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あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-20]<ことば>プレス。道徳・教養、思考。心の肥やしを「知識のひきだし」に

<webマガジン mi-mollet>ミモレ世代の 「カラダと性」:1 宋美玄先生と考える「私たち、もっとセックスするべきですか?」

 
 <ダイヤモンド・オンライン>通知表を捨て、成績をつけない教育に挑戦した教師の記録 <デイリースポーツ>体操取材歴40年のテレ朝宮嶋泰子氏、速見コーチの暴力映像に「塚原バッシングをうのみにしていた方、目を覚ましませんか」
2018.9.7

突然ですが、みなさんは「性」についてのきちんとした知識を、どこかで教わったことがありますか? ミモレ世代であれば、大半の答えは「否」だと思います。そしてそのことは、社会における性暴力や性感染症の拡大、望まない妊娠といった深刻な問題に繋がる可能性がある一方で、より身近なところでは、「更年期障害など身体との向き合い方がわからない」「セックスやセックスレスの問題に踏み込めない」、「我が子への性教育に戸惑ってしまう」といった日常的な不安やストレスの要因ともなっているのではないでしょうか。
目の前に性の悩みが現れた時、拠り所となる知識が不充分では、解決することができません。自分なりの性の理想像がないままでは、快適とはいえない状況があったとしても「こんなものだろう」と簡単に諦めたり、流されたりしてしまいそうです。本来、「性」は、私たちが「女性らしさ」を謳歌するために一生向き合い続けていきたいもの。もしかしたら、女性ホルモンに大きな変化が起きているこの時期こそ、もう一度、性の捉え方をアップデートできるチャンスなのかもしれません。
そこでミモレは、新たに「性」をテーマとしたコンテンツを立ち上げ、みなさんと一緒に学んでいきたいと考えました。まずは性を取り巻くスペシャリストの方々へのインタビューから。信頼できる知識を味方につけ、幅広い思想に触れることで、もっと自由に、フラットに、人生後半戦における「ポジティブな性」を探っていきませんか? コンテンツのスタートとなる今回は、産婦人科医であり性科学者でもある立場から、メディアを通じて女性のための性の情報を発信されている宋美玄先生に「ミモレ世代の性との向き合い方」についてインタビュー。全3回連載の第1回目は、「40代からの性欲」と「セックスレス問題」についてお伺いしました。

女性は、閉経が近づくと 性欲がアップする!?
ー性の話題に根強いタブー感があると言われてきた日本でも、最近では、インターネットの発達に伴い、少しずつ世の中がオープンになってきました。女性向けメディアでは性に関するトピックスが増え、「女性にも性欲はあって当然」ということが、徐々に浸透してきたような。そんななか、ときどき耳にするのが「女性の性欲は40代がピーク!」とのフレーズ。「閉経が近づくと、女性としての本能が最後のひと踏ん張りを…」などと理由づけされることも多いようですが、本当のところはどうなのでしょうか?
宋:男女ともに、年齢が上がれば性ホルモンは減少していきます。医学的に見れば、更年期を迎えるくらいの年齢で性欲が増すことはなく、むしろ減っていくのが自然です。
ただ、これは私の仮説ですが、同年代のカップルの場合、まず若い頃を考えると、男性の20代は性欲満々の「したい盛り」。女性も同じように性欲があったとしても、とりあえず「男性の欲求に応えるだけで精一杯」という感覚になりやすいのではないでしょうか。それが、男性も30代後半になると、性欲が落ち着き仕事も忙しくなってきてセックスが面倒になることも。すると女性は、「昔はあんなに求められたのに…」と、自分の性欲を持て余し始めるのかもしれません。たとえば、もともと性欲が強い人でも、若い頃と変わらず頻繁にセックスをしていれば「性欲が強くなったかも」とは考えないのでは? 「以前に比べて欲求不満な状況が生まれ、性欲を自覚するようになる」ことが、「女は40代で性欲が強くなる」のカラクリかもしれません。

ー本来、性欲は性ホルモンの減少とともに減っていくものなのですね。でも性欲は、食欲・睡眠欲とともに「人間の三大欲求」と言われています。それがなくなる状態は、不健康ではないですか?
宋:別に、セックスはなくても死にませんから。もちろん「うつ病になって、すべての欲求が減退し、性欲もない」という状況であれば健康とは言えませんが、普通は年齢とともに減っていくものを「不健康」とか「ある方が正しい」と考えるのは違うと思います。確かに、とりわけ男性医師のなかには「いつまでも性欲がある方がエラい」という論調の方も。「いまどきの若者は残念だ。自分が若い頃は1日に6回マスターベーションをしていた」とかね(苦笑)。

セックスは女性ホルモンを増やし、活性化してくれるって本当?
ー女性同士でも、「性欲やセックスの有無」はマウンティングを生じさせやすいトピックかもしれません。「性欲がある方が生物として優れている」とか「求められている方が魅力的」とか「セックスしている方が、女性ホルモンが活性化する」とか。なんとなく、やっぱりしている方がいいんじゃないかと不安になりそうです。
宋:あのですね、声を大にして言いたいですが、セックスをしても女性ホルモンは増えませんよ。
患者さんでも「更年期対策だと思って、いやいやセックスをしています」という方が本当にいらっしゃいますが、世の中には、どれだけ間違った情報がまことしやかに出回っているのかと驚きます。逆に言えば、セックスをしないからといって、女性ホルモンの分泌量に影響を及ぼすことはありません。乗り気じゃないセックスなんて、頑張っても何の対策にもなりませんよ。
セックスは、したい人はすればいいし、したくない人はしなければいいものなのです。ただやはり、欲求を内に秘めたまま、夫やパートナーに相手にしてもらえないとなると、それは何らかの解決策が必要になってくるでしょう。

40代からのセックスレス。それって、悪いことですか?
ー日本性科学会によると、セックスレスの定義は「特別な事情がないにもかかわらず、カップルの合意した性交およびセクシャルコンタクトが1カ月以上ないこと」とされていますね。同セクシュアリティ研究会が行った2012年の調査によれば、40〜50代のセックスレスの割合は、約65%にのぼるという報告も。宋先生のセックスカウンセリングでも、セックスレスに関する相談は多いですか?
宋:セックスレスのお悩みは多いですね。ただ、お互いにセックスしたい気持ちがあるうえで、「性交痛がツラい」「感じにくい」ということであれば、ホルモン補充や女性用バイアグラのような薬の服用、セクシャルトイによるセルフトレーニングなど、何歳まででもセックスができるようにする治療法はあるんです。一方、カップルのうちどちらかが、相手を性的対象とみなしていない場合は、解決はなかなか難しいと言わざるをえません。家庭内EDも「私に性欲が欲しい」というリクエストも、「無い性欲」を湧かせる魔法はないのです。
でも私自身は、「たとえセックスレスでも、当人同士がよければいいやん!」と思います。セックスレスは、名前がついた途端に悩む人が急増したとも言われています。ずっとセックスがない状態でいい夫婦関係を築いていたのに、「セックスレス」と言われ始めたことで「それってダメなこと?」とギクシャクしてしまうのは本末転倒。そんな状況は、とても残念なことではないでしょうか。

ー先生のおっしゃる通り、最近は「仲はよくても、セックスしたいとは思わない」という夫婦も多いようです。また、そういった場合、「家庭の外に相手がいる」いわゆる不倫をしてセックスや恋愛感情を補っているケースもあるよう。「夫婦でセックスをする意義」を考えてしまいます。
宋:確かに、セックスレスを夫以外の人との関係で解決しているケースはありますね。私は法律家ではないので、そこに口を出すつもりはありませんが。
ただ、最近、多くの夫婦の話を聞きながら感じるのは、もしかすると、ライフパートナーとセックスパートナーが一生一致し続ける方が難しいのかもしれないということ。ちなみに「おしどり夫婦」の由来となったオシドリですら、実は何年かに1度、パートナーを変えているそうですよ。動物も含めて、「一生添い遂げる」というのは幻想なのかもしれません。日本だって少し時代を遡れば、多夫多妻制があったり、村のなかで誰が誰の子かわからない状態があったりと、ゆるい性風俗があったわけです。「一夫一妻」は現代社会を築くために必要な制度だったのでしょうが、生物の生態には合っていない場合もあるのかもしれません。
また、実は、不倫相手の子どもを妊娠して中絶に至る人は、思いのほか多いのです。「卵子の老化」や「高齢妊娠の難しさ」に関する情報が世の中に広まった結果、アラフォーくらいならそう簡単には妊娠しないだろうとタカを括ってしまうのかもしれません。でもそこは、油断大敵。どんな状況でも、避妊だけは責任を持ってしっかりと行って欲しいですね。
「セックスは、したくなければしなくてもいい」という宋先生のお話に、肩の荷が降りたという人も少なくないかもしれません。「性欲」も「セックス」も、ないことをどう捉えるかは本人次第。セックスレスの問題は、誰かの価値観に左右されるのではなく、自分自身の心の声を聞き、夫婦やカップル間で擦り合わせを行うことが、何より大切なのかもしれません。
9月14日(金)公開の連載第2回目では、宋先生が考える「デリケートゾーン」についてのお話と、誰もが通る「更年期」の心構えについて伺います。どうぞお楽しみに!

宋 美玄
産婦人科専門医、医学博士、性科学者。1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年に大阪大学医学部を卒業し、大阪大学医学部付属病院、りんくう総合医療センターなどを経て、川崎医科大学講師に就任。2009年にロンドンのFetal Medicine Foundationへ留学し、胎児超音波の研鑽を積む。2015年に川崎医科大学医学研究科博士課程卒業。現在は2017年に開院した丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、さまざまなメディアを通じて情報発信を行う。産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上をめざして活動中。プライベートでは1男1女の母の顔も。50万部突破のベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)の他、『女のカラダ、悩みの9割は眉唾』(講談社プラスアルファ新書)、『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで!』(メタモル出版)など著書多数。

撮影/目黒智子
取材・文/村上治子
構成/片岡千晶(編集部)




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