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[Ⅶ-21]<脳とからだ・人類の発達。医療の最新治療>プレス。
<読売新聞(ヨミドクター)>「医師を呼んで!」と訴えた患者 放置され死亡…京大が犯した3つの「開いた口がふさがらない」重大ミス
11/21(木) 18:51配信
リングドクター・富家孝の「死を想え」
11月19日、京都大学医学部付属病院が発表し、メディアで大きく報道された多重ミスによる患者死亡が大きな波紋を呼んでいます。外部委員も入れて調査した結果、これは発表せざるをえないとなって発表されたものと思いますが、あまりの杜撰(ずさん)さに開いた口が塞がりません。
私は、京大病院が発表した書面を何度も読み返しましたが、これでは、亡くなった患者さんは本当に浮かばれません。
「医師を呼んで」の声むなしく、放置
医療は人間が行うので、医療現場にミスはつきものです。ミスはあってはいけませんが、問題はミスをしたら、それにいち早く気づき、適正な措置が取れるかどうかです。こちらも重大なのですが、今回は全くそれが見られませんでした。しかも、患者さんは「医師を呼んでほしい」と何度も訴えたというのに放っておかれたのです。
誤った点滴が第1のミス
亡くなられた患者さんは、心不全と腎臓機能の低下で入院中の男性です。造影剤を使ったCT(コンピューター断層撮影)検査の際の点滴で、本来使うべき炭酸水素ナトリウムの6.7倍の濃度の薬剤を投与されたのです。この患者さんは、直後から痛みやしびれなどを訴えたのに、投与はそのまま続けられました。
これが最初のミスです。このような医療過誤は何度も起きています。ですので、ここで検査医と看護師は気づくべきでした。しかし、チェックはされず、検査後は造影剤によるアレルギーと考えて、投与が続けられたのです。
異常があったのに投与を継続
しかも投与は3時間も続きました。本来なら1時間で終えるべきところなのに、担当医師は全量投与を指示しています。これが、第2のミスです。驚くべきことに、この病棟では炭酸水素ナトリウムを使用した経験がなかったというのです。
こうして、患者さんは病棟のトイレで倒れ、心停止となりました。そのため、慌てて駆けつけた医師らによって心臓マッサージが行われましたが、このとき、口から大量出血しました。これは、患者さんが、血液が固まるのを抑える抗凝固薬を服用していたからです。このことを医師たちは知らず、集中治療室に移し、開胸手術まで行っています。 これが、第3の致命的ミスです。
これほどミスが重なり、また、患者さんの訴えを無視した例を私は知りません。
私の息子は造影検査で右半身まひ
私はこれまで、医療過誤を告発する本を何冊か書いてきています。また、自分の息子も、大学生のときに医療過誤にあい、障害を持つ身となったので、医療ミスに関しては、一家言があります。息子の場合も、造影検査がアダになりました。
手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。
医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意です。しかし患者側が、そうした医師や看護師を見分けることは困難です。
医療過誤の報道は減ったけれど……
最近、医療過誤の報道がめっきり減っています。しかし、医療過誤そのものが減ったわけではありません。医療過誤は、毎日、全国どこかの病院で間違いなく起きています。その死亡者数は、交通事故の死亡者数をはるかに上回るはずです。「はずです」と書かざるを得ないのは、驚くべきことに、日本には医療過誤の正確な統計がないからです。
昨年の交通事故死者数は3532人で、毎日平均10人ほどの方が亡くなられています。これに対し、医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。
というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです。2016年、アメリカで最も権威ある医学部を持つジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが発表しています。
日本の医療過誤の把握は不十分
日本では、01年度から厚生労働省が全国の病院から医療事故の情報を収集するようになりました。現在、日本で医療過誤の統計を公表しているのは、日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。
しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。
ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は4~500件となっています。この数字をそのまま受け取る、医療関係者はいません。
京大のように自ら発表する例は珍しい
このような点を考えると、今回の京大病院のように、医療機関が自ら発表する例は稀(まれ)です。たいていの場合、医療過誤は隠蔽(いんぺい) されるので、院長自らが「患者さんご本人、そしてご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果となったことは誠に申し訳なく、心よりお詫(わ)び申し上げる」とコメントするのも異例です。
ミスを犯しても、ほとんどの場合、医者は認めません。患者側から民事訴訟を起こされても、ほぼ勝訴するからです。通常の民事裁判では、訴えた側が8割方勝訴するのに、医療過誤裁判では8割方訴えられた医者側が勝訴します。
医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません。ただし、最近は、よほどのことでないと警察は介入せず、刑事告訴しても受理されません。
遺族の方の悲しみは察するに余りありますが、今後、どのように対応されるのでしょうか?
富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。
リングドクター・富家孝の「死を想え」
11月19日、京都大学医学部付属病院が発表し、メディアで大きく報道された多重ミスによる患者死亡が大きな波紋を呼んでいます。外部委員も入れて調査した結果、これは発表せざるをえないとなって発表されたものと思いますが、あまりの杜撰(ずさん)さに開いた口が塞がりません。
私は、京大病院が発表した書面を何度も読み返しましたが、これでは、亡くなった患者さんは本当に浮かばれません。
「医師を呼んで」の声むなしく、放置
医療は人間が行うので、医療現場にミスはつきものです。ミスはあってはいけませんが、問題はミスをしたら、それにいち早く気づき、適正な措置が取れるかどうかです。こちらも重大なのですが、今回は全くそれが見られませんでした。しかも、患者さんは「医師を呼んでほしい」と何度も訴えたというのに放っておかれたのです。
誤った点滴が第1のミス
亡くなられた患者さんは、心不全と腎臓機能の低下で入院中の男性です。造影剤を使ったCT(コンピューター断層撮影)検査の際の点滴で、本来使うべき炭酸水素ナトリウムの6.7倍の濃度の薬剤を投与されたのです。この患者さんは、直後から痛みやしびれなどを訴えたのに、投与はそのまま続けられました。
これが最初のミスです。このような医療過誤は何度も起きています。ですので、ここで検査医と看護師は気づくべきでした。しかし、チェックはされず、検査後は造影剤によるアレルギーと考えて、投与が続けられたのです。
異常があったのに投与を継続
しかも投与は3時間も続きました。本来なら1時間で終えるべきところなのに、担当医師は全量投与を指示しています。これが、第2のミスです。驚くべきことに、この病棟では炭酸水素ナトリウムを使用した経験がなかったというのです。
こうして、患者さんは病棟のトイレで倒れ、心停止となりました。そのため、慌てて駆けつけた医師らによって心臓マッサージが行われましたが、このとき、口から大量出血しました。これは、患者さんが、血液が固まるのを抑える抗凝固薬を服用していたからです。このことを医師たちは知らず、集中治療室に移し、開胸手術まで行っています。 これが、第3の致命的ミスです。
これほどミスが重なり、また、患者さんの訴えを無視した例を私は知りません。
私の息子は造影検査で右半身まひ
私はこれまで、医療過誤を告発する本を何冊か書いてきています。また、自分の息子も、大学生のときに医療過誤にあい、障害を持つ身となったので、医療ミスに関しては、一家言があります。息子の場合も、造影検査がアダになりました。
手足のしびれが続くので母校の病院に連れて行ったところ、「脳血管障害」を疑われ、診断をするために、必要もない造影検査を受けさせられたのです。そして、検査中に脳梗塞を起こし、右半身がまひしてしまいました。
医療過誤が起こるのは、たいていの場合、検査か手術のどちらかです。検査も手術も、経験がない未熟な医師や看護師が行った時は要注意です。しかし患者側が、そうした医師や看護師を見分けることは困難です。
医療過誤の報道は減ったけれど……
最近、医療過誤の報道がめっきり減っています。しかし、医療過誤そのものが減ったわけではありません。医療過誤は、毎日、全国どこかの病院で間違いなく起きています。その死亡者数は、交通事故の死亡者数をはるかに上回るはずです。「はずです」と書かざるを得ないのは、驚くべきことに、日本には医療過誤の正確な統計がないからです。
昨年の交通事故死者数は3532人で、毎日平均10人ほどの方が亡くなられています。これに対し、医療過誤による死者数は、その3倍以上、いや、数万人に達している可能性があります。
というのは、人口が日本の約3倍のアメリカの医療過誤死亡者数が、1年間に約25万人だからです。2016年、アメリカで最も権威ある医学部を持つジョンズ・ホプキンス大学の研究チームが発表しています。
日本の医療過誤の把握は不十分
日本では、01年度から厚生労働省が全国の病院から医療事故の情報を収集するようになりました。現在、日本で医療過誤の統計を公表しているのは、日本医療機能評価機構(05年から)と日本医療安全調査機構(2015年から)の二つです。
しかし、両者とも医療機関から上がってくる報告を基にしており、とくに後者は「医者のため」のもので「予期せぬ死亡例」だけの報告となっています。
ちなみに、日本医療機能評価機構が公表している医療事故は、ここ2、3年は平均約4000件で、このうち死亡事例は300件、障害が残る可能性が高い事例は4~500件となっています。この数字をそのまま受け取る、医療関係者はいません。
京大のように自ら発表する例は珍しい
このような点を考えると、今回の京大病院のように、医療機関が自ら発表する例は稀(まれ)です。たいていの場合、医療過誤は隠蔽(いんぺい) されるので、院長自らが「患者さんご本人、そしてご家族には、薬剤の誤った処方による死亡という、期待を裏切るような結果となったことは誠に申し訳なく、心よりお詫(わ)び申し上げる」とコメントするのも異例です。
ミスを犯しても、ほとんどの場合、医者は認めません。患者側から民事訴訟を起こされても、ほぼ勝訴するからです。通常の民事裁判では、訴えた側が8割方勝訴するのに、医療過誤裁判では8割方訴えられた医者側が勝訴します。
医者側は民事訴訟を起こされても痛くもかゆくもありません。民事ならミスはうやむやになり、必要な示談金は保険が下りるからです。しかし、刑事事件となると、そうはいきません。ただし、最近は、よほどのことでないと警察は介入せず、刑事告訴しても受理されません。
遺族の方の悲しみは察するに余りありますが、今後、どのように対応されるのでしょうか?
富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。
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