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[Ⅶ-12]<いじめ・差別・貧困>新聞事件簿。傷ついた子どもの悲鳴

<中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (4)ヒト 周囲の「注目」カギ 動物たちには無縁

 
 <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (5)ストレス 根底には競争意識 「加害」に走らせる <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (3)脳の中 ”古い層”の暴走か 快感が「繰り返す」?
2007年3月19日

一見、いじめにみえても…


 愛知県犬山市の小高い丘にある京都大霊長類研究所。四階にある教授、正高信男(52)の研究室からは、ニホンザルの野外放飼場が見下ろせる。

 「キキッ」。かん高い声を突如上げて別のサルに飛びつき、手を振り下ろすサルがいる。ケンカしているようにみえる子ザルたちも。

 サルにもいじめはあるのか。正高は断言した。

 「答えははっきりしてます。『ノー』ですよ」

 正高、曰(いわ)く。「ふだんから戦い続けているとエネルギーの無駄ですから」。サルが攻撃するのは、例えば食べ物や性行為の相手を獲得するため、周りのサルを劣位に置いておく方が好都合だから。その上下関係さえ定まれば攻撃はやむという。「一回暴行したからといって『いじめ』とは言わないですよね」

 さらに、大事なポイントは「周囲の目」らしい。正高によれば、サルAとサルBの闘争時、AはBしか意識していない。周りのサルのことは全く意識しないし、周りのサルもAとBの闘争には「われ関せず」なのだ。

 一方、人間は周りの目を意識する。赤ちゃんが言葉を覚える時にも、それが関係している、と赤ちゃんの発達も研究している正高は説明する。「しゃべるほど周りが反応し、ほめてくれる。注目を受けることが言葉を覚える行動の報酬になる」。そして「いじめも同じ。注目されるから繰り返す」というのだ。

 人間の脳の三層のうち、発生的に古い、ヘビなど爬虫類(はちゅうるい)の脳、イヌ・ネコなどほ乳類の脳が暴走して、ヒトの脳を抑え、いじめが起きる、とする大脳生理学者の見方を前回紹介したが、「注目」がいじめの動機とするなら、それを感じるのは新皮質、すなわちヒトの脳である。

 日本の動物行動学の泰斗、京都大名誉教授で総合地球環境学研究所(京都市)の所長、日高敏隆(77)もまた、正高同様、「いじめは人間以外の動物にはない」と考える。

 日高は「動物の攻撃」と「人間のいじめ」は決定的に違うとみる。野生のサルは、戦いに負けると群れを去る場合があるし、野良ネコのグループでも、一位のネコに負けた二位のネコはいなくなるという。「動物の攻撃は相手の排除までをも望む、本当の戦い。人間のいじめは、力の近い相手との闘争や競争とは違うし、相手をグループから追い出すものでもない」

 日高によれば、人間と他の動物を究極的に分かつものは「自分がいずれ死ぬということを知っているかどうか」。そして、こう考える。「人間には『死』をごまかし、遠ざけるために、『自分はこれでいいんだ』という自信や自己満足感が必要になった」

 だから、集団の中に自分とは違う、気に入らない人間がいる、となった時、「自己を確認して安心するための手段の一つとして、『おまえとは違う』『オレはえらいんだ』と相手を否定するのが、いじめなのではないか」と日高。

 言葉の違い、変わった服装、異なる意見…。そうした「違い」が、いじめのきっかけになったという例は、確かに枚挙にいとまがない。いじめられた経験があるという中学三年の女子生徒は、取材班へのメールにこう書いた。

 「普通からはみ出すことなく暮らしていくのが、悲しいけれどイジメにあわない最善の方法かもしれません」…。

 しかし、鋭い歯やつめなど“武器”を持たない人間は「集団になったからこそ生きてこられた」と日高。集団とは、いろんな人間の集まり。つまりは「集団の中で、自分とは違うやり方がある、自分だけが確かな人間じゃないんだ、と認識する」(日高)能力こそ、人間を生かしていると言える。人間ゆえに他者をいじめるのだとしても、人間ゆえに他者を認められるはずなのである。 (敬称略)




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