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[Ⅶ-12]<いじめ・差別・貧困>新聞事件簿。傷ついた子どもの悲鳴

<中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (3)脳の中 ”古い層”の暴走か 快感が「繰り返す」?

 
 <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (4)ヒト 周囲の「注目」カギ 動物たちには無縁 <中日新聞>【いじめと生きる】第4部・「科学的」に考える (2)PTSD 長く深い苦しみ 人生まで変える
2007年3月18日

 ふだんはじっとしているが、刺激を受けると立ち上がってクビを広げて威嚇する。東京・上野動物園のキングコブラだ。エサの一つは同じヘビのアオダイショウ。ガラス張りの部屋に入れると、頭から平らげてしまう。

 ヒトはなぜ、いじめるのか-。この難問に対し、ヘビなど爬虫類(はちゅうるい)の脳に、答えを求めるのは、浜松医科大名誉教授(大脳生理学)の高田明和(71)だ。「いじめは、爬虫類の脳の暴走なんです」

 人間の脳は三層構造だ。高田の表現だと「進化の過程で、古い脳の上に新しい脳を建て増してきた」。最も奥には「爬虫類の脳(ヘビの脳)」と呼ばれる脳幹など、それを哺乳類(ほにゅうるい)になって発達した大脳辺縁系、いわば「イヌ・ネコの脳」が包む。さらに外側を、霊長類、特に人間になって発達した大脳新皮質、「ヒトの脳」が覆う。

 高田によると、「爬虫類の脳」は「命の脳」ともいわれ、呼吸や心臓の動きなどを司(つかさど)る。そして「本能的に自分の縄張りを守って敵を襲い、排除しようとする」。「イヌ・ネコの脳」は、相手を敵、あるいは嫌なやつだと感じて攻撃する。そして、嫌な相手でも許そうか、と考えられるのが「ヒトの脳」だという。

 この3つの脳のバランスが不安定になると、攻撃的になり、いじめにつながることがある、というのが高田の考えだ。「原始的な感情で動く『イヌ・ネコの脳』、一番奥底にある『爬虫類の脳』が理性の脳を追いやり、わがもの顔で脳全体を支配するからだ」と高田は説く。

 高田によると、脳のバランスが崩れるのは「疲れている時、自信がない時、いらいらしている時」。そのカギと考えられるのが、脳内の神経伝達物質「セロトニン」だ。精神安定に関係し、情緒不安定の時には少なくなっているとされる。

 攻撃的な個体を交配させてつくった高い攻撃レベルを示すネズミでは、セロトニンの脳内濃度が低かったとの報告もあるという。

 高田は言う。「誰もが、いじめる脳をもっている。いじめる子は決して特別ではない。だから、脳のバランスをいかに保たせるか、から考えないと」

 同じ脳科学の専門家でも、京大名誉教授で日本福祉大教授(認知神経生理学)の久保田競(74)は、考えが違う。いじめは複雑な行動だとし、本能や衝動ではなく、「快感」から読み解く。曰(いわ)く、「いじめであれ、どんな行動であれ、それを『繰り返す』のは脳が快感を感じているからだ」。

 久保田によれば、その仕組みはこうだ。

 中脳の中には「A10(エーテン)神経核」と呼ばれる神経細胞の集まりがある。何かの行動などで、ここが活性化すると、「前頭前野」「運動野」「海馬」、さらには「側座核」の神経細胞にまで伸びる「軸索」の末端からドーパミンという神経伝達物質が放出され、それぞれが活性化する。

 このうち「側座核」は、人間が快感を感じている時に血流が増すことが最近、脳の断層画像で確かめられた領域。かくて、快感は生まれるのである。

 そして、これらの領域全部の活性化が、再びA10神経核を活性化させ、ドーパミンをさらに分泌させるという「快感循環」をもたらす。どんな行動であれ、積極的に繰り返している時には、この循環が起きていることも最近の研究で分かってきたという。

 つまり、いじめも、継続的に行われている場合には、脳が快感を感じていると考えられる、というわけだ。

 「快感を感じている行動に、ただ『ダメだ。やめなさい』と怒っても効果は少ない。むしろ、やらなかったときにほめて達成感を感じさせる、それ以上の快感を感じる別の行動に導く、といった対処が有効ではないか」

 脳科学の知見から、久保田が示すヒントである。

 (文中敬称略)




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