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[Ⅶ-12]<いじめ・差別・貧困>新聞事件簿。傷ついた子どもの悲鳴

<中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (5)ストレス 根底には競争意識 「加害」に走らせる

 
 <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (6)グループ 「仲良し」なのに・・ 生まれる「黒い羊」 <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (4)ヒト 周囲の「注目」カギ 動物たちには無縁
2007年3月20日


 滋賀県のある女子中学生が、小学校6年生のころの“実体験”を語ってくれた。

 算数が嫌いだった。テストはもっと嫌い。点数が悪いと、お母さんはいつも怒る。「勉強しなさい」って。だから、毎日のように「イライラしてた」。

 ある日、仲良しグループの中の1人の名をあげて、ほかのみんなに言った。

 「ねえ、あの子、いじめよっか」-。

 国立教育政策研究所(東京)の総括研究官、滝充(53)は「いじめる子の背景にはストレスがある」という。

 同研究所が2000年6月、約5500人の小、中学生を対象に実施した調査。アンケートで、ストレス度を測る設問に高い得点をつけた子どもほど頻繁にいじめを繰り返している様子が、明らかにとらえられた。

 そして、滝らの解析で「ストレスとアノミーの関係」も見えてきたという。

 アノミーとは「無秩序」などと訳され、元は社会学者デュルケームが提唱した概念。社会心理学には、集団内で是とされる目標への達成意欲と、そのための能力や環境の落差が大きい構成員は、集団のルールから逸脱しやすくなる(アノミー状態)とする「アノミー理論」があるが、滝はこれを学校に当てはめた。

 学校で「是とされる目標」といえば、一つは成績が良いこと。調査では「成績が悪いとみじめだ」との考えにはっきり同意する競争意識、つまり目標達成意欲が強い層で、かつ、「授業がよく分かる」という達成能力を問う設問の得点が低い、つまり、アノミー状態に近い子どもたちが、あらゆるストレスで、最も高い数値を示したのである。

 達成能力の高低は、成績のよしあしと言い換えてもいいが、滝が注目するのは、成績はいいが、競争意識も強い子どもたち。競争意識は弱いが、成績は良くない層と同程度のストレス度を示したのだ。「成績が良いとストレスもなく、いい子で、いじめもしない、と思われがちだが、そうとは限らない」と滝。カギは「競争意識」のようだ。

 見渡せば“市場原理主義”が幅を利かせ、自由と競争の名の下、格差が広がる一方のニッポン社会。日本ストレスマネジメント学会常任理事で兵庫教育大教授(臨床心理学)の冨永良喜(54)は「競争をあおる大人たちの姿が子どものストレスに影響を与えている可能性がある」とみる。

 冨永によると、人はストレスを感じると、自覚の有無にかかわらずコーピング(対処)と呼ばれる行動に走る。何かに悩み、気がつけば酒量が増えていた、といったケースが無自覚のコーピングの例になりそうだが、冨永は、子どもにとっては「いじめも、その一つといえる」という。

 心理学では、ある精神状態をもたらした原因を間違えてとらえることを「誤帰属」という。例えば、本当は「算数が分からない」のがストレスの原因なのに、無意識に手ごろな対象をそれと誤り、コーピングとして、いじめに走る、といったことも起こる。

 コーピングとして望ましいのは、ストレスの原因をはっきりさせ、それと向き合うこと、と冨永。「算数」が原因と分かれば、その「算数」の苦手意識を、少しでもなくしていく。それでこそストレスは、軽減され、ひいてはいじめ解消にもつながるわけだ。

 あの女子中学生が、小6のころ、同級生にしたいじめは、ひどいものだった。「はみった(仲間外れ)」り、机に落書きしたり、果ては、その子の知られたくない家族の事情を黒板に大書したり。隠した筆箱を懸命に捜す姿は「笑えた。優越感を感じた」。

 彼女によれば、その子をいじめなければならない理由は特になかったという。「算数」や「テスト」や「怒る母親」に囲まれた日常は、確かにあったとしても。 (敬称略)




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