あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅵ-C] 臨床現場からのレポート(3) 更生困難な加害者への教育プログラム

DV加害者対策等に関する調査研究報告書

 
 山を動かすのは私たち ~DV社会を変えるには~ パネルディスカッション・堺市HP DVにさらされる子どもたち ~加害者としての親が家族機能に及ぼす影響~  ランディ・バンクロフト
DV加害者対策等に関する調査研究報告書
平成21年3月

はじめに
少子高齢化や高度情報化等の進展により、社会が大きく変化する中、県民の価値観が多様化し、きめ細かな公的サービスが求められています。
一方、NPO やボランティア団体による社会活動の領域も年々広がっています。
このような状況を受け、福岡県では、平成15年度からNPO と県との協働をすすめる提案型事業を実施してまいりました。
平成20年度からは、NPOとの協働をより一層促進するため、この提案型事業を拡充し、NPO・ボランティア団体の皆さんの持つ専門性や柔軟な発想を活かした提案によるきめ細かな県民サービスを提供する「NPOとの協働による県民サービス向上事業」を実施しています。
平成20 年度の協働事業テーマのひとつに、DV 加害者対策等に関する調査研究をあげ、福岡県と特定非営利法人女性ヘルプネットワークで、加害者対策の中でも特に「加害者プログラム」に焦点をあて、プログラム実施団体等への聞き取り調査及び県内団体へのアンケート調査を行いました。
本報告書は、その調査内容を取りまとめたものです。
調査にご協力いただきました関係者の皆様、団体の皆様に感謝申し上げますとともに、本書が、加害者プログラムへの理解を深める一助となり、DV 被害者の支援のために活用いただければ幸いです。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」では、第25条において、国及び地方自治体が「加害者の更正のための指導方法」等に関する調査研究の推進に努めるように定められています。
また、「福岡県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画」においても、「加害者対策に関する調査、研究の実施」は、施策の基本的方向としてあげています。

目次
1 DVの現状1~12
2 加害者対策の実施現状13~34
3 本県の状況35~44
4 今後の取り組みについて45
付録アンケート資料46~51
巻末参考文献52~54



1 DVの現状
プライベートな家庭の問題には立ち入らない傾向が強かった配偶者からの暴力は、かつて夫婦げんかの範疇とされ、被害を受ける女性の落ち度に非難が寄せられていた。しかし現在では、配偶者からの暴力の問題は社会問題の一つとして法律が制定されている。ここではそのような国内と福岡県内の現状を報告する。


(1)全国
①世界の動き
女性に対する暴力の問題は「女子に対す、るあらゆる形態の差別撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)」が、昭和54年の国連総会において採択されたことに始まる。平成5年のウィーンの世界人権会議では女性に対する暴力は人権問題としてクローズアップされ、同年の国連総会において「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」が採択された。平成7年の北京世界女性会議(図1-1)では、行動綱領によって暴力防止の具体策や被害女性への援助などが国家の責任として明確化されていき、日本国内においても検討されはじめた。
図1-1 北京女性会議NGOフォーラムプログラム表紙

②DVに関する調査
国内でDVの調査が初めてされたのは、民間団体「夫(恋人)からの暴力(DV)調査研究会」が、平成4年に実施した全国の女性に対してのアンケート調査であった。その後、自治体として初めて東京都生活文化局総務部男女平等参画室が、平成9年に「女性に対する暴力」調査を実施した。
全国的な調査は、平成11年に総理府男女共同参画室が実施した「男女間における暴力に関する調査」がある。この調査は、女性に対する暴力に関する国民の意識、被害の経験の態様、程度及び被害の潜在化の程度、理由について把握し、被害者が必要としている援助の在り方を検討するための基礎資料を得ることを目的として、全国20歳以上の男女4,500人に対して調査を行い、翌年2月に発表した。これによって国内でのDV被害の現状が多くの人に知られることとなった。(図1-2)
図1-2 被害経験の有無
出所:総理府『平成12年版男女共同参画白書(概要版)』
第3章女性の人権をめぐる状況1女性に対する暴力

③法施行への動き
北京世界女性会議後の平成8年に、総理府男女共同参画審議会では「男女共同参画ビジョン」のひとつに「女性に対する暴力の撤廃」が織り込まれ、これを受けて制定された「男女共同参画2000年プラン」に、11の重点目標の一つとして「女性に対するあらゆる暴力の根絶」が掲げられ基本的方向と具体的施策が示された。
平成9年には、同審議会に「女性に対する暴力部会」が設置され、平成11年には「女性に対する暴力のない社会を目指して」が答申された。同部会では特に「夫・パートナーからの暴力」が対応を迫られているものとして取り上げ、平成12年に最終的に取りまとめられた「女性に対する暴力に関する基本的方策について(答申)」を受け、同年男女共同参画基本計画において、既存の各種施策の充実や法制度の的確な実施とともに新たな法制度や方策の検討が基本的方向として盛り込まれた。
国会では平成10年に参議院に設置された「共生社会に関する調査会」において、「男女等共生社会の構築に向けて」のテーマの中で、「女性に対する暴力」緊急課題が取り上げられることになった。これに伴い、学識経験者や現場の有職者、関係省庁の取り組み状況のヒアリング、調査会委員による海外調査が行われ、中間報告では、平成12年に「女性に対する暴力に関するプロジェクトチーム」が設置された。
30回の協議を重ねて「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律案」が平成13年4月2日に提出され、同4日に参議院本会議で可決、同6日に衆議院法務委員会で可決成立し、同13日に6章30条の法律第31号として「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(以下DV防止法)が公布された。さらに、平成16年と19年の2度にわたる改正がなされ、現在の法律になった。

④法施行後
法施行後は全国で官民共に被害者支援への向けての取組がされていったが、平成13年6月5日の男女共同参画推進本部決定で、毎年11月12日から11月25日までを「女性に対する暴力をなくす運動」(図1-3)期間として、多くの啓発活動が実施されている。
図1-3 女性に対する暴力をなくす運動ポスター
法律施行後の平成17年に内閣府男女共同参画局では、全国の20歳以上の男女4,500人に対して「男女間における暴力に関する調査」を実施した。
これまでに結婚したことのある人(2,328人)のうち配偶者(事実婚や別居中の夫婦、元配偶者も含む)から「身体に対する暴行」「精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫」「性的な行為の強要」のいずれかについて「何度もあった」という人は(女性10.6%、男性2.6%)、「1・2度あった」という人は(女性22.6%、男性14.8%)、1度でも受けたことがある人は(女性33.2%、男性17.4%)となっている。(図1-4)
図1-4 被害経験
出所:内閣府『平成20年版男女共同参画白書(全体版)』
1部4章1節配偶者等からの暴力の実態
平成20年4月1日現在、全国180施設(うち市町村が設置する施設は7施設)が配偶者暴力相談支援センターとして、相談、カウンセリング、被害者やその同伴家族の一時保護、各種情報提供等を行っている。19年度中に全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談は62,078件に上っており、毎年度増加している。また、法施行後19年12月末までの間に、警察に対し寄せられた配偶者からの暴力に関する相談等への対応件数は、100,842件(平成19年の対応件数は20,992件)でここ数年、毎年増加している。
図1-5 入所理由
出所:内閣府『平成20年版男女共同参画白書(全体版)』
1部4章1節配偶者等からの暴力の実態
平成18年度中の婦人相談所一時保護所への入所理由のうち、夫等の暴力は71.8%と全体の半分を超えて、婦人保護施設及び母子生活支援施設の入所理由をみると「夫等の暴力」を挙げた割合はそれぞれ31.1%、52.1%となっている。いずれの施設においても暴力を理由とする入所は高い割合となっている。(図1-5)


(2)福岡県
①法施行前の福岡県女性保護の歴史
福岡県が他県と大きく異なる点は、DV防止法制定以前より売春防止法*1 を根拠法とする婦人保護事業が、関係機関や相談員によって充実していることにある。
婦人保護事業は、平成4年の厚生省通知「婦人保護事業の実施に係わる取扱いについて」によって「要保護女子*2」の範囲を拡大していくことになったが、平成11年の厚生省社会・援護局保護課長・厚生省児童家庭局家庭福祉課長通知「夫等からの暴力により保護を必要とする女性への対応について」によって、婦人保護事業が売春に対応する事業から、全ての女性を対象にした新たな事業に変化することを認めたことになった。それまでの一時保護所は全国でも県単位で設置されていたが、県内には一時保護所を設置する自治体もあり、福岡県の婦人保護事業はこれらの通知にいち早く対応をしていった。
そのために、既に平成8年発行の「婦人保護のあゆみ」には「夫の暴力・酒乱」を訴える女性の来所相談が34.2%で、それ以外の夫婦問題を含めると4割強。(図1-6)
「夫の暴力・酒乱」訴える女性の電話相談が118件で、それ以外の夫婦問題を含めると63.5%。一時保護では、夫婦間暴力で家出した女性を含め116名を保護したと報告されている。
図1-6 来所相談者主訴別状況
出所:福岡県婦人相談所平成8年『「平成7年度婦人保護のあゆみ』
Ⅱ婦人相談所相談業務の状況6頁

②法施行後の件数
DV防止法制定後の県内での相談件数は、平成14年度の合計3,167件から、平成18年度は5,456件と大幅に増えている。これは平成17年度と比較すると1494件増えており、1ヶ月に平均すると約450件の相談があったことになる。このように増えたことのひとつには、福岡県配偶者暴力相談支援センターの設置が1カ所から14カ所に増えた事による。(表1-1)
表1-1 福岡県の相談件数
出所:福岡県『平成20年度福岡県男女共同参画白書』
第3部福岡県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画の推進状況(平成19年度)福岡県における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する状況一時保護の件数もDV防止法制定後は県内で増え、平成19年度は256件であり、前年と比較して女性相談所が42件の増加、民間シェルターへの委託が16件の減少で、全体としては26件の増加であった。(表1-2)
表1-2 福岡県の一時保護件数
出所:福岡県『平成20年度福岡県男女共同参画白書』
第3部福岡県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画の推進状況(平成19年度)福岡県における配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する状況区分1 5年度1 6年度1 7年度1 8年度1 9年度
※ 配偶者暴力相談支援センター: H 14 .4~ 女性相談所を指定。
H 18 .7~ 県保健福祉環境事務所( 1 3箇所)を指定。
※ 県警については、1~ 1 2月の相談件数。
県・市福祉事務所
県警
福岡県配偶者暴力相談支援センター
福岡県男女共同参画センター
その他の市男女共同参画センター
北九州市男女共同参画センター
福岡市男女共同参画センター
合計
15年度16年度17年度18年度19年度
福岡県保健福祉部児童家庭課調べ(H15~H18),福岡県新社会推進部男女共同参画推進課(H19)
民間シェルター等委託
保護件数
女性相談所

③対策
福岡県では、「福岡県男女共同参画推進条例」が作成され、その中の第7条で「何人も、配偶者等への暴力、性的言動による生活等侵害行為その他男女間の人権の軽視に起因する行為であって相手方に身体的又は精神的な苦痛を与える行為をしてはならない。」とする暴力的行為等の禁止が明記された平成十三年福岡県条例第四十三号が制定されている。
平成18年3月に策定された「第2次福岡県男女共同参画計画」では、男女の人権が尊重される社会の確立を目指し、女性に対するあらゆる暴力の防止と被害者に対する支援のために、具体的施策が取られている。そして「重大な人権侵害であり近年大きな社会問題となっている夫・パートナーからの暴力を防止するため、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」に基づき策定する「福岡県配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本計画」に沿って施策を進めている。
図1-7の相談件数の増加の背景には、そのような施策によって平成18年4月から福岡県女性相談所を365日化して配偶者暴力相談支援センターの機能を強化し、同年7月から各保健福祉環境事務所を配偶者暴力相談支援センターに指定して、DV相談専用電話を設置し県民に周知を図ったこと等がある。
また平成16年段階で、福岡県内の女性センター等の相談員27名、福岡県内の自治体各機関相談員91名が配置されていたが、このような相談員に向けて平成18年度よりスーパービジョン研修が実施され、相談員の質的充実も図られている。これまで誰にも言えなかった被害者が相談できる体制づくりと、どのような相談でも対応できる相談員を積極的に作っている結果である。
さらに一時保護後の自立のための支援、民間を含めた関係機関との連携も県内では行われており、法律の周知、啓発、リーフレットの作成も積極的に進められている。
(図1-7)
図1-7 福岡県男女共同参画センターあすばる情報誌表紙平成20年春48号

④県内民間団体
日本で初めてのセクシュアルハラスメント裁判が起こった地域である福岡県は、被害女性支援の民間団体は他地域に比べて多い。
平成8年には県と県婦人相談員連絡協議会主催で「婦人保護事業40周年記念フォーラム(図1-8)が開催されたが、この時に」民間団体も分科会を主催し、公的機関と民間団体が互いに協力しながら被害女性を支援するシステムを作り上げていった。
この頃には、県内の数カ所で民間団体の協力によって、11月下旬から12月上旬にかけて毎年「女性への暴力ホットライン」が同時多発に実施されている。公的機関の相談と共に協力して行ったこのようなホットラインは、マスコミを使い広報を行うことでDVなどを含めた女性が受ける暴力の問題を社会にアピールする啓発となった。
平成10年代になってからは、県内に数カ所の民間シェルターも設置され、今ではシェルター後のステップハウスを設置する団体もあり、啓発活動やホットラインを実施する多くの民間団体が生まれていった。
図1-8 婦人保護事業40周年記念フォーラムポスター


(3)DV加害者対策について
①加害者に関する規定
DV防止法の特徴は、前文において「男女平等の実現」「女性に対する暴力の根絶」を目的として作られたものである。しかし配偶者からの暴力を防止するが、禁止にはしていない。そして、男女とも加害者にもなり得るが男女ともに被害者になり得ると考えて、女性のみでなく男性をも被害の対象としている。
そのために、現在の日本には、DVを特別に処罰するための法律はなく、一般の犯罪と同様に、刑法でその処罰が規定されている。
被害者の申立てにより、裁判所が加害者に対し接近禁止命令、退去命令を発する保護命令の制度を創設し、この命令違反に対して刑事罰を科すこととしている。
また法はこれまで、2度の改正を経ており、平成16年12月に施行された第1次改正において、被害者への接近禁止命令に加え、被害者と同居する未成年の子への接近禁止命令も発令できることとされた。平成20年1月に施行された第2次改正においては、これまで身体に対する暴力を受けた者に限り、保護命令を申し立てることができたのに対し、生命・身体に対する脅迫を受けた者についても、身体に対する暴力によりその生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合には、保護命令を発することができることとなったほか、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するため、接近禁止命令の発令されている間について、被害者の親族等への接近禁止命令も発することができることとされ、さらに、被害者への面会の要求や無言・夜間の電話等を禁止する電話等禁止命令も新設された。

②保護命令と検挙数
保護命令の申立書に、配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に相談等をした事実等の記載がある場合は、DV防止法第14条第2項に基づき、裁判所は配偶者暴力相談支援センター又は警察に対し、被害者が相談等をした際の状況等を記載した書面の提出を求めることとなっている。申立書にこうした事実の記載がない場合は、公証人役場で認証を受けた宣誓供述書を申立書に添付しなければならない。
表1-3 保護命令処理状況
出所:内閣府『平成20年版男女共同参画白書(全体版)』
1部4章1節配偶者等からの暴力の実態
法施行後から平成19年12月末までに終局した保護命令事件13,750件のうち、支援センターへの相談等の事実の記載のみがあったのは2,708件、警察への相談等の事実の記載のみがあったのは5,925件、双方への相談等の事実の記載があったのは4,499件となっている。また、申立書に宣誓供述書が添付されたのは565件となっている。法施行後平成19年12月末までの間に、裁判所に申し立てられた保護命令事件の件数は13,834件で、そのうち事件が終了したのは13,750件となっている。終了した事件のうち、保護命令が発令された件数は10,971件(79.8%)、そのうち被害者に関する保護命令のみ発令されたのは7,004件(63.8%)、子への接近禁止命令が発令されたのは3,967件(36.2%)となっている。
法施行後平成19年12月末までの間に保護命令が発令された事件の平均審理期間は12.4日となっている。なお、法施行後から平成19年12月末までの間の保護命令違反の検挙件数は352件である。(表1-3)
図1-9 検挙数
出所:内閣府『平成20年版男女共同参画白書(全体版)』
1部4章1節配偶者等からの暴力の実態
配偶者間における犯罪のうち女性が被害者である場合の検挙件数の推移を罪種別にみると、暴行、傷害はそれぞれ平成12年以降増加し、16年に傷害が前年比で減少したが、19年においては暴行が870件で前年よりも199件(29.7%)の増加、傷害は1,255件で39件(3.0%)の減少となっている。(図1-9)

③加害者対策について全国の動き
DVを防止しるためには、加害者に処罰を与えることや広報啓発をしていくことが重要であると共に、加害者へ働きかけ、行為の責任を認識させ、再度の暴力を振るわないようにするための対策が必要である。
そのためにDV防止法第25条には、「国及び地方公共団体は、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に資するため、加害者の更生のための指導の方法、被害者の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進並びに被害者の保護に係る人材の養成及び資質の向上に努めるものとする」と。して、加害者についての調査研究の推進がされている。
内閣府男女共同参画局においては、平成14年度より諸外国の加害者更正についての調査研究を行い、平成16年に男女共同参画局より報告された「平成15年度配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究」では、被害者の保護を図る観点から、国内での加害者向けプログラムの内容等について検討を行い「配偶者からの暴力に関する加害者向けプログラムの満たすべき基準及び実施に際しての留意事項」が報告された。
平成16年度には「配偶者からの暴力の加害者更正に関する検討委員会」を設置して、試行のためのプログラムを作成し、その有効性を検討するために、地方公共団体に委嘱をしてプログラムを試行的に実施する研究を行った。
委嘱を受けたのは東京都と千葉県であったが、平成17年8月時点で、都道府県と政令指定都市を対象に、取組状況の調査を実施したところ、大阪府、熊本県、沖縄県が加害者更正に関する調査研究を行っており、京都府や大阪市では、男性のための非暴力講座を実施していた。また独自のプログラムにより、自発的に参加する加害者を対象に、グループ討議などを中心とした加害者更生プログラムを実施している民間団体は、都道府県と政令指令都市が把握している数は6団体であった。

④加害者対策について福岡県の動き
県内では非暴力トレーニングを実施する民間団体が一つ存在している。
調査研究では福岡県男女共同参画センター「あすばる」によって、「平成14年度調査研究報告書日常生活における男女の意識と女性の人権に関する調査研究-ドメスティック・バイオレンスの実態を通じて-」がある。
図1-10 原因
昭和31年法律第118*1 「売春防止法」号として制定された4章40条にわたる法律で、4章保護更生を根拠に婦人保護事業は存在する。
*2 「要保護女子」売春防止法第4章保護更生第34条2によって、性交又は環境に照らして売春を行うおそれのある女子と定義。
出所:福岡県女性財団福岡県女性総合センターあすばる平成15年『平成14年度調査研究報告書日常生活における男女の意識と女性の人権に関する調査研究-ドメスティック・バイオレンスの実態を通じて』33頁
この調査は県内の20歳から65歳までの有配偶男女3,000人に対して行われたもので、有効回収率(女性23.2%、男性16.1%)と決して多くはないが、DV経験のある男性が自ら考える原因や、DV後の自身の気持ちについての記述から、貴重な報告でもある。(図1-10)(図1-11)
ただ決して、加害者を想定して実施された調査ではなく、福岡県では加害者に対しての対策が、今後の検討課題でもある。
図1-11 気持ち
出所:福岡県女性財団福岡県女性総合センターあすばる平成15年『平成14年度調査研究報告書日常生活における男女の意識と女性の人権に関する調査研究-ドメスティック・バイオレンスの実態を通じて』34頁



2 加害者対策の実施現状
国内ではDV防止法制定前より、加害者対策に関わる団体があり、法律制定後は首都圏を中心としていくつかの加害者対策が民間団体の手によって行われている。もちろんそこには、福岡県内の民間団体も存在している。また北米のプログラムも翻訳され、書籍によって紹介されてもいる。
このような加害者対策のひとつとして加害者プログラムに関わる方へここではヒアリングを行い、結果を踏まえて全体的な傾向をまとめていくことにする。
最初は、90年代より日本で最も長くDV加害者プログラムを実施している任意団体メンタルサービスセンターの草柳和之氏で、嗜壁問題の一類型だとしてオリジナルのプログラム「個人心理療法「自助グループ「DV」」克服ワークショップ」を作成し、これらの3本立てで実施している。心理臨床家としてなかなか参加しにくい男性を、どこからでもいつからでも参加しやすくすることで、任意参加を効果的にそして問題克服に向けてプログラムを実施しようと工夫をしている。
次に、韓国の加害者に対する取り組みを内閣府男女共同参画局で調査をされた妹尾栄一氏である。内閣府のDV加害者更生プログラム委託事業として東京都が受け、それに妹尾氏が関わり、その後、開発実践に関わった臨床家を中心として、平成17年度にDVに関するNPO法人RRP研究会を立ち上げ、教育プログラムの継続・改善を進めている。今回は同研究会の高橋郁絵氏と古賀絵子氏の3人へのヒアリングもさせていただいた。RRP研究会では、内閣府が報告している「満たすべき基準及び実施に際しての留意事項」に準じて男女のファシリテーターによって「DV教育プログラム-男性編」を実施している。
さらに、2001年に福岡県内にできた任意団体「メンズサポートふくおか」で、非暴力トレーニングを実施している原健一氏で、ワーク持続には家族の協力が必要とのことで、タイムアウト法などを使いながらトレーニングを行っている。終了後は「メンズサポートふくおか」や自助グループ「クワイエットライフ」に参加する人もいるということで、グループ運営を含め、非暴力トレーニングのファシリテーター、相談も原氏一人で行っていることから、将来は回復をしたメンバーをスタッフとして活用したいと考えているという。
最後に、DVのない社会を目指して2002年から「加害者プログラム」と2003年からデートDV防止プログラムを実施している任意団体アウェアの山口のり子氏で、海外での女性支援の経験を元に、米国カリフォルニア州で実施されているDV加害者向け教育プログラムを応用したプログラムである。1年間を通したプログラムで参加者たちは自分の気持ちをグループで語り、ほかの人の話を聞き、体験や痛みを共有することで、お互いに心を開いて助け合う、という関係の中で自らのDV行動や自分自身について、相手の痛みなどさまざまなことにaware(気づくこと)を積み重ね、そういう作業を通して初めて自分を変える可能性が生まれるという。


(1)草柳和之氏
①プログラム実施の経緯
1990年4月に心理相談機関「メンタルサービスセンター」を設立、カウンセリングの実施やグループ・ワークショップの開催を中心に活動していた。1996年12月にトラウマに関する権威・斎藤学主宰の「さい*1 とうクリニック」のスタッフとなり、2000年春までグループ療法と個人カウンセリングを担当し、幾多のDV被害者と出会い、当心理相談機関において加害者更生に取り組む必要性を感じていった。そして海外の文献を学びつつ準備を重ね、1997年12月に加害者専門相談の開設を関係機関に通知し、程なく個人心理療法を開始することになる。翌1998年10月に自助グループを発足、翌1999年11月にDV克服ワークショップを開始し、現行の3点セットのプログラムが出揃った。

②プログラムの概要
Ⅰ目的
暴力のないライフスタイルを作り上げる。
被害者が彼と人生をともにしたくないと思う場合、又は加害者の克服努力が成果を生まないレベルである場合、加害者が別離を受容していくことを促進する。
被害者に復縁の意志があり、加害者の克服努力が成果を生んでいった場合、結果としての家族の再統合となっていく。
加害者がいいかげんな姿勢でプログラムを受ける場合、その理由を示して中断してもらう。そして、克服見込みのない加害者であることを被害者伝え、別離を決意するように促す。
加害者がプログラムを中断した後、離婚調停又は離婚裁判となり、被害者から連絡が入る場合がある。そのようなケースでは、加害者が自分の暴力を否認している。そのため、更生プログラムのスタッフは、加害者が一旦は暴力を認めて努力しようとした旨の報告書を作成し、加害者の責任性を明確にし、被害者が離婚する際に有利にするための援助としていく。
Ⅱ対象
日本では本人にDV克服したいという動機があることが大前提となる。
Ⅲ内容
個人心理療法
初回90分、2回目以降60分
頻度:2週間に一回が最多、1週間一回~1ケ月に一回。
1時間10,000~15,000円(+税)
自助グループ*2
毎月2回・120分の例会を実施。
ボランティア・スタッフは全4名(うち2名は女性。職種は、心理士・精神保健福祉士)で、毎回3人体制でローテーションを組んでいる。
一回500円。
参加者は5~10名前後を推移し、2008年末の時点で、200回以上の例会を行っている。
DV克服ワークショップ(旧称:暴力克服ワークショップ・集団心理療法)
スタッフは2 名で対応(職種は、心理士・精神保健福祉士。本年2 月より新たに女性スタッフが参画予定)。
2 5 8 月の3ケ月に一度開催・・・11 し、土日で実施する約8.5時間の集中的プログラム。
参加費は11,000円(+税)。
毎回、「本当の誠意とは」「責任を問われる恐れの克服」「他罰的傾向の克服」などのテーマを設定し、心理教育から開始する。「パートナーとのトラブルの会話を書く」などの基礎的エクササイズから段階的に発展して、最後に心理劇やゲシュタルト療法を実施する構成をとる。2008年末の時点で、延べ38回の実施回数を数える。定員15名で、最近3年の参加者は、ほぼ定員一杯である。
Ⅳ方法
当団体の実施する更生プログラムは、米国のプログラムやDV概念、従来の心理療法のアプローチを徹底的に検討し、従来の更生プログラムに不足の側面を補って、DV加害者の効果的な変化を実現するために、総合的なアプローチを研究・開発したものである。これは4―5年をかけてメンタルサービスセンターの臨床チームによる試行錯誤で理論化され、技法も体系化された。以下の3つの異なる側面を有機的に統合化した枠組みを持っている。
嗜癖行動(アディクション・依存症)としてのDV加害
嗜癖とは、不健康な行動の習慣で、それが本人や周囲に苦痛や問題をもたらすと分かっていても、止まらない性質を持つものである。暴力は、まさにこの特徴があり、嗜癖臨床の応用が可能な側面がある。嗜癖には、問題行動を継続するための認知の歪みがある(例:毎日酒を手放せなくても「俺はいつでも酒を止められる」と主張する)、不健康な行動は亢進する、等の特徴があるが、これもDVに合致する。暴力は他者によってさせられたのではなく、自分が必要で選択しているということ、そして、自分の中の空しさや自己否定感を埋め合わせる、という効果や利益があるから継続している、ととらえるのである。
性差別
DVには嗜癖では説明できない側面があり、性差別的な価値観によって、暴力を暴力と見なさなくなる、暴力を正当化する、という側面が厳然として存在する。嗜癖行動を継続するために都合のよい価値観としての“性差別”があり、彼らの歪んだ認知の多くは、社会の価値観に由来している。性差別がDVを強化し、隠蔽するのである。プログラムでは、ジェンダーなど、相手への差別的な価値観があることに気づき、それがいかに自分を支え、歪んだ生き方に役立っているか、を取り上げ、健康なパートナーシップへと修正する。
犯罪加害者と犯罪被害者との関係性
一方DVは、性差別と嗜癖では理解しきれない、別の側面がある。それは「DVが犯罪である」という側面である。DVを差別ならばパートナーと対等を目指すことになるが、犯罪加害者と犯罪被害者は、もはや対等でない。「加害者は、DV克服のために被害者に協力を求めない」という、「加害者の被害者に対する非対等性」の原則が必要である。これは嗜癖のアプローチとは全く異なる側面である。アルコール依存症では、妻も夫の治療に協力して断酒会に参加することを治療者は勧める。しかし、加害者を家族がバックアップすると、夫は力を得て妻の協力を求めるなど、新たにコントロールする危険が生じる。DV加害者に特殊化された心理療法は、通常の臨床ケースと方針が異なるのである。また「人権侵害行為をした人間として、被害者に対して、いかに恥じない誠実な生き方をするか」という、加害者の持つべき世界観を前提にアプローチする。被害者の立場にとっても容認可能な加害者プログラムでなければならない、という問題意識が必要である。
当団体の加害者更生プログラムは、以上の嗜癖行動としてのDV加害。性差別。犯罪加害者と犯罪被害者との関係性の3側面を有機的に統合したアプローチと言える。
加害者は自己防衛が強く、変化には次のような大きな困難がある。
加害行為の重大性の否認。相手への共感性の欠如。都合のよい物の見方に固執(歪んだ認知。巧みに治療者を巻き込む、味方につける)。「本当にDVは治りますか?」と回答しにくい質問をする。事実の報告をソツなく他人事のように話す。
これらは加害者が治療を受けることを回避するための無意識的誘導である。治療者がこれらの言動の意図を見抜かずに対応すると、DV維持の手伝いをすることになる。治療者は、これら加害者のテクニックを上回る技をもって、防衛を巧みに揺さぶり、自己防衛を解体する必要がある。技術的には、NLP(神経言語学的プログラミング)、brief therapy という心理療法の応用である。その上で、パートナーとのコミュニケーションの改善のためのロールプレイに導入する。
すなわち、加害者に対して、いわば丁寧に崩し技をかけて自己防衛を緩め、自分のあり方を自ら疑うような姿勢を作った後、本体の技であるロールプレイやワークなどによって、言動・行動を変化させるという手順になる。例えば、加害者にトラブルの例を挙げさせると、たいてい「自分が良かれと思ってしたことに、相手が勝手に怒っている」という認識しか持っていない。しかしここで、「自分が何かをしたから相手が怒っている」という視点を加害者に持つことが求められるのである。これは「加害者の責任性」という側面の探求を徹底させたロールプレイであり、やはり通常のロールプレイの方針と異なる。以上の理論に関しては、草柳和之「DV加害男性への心理臨床の試み―脱暴力プログラムの新展開」(新水社)を参照のこと。また、専門的技術はDV加害者心理療法研修会で提供している。

③プログラムへの参加要件
参加者でもっとも多いのは婚姻関係で、全体の9割近くを占める。妻から別居を迫られたり、実際に別居に至った婚姻関係にある夫で、加害者更生プログラムを受けて暴力をなくすことが妻から復縁の条件と伝えられて来所するケース、他には妻に大怪我をさせるなど被害が目に見える形で浮上したケース、などである。他に、婚姻関係や恋愛関係を解消した後に自覚して訪れるケースなどがある。
当団体のプログラムと、米国のプログラムとの形式的違いは、個人心理療法を主軸に据え、グループ・プログラムとの連動を形成している点で、これは日本の社会的条件をふまえて様々な試行錯誤を経ての方式である。グループを嫌がる加害者が存在するが、個人心理療法から始めて、意欲が高まった段階でグループに参加してもらう。個人とグループにはそれぞれの利点や欠点もあるため(個人はその方の事情に合わせて進められるし、一方、グループは参加者への刺激が強烈である)、組み合わせての参加を促している。また、経済的理由により個人心理療法が受けられない加害者には、自助グループとDV克服ワークショップに参加/遠方の方には3ケ月一度DV克服ワークショップに集中的に参加してもらい、地元でカウンセリングを受けることを促すなど、任意受講の現状では、加害者の状況に合わせて、柔軟にプログラムを運用していくことが必要なのである。

④プログラムの評価
個人心理療法の場合その回ごとに行い、自助グループ・DV克服ワークショップではスタッフ・ミーティングを通じて行う。加害者が最近のパートナーとのエピソードを語ることによって、加害者にいかなる問題性があり、どこから揺さぶって変化へと導くか、常に見立てを行う。そして変化への働きかけの技法を選択し、どのような側面の変化となっているか又は限界が生じているか、については即座に評価し、今後の方針に役立てる。これらの加害者に特有の見立ては、DV加害者心理療法研修会で専門家に提供している。
プログラムでは、最長で7~8年継続している者もおり、離婚を実現した後もDV克服を目指す加害者が増えている。家族の形態を保ちつつ一定の安定を見ながら克服の努力を続ける加害者も多数いる。ブランクがあり再開する者、中断する者など、参加者は様々な経過をたどる。これまでの経験では、プログラムを継続していれば、身体的暴力は少数の例外を除いて収まっている。しかし、頻度は低まるが相手を傷つける言動、パートナーへの底意地悪い態度、自己防衛的言動等は、目覚しい改善をみるとは言いがたく、改善と後退を繰り返し、粘り強く取り組みながら、長期的には改善傾向にあるという状況である。

⑤プログラムの実施団体
Ⅰプロフィール
アダルトチルドレン・DV・子ども時代*3 の虐待のケア・各種依存症等、家庭内のトラウマの問題を中心に、臨床家へのスーパーヴィジョンの提供など、専門的な心理臨床サービスを提供する心理相談機関である。特にDV問題に力を入れており、DV法改正の議員・省庁へのロビイング実施、DV法改正の請願署名の実施、国や自治体のパブリックコメントの執筆、国連NGOレポートの執筆等、人権団体としての公益的機能も併せ持つ。
Ⅱ他機関との連携
メンタルサービスセンターが開催する研修・シンポジウムの案内、代表の草柳和之氏が雑誌や自治体の男女共同参画の機関誌等に寄稿したもの等をDM で年数回郵送している。
加害者のパートナーが被害者支援の相談機関に通っている場合にケースの連携や、弁護士や医療機関との連携を行う場合もある。
Ⅲ被害者への支援
電話相談・面接相談・被害者自助グループ(女性のサバイバーが担当)を通して、被害者支援にも力を入れている。加害者が当団体に通っている場合、必要に応じて被害者とコンタクトをとる。セッション場面に関しての加害者が自分の都合のよい話になっているなど、妻にとって腑に落ちない場合もあり、そのような時に被害者にはこちらに連絡してもらい、スタッフがその情報を元に、加害者に対し問題直視を働きかける機会としている。加害者が当団体に通っている場合、原則として被害者は別の相談機関に通ってもらう。

⑥今後の課題
被害支援を長く携わる人々には「米国の、調査で、加害者はプログラムを受けても変わらないという結果だから、プログラムを行っても無駄」と主張する人も多い。確かにその調査は事実であるが、その主張が正しいとすると米国で加害者更生プログラムを実施し続けている、という現実を説明できない。当面、大きな成果は難しくても、加害者更生プログラムを実施することは「加害者は変わらなければならない」という社会の意志表明であると考えている。またプログラムを実施しないことは、「加害者は変わらなくてよい」という暗黙の社会のメッセージになってしまう。また、「法的強制力のない現状で、民間団体が更生プログラムを実施しても無意味だ」という意見も存在する。しかし将来、加害者プログラム受講の義務化の制度を実現するためには、民間レベルで様々な試行が必要なのは、明らかである。そのための過渡期として、「義務化の制約がない条件で、何を目標にし、何が可能なのか」を追求するのが現在の段階である。従来の議論には、このように重大な見落としがあることを、多くの関係者が認識する必要がある。
「今後の課題」とは更生プログラムに携わる者の課題というよりも、被害支援に携わる人々が、いかに適切に加害者更生プログラムを位置づけ、理解していくか、という課題であると思われる。問題は、大部分の関係者が、当方の加害者更生プログラムの活動について、当方の著作を読まず、研修会に参加することもなく断定し、無視や反対論、そして排除に終始していることである。勿論全てではないが、大勢がこのような状況である。この関係者の姿勢は、余りに長期に及ぶため、言いようのない苦痛であり、当方の健康すら危ぶまれるほどであることを、理解していただきたいと願う。関係者による当方の活動に対する適切な理解と、具体的な協力関係をもつことを推進していただくことを願う。
また、被害者にとってもっとも危険な、自覚がなくプログラムの対象にならない加害者については、任意受講が現実的でないため逮捕の徹底と厳罰化を行うべきだと考えている。この課題に関しては、法律ですべての加害者にプログラム受講の義務化を行う制度を実現する以外にない。
図2-1 メンタルサービスセンターパンフレット


(2)妹尾栄一氏
①プログラム実施経緯
NPO法人RRP研究会は、平成16年度に内閣府のDV加害者更生プログラム委託事業として東京都が受け、それに妹尾氏が関わり、その後、開発実践に関わった臨床家を中心として、平成17年度にDVに関する研究会を立ち上げ、教育プログラムの継続・改善を進めている。

②プログラムの概要
Ⅰ目的
参加者が暴力を用いず敬意をもってパートナーと接することが可能になることをめざし、尊重しあえる関係、その対極にあるものについて知り、よいコミュニケーションを行う方法や技術を身につけるように学び、暴力でない新たな方法を自ら実践するように、被害者支援の一貫として行っている。
Ⅱ対象
対象は自主的な参加者。
動機としては講演会参加、本を読んで、カウンセリングの中で自覚、妻子が家を出た後、自分で調べて、離婚後に別の女性との間で再度同じ問題を繰り替えさないために等がある。また妻から「教育プログラムに出ないと離婚する」と告げられて参加する者もいる。このように妻が参加を夫に要請する場合には、同居中の場合、すぐに離婚を考えられない場合などがあり、妻が被害者支援につながっている場合もあるが、そうでない場合もある。また不登校や摂食障害*4、薬物依存、親への暴力など、子どもの問題を主訴としてやってきた親が、支援を受ける中でDVの問題を認識し、子どもの問題の解決に向けてプログラム参加を夫に要求するということもある。
Ⅲ内容
暴力のチェックリスト、関係性を損ないやすい信念や考え方の癖、思いこみや縛られた感情について等のワークシートを使いながら、「尊重しあえるコミュニケーションとは」「家庭の中の暴力」「感情と気分」「尊重しあえるコミュニケーションを図る方法」のテーマを取り扱う。また認知行動療法の考え方を元に、自分の暴力のエピソードを、出来事(A)・考え方(B)・感情(C)・行動(D)にわけて分析することを繰り返し行う。ワークシートはどのテーマでも用い、各回のテーマはここで提示されている4通りだけではない。
後半のセッションの一つには、ゲストとして被害者支援の専門家が参加して「被害者とこどもへの暴力の影響」として体験談を語るという内容もある。
Ⅳ方法
特に年間の実施回数は決めておらず、毎週月曜日2時間のグループワークを12回1クールとして行う。定員は決めていないが5~10名程度の参加で、初回面接は3000円で、プログラム全12回分・パートナーへの説明会1回分・資料代・フォローアップセッション費が含まれた36000円は一括振り込みである。
行動変容の考え方は、カナダのブリティッシュ・コロンビア州の基準となっている、「Respectful Relationship Program」をモデルに、本人の変化への動機づけを高め、やる気を起こすことをこころがけている。動機付け後は認知行動療法などを取り入れた心理教育の手法を行い、病気を治すモデルではなく、信念を変えていくことと、新たな行動スキルを身につけていくというやり方。被害者支援の一貫として行っている。
DVは嗜癖行動と似ているが、加害者は暴力という行為を選択していると考え、暴力を嗜癖、つまり病気とはとらえない。また加害者の幼児期の被害体験に焦点を当て受容的カウンセリングを行うよりも、過去の暴力の責任をとり、暴力でない行動を選択できる人であるとして、男性の主体性を尊重する対応をしている。
進行は参加男性にとって男女の尊重しあえる関係のモデルになれればという意図から、対等な関係の男女ペアのファシリテーターによって行われている。女性ファシリテーターは、直接的には被害女性の支援員ではないが、男女両方の司会者が被害者支援に貢献するつもりで活動している。

③プログラムへの参加要件
プログラム参加によって妻を取り戻したいという場合もあるが、動機や経緯はどうあれ、話を聞いて適切であれば参加していただいている。教育前の純粋な男性の動機としては、夫婦関係を修復したいというのがスタート時点ではあるが「夫婦関係を修復するための機関ではなく、自分の行動を振り返って変えるための手伝いをするところであり、あなたがこんなに変わりましたとあなたの代わりに妻に言ったり、妻を説得したりしないし、認定書も修了書も出ません」と初期の段階からオリエンテーションでは話し、場合によっては参加を断ることもある。参加男性のために設定しているオリエンテーションでは、事前にプログラムの説明を聞くことも可能で、プログラムの概容、進め方、宿題について説明をした後での参加になっている。このような初期面接は、再被害を含めて被害を最小限にとどめるために必要であると考えている。
調停中でも参加は可能で、司法関係者にオープンにしていただき、理解を得ることでプログラムの効果を高めたいと思っているが、調停を有利に運ぶことを目的とした参加ではないことを理解してもらっている。

④プログラムの評価
現在は心理テスト等での測定はしていないが、必ず被害者とのコンタクトを欠かさないようにして、被害者の安全感が増したかどうかという点は、評価の重要なポイントである。将来的には、参加男性、被害女性の双方からインタビューや質問紙によってプログラムの評価を得ていかなければならないが、評価において一番大切なことは、被害女性が、前と比べて安心を感じられるようになったか、という点であると思われ、評価についても課題の一つだと思っている。

⑤プログラムの実施団体
Ⅰプロフィール
名前の由来はカナダブリティッシュ・コロンビア州のプログラムの名称であるRespectful Relationship Program(尊重しあえる関係のためのプログラム)の頭文字から取った。NPO法人として運営され、精神科医・臨床心理士を中心として構成された10人のスタッフが在籍している。
現在はDV加害者に関する調査・研究事業と共に、プログラム実施の結果をもとにした研究会の開催をしているが、DV被害者支援事業として、被害者である母親とその子どものためのプログラムの開催、DV加害者のためのファザリングプログラムとして、暴力を振るわない父親になるためにというテーマでのプログラムも考えている。
また加害者に責任を求める点では、DVプログラムと性犯罪者治療とは似ていると言える。そのためにDVのみならず、性犯罪被害者や性犯罪者の家族に対する支援も行っていく予定で、こういった被害者を対象とする公的機関・児童相談所・カウンセリング機関・シェルター・精神科医療機関・大学・研究所等と横断的にネットワークを形成し、暴力によって傷ついた女性や子どもを早期に確実にケアすることによって、様々な心身の障害、犯罪等を予防する団体として機能していきたいと思っている。
さらに、専門家向けワークショップを時々開催しており、専門家の育成にも力を入れていきたいと思っている。
Ⅱ他機関との連携
男性の紹介経路として東京ウィメンズプラザ、精神保健福祉センター、児童相談所からの紹介、また地方裁判所のサービスで紹介ということもあるが決して多くはない。各機関は問い合わせのあった男性に対し、DV加害者教育プログラムをやっている団体として紹介して下さっているようだ。現在は、被害者が原宿カウンセリングセンターにたどり着き、カウンセリングを受け始め、その中の一部の夫が妻からの薦めで団体のプログラムを受講するという流れがあり、原宿カウンセリングセンターとの連携は多いと感じる。
団体が企画してきた被害母子への研修企画やワークショップ実施には、児童相談所、家庭裁判所、シェルターなどにも案内状を送り、多くはないがシェルターの方も参加されている。今後は、ウィメンズプラザや各地のシェルターと共に綿密な協働を行っていきたいと考え、司法関連機関へも宣伝していきたいと思っているが、まだ実現できておらず今後の大きな課題の一つだ。
Ⅲ被害者への支援
被害者の安全が最優先されるために、説明会以外は随時、妻から求められた場合など連絡が行われているが、参加者の具体的な発言内容は伝えないようにしている。被害女性が必要ならば、被害者支援機関を紹介して緊急には対応している。

⑥今後の課題
加害者対策の必要性の一つには、夫がプログラムを受けてくれれば、その間暴力がないから妻としては安心できることが考えられる。またシェルターに逃げた人の何割かは家に戻る実態があり、避難後はストーカーされる可能性があるが夫がプログラムに参加することにより、その危険性が減り、より女性の安心感は高まる。日本ではDV加害行為が厳罰化していないという土台の上では、何らかの加害者への施策がない限り、被害者の安全性は確保されないことになる。シェルターに逃げる対象者だけを援助の対象にしても不十分であり、同居例など離婚の意思が固まっていない被害者は潜在的には相当存在する。これには支援が必要だし、その場合、逃がすだけの方法ではニーズとずれるわけで、こういう対象者に対して加害者プログラムの存在が意味を持つのではないか。それは被害者支援の裾野を広げることになる。暴力について認めない人はプログラムの対象にならないが、多くの参加者は暴力の自覚は薄い。彼らに対し参加の意欲を育てることは重要なので、Motivational Interviewingの手法を用いている。自覚を促すためのシステム作りが必要と今後は思われる。また、子どもがDVを目撃することが虐待となること。DVと児童虐待が同時に起こるケースが多い状況を鑑みると、DV加害者のためのファザリングプログラムが必要となる。(図2-2)
自治体がプログラムを実施する時に、同居例についての問題が生じると思われる。加害者は○○が担当し、被害者支援は○○がやるとなった時に、支援体制の状況を知る○○は名乗れないことになる。内閣府の事業としてプログラムをやった時、加害者からのバッシングを恐れて、支援員が名乗らないで被害者と関わったというエピソードがあった。加害者プログラムを実際にやるとなったら、同居夫婦の被害者支援もやっていくと踏み込んでいく必要があり、現在のような、逃げてかくまうという支援の体制だけでは無理がくることになる。支援体制そのものの変化が必要となってくる。
図2-2 RRP研究会チラシ表と裏


(3)原健一氏
①プログラム実施の経緯
結婚後、男らしさにとらわれているという自覚から26才の頃から自分さがしを始め、98年に「メンズリブ福岡」を立ち上げた。「メンズリブ福岡」では市民運動やDVに関心のある人が集まり、家事や子育てについての活動を行った。その後、非暴力トレーニングを志す有志二人で「メンズサポートふくおか」を2001年に発足した。

②プログラムの概要
Ⅰ目的
被害者支援としての加害者対策であり、非暴力トレーニングという位置づけであって、「DV加害者更生プログラム」としては行っていない。
Ⅱ対象
あくまでも任意参加で、参加者は妻からの要請や離婚が差し迫った男性が多く、自発的に参加する者は稀である。そのため参加当初は、いかに妻に許してもらうか、という思いを持っている。プログラムの対象にはなり難い「自覚のない、危険な加害者」に対しては今のところアプローチすることは考えていない。
Ⅲ内容
テーマは「出会いのワーク」「自らの暴力を語る」「DVについて」「怒りのコントロール」「性別役割分業について」「良き夫、良き父になる」「相手と自分を大事に思う」等で、DVや性役割分業についても学んでいる。前半は暴力を知ることから始まり、後半は行動の変化を中心に語ることを主体に行っている。
Ⅳ方法
1年に1回、9月から隔週2時間のグループワークを7回、7回分5000円で、定員15名で行っている。尚、参加2回目以上の方は、7回分2000円となっている。
行動変容の考え方は、男性が社会で要求される男らしさという価値観に縛られた結果、暴力という手段を身につけてしまったと見做している。ゆえに、男性がそのことを認識し、縛られた男らしさについて本音で語り合う中でグループでの情緒的共感を持った時に、暴力はやめられる。立ち上げ当初は非暴力トレーニングを実施する関西のグループのワークシートを使用し連携もあった。
暴力への衝動を感じた時にその場を離れるタイムアウトの方法や、自らの被害体験も焦点に当てながら行い、終了後は「メンズサポートふくおか」に参加する男性もおり、これがフォローアップの役割を果たしている。

③プログラムへの参加要件
プログラム参加にあたっては事前に面談を行い、自分を変えようという動機よりも、妻を捜すためや復縁のために有利にしようという意図がある場合は、断ることがある。

④プログラムの評価
プログラム評価に対しの測定はしていないが、妻の責任を強調し妻のことを過度に考えていた男性が、プログラムに参加することで落ち着きを見せるようになっている。別居から同居に至る例や、離婚しても妻との関係を新しく築いている男性もいることを考えると良いと思う。
またワークが続くかどうかは、家族の協力に関わっていることが多い。家族の協力がなくとも、男性に変わる努力をしてほしいと考えてはいるが、例えば、妻が夫の非暴力プログラム参加を好意的に評価したり、些細な変化をほめたりすることが、男性にとってのこのプログラムを継続する動機付けになると考えている。実際には妻の理解がさほどなくても、グループに参加することで精神的な落ち着きを実感し、生活の質の向上を体感出来ている男性に関しては、継続が叶っている様子である。

⑤プログラムの実施団体
Ⅰプロフィール
「メンズサポートふくおか」は現在、非暴力ワークの実施と、非暴力を目指す加害者の相談を受けている「メンズサポートふくお。か」のメンバーの声掛けで「クワイエットライフ」も発足した。これは自助グループとして機能していくことを目指しているが、現在は適宜、同氏の関与がある。尚、「メンズサポートふくおか」の発足一年後からは一人で運営している。
グループ運営を含め、非暴力トレーニングのファシリテーター、相談も一人で行っているがスーパーバイザーはいない。また被害者支援の経験はあるが、対人援助職としての専門知識及び資格を持っていなかったため、卒業はしていないが放送大学で心理の単位を取得した。将来的にはスタッフとして、回復したメンバーを活用したいという意向はある。
トレーニングの話し合いの場では、ファシリテーターとして受容的共感的に傾聴し信頼関係を築くようにしている。
Ⅱ他機関との連携
関係機関との連携やDV被害者支援を行う福岡市内近郊の公的・民間シェルターとの連携はないが、プログラム理解への働きかけもしていない。ただ自治体から加害者の相談がある場合などには対応している。
Ⅲ被害者への支援
被害者の必要に応じ、機関窓口を紹介するという情報提供をしたり相談にものったりしている。基本的に妻側の立場に立っている。プログラムで男性が変化したように見えても、妻が変化を認めない場合には特に妻側に立つことを原則としている。

⑥今後の課題
北九州市内で今年9月より非暴力トレーニングを募集したが、参加者は少人数という現状であった。そのために4回で切り上げた。初めて北九州で活動し、状況が見えなかった。
加害者プログラムに対する、世間の認知度の低さを痛感している。そのための何らかの窓口を設置出来ないかと考えている。
福岡市内ではアミカス市民グループ活動支援事業で今秋からワークを行っているので、地道に今後も行っていく。
メンズ図2-3 サポートふくおか非暴力トレーニングチラシ


(4)山口のり子氏
①プログラム実施の経緯
かつて駐在したシンガポールで女性団体に所属し、電話相談やDV被害女性の支援に関わっていた。相談内容から日系企業で起きていたセクシャルハラスメントが明らかになり、女性団体で調査を行いメディアに公表した。北京で開催された世界女性会議には、シンガポール代表団の一員として参加した。その後ロサンゼルスに移って臨床心理学を学び、カリフォルニア州認定のDV被害者支援トレーニングやDV加害者プログラムのファシリテーター向けトレーニングを受けた。帰国後、2002年に海外での経験を生かしてアウェアを立ち上げた。‘aware’はシンガポールの女性団体の名称でもある。

②プログラムの概要
Ⅰ目的
DVはする側に責任があると考え、加害者プログラムの実施こそが本当の被害者支援となることを確信し、男女平等の社会づくりを目指して実施している。
Ⅱ対象
日本語で日常会話が出来る海外の人を含めた男性の異性愛者
 DVをやめたいという意思を持つ人
精神疾患がない人
アルコール、薬物依存症でない人
ファシリテーターから被害女性の女性に連絡をとることを了承する人
Ⅲ内容
・暴力とは何か
・刷り込まれた男らしさ女らしさ
・自分の暴力的態度
・パワー(力)とコントロール(支配)
・DV行動の背景と間違った信念
・暴力の種類
・タイムアウト
・暴力をふるってしまった相手の気持ちや傷
・子供への影響
・相手を尊重するパートナーシップ
・特権意識に気づいてやめる
・暴力容認認識に気づいてやめる
・I(アイ)メッセージ
・怒りをもたらす考え
・ポジティブなセルフトーク
・怒りのコントロール
・ストレスマネージメント
・コミュニケーションスキル等
Ⅳ方法
毎週2時間×52回(1年間)が1クールとなる。料金は1回3000円で、参加希望者は事前面接を2回受けていただいく。料金は1時間8000円。
1対1で行う心理療法の形は取らず、グループでの教育的訓練として行う。
カリフォルニア州認定のDV加害者プログラム実施者向けプログラムを修了し経験を積んだ女性ファシリテーターが、女性や被害者の代弁をしながら、カリフォルニア州認定のプログラムを応用して進める。
行動変容の考え方をアウェアでは、DVは間違って学んでしまった価値観が原因で起きると考えている。妻が独自の感情を持つことにすら気づかないその価値観は、加害男性が女性を支配して自分が楽に生きる生き方を支えている。価値観を変えることは、自分がいかに弱く卑怯であったかに気づく過程であるため、不安や痛みを伴う。しかし参加者は自分の気持ちをグループの中で語り、仲間の話を聞き、体験や痛みを共有することでお互いに心を開いて助け合い、気づきを重ねていく。心理療法でなくあくまでも教育的訓練としてプログラムを実施している。

③プログラムへの参加要件
土曜の夕方、夜そして日曜の午後に設定した3つのグループに、それぞれ8人から10人程が集まる。継続状況は加害者側の事情により一定ではない。途中でリタイアする理由としては、プログラムに法的強制力がないこと、妻が離婚を決意したら加害者の参加動機がなくなる、転勤等が挙げられる。

④プログラムの評価
プログラム評価に対しての測定は、本人による自分の評価とパートナーによる加害者評価(可能な場合)を実施している「DV。加害者プログラムで真に変わる人は少ない」。
この仕事に携わる者は、そう明言すべきだと考えている。変化のためには本人の強い動機や外圧(法的強制力、妻からの勧め)が必要であり、そのうえであっても長い時間を要する。

⑤プログラムの実施団体
Ⅰプロフィール
DV加害者プログラム、デートDV防止プログラムを実施し、各種講座や研修会、講師・ファシリテーター派遣、行政や教育機関のための冊子・パンフレットの製作請負などを行っている。
Ⅱ他機関との連携
NPO法人レジリエンスや行政機関
Ⅲ被害者への支援
加害者のパートナー女性にも会い、首都圏在住の場合は「傷つきのケア」としてレジリエンス(有料)を紹介する。被害者に経済的余裕がない場合には、行政による支援を勧めている。月1回アウェアによるDV被害者女性支援講座を開いている。

⑥今後の課題
男女ペアのファシリテーターによる実施の実現で、男性のみでは同性である加害者の言葉に共感しがちになり、被害女性の本当の痛みを加害者に伝えることが出来ない。また、お互い尊重し合ういい関係の男女ペアのファシリテーターの存在そのものが、加害者にとって新しい男女の在り方のモデルとなる。
周到な被害者支援のためには加害者プログラムに法的強制力を持たせる必要性があるが、それは社会の役割と考えており、アウェアとしては人々の意識を改革することで、社会的な仕組み作りを促している。
2-4 アウェア発行書籍『DV加害者プログラム資料集』


(5)各プログラムの考察
草柳氏のプログラムは、DVを嗜癖の問題から捉え、3本立てのプログラムを作っていた。それは加害者がどこからでもいつからでも参加しやすく、時間のない人や会場から遠くの人、経済的問題をかかえる人にも対応できるようになっている。加害者にとっても行きやすいプログラムだろう。
妹尾氏のプログラムは、内閣府の委嘱事業として東京都が同年に施行したDV加害者更正プログラムの開発・実践に関わった経験から、課題や改善の方向性が明確になっていた。またDV加害者を夫としてだけの捉えでなく、父親としてのアプローチからの捉えも可能であることは、児童虐待の分野では関心を持たれやすい。さらに男女ペアのファシリテーターによるプログラムは、男女の関係性回復モデルを提示でき、内閣府が提示している満たすべき基準及び実施に際しての留意事項に準じて行われていることから、被害者が安心感を持ちやすい。
原氏のプログラムは福岡県内の人が立ち上げた親しみがある。妻の協力がプログラムの後押しになるようで、参加料金も低料金である。トレーニング終了後には自助グループ参加も可能であるが、不安な時は個人カウンセリングもあり、一人の主宰者から長く支援を受けることができるよさがある。
山口氏のプログラムは1年間を通したプログラムのために、じっくりと自分の行動を見つめ直す時間を持てる。そのために、その間は女性にも暴力が及びにくいと考えられ、被害女性が安心感を持ちやすい。また女性によるファシリテーターであることから、参加者による女性蔑視の発言に対しては注意が向きやすい。さらに被害経験を持つ女性のゲストにも参加していただくことで、加害者にとっては自分の妻子への振り返りが容易となり、関係作りの第一歩になるだろう。
以上4つの加害者プログラムを紹介したが、それぞれのプログラムの良さがあり、また検討しないといけない点もあったが、国内で実施されている加害者プログラムの大半をここで伝えることができた。次に、加害者プログラムを実施する上での世界標準の基本的考え方を、波田あい子氏へのヒアリングから検証したい。
それは「DAIPのドゥルース・モデル」と言われるもので、米国のDV加害者対策の理念と方法の骨格を創り広め、世界のDV裁判制度に影響を与えたといわれている。内閣府が2004年に東京都と千葉県に委嘱して加害者プログラムを試行的に実践し検証した調査研究では、千葉県がDAIPのドゥルース・モデルを土台に、現在の日本の状況に即してプログラムを作成し実施している。
波田氏は実際にはプログラムを実施していないが、権力と支配の車輪や平等の車輪で知られているDAIPのドゥルース・モデルを翻訳し、日本に紹介されているので、それをここで紹介する。


(6)波田あい子氏
①米国ドゥルース・モデル翻訳までの経緯
1993年からAKKシェルターで被害者支援に関わり、97年には東京都が行った女性に対する暴力調査の検討委員を務めた。その後、東京都が2001年から始めた「男性のための悩み相談」の相談員とスーパーバイザーに就任した。1年間行ったが、男性は自分の悩みを話せない者が多く、相談が成立しにくいと感じた。またDV加害者でセラピーに通う人や自身が暴力を振るってしまうのではないかと不安を持つ男性においては、問題に対して真剣に取り組む傾向があるのも事実である。またDV加害者には犯罪としての矯正治療の取り組みが必要であるとも感じた。
この後、薬物依存の施設見学のためにハワイに行ったおりに被害者支援団体を訪れた。その時に、加害者男性を教育するカリキュラムについてのコピーをいただいた。それを読むうちにDV加害者プログラムに関心を持たれはじめた日本に、理念や方法を伝えるために必要な本だと思った。翻訳許可を得てドゥルース・カリキュラム翻訳研究会として、実際のカリキュラム本ではなく、裁判所命令によるプログラム受講命令のない日本では、ドゥルース・モデルの理念や方法を中心とする方がよいとの著者の判断で、2001年度東京ウィメンズプラザ民間活動助成事業の助成を受けて、2002年に報告書として翻訳は発表された。
ドゥルースの報告は内閣府男女共同参画局の会議の中でも行われ、内閣府男女共同参画局配偶者からの暴力加害者更正に関する研究会の専門委員として「平成15年度配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究配偶者からの暴力に関する加害者向けプログラムの満たすべき基準及び実施に際しての留意事項」を報告した。報告書の中にある「配偶者からの暴力に関する加害者向けプログラムの満たすべき基準及び実施に際しての留意事項」は、ドゥルース・モデルを土台としている。
内閣府が2004年に東京都と千葉県に委嘱してプログラムを試行的に実践し検証した調査研究では、千葉県がドゥルース・モデルを土台に、現在の日本の状況に即してプログラムを作成し実施している。

②米国ドゥルース・モデルのプログラム概要
Ⅰ目的
以下5つの目的がある。
暴力の意図や暴力に至った信念について考え、暴力がパートナーの行動や考え、そして感情を支配する手段であることを理解できるように援助する
暴力を振るうに至った文化的社会的背景を考え、自分の暴力の根源に何があるかを理解できるようにする
自分の行動が悪影響を与えていることを見つめ直し、行動を変えたいと決意を深める
暴力被害に責任を取るように手助けし、被害を受けた人へ謝罪し説明できるような変化へ踏み出せるように力づける
非支配的非暴力的な女性との関わりについて考え、暴力的な態度をいかに変えるかについての実践的な情報を提供する
Ⅱ対象
裁判所命令による参加が大半である。
Ⅲ内容
女性が感じる現実や体験が加害者グループの討論に入っていること
男性がどのように社会化され、それが暴力行使にどう影響を与えるかを説明すること
ファシリテ-ターは、男性が直面する個人的問題(たとえば、経済的な問題、生育歴、人生観、健康問題、情緒的な事柄など)を抱え込みすぎないようにすること
これらを抱え込みすぎると、プログラムの目的((1)目的に書かれた5 つの目的)から逸れてしまうことになる恐れが大きい
2人の関係ではなく、自分自身と自分の暴力行使を中心に話をすること
自分の態度を変える様々な方法を実践できるように手助けすること
以上の全てを実現するために、支配の記録、行動計画表、ビデオの教材などを使い、ロールプレイや討論など、「非暴力」「威嚇的でない態度」「尊敬」「支援と信頼」「説明責任と誠実さ」「性的尊重」「パートナーシップ」「交渉と公平性」などのテーマで、各3週間
以上学ぶ。日本でも有名な教材の一つには、権力と支配の車輪(図2-5)や、平等の車輪がある。(図2-6)
図2-5 権力と支配の車輪図2-6 平等の車輪
Ⅳ方法
グループワークであり、男女のセラピストによって進行され、対加害者セラピストと対被害者セラピストは別々であることが原則である。男女ペアのセラピストによって行われている理由は、女性ファシリテーターが入っていないと、女性を軽視する態度が参加者からあぶり出さることを見過ごさせないためである。男女ペアは対等な男女の関係がどのようなものであるかを、参加者に対してロールモデルとして見せることができる。それが重要なことでもある。
行動変容の考え方は、社会的・文化的メッセージの中に、男性が女性を支配することが正しいとするものがあり、それは男性が暴力を振るう原因の一つになっている。とする女性解放運動の考え方からのアプローチを柱としている。

③プログラムへの参加要件
初回面接ではアルコール依存・薬物依存・精神疾患などがないかのアセスメントを行う。深刻なこれらの問題を抱えていると、グループ参加者にとってマイナス効果を生むこともあり、参加が適当と言えないためである。

④プログラムの評価
被害女性と地域社会に対する説明責任を果たすという観点から、プログラム参加による効果評価を重視している。内容ではプロセスや結果の評価が重視され、実施方針に関する評価、介入効果に関する評価、暴力行為の常習性に関する評価、深刻度評価などを行っている。また、被害女性と支援者が加害者プログラムの各段階で監視や評価に積極的に関わってもいる。

⑤米国ドゥルース・モデルのプログラム実施団体
Ⅰプロフィール
1980年、米国ミネソタ州ドゥルース市で起こった事件を契機に、DAIP(ドゥルース家庭内暴力介入プロジェクト)は生まれ、DVは犯罪であり、加害者は行為に対して責任をとること、被害者の安全を守るのは地域社会の責任であるという原則を作り上げた。
被害女性支援をしていた人たちによって作られた米国では有名なプログラムであり、米国のDV加害者対策の理念と方法の骨格を創り広め、北米における加害者プログラムのほとんどが、ドゥルースの概念を基本においていると言われる。また世界のDV裁判制度に影響を与えたとも言われている。
Ⅱ他機関との連携
加害者対策と被害者支援は密接につながっていなければいけないが、アメリカでは法的にそれができており、両者をつなげているのが民間機関のDAIPである。DAIPの役割は、加害者対策と被害者支援の全体的な連結だけではなく、警察・刑務所・検察・シェルター・裁判所・保護監察局・精神保健機関などの参加機関が、個々の機関の独自の判断で決定することがないように職員の裁量権を制限している。さらにそれらの機関が暴力行為の全責任は暴力を行使した者に帰すこと、被害者擁護の立場に立つこと、加害男性との接触は暴力をやめさせるための地域社会の努力の一環であり、加害者擁護のためではないという合意された政策通りに行動しているかの監督機関の役割を果たすようになっている。男性の暴力逃れのいいわけにさせないためにも地域の支援機関との協力は必要である。
Ⅲ被害者への支援
対被害女性セラピストから参加者のパートナーに連絡を取り、彼女の話を聞き、女性向けオリエンテーションや援助グループの参加を呼びかけ、加害者プログラムについての説明、再犯報告について、支援情報などの安全のための計画作りを手伝っている。被害者セラピストは常に被害女性の情報をDAIP(ドゥルース家庭内暴力プロジェクト)に伝え、また男性側の現状をパートナーである被害女性に伝えることをDAIPで行っている。

⑥今後の課題
対加害者治療プログラムを実施することは予算がかかる割に効果は薄いと考えられ、現在日本で行われているプログラムは自主的に受けている人たちだけである。したがって、良質の加害者しか扱えない。そのために効果を問うには無理があるが、このまま法制度の変化がないのであれば、民事の保護命令が出た後にそれを違反した場合は刑事として、中間処分としての加害者プログラムを受けさせる可能性も存在してよいと考える。そして危険な加害者には教育プログラムよりも、刑務所内で行われる何らかの課題も必要となるのではないだろうか。
諸外国ではDV加害者に対して、逮捕・裁判を行い、更正の見込みがあると裁判所が判断した者に対しては加害者プログラムを行うようになっている。法的強制力がない日本ではドゥルース・モデルの基準は厳しく、厳密には現在の日本にはドゥルースプログラムの実施は無理がある。しかし、法的強制力がなくてもドゥルース・モデルを理解して知っておくことは必要なことである。特にドゥルース・モデルでは男女のペアによるファシリテーターを起用しているが、日本では女性は男性の補佐としての役割を与えられがちであるために、ドゥルース・モデルを行うには無理があるかもしれない。男性とは何かを理解し自己分析を行い、自分の暴力性や攻撃性についてよく知っている男性セラピストを育てる必要がある。また対等な関係を生み出すためには、男女セラピストの関係性の成熟度が重要である。相互に自己主張しながら対等な良い関係のファシリテーターのペアを作り出すことは、男女の関係性モデルを提示することができ、加害者が暴力の回復に向けての第一歩の始まりともなるために、そのようなペアが生まれることでドゥルースモデルが実施可能となる。
DV対策に関する基本原則は「被害者の安全」をいかに確保するかにある。さらに言えば、被害者の安全を確保しながら被害者を救済し回復の道筋に導くことである。
加害者に回復の教育プログラムを提供する場合はこの基本原則に照らして、被害者の安全および回復に向かう回路を阻害することのないプログラム提供でなければならない。このことを具体的にする条件は以下だと考えられる。
加害者プログラムの実施主体はネットワークという形であれ連携という形であれ、被害者支援の団体や組織等の枠内にあること。
加害者プログラム提供者は、被害者支援の経験があり被害者の置かれる実態について充分に理解していなければならない。
加害者プログラム提供者が男性でDV加害からの回復者である場合は、とくにの条件が重視される必要がある。
加害者プログラム提供者はフェミニズムについてある程度勉強をして理解している必要がある。
加害者プログラム提供者は異性とフェアーな関係で親密になることのできる人であることが大きな条件になる。
加害者プログラム提供者は、一般的にセラピストに課される要件を満たしていることが必要である。


(7)ドゥルース・モデルの考察
シェルターなどで被害女性支援をしていた人たちによって作られたドゥルース・モデルは、女性解放運動の中から生まれた。地域全体での介入プロジェクトである。
プログラムを実施しているDAIPは民間団体であり、加害者対策と被害者支援そして各機関を結びつけている。このようなことが可能なのは、日本とは違い加害者への処罰が法的に存在していることにある。処罰した加害者を放置すれば同じことを繰り返すために、それを阻止するためのプログラムが必要となった。しかしそれは、被害者支援を含めた介入とつながっていなければ、加害者に利用されることになるために、地域全体での介入プロジェクトが必要となった。どんなにりっぱな加害者プログラムであっても、地域の被害者支援団体とのつながりがなければ、加害者に利用されて危険であることがここでわかる。
暴力はいらつきや怒りから起こるのではなく、権力を持つ者が支配関係を正当化し、そして強化するための手段として暴力を振るうとして説明される「権力と支配の車輪」や、相手との支配的でない非暴力的な関係について「平等の車輪」などを使い、プログラム参加者に伝えている。暴力は、2人の関係が破綻したからでもなく、アルコールなどの問題があるからでもなく、怒りのコントロールができないからでもなく、加害者は暴力を選んでいるという見方を通してプログラムが実施されている。ドゥルース・モデルから考えると、暴力を嗜癖と捉えることも、怒りのコントロール法の一つでもあるタイムアウトも、暴力を選んでいる加害者には通用しないと感じられる。
男女ペアのファシリテーターによるプログラム実施は、女性を軽視する態度のあぶり出し、そして男女の関係性のお手本となる効果が認められる。加害者プログラムの中で暴力がいけないことが参加者には理解できるようになっても、それを日常生活の中でどのように活用していけばよいかを考える時には、男女ペアのファシリテーターのかけ合いの話し方や接し方が学びのひとつになる。仮に男性ファシリテーターのみの場合を考えると、グループに巻き込まれる危険性も考えられるが、暴力を行使しなくなったとしても男女の関係性をどのように構築すればよいのかが理解されないままで終わってしまう。男女ペアのファシリテーターの姿は、参加者にとっては必要不可欠となるだろうが、国内では難しいことを波田氏は指摘している。
現在の日本ではドゥルース・モデルを実施するには法制度の問題などから無理が生じることが波田氏から指摘されているが、内閣府男女共同参画局が平成16年に出した『平成15年度配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究配偶者からの暴力に関する加害者向けプログラムの満たすべき基準及び実施に際しての留意事項』には、ドゥルース・モデルに少しでも近づくための留意事項が設けられている。今一度ドゥルース・モデルを基本に、被害者の安全のために加害者プログラムを検証し、被害者支援から切り離されることない加害者対策を求めていく必要を感じる。
*1 「トラウマ」心的外傷の意味。
*2 「自助グループ」同じような問題を抱えた人たちによって自主的に運営される当事者グループのことで、支援者が入るグループはサポートグループと言われる。
*3 「アダルトチルドレン」機能不全家庭で育ったことにより、成人してもなお内心的なトラウマを持っている人のこと。
*4 「摂食障害」神経性食欲不振症(拒食症)と神経性大食症(過食症)の総称。



3 本県の状況
ここでは県内で被害者支援を行っている民間団体に対して、加害者対策についての考えや機関の状況についてアンケートにご協力いただいたので結果報告する。

(1)県内団体のアンケート結果
被害者からの相談
1 貴団体では、DV被害者から「相手に暴力をやめさせるにはどうしたらよいか」というような内容の相談を受けたことがありますか。
①はい②いいえ
「①はい」「②いいえ」が同数の回答であった。
「①はい」とお答えの団体のみにお尋ねいたします。その場合、どのようにお答えをされましたか。
・「暴力をやめさせることは難しいと思う」と返答
・「加害男性は暴力をやめない。変わらない」と返答
・相談者の住まいの近くで加害者更正プログラムを実施している施設及び団体を伝える
加害者からの相談
2 貴団体では、DV加害者から「暴力を辞めたいがどのようにしたらよいか」というような内容の相談を受けたことがありますか。
①はい②いいえ
図3 - 1 被害者からの相談
図3 - 2 加害者からの相談
「②いいえ」の回答がもっとも多く7、「①はい」の回答が1であった。
「①はい」とお答えの団体のみにお尋ねいたします。その場合、どのようにお答えをされましたか。
・相談者の住まいの近くで加害者更正プログラムを実施している施設及び団体を伝える加害者対策講演会や研修会参加
3 貴団体では、加害者対策関係の講演会や研修に参加されたことがございますか。
もしくは実施されたことがありますか。
①はい②いいえ
「①はい」の回答がもっとも多く6、「②いいえ」の回答が2であった。
「①はい」とお答えの団体のみにお尋ねいたします。それはどのような内容のものでしたでしょうか。
【参加】
・加害者更正プログラムを考える講座
・加害者更正プログラムの報告
・有資格者又は実践者による報告や心理療法を学ぶ
・アウェアのDV加害者更正プログラムの研修
・CABIPのAlyce LaViolerreの講演会
・坂本安子さんの講演
・DV被害者等からの相談を受ける立場にある人を対象とした講座でのレクチャー
・全国シェルターシンポジウム
・男女共同参画フォーラムinながさき
・デートDV防止講座
【実施】
図3 - 3 加害者対策参加
・デートDV防止講座

加害者対策の考え
4 貴団体では、加害者対策についてどのようにお考えですか。【重複回答可】
①今すぐ必要表3-1 加害者対策の考え
②考えたい項目団体数
③必要だが不安も多い①今すぐ必要4
④被害者支援が優先②考えたい0
⑤時期尚早③必要だが不安も多い1
⑥わからない④被害者支援が優先7
⑦必要ない⑤時期尚早0
⑥わからない0
⑦必要ない0
「④被害者支援が優先」が大半で、「①今すぐ必要」が半数の4、「③必要だが不安も多い」が1、「②考えたい」「⑤時期尚早」「⑥わからない」「⑦必要ない」はそれぞれ0であった。
それぞれのお答えについて、その理由を教えてください。
・加害者に対しては、まずきちんと処罰するべき。そしてそこで加害者更正プログラムなどにより、他者をコントロールしないことの意味を学んでもらうことが必要と思う・必要ないとは思わないが、処罰とセットでなければ効果が期待できない
・今すぐではないが、できるだけ必要しかし被害者支援が優先
・被害者支援の為の加害者更正プログラム、加害者対策でなければならない
・加害者対策については、被害者に期待をもたせてしまうために、現実には加害者のもとを離れず危険な状態が長期化する。加害者が変わる以前に、危険にさらされるので被害者の安全確保と支援を実施し、その旨で加害者への働きかけをするならすればよいと思う
・加害者本人に対しての教育的アプローチとしての「加害者対策」については、地域でも民間が行っているらしいが、かなり限られた男性が対象で「離婚だけはされたくない」という対象者が主とのことで、あまり意義を感じない。男女を問わずパワハラを含めた加害者発生防止対策であればより強化すべきと考える。
・被害女性が自分の置かれた状況を「DV」とやっと認識を始めたばかりだと思っている。加害者対策については考えが及ばない
・被害者が増加し、社会に出ても苦しい生活をしいられる。それなのに法的な支援は限られ、支援団体にも補助金すら満足にもらえない状態で皆頑張っており、法制度もない状態で実行は危険外国人の妻に対する日本人夫からの暴力に限ってみると、加害者本人に対する教育的アプローチ(その前提として加害者本人の意思による参加)は、ほとんどなりたたない、よって被害者支援が優先

加害者対策への効果と期待
5 貴団体では、加害者対策にどのような効果を期待されますか。【重複回答可】
①被害者が安心して生活できる暮らしを取り戻せる
②被害者支援への積極的取り組み重視につながる
③加害者に自らの暴力の責任を認識させる
④加害者が暴力的・支配的関係を断ち、価値観、信念、行動を変えられる
⑤加害者が人格を尊重し合う対等な人間関係を築く
⑥予防啓発活動への積極的取り組み重視につながる
⑦関係機関の連携を確立させることが重視されるようになる
⑦関係機関の連携を確立させることが重視されるようになる
⑧その他
表3-2 加害者対策効果と期待
項目団体数
①被害者が安心して生活できる暮らしを取り戻せる3
②被害者支援への積極的取り組み重視につながる4
③加害者に自らの暴力の責任を認識させる6
④加害者が暴力的・支配的関係を断ち、価値観、信念、行動を変えられる2
⑤加害者が人格を尊重し合う対等な人間関係を築く2
⑥予防啓発活動への積極的取り組み重視につながる2
⑦関係機関の連携を確立させることが重視されるようになる1
⑧その他4
「③加害者に自らの暴力の責任を認識させる」がもっとも多く6、次に「②被害者支援への積極的取り組み重視につながる」で4、「①被害者が安心して生活できる暮らしを取り戻せる」が3、「④加害者が暴力的・支配的関係を断ち、価値観、信念、行動を変えられる」「⑤加害者が人格を尊重し合う対等な人間関係を築く」「⑥予防啓発活動への積極的取り組み重視につながる」がそれぞれ2で、「⑦関係機関の連携を確立させることが重視されるようになる」1であった。「⑧その他」の記述が4あるので以下に紹介する。
【その他】
・加害者のDV程度により違ってくる
・私たちが関わる範囲では、「加害者対策」自体がなりたちにくい
・加害者はプログラム研修をしても「変わらない」ことが明確になれば、被害者支援と予防につながるのではかいかと推測する
・本当の意味で効果があれば、という前提つきで答えています。基本的には何の期待もしていません

加害者対策課題と不安
6 貴団体では、加害者対策にどのような課題や不安があると思われますか。
【重複回答可】
①被害者の安全が脅かされないか
②被害者支援の後退につながらないか
③加害者への処罰規定がない
④加害者としての自覚がない
⑤加害者に予算を使われる
⑥加害者対策を行う場合の担当窓口はどこか
⑦加害者の被害経験を都合の良い言い訳にさせてしまう可能性はないか
⑧関係機関の理解と協力が得られるか
⑨その他
表3-3 加害者対策課題
項目団体数
①被害者の安全が脅かされないか5
②被害者支援の後退につながらないか4
③加害者への処罰規定がない7
④加害者としての自覚がない4
⑤加害者に予算を使われる2
⑥加害者対策を行う場合の担当窓口はどこか4
⑦加害者の被害経験を都合の良い言い訳にさせてしまう可能性はないか2
⑧関係機関の理解と協力が得られるか1
⑨その他4
「③加害者への処罰規定がない」がもっとも多く7、次いで「①被害者の安全が脅かされないか」が4、「②被害者支援の後退につながらないか」「④加害者としての自覚がない」「⑥加害者対策を行う場合の担当窓口はどこか」がそれぞれに4、「⑤加害者に予算を使われる」「⑦加害者の被害経験を都合の良い言い訳にさせてしまう可能性はないか」が2、「⑧関係機関の理解と協力が得られるか」が1となっている。「⑧その他」の記述が4あるので以下に紹介する。
【その他】
・警察が行うべき
・加害者対策の具体像が見えてこないので答えようがない
・“加害者は変わる”という幻想を社会にまきちらしてしまう、特に被害当事者にその期待を持たせてしまい、暴力の中に居させてしまう可能性がある
・加害者の更正プログラム受講を関係修復の材料にされることに懸念あり加害者対策優先度7 加害者対策の目的が被害者支援であるという考えのもとで、加害者対策の基準に向けて、貴団体で優先度の高いと思われる事項について、当てはまるものに○をつけてください。【回答は2つまで】
①被害者が安心できる加害者対策の存在
②加害者対策に向けての調査・研究事業の整備
③加害者対策に向けての有効なプログラムの存在
④加害者対策に向けての安全なプログラムの存在
⑤加害者対策実施団体と各関係機関との連携
⑥加害者対策実施団体の社会的ルール・専門性
⑦加害者対策実施団体のための研修事業
⑧その他
表3-4 加害者対策優先度
項目団体数
①被害者が安心できる加害者対策の存在7
②加害者対策に向けての調査・研究事業の整備1
③加害者対策に向けての有効なプログラムの存在3
④加害者対策に向けての安全なプログラムの存在0
⑤加害者対策実施団体と各関係機関との連携0
⑥加害者対策実施団体の社会的ルール・専門性2
⑦加害者対策実施団体のための研修事業0
⑧その他2
「①被害者が安心できる加害者対策の存在」がもっとも多く7、「③加害者対策に向けての有効なプログラムの存在」が3、「⑥加害者対策実施団体の社会的ルール・専門性」が2、「②加害者対策に向けての調査・研究事業の整備」が1、「④加害者対策に向けての安全なプログラムの存在」「⑤加害者対策実施団体と各関係機関との連携」「⑦加害者対策実施団体のための研修事業」がそれぞれ0であった。「⑧その他」の記述が2あるので以下に紹介する。
【その他】
・ちょっと想像がつかない
・プログラムが効果があるか否の研究、被害者の実態(数・種類等)について、もっと啓発に力を入れる

よいと思う加害者対策
8 貴団体では、将来どのような加害者対策があるとよいと思われますか。【重複回答可】
①電話相談
②面接相談もしくは個人カウンセリング
③カップルカウンセリングや家族カウンセリング
④自助グループ
⑤暴力をやめるためのプログラムやトレーニング
⑥調査研究
⑦その他
表3-5 よいと思う加害者対策
項目団体数
①電話相談0
②面接相談もしくは個人カウンセリング2
③カップルカウンセリングや家族カウンセリング0
④自助グループ1
⑤暴力をやめるためのプログラムやトレーニング5
⑥調査研究1
⑦その他5
「⑤暴力をやめるためのプログラムやトレーニング」がもっとも多く5、次いで「②面接相談もしくは個人カウンセリング」が2、「④自助グループ」「⑥調査研究」がそれぞれ1、「①電話相談」「③カップルカウンセリングや家族カウンセリング」が0であった。
「⑧その他」の記述が5あるので以下に紹介する。
【その他】
・しいていえば面接相談もしくは個人カウンセリング、ただとても勇気がいるし危険も大きい
・法律
・最低保護命令を受けた加害者は強制的実施
・カップルや家族カウンセリングは反対、避けるべき
・カップルや家族カウンセリングは絶対にやめてほしい。被害者の安全が脅かされる
・カップルや家族カウンセリングはやめてほしい

活動内容と今後の方向性
9 貴団体の現在の活動内容及び今後の方向性を教えてください。
【活動内容】
・女性と子どもの心理支援、それに関する講座、ジェンダー、女性史勉強会、グループトレーニング、セクハラ等、性暴力に関する講演会、講師・シェルターを拠点とする被害者支援活動。但し支援プログラムは充実していきたい。
・現在の活動内容は啓発、被害女性のサポート、アドボケイト1 はしていない
・DVを含めて女性に対する暴力全般を対象に被害者支援活動をしているホットライン、裁判支援、講座開催による社会啓発など
相談で最も多いのが、JFC(ジャパニーズフィリピーノチルドレン)2 の認知、養育費の問題と夫からの離婚の強要、DVの問題。女性たちからの相談を受け、男性側に受け入れてくれる余地があれば面談して、女性の気持ちや状況を代弁して少しでも暴力やハラスメントをやめてくれるよう説得する以外にはない。このような可能性がある場合は非常に少なく、無理にやろうとすると我々と女性双方に危険を伴う

【今後の方向性】
・今度はDVや虐待、性暴力を受けた女性や子ども達の心理支援をあらゆる型で行っていきたい。他団体との連携もとっていきたい。男女共同参画社会実現のために講座やグループワークを行いたい
・シェルターを拠点とする被害者支援活動。今後もこの基本は変わらないと思う・今後も活動は啓発のみになる

自由意見
10 加害者対策に対して、貴団体のご意見をご自由にお書き下さい。

加害者対策や加害者更正について
・加害者対策については、内閣府の調査結果もふまえて安易な実施はやめてほしい
・「加害者対策・更正」を先駆的というだけで安易に着手してほしくないと思う
・加害者更正プログラムをどうしても実施するなら、自分でお金を払い、かつ義務化して実施して欲しい
・社会全体が暴力を容認する意識をあたりまえとしていること、ロマンチックラブイデオロギー3 が内包するジェンダー及び「親密な関係」に愛情関係で「暴力はない」あるいは「被害者が引き起こした」とする考え方に手をつけない状況下では加害者対策を講じても効果は期待できない
・関東方面では更正プログラムらしきことをしている団体もあるようだが、危険を感じざるを得ない
・構造的に発生している問題ということをふまえ、個に目を向けて生き方や生活を変えたいと思っていない加害者に税金を投じるのはやめてほしい。
・地域で実施している主宰者の男性と話しをした際、外国人(ニューカマー)との国際結婚のケースでの相談は例がないと言われていたが、どうもこの「加害者対策」というのは、日本人同志のカップルを想定されているような気がする
・フィリピン人妻や中国人妻に対する日本人夫によるDVの場合、圧倒的なパワバランスが存在することから、夫側が妻に対して離婚を思い止ってほしいとの願いから、一緒にカウンセリングを受けたり、自助グループに入ってトレーニングをするようなことは現時点では考えられない
・DVの発生は国際結婚の場合、日本人同志の場合に比べて比率はずっと高い。従って、DVの防止策を講ずる上では、このことに十分ふまえての対応が必要と思われる法律や処罰

規定について
・まず処罰してほしい。自分が社会に対して与えた「めいわく税」を払ってほしい
・現在の配暴法に加害者の処置規定がないことが不充分
・保護・更正という視点に立てば加害者更正も必要とは思うが、それも法律があっての事だと思う
・内閣府の調査では更正プログラムに対して有効な結果は得られず、専門家も法制度がない中で行うのは困難と言っている

対策にかかわる人の専門性
・対策に関わる人もかなり専門性を持たなければ加害者を支援してしまうことになったり、自らが傷ついたりする危険性も高いと思う

予防教育や啓発
・予防教育は効果があるかもしれない
・もし今やるのなら、子ども達への教育、啓発が有効ではないだろうか。
・女性に対する暴力、人権意識が社会全体のものとなっていない現状に対し、もっと啓発を強化するべき
アンケートそのものに対して
・「加害者対策」なるものの概念規定がよくわからないので、このアンケートはとても答えにくい


(2)アンケートの考察
1 「アドボケイト」擁護や支持の意味。
2 「JFC(ジャパニーズフィリピーノチルドレン)」フィリピン女性と日本人男性の間にできた日比混血児のこと。
3 「ロマンチック・ラブ・イデオロギー」結婚はロマンチック・ラブをへた結びつきであるべきだという考え方で、恋愛結婚や近代家族のあり方を規定している。
質問1被害者からの相談・問2加害者からの相談は、シェルター、被害者のアドボケイト、啓発活動、ホットラインなどの各団体の活動内容の違いによると考えられる。
質問3加害者対策講演会や研修会参加が多いのは、DVなどのテーマで一般的に行われる講演会の中でも、加害者についてのレクチャーがされているためだと思われる。またデートDV防止講座の実施も、加害者を増やさないための研修と位置づけられていると感じる。
質問4加害者対策の考えでは、被害者支援が最優先なのは当然であるが、今すぐ必要と感じる声が半数あったのは加害者対策に関心があると感じる。ただ積極的に必要だと思っているわけでなく、現体制の元での加害者対策の危険性も感じている。
質問5の加害者対策への効果と期待は、加害者に自らの暴力の責任を認識させる回答が多く、加害者対策は被害者支援重視につながるとも感じている。加害者対策への効果と期待が薄いことが感じられるが、加害者対策の基本は、加害者の責任と被害者の安全確保の原則がここで提示されたことになる。
質問6加害者対策課題と不安は、加害者対策の原則に従っても、加害者の処罰規定がないことから、被害者の安全が脅かされることの不安が感じられ、被害者支援の後退、加害者としての自覚、担当窓口、予算などの課題も見える。処罰規定なしの体制では加害者対策は関係修復に利用されたり、問題を先送りにして被害者を暴力の中につけるために、被害者にとっては安全でないと感じている。
質問7の加害者対策優先度は、被害者が安心できる加害者対策の存在で、有効なプログラムを求めている。そのためには実施者が専門性を持って、社会的ルールの上で行って欲しいと望まれている。
質問8よいと思う加害者対策は、一般的な電話相談や調査研究よりも、暴力をやめるためのプログラムやトレーニングが欲しいと望んでいる。被害者や家族の問題とすることで、加害者の責任を回避させることにつながるカップルカウンセリングや家族カウンセリングを求めてはいない。
これらの結果から福岡県内の被害者支援団体が求める加害者対策は、加害者の変化を期待してはいないが、処罰規定のある法体制で、加害者の責任と被害者の安全確保の原則の元に、専門性を持った実施者によって社会的ルールの上で、国際結婚の人たちも対象とする暴力をやめるためのプログラムやトレーニングを求めていることが理解できる。ただそのためには安易に加害者対策や加害者更正を実施して欲しくないし、暴力を容認する風潮から脱却し、人権や女性に対する暴力などに対する啓発の強化と、予防教育が重視されないといけないと思っている。



4 今後の取組について
防止のためには、加害者対策は重DV 要であり、今回の調査では、NPO 等民間団体・機関が現在実施している加害者更生プログラムについて紹介し、併せて県内のDV 被害者民間支援団体の加害者対策についての考え等についてもアンケートを実施した。
加害者更正プログラムについては、我が国のように法的に義務付けられていない「任意参加の実施」の場合、様々な問題点があると考えられる。内閣府の「配偶者からの暴力の加害者更正に関する検討委員会報告書」(平成18年6月)の中では、任意参加によるプログラムを国が実施した場合の問題点を幾つかあげている。
(1)参加者の募集の段階において、適切な参加意思を持った加害者の参加がどのくらい得られるかということ。自分の行動・認識を改善する意思をもつ加害者のみが参加することになり、その行動・認識を矯正する必要性の高い加害者の参加がどこまで得られるのか非常に疑問がある。
(2)加害者が受講を始める動機は様々なことが考えられ、相手に復縁を迫る口実に利用したり、調停や裁判における心証を良くしようとするなど本来のプログラムの実施の趣旨と異なる意図から、プログラムの受講を開始するおそれも否定できない。
(3)配偶者からの暴力が犯罪に該当する行為が含まれる重大なものであるという認識を曖昧にしてしまうのではないかなどの懸念も聞かれる。
(4)加害者の監視体制が十分に取れず、実施中における加害者の暴力の発生の抑制という重大な問題についても危惧が残る。本格的に関与することは、無用な権威づけをすることに成りかねない。
このような問題点は、被害者支援団体へのアンケートの結果にも表れており、このため、加害者対策について、現状では、非常に否定的な意見が多数を占めている。
しかし、加害者対策を完全に否定している訳ではなく、諸条件がそろえば実施した方がいいという意見が大半である。また、加害者対策の講演会や研修会にはほとんどが参加しており、内容の把握をしないといけないという意識は見える。また、加害者対策の中で、一番望まれているものは「暴力をやめるためのプログラム」となっており、プログラムの必要性・効果が望まれている。
一方、地方公共団体では、本格的に加害者プログラムを実施しているところはほとんど無く、現状では、講演会、相談等の実施にとどまっている。現在の状況において、行政が加害者対策として任意参加の加害者プログラムを実施することは非常に困難であるといえる。
今後、被害者支援を行うNPO 等民間団体で加害者対策を進める場合、様々な団体・機関が連携して取り組まなければならないと考えられる。このため、行政及び各種団体が関連情報を加害者対策の様々な情報を共有するなど、正しい認識を広めることが必要である。
DV防止のためには、直接加害者に働きかける加害者プログラムのほかにも、予防のための啓発、特に若年者に焦点を合わせた啓発を積極的に実施していくことが必要である。


付録
DV加害者対策等に関する調査研究への御協力のお願い
時下、ますます御清栄のこととお喜び申し上げます。
民間機関の皆様には少ない予算の中で、日々被害当事者への支援ではご尽力されているのではないかと思われます。
今回、福岡県新社会推進部男女共同参画推進課と協働で「DV加害者対策等に関する調査研究」を実施しております。
調査研究を充実させるために、県下の各民間機関の状況及びお考えを把握させていただきたいと考えておりますので、御多忙とは存じますが、何とぞ御協力の程よろしくお願いいたします。
回答は2月10日までに、御郵送お願い申し上げます。
質問用紙は無記名で、結果はすべて御協力いただいた個人や所属施設を特定したり、研究目的以外に使用したりすることはございません。

平成21年1月16日
特定非営利活動法人女性ヘ ルフ ゚ネ ット ワー ク
担当:野口真理子
802-0034 小倉北区須賀町13-1
TEL&FAX 093-541-5805
jd3rm9@Eメ ールbma.biglobe.ne.jp
www7b.biglobe.ne.jp/~whnetwork/


アンケート
回答は○や記述でお書きください。
【重複回答可】と書かれた箇所は、複数に○をつけられてかまいません。
【回答は2つまで】と書かれた箇所は、二箇所のみに○をおつけください。
質問は全員同じですが、お答えによっては別の質問がある場合があります。

1 貴団体では、DV被害者から「相手に暴力をやめさせるにはどうしたらよいか」というような内容の相談を受けたことがありますか。
①はい②いいえ
①はいとお答えの団体のみにお尋ねいたします。
その場合、どのようにお答えをされましたか。

2 貴団体では、DV加害者から「暴力を辞めたいがどのようにしたらよいか」というような内容の相談を受けたことがありますか。
①はい②いいえ
①はいとお答えの団体のみにお尋ねいたします。
その場合、どのようにお答えをされましたか。

3 貴団体では、加害者対策関係3 の講演会や研修に参加されたことがございますか。もしくは実施されたことがありますか。
①はい②いいえ
①はいとお答えの団体のみにお尋ねいたします。
それはどのような内容のものでしたでしょうか。

4 貴団体では、加害者対策についてどのようにお考えですか。
【重複回答可】
①今すぐ必要
②考えたい
③必要だが不安も多い
④被害者支援が優先
⑤時期尚早
⑥わからない
⑦必要ない
それぞれのお答えについて、その理由を教えてください。
貴団体では、加害5 者対策にどのような効果を期待されますか。
【重複回答可】
①被害者が安心して生活できる暮らしを取り戻せる
②被害者支援への積極的取り組み重視につながる
③加害者に自らの暴力の責任を認識させる
④加害者が暴力的・支配的関係を断ち、価値観、信念、行動を変えられる
⑤加害者が人格を尊重し合う対等な人間関係を築く
⑥予防啓発活動への積極的取り組み重視につながる
⑦関係機関の連携を確立させることが重視されるようになる
⑧その他

6 貴団体では、加害者対策にどのような課題や不安があると思われますか。
【重複回答可】
①被害者の安全が脅かされないか
②被害者支援の後退につながらないか
③加害者への処罰規定がない
④加害者としての自覚がない
⑤加害者に予算を使われる
⑥加害者対策を行う場合の担当窓口はどこか
⑦加害者の被害経験を都合の良い言い訳にさせてしまう可能性はないか
⑧関係機関の理解と協力が得られるか
⑨その他

7 加害者対策の目的が被害者支援であるという考えのもとで、加害者対策の基準に向けて、貴団体で優先度の高いと思われる事項について、当てはまるものに○をつけてください。
【回答は2つまで】
①被害者が安心できる加害者対策の存在
②加害者対策に向けての調査・研究事業の整備
③加害者対策に向けての有効なプログラムの存在
④加害者対策に向けての安全なプログラムの存在
⑤加害者対策実施団体と各関係機関との連携
⑥加害者対策実施団体の社会的ルール・専門性
⑦加害者対策実施団体のための研修事業
⑧その他

8 貴団体では、将来どのような加害者対策があるとよいと思われますか。
【重複回答可】
①電話相談
②面接相談もしくは個人カウンセリング
③カップルカウンセリングや家族カウンセリング
④自助グループ
⑤暴力をやめるためのプログラムやトレーニング
⑥調査研究
⑦その他

9 貴団体の現在の活動内容及び今後の方向性を教えてください。
10 加害者対策に対して、貴団体のご意見をご自由にお書き下さい。
御協力ありがとうございました。


巻末参考文献
1 法律及び政令
2001 法律第31号配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律http://www.gender.go.jp/main_contents/category/DVhou.pdfにて、平成20年10月1日取得。

2 政府及び国会刊行物
総理府男女共同参画審議会平成11年
『女性に対する暴力のない社会を目指して(答申)』http://www.gender.go.jp/toshin/toshin-kakutei.htmlにて、平成21年2月20日取得。
総理府男女共同参画審議会平成12年『男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方-21世紀の最重要課題-(答申)』http://www.gender.go.jp/toshin/2000/toshin0926.htmlにて、平成21年2月20日取得。
総理府『平成12年版男女共同参画白書(概要版)』http://www8.cao.go.jp/whitepaper/danjyo/plan2000/h12/index.htmlにて、平成21年2月20日取得。
内閣府男女共同参画局平成15年『配偶者からの暴力の加害者更正に関する調査研究』
内閣府男女共同参画局平成16年『平成15年度配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究配偶者からの暴力に関する加害者向けプログラムの満たすべき基準及び実施に際しての留意事項』
内閣府男女共同参画局配偶者からの暴力の加害者更生に関する検討委員会平成18年『配偶者からの暴力の加害者更生に関する検討委員会報告書』内閣府男女共同参画局平成19年
『諸外国における女性に対する暴力の予防啓発に関する調査報告書』内閣府男女共同参画局平成20年
『東アジアにおける配偶者からの暴力の加害者更生に関する調査研究報告書』
内閣府『平成20年版男女共同参画白書(全体版)』http://www.gender.go.jp/whitepaper/h20/zentai/index.htmlにて、平成21年2月20日取得。
参議院第144回国会【臨時会】『共生社会に関する調査会平成10.11.27~12.14審議概要』http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/old_gaiyo/144/144425.htmにて、平成21年2月20日取得。
参議院共生社会に関する調査会平成12年5月25日『共生社会に関する調査報告』http://www.sangiin.go.jp/japanese/chousakai/houkoku/kyosei/kyosei00.htmにて、平成21年2月20日取得。

3 国連による刊行物
『女子に対するあらゆる形態の差別撤廃に関する条約』内閣府男女共同参画局http://www.gender.go.jp/teppai/joyaku.htmlにて、平成21年2月20日取得。
『第4回世界女性会議行動綱領(総理府仮)』内閣府男女共同参画局http://www.gender.go.jp/にて、平成21年2月20日取得。

4 自治体による刊行物
東京都生活文化局総務部男女平等参画室『女性に対する暴力調査報告書(平成9年版)
の概要について』http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/index8files/bouryoku.htmにて、平成2009年1月8日取得。
東京都ウィメンズプラザ民間活動助成事業(2001年度)
エレン・ペレス/マイケル・ペイマー著ドゥルース・カリキュラム翻訳研究会訳
平成14年『暴力男性のための教育グループドゥルース・モデル』東京都ウィメンズプラザDV防止等民間活動助成対象事業(平成18年度)
RRP研究会『認知行動療法を用いたDV加害者臨床の実践と可能性-DV加害者へのアプローチから学ぶ』
福岡県『福岡県男女共同参画推進条例(平成十三年福岡県条例第四十三号)』http://www.asubaru.or.jp/sankaku/sankaku_m.htmにて、平成21年2月20日取得。
福岡県『平成19年度福岡県男女共同参画白書』http://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/25/25648_117883_misc.pdf にて、平成21年2月20日取得。
福岡県女性財団福岡県女性総合センターあすばる平成15年『平成14年度調査研究報告書日常生活における男女の意識と女性の人権に関する調査研究-ドメスティック・バイオレンスの実態を通じて』
福岡県婦人相談所平成8年『平成7年度婦人保護のあゆみ』

5 一般邦文文献
アウェア平成17年『CABIP Toolbox DV加害者プログラム資料集』
アウェア平成20年
『DVをしてしまった男性たちからのメッセージDVって何だろう?』
草柳和之平成20年[平成16年]
『DV加害男性への心理臨床の試み脱暴力プログラムの新展開』東京:新水社
妹尾栄一平成20年『DV対象者(加害者)の処遇プログラム-国内外の実践例とその効果について参考資料集』
原田恵理子(「夫(恋人)からの暴力) 平成8年「法は家庭に入らず-夫・恋人からの暴力をめぐる周囲の対応」
『女たちの21世紀[特集]女性の人権-守るこつから創ることへ』8-11頁
婦人保護事業制度研究会編平成16年[平成15年]『婦人保護事業ハンドブック』
DV加害者対策等に関する調査研究報告書

平成21年3月
特定非営利活動法人女性ヘルプネットワーク
福岡県新社会推進部男女共同参画推進課




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