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あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-20]<ことば>プレス。道徳・教養、思考。心の肥やしを「知識のひきだし」に

<webマガジン mi-mollet>ミモレ世代の 「カラダと性」:3 マスターベーションを教えられる親子関係をめざして

 
 <読売新聞(ヨミドクター)>北海道地震で大停電「酸素もたない」…自宅の患者、医療機器停止で窮地 <毎日新聞>傷害致死:小3長男殴打の父「約束を守らず腹が立った」
2018.9.21

「ミモレ世代の性との向き合い方」について、産婦人科医・性科学者の宋美玄先生にお話しを伺ってきた3回連載。第1回目の「セックスレス」、第2回目の「更年期」に続いて、最終回となる今回は、多くの大人が手を出しあぐねている「性教育」のこと。日本の現状と、私たちがいまできることについて教えて頂きました。

「性教育に限ったことではありませんが、幼い頃から『あなたは大事な存在よ』と自己肯定感を養ってあげることは大切ですね。その上で、相手もあなたと同じように親御さんに大事に育てられたのだから、一時の欲求で傷つけたらいけないよと教えてあげてください。」

学校を待ってはいられない! 我が子を守る「家庭の性教育」を
ー先生のご著書『少女はセックスをどこで学ぶのか』を読ませていただきました。10代の少女たちの性を取り巻く環境や性行動の実態について、見過ごしてきた現実をいくつも目の前に突きつけられた気がしましたが、なかでも、少女たちのセックスに関する情報源が、多くの場合、友人や先輩たちからのクチコミによるものだという事実には、あらためて恐ろしさを感じました。
宋:そもそも日本には、性に関して、国や学校など正規のルートから発信される情報がないですからね。文部科学省が定める学習指導要領では、性教育に関して、妊娠や避妊、中絶、性感染症については教えても、肝心な「妊娠するための行為=セックス」については、教えてはいけないことになっているのです。
はっきり言って、現時点では学校に期待はできません。学校教育の改革を待っていたら、子どもたちはどんどん大きくなってしまいます。だからこそ大事なのは、親御さんひとりひとりが「せめて自分の子どもだけは守ろう」と強く意識すること。私にも6歳の娘がいますが、将来の彼氏までは教育できなくとも、その彼がもしも彼女に「お前の身体、なんかおかしくない?」と言ってきたら、「そういうことを言うあなたがおかしい!」と言い返せるくらいにはしてあげたいと思っています。

ー学校の性教育に頼れないぶん、家庭での性教育が不可欠なんですね。実際には、どんなことから始めればいいでしょうか?
宋:まず、性教育は10歳から始めるのでは遅いです。子どもは必ず、幼い頃に性的な疑問を抱くものなんです。「赤ちゃんはどこから来るの?」「どうして男にはおちんちんがあるのに、女にはないの?」と興味を持ったその瞬間が、性教育のチャンス。そんな時に「コウノトリが運んできた」だの「お星さまが連れてきた」などと言ってはぐらかしていると、子どもの方でも「この話は、お母さんに聞いても無駄なんだ」と感じ取ってしまいます。
そして、性教育の話をする際には、初めに子どもの「心と身体の性別」が一致しているかどうかを尋ねてあげてください。「心と身体に違和感があったら教えてね」とか「男の子が男の子を好きになることもあるのよ」とか。上手く答えられないこともあるかもしれませんが、親がどんなセクシャリティも受け入れる用意があることを示しておけば、子どもが将来的に違和感を覚えた時に、「話してみようかな」と考えられるのです。

ー第一段階としては、男女の身体の仕組みやセクシャリティについて、話しやすい雰囲気を作っておく。そこまでは実践できそうですが、いざ「セックス」について説明するとなると、俄然ハードルが上がりそうです。
宋:スムーズに教えるためには、男女の性器の違いから話し始めるといいですよ。ただ、一般的には「男は付いていて、女には付いていない」という言い方をしますが、これだと、子どもは文字通り「女の子には何もないのか」と勘違いしてしまいます。
そうではなくて、「男の子にはペニス、女の子にはおまたがあって、おまたには小さなペニス(クリトリス)もあるの。おまたの奥には赤ちゃんの入るお家があって、外に通じる道が繋がっている。人間は、お母さんの卵子とお父さんの精子がくっついてできるから、お父さんのペニスがその道を通って、お母さんの卵子が待つお家まで精子を届けるのよ」。たとえば、そんな流れなら話しやすいのではないでしょうか。男の子にも女の子にも、同じ内容で大丈夫ですよ。

「家庭での性教育が不可欠というのは、ミモレのようなメディアを積極的に読もうとしてくれる人には強く訴えたいこと。ただ、国全体の性教育の構造を作ろうという時に、家庭任せにする仕組みは大反対です。きちんと教育しようという家庭ばかりではないですから、国や学校がセーフティネットとして機能するべき」と宋先生。

イクメンより価値あり。マスターベーションを教えられる 親子関係に
ーなるほど、それなら淡々としていて話しやすそうですし、幼い子どもも理解しやすそうですね。でも、子どもがすでに10代に突入している場合は、どのように教えればいいでしょうか?
宋:女の子であれば、やはり身体の仕組みからセックスの話をするのがいいと思います。男の子なら、母親が教えるよりも、信頼できる書籍を渡すか、お父さんから話してもらうといいでしょう。
近頃では、子育てに協力的な父親は「イクメン」と呼ばれ重宝されますが、私に言わせれば、それ以上に思春期の息子にマスターベーションを教えられる父親をめざして欲しい! 男の子のマスターベーションは、間違った方法でやり続けると膣内射精障害の原因になることも。お父さんからスタンダードなやり方を教えてあげて欲しいです。

ー女の子の場合はどうでしょう? マスターベーションは、女性にも必要ですか?
宋:どちらかと言うと、女性もした方がいいです。なぜなら、まったくマスターベーションをしていない人が、いきなりセックスでオーガズムを得るのは難しいからです。オーガズムというのは、ある程度身体が学習しないと得られないものなんです。
女性のマスターベーションは、タブー視され過ぎていると思いますね。以前、他の病院で不妊治療をして上手くいかなかった患者さんが相談にいらしたのですが、「妊娠できなかった原因は、胚移植をした日にマスターベーションをして子宮をキュッとさせてしまったからかもしれない」と。それはまったく無関係なのでそう患者さんに伝えると、「本当は不妊治療をした病院で尋ねたかったけれど、診察室に人がたくさんいたから聞けなかった」とぽろぽろ泣き出して…。そうかぁ、マスターベーションのことってそんなに聞きにくいのかぁと、せつなくなりました。
ネガティブなイメージを払拭するためにも、やはり、女の子にも教えてあげた方がいいでしょう。私は、娘に教えるつもりですよ。

ーマスターベーションの話は、セックスにも増して教えにくそうです。
宋:そうですねぇ…、たとえば思春期になれば、誰もが性的なものに興味を持ち始めますよね。恋愛もセックスも気になって当然。だけど、目の前に勉強や受験などやるべきことがあるなら性欲ともバランスよくつき合っていく必要があります。私は、「高校生だからセックスしちゃいけない」とは必ずしも思いませんが、セックスには妊娠や性感染症というリスクがつきもの。自分自身の行動に責任を取れるようになるまでは、自分で自分を満たす方法もあるよ、と話してみてはいかがでしょう。

性教育を考えることは、自分の性行為を見つめ直すこと
ーいろいろなお話をお伺いしてきましたが、あらためて、性教育は、親である自分もきちんと教わっておらず、何を伝えればいいのか迷うことばかりだと感じます。
宋:これまで性的なことをあまり掘り下げてこなかった人は、これを機にいろいろ考えてみるといいですね。「なぜそういう行為があるのか?」ということや、セックスとパートナーシップの関係性とかね。自分の性器を見たことがない人は、ぜひ観察してみてください。また重要なのは「セックスの同意」について。「男女ともに積極的に同意していなかったら、セックスをしてはいけない」ということはしっかりと教えておくべきです。「痴漢やレイプをされるのは、隙があるからよ」なんていう教え方は絶対にダメ。「悪いのは必ず加害者で、あなたには非はないのよ」と。
本当は、男性側の意識改革も大いに必要なのです。この間も、学校を休まずにいられないほど生理が重いのに、男子から「サボり魔」扱いされてしまうという女子中学生を診察したばかり。また、時々企業などで「女性の月経とのつき合い方」といった内容の講演をさせていただくと、いまどきは男性上司や役員の方々も聴きに来てくれるのですが、「よく妻が生理でツラいって言うけど、全然わかってなかった!」という感想がたくさん届きます。男性って、いまだにそんな感じなんですよ。
自分たちも何も教わって来なかったから、わからない、わかり合えていないのが、いまの日本の親世代。あなたはその範囲内で、そんなものかと思って人生を過ごしてきたかもしれませんが、「娘さんや息子さんも、それでいいんですか?」 ということなのです。ただでさえ問題が山積みで複雑化していくこれからの世の中、このままでいいわけがありません。日本を変えるのは難しくても、子どもたちの意識だけは変えていってあげたいですね。

宋 美玄
産婦人科専門医、医学博士、性科学者。1976年兵庫県神戸市生まれ。2001年に大阪大学医学部を卒業し、大阪大学医学部付属病院、りんくう総合医療センターなどを経て、川崎医科大学講師に就任。2009年にロンドンのFetal Medicine Foundationへ留学し、胎児超音波の研鑽を積む。2015年に川崎医科大学医学研究科博士課程卒業。現在は2017年に開院した丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、さまざまなメディアを通じて情報発信を行う。産婦人科医の視点から社会問題の解決、ヘルスリテラシーの向上をめざして活動中。プライベートでは1男1女の母の顔も。50万部突破のベストセラーとなった『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(ブックマン社)の他、『女のカラダ、悩みの9割は眉唾』(講談社プラスアルファ新書)、『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK-プレ妊娠編から産後編まで!』(メタモル出版)など著書多数。

撮影/目黒智子
取材・文/村上治子
構成/片岡千晶(編集部)



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