのいじめは見えにくい-。名古屋市の小学校教諭、三島浩路(45)はつくづくそう思う。

 教師としてはもちろん、集団の中での人間心理を研究する「日本グループ・ダイナミックス学会」の会員、学校心理士として、子どもたちを見つめてきての感想である。

 「クラス全体で誰かをいじめる、といったケースはむしろ気づきやすいんですが…」。三島が「見えない」とするのは「仲の良いグループ」内でのいじめ、である。

 三島は2003年に高校生2千人を対象に小学校時代の回想調査を実施した。親しい友人間の「いじめ被害」と「加害」の関係を調べたところ、男女とも「加害だけ」は2%前後にすぎなかったのに、「加害、被害どちらもあり」は20%以上に。被害者と加害者の“入れ替わり”が、相当程度起きている実態が見えてきたのである。

 「そもそも集団には、いじめを起こしやすい素地がある」。専修大教授(教育心理学)の下斗米淳(46)は、そう断言する。

 例えば、社会心理学でいう「認知的整合性理論」。仮にA、B、Cという3人を想定し、そのうち2人の間の関係を良い(+)、悪い(-)に分ける。3つの関係をかけ算したとき、プラスにしようとする心理が働く、というのだ。

 3つともプラスなら問題はないが、例えばA-B間が(-)となり、A-C間が(+)のままなら、CはBとの関係を(-)にすることで心の安定を保とうとする。

 「あの子が嫌うなら私も嫌おうと、いわゆるスケープゴートをつくる」(下斗米)のである。

 さらに、閉鎖性の高い集団ほど、その集団にとってマイナス要素を持つ構成員が現れた場合、他の集団内の同程度のマイナス要素を持つ構成員よりも低く評価する心理的傾向も指摘されている。いわゆる「黒い羊効果」だ。劣った能力や見た目の悪さ、あるいは「みんなと違う」と認識されただけでも「黒い羊」になり得るとされる。

 下斗米は「みんな純白なのにどうして黒いんだ、集団の価値を下げる存在は許せないと徹底的に弾圧してしまう」といい、集団内での差異が苛烈(かれつ)な“攻撃”につながる可能性を指摘する。

 そして、問題の仲良しグループ。「クラス」や「女子」といったくくりより小集団で閉鎖性も強く、「黒い羊」や「いけにえの山羊(やぎ)」が生まれやすいといえるかもしれない。

 下斗米、曰(いわ)く。「80年代以降の個性重視教育が子どもを追いつめているのかも」

 個性、個性と求められても、特別なセールスポイントがある子ばかりではない。普通の子が、無理にでも目立とうとするのは「自然の成り行き」(下斗米)。だが突然、リーダーぶるといった強引なアピールだけに「差異」が目立ってしまうというわけだ。

 一方で、「閉鎖された集団内では排除されることを恐れるようになる」と下斗米。他集団も閉鎖性が強いため、どこにも属せなくなってしまうからだという。

 小学校教諭の三島によると、こんな例があった。

 母親が「B子にいじめられている」と訴えてきたA子。B子も「いじめた」と認めた。そこで、教室内の2人の机を離したが「A子の方からB子へ『遊ぼう』と近づいていく。『一人でいたくない』って言うんです」。

 一層、とらえにくくなっている現代のいじめ。深刻になるケースの早期発見も難しくなっているということだ。

 三島は最近、いじめらしき言動を注意すると大抵、こう言われるそうだ。「遊んでるだけ」「ちょっとふざけただけ」

 「それでも中に踏み込んで仲良しグループを解体するようなマネができるかどうか…」。多くの教師たちが抱えている悩みでもある。

 (敬称略)





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