あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅵ-G] DV・児童虐待行政対応マニュアル

ドメスティック・バイオレンス 被害者対応マニュアル(函館市)

 
 <産経新聞>元夫に娘あてがう 容疑の母親逮捕 静岡 ドメスティック・バイオレンス(DV)の被害 約5人に1人
* 当函館市の「ドメスティック・バイオレンス 被害者対応マニュアル」は、平成19年7月、函館市女性に対する暴力対策関係機関会議により作成されたものですが、その規定は、同13年(2001年)に成立した「配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律」が、被害者の子どもの保護、精神的暴力(ことばの暴力など)を加えた同16年(2004年)の改正にもとづいています。
 したがって、「婚姻関係になくとも同じ居住地で生活を営んでいる者(元を含む)に対しての保護」を加えた同26年(2014年)、改正新法としての「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」の規定は反映されていません。
 しかし、配偶者に限定していた同法を、「同じ居住地で生活をともにしている者」、つまり、同棲している交際相手(もしくは、同棲していた元交際相手)にまで拡大して適用できることから、以下のマニュアルを拡大していただければ十分に役立つものです。



はじめに
 日本国憲法では,個人の尊厳と法の下の平等を規定していますが,この個人の尊厳を踏みにじり,男女平等の実現を阻んでいるものに,女性に対する暴力の問題があります。
 女性への暴力は,国連でも重要な課題として位置づけられ,2000 年の国連特別総会「女性2000 年会議」で各国に対し早急な対応が勧告されました。こうした動きを受け我が国では,平成13年4月「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」が制定され,3年後の平成16年6月には保護命令制度の拡充などさらに効果が発揮されるように改正されました。
 この中で新たに,ドメスティック・バイオレンス(以下「DV」という。)の職務関係者に「被害者の心身の状況,その置かれている環境等を踏まえ,被害者の国籍,障害の有無等を問わずその人権を尊重するとともに,その安全の確保および秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。」ことが規定されました。
 本市におきましても平成13年5月に「函館市女性に対する暴力対策関係機関会議」を設置し,関係機関が連携して被害者の救済・支援に努めております。
 また,平成17年4月には「函館市男女共同参画推進条例」を施行し,DVを禁止事項として定めました。
 DVが被害者や子どもに与える影響は,計り知れないものがありますが,DV対応の特徴として,相談するというはじめの一歩を踏み出すための啓発から,救済,自立支援,自立した後のフォローまで息の長い対応を要するとともに,必要な支援が多方面にわたることから関係機関が共通認識を持ち,連携して取り組まなければならない問題です。
 このようなことから,このたび機関会議におきまして,DV被害者の状況に応じた適切な対応のため,平成14年度に作成した「DV対応マニュアル」を改訂いたしました。
 関係者の皆様にこのマニュアルを活用していただき,被害の潜在化を防ぎ,一人でも多くの被害者の救済につながることを願うものです。

平成19年7月
函館市女性に対する暴力対策関係機関会議


もくじ
はじめに
Ⅰ DV(ドメスティック・バイオレンス)とは 3
1 DVのあらわれ方
2 DVのサイクル
Ⅱ DV被害者・加害者を理解する 5
1 DV被害者はなぜ逃げられないのか
2 DV加害者のタイプ
Ⅲ DV被害者への対応について 7
1 相談の基本姿勢
(1)かかわり
(2)危険性の評価
重要 子どもの危険度が高いと判断される場合
(3)問題を整理する
(4)問題解決に向けて行動する
Check it 話を聴くときは
<支援者が男性の場合>
2 基本的留意事項 10
(1)機関連携による援助
(2)構造的問題としての把握
(3)安全確保の優先
(4)被害者の意思の尊重
(5)プライバシーの保護
(6)支援者自身のケア
3 対応のポイント 12
(1)DV被害者を受容する姿勢で相談を受ける
(2)話せないDV被害者を支持する気持ちを伝える
(3)二次被害を与えないよう配慮する
(4)DVは犯罪であると同時に人権を侵害する重大な問題であることを説明する
(5)DV被害者が将来の計画,目標を自分で決められるよう支援
(6)DV被害者への情報提供
(7)その他の留意点
Ⅳ DV被害者の支援体制 16
1 緊急時(危険が迫っている時)の支援 17
(1)警察の緊急介入などが必要な場合
(2)ケガをしていて医療機関を利用する場合
Check it 受診の際には・・・
2 安全確保のための支援 19
(1)緊急一時保護とは
(2)被害者が家を出る場合
(3)緊急保護したが,加害者のもとに戻る場合
(4)加害者を遠ざけたい場合
(5)加害者の追跡等の防止
(6)加害者からの問い合わせについて
3 緊急に保護する必要がない場合の支援 28
Check it 日頃の心構え
4 DV相談窓口 29
5 自立支援 30
(1)社会福祉制度
(2)仕事を探す
(3)住宅確保のための制度
(4)医療保険の加入手続きを行う場合
(5)その他
6 子どもへの支援 34
(1)夫等から逃れて別居する場合の子どもの転校手続き
(2)児童虐待が疑われる場合
7 司法手続きの支援 35
(1)法的支援に関する情報の提供
(2)離婚手続き
参考 配偶者等からの暴力に関する保護命令 37
参考 市営住宅の入居について 40
函館市女性に対する暴力対策関係機関会議 41
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律 43
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針(概要)


Ⅰ DV(ドメスティック・バイオレンス)とは
 一般的には,配偶者(内縁関係を含む)だけでなく,恋人,婚約者,同棲相手,別居中の配偶者,元配偶者,元婚約者など「親密な関係にあるパートナーからの暴力」のことで,被害者は,多くの場合女性です。DVは重大な人権侵害でありながら,「家庭内のプライベートなこと」という意識もあってなかなか表面化しませんでした。女性への暴力を生み出す根底には,女性に対する差別意識,「男は仕事,女は家庭」といった固定的性別役割分担意識が,社会システムや慣行の中に,いまだ多く根付いていることが原因の一つであるといわれています。
1 DVのあらわれ方
① 身体的暴力 「殴る」「蹴る」「髪を引っ張る」「熱湯や水をかける」「部屋に閉じ込める」「物を壊す」「ケガをしても病院に行かせない」など暴力によって女性を支配しようとする行為
② 精神的暴力 「無視をする」「口汚くののしる」「女性の役割を決めつける」「他人の前で欠点を言う」「見下す」「大切にしているものを捨てたりする」など心を傷つける行為
③ 性的暴力 「セックスを強要する」「避妊に協力しない」「中絶を強要する」「アダルトビデオ等を無理やり見せる」など本人が望まない性行為
④ 経済的暴力 「家にお金を入れない」「家庭の収入について一切知らせず,また使わせない」「お金の使い方を細かくチェックする」「妻の預金等を勝手に使う」「借金を負わせる」など金銭による支配行為
⑤ 隔離的暴力 「女性の行動,交際相手,外出先等を制限する」「女性を家族や友人に会わせない」など社会から孤立させる
⑥ 子どもを利用した暴力
「子どもに暴力を加えたり,暴力を見せる」「子どもを取り上げる」「子どもに母親を非難することを言わせる」など
(※子どもの目の前で行われるDVは児童虐待になります)


2 DVのサイクル
 下記の図はDVサイクルといわれるもので,暴力が一定期間をおいて繰り返されていく,パワーコントロール(=力による支配)の様子を示したものです。
<加害者>
女性を大切にする
過剰なまでに愛情を表現する
プレゼントをあげる
もう絶対にしないと(泣いて)約束する
<被害者>
パートナーの性格が変わるのではないかと希望を持ち,約束を信じたいと思う
自分がついていなくてはと思う
<加害者>
イライラして周囲を威圧する
言葉が荒くなる
<被害者>
暴力を予感し,それを防ぐために環境を操作しようと考える
暴力は自分のせいだと考える
暴力の再発は認めたくない
ハネムーン期
緊 張 期
<加害者>
女性が傷を負う暴力を振るう場合もある
怒りのコントロールができなくなる
<被害者>
緊張と恐怖を感じ,無力感を持つ
パートナーに従順になり,責められることを受け入れる(コントロールされる)
重傷を負い,時によって死に至る場合もある
暴力爆発期



Ⅱ DV被害者・加害者を理解する
1 DV被害者はなぜ逃げられないのか
 被害者が加害者のもとにとどまる(逃げても再び加害者の元にもどる)心理には,次のようなことが考えられます。
① 経済的依存
 夫(パートナー)がいなければ家族は生活していけない」という気持ち。
② 自立への不安
 「一人で生活していけるのだろうか」という不安
③ 妻・母親としての責任感,罪悪感
 「家庭生活がうまくいかないのは私の責任」「子どものために,家庭を壊してはならない」という思い。
④ 根拠のない楽観主義
 「暴力は一時的なもの」「本当はやさしい人だ」という思い込み。
⑤ 絶望感・あきらめ
 「男は暴力を振るうものだ」「彼が言うように,自分が悪いのだから仕方がない」「彼は外面がいいので,周囲の人は暴力を振るうなど信じてくれない」「自分が受けている暴力はたいしたことはない,他の人はもっとひどい暴力を受けている」という思い。
⑥ 報復への恐怖
 「家を出てもどこまでも追いかけてきて,もっとひどい暴力を受けるかもしれない。それならここで殴られっぱなしの方がマシ」
⑦ 孤立感・支援の欠如
 「誰からも理解や支援が得られない」という思い。
⑧ ネガティブ(否定的)な感情
 暴力が続いたことで自信をなくしており,自分を肯定的にとらえることができない。
⑨ 救世主としての誤解
 「彼(加害者)には自分が必要,彼(加害者)を救えるのは自分しかいない」「彼(加害者)が変わるのを自分が助けなければ」という思い込み。
⑩ 周囲への体面
 「周囲の人に自分の家庭内の暴力を知られることが恥ずかしい」という思い。
⑪ 愛情・執着
 愛された記憶や,暴力を振るった後の優しさへの執着


2 DV加害者のタイプ
 加害者は年代,教育レベル,年収や地位,職業の有無や種類に関係はなく,特定のタイプがないといえます。普段から言葉や行動が粗暴な人もいますが,人当たりが良く誠実そうだったり,社会的な信用がある理知的な紳士に見える人もいます。また,アルコールや薬物依存,精神障害を持つ加害者もいます。
 加害者は口がうまく,理屈っぽく理論的で,暴力を振るったことを否認するなど,自分を正当化します。暴力を振るったことを認めたとしても,「仕事で疲れて帰ってきたのに,食事の用意をしていない妻が悪いから」「妻を教育するのは夫の役目」で「愛しているから」こその暴力などと平気で言います。
 加害者の傾向として多く見られるのは,「執拗」なことです。疑い深く,所有欲が強い加害者は,妻の行動を必要以上に監視・管理しようとします。
 加害者は,自分より弱い被害者を怖がらせ,あやつるために,いろいろな暴力を駆使するのです。暴力は被害者をコントロールする手段であることを支援者として認識しておく必要があります。



Ⅲ DV被害者への対応について
1 相談の基本姿勢
 窓口で相談を受理する段階では,子どものこと,住宅のこと,経済的なことなどであっても,話を進める中でDVが確認される場合があります。

相談を受ける者の基本姿勢
①相手の話をよく聞くこと
②相手のありのままを受け入れる
③相手の心の痛みに共感すること
(1) かかわり
 相談者は「できれば他人の力は借りたくないのに自分の力ではどうにもならない状態になっている」から電話や来所相談をするということを理解しましょう。
 特にDV被害者の場合は,相談に来たことそのものに罪悪感を持っている場合もあります。いきなりあれこれと聞き始めるのではなく,まず「あなたを全面的に受けとめますよ」という姿勢を示すことで,相談に来たことの自責やためらいから開放し,被害者の憔悴を思いやります。
 被害者が安全に安心して話せるような雰囲気作りをしましょう。

(2) 危険性の評価
□ 本人若しくは子ども・親族・友人等が被害者の保護を求めているか
 加害者自身が保護を求めている場合や,子ども,親族や友人といった被害者以外の人が被害者の保護を求めている場合,本人や周囲の人が「このままでは危険だ」と感じているかもしれません。
□ 状況が差し迫っているか
 被害者が生命に危険な暴力を受けていたり,加害者から「殺す」という脅しを受けたりする場合には,被害者が殺人や傷害などの被害を受けるおそれがあり,状況が差し迫っているかもしれません。
傾聴
受容
共感
 また。被害者が「このままでは加害者を殺してしまいそう」と訴える場合も同様です。
□ 暴力が繰り返されていて,今後,重大な結果を生じる可能性が高いかこれまでの暴力で,身体に重大な危害を受けている場合には,今後更に重大な危害を受けるかもしれません。被害者が過去に暴力によると思われる骨折等の外傷によって通院,入院している場合は,暴力が繰り返されていることが疑われます。
 また,これまでに暴力を発見した人からの通報が複数であったり,過去に被害者本人からの相談等があった場合も,暴力が繰り返されていることを示します。
□ 表面化していない可能性はないか深刻な暴力が起きていても表面化していない,若しくは今後,暴力が深刻化する可能性も考えられます。被害者の話を聞き,更なる情報を収集し,状況に応じて適切な援助をすることが大切です。
<重要>子どもの危険度が高いと判断される場合
 子どもは,①目撃者として ②直接の被害者として ③DV被害者からの暴力の被害者として,DVの影響を大きく受けています。
 面接時に同伴した子どものようす(表情に乏しい,視線を合わさない,身体にアザが見受けられる)によっては,「児童虐待」として通報し,「児童相談所」と今後の対策を検討する必要があります。

(3) 問題を整理する
 危険度の判断により緊急の場合は,警察に通報します。その他状況によって被害者とともに問題を整理し,援助方法を考えていきます。
 被害者が「悩んでいることは何か」「解決したいことは何か」「どうしたいのか」を明確にし,不安材料の解消,活用できる社会資源の情報を随時提供することを心掛けます。
 相談を進めていくうち,被害者自身が口にする訴えとは異なった問題が潜んでいる場合があります。何度も繰り返される言葉(本当に訴えたいことは無意識のうちに反復していることが多い)に注意しながら話を聞いていきましょう。

(4) 問題解決に向けて行動する
 問題が整理されたら,問題解決に向けて行動します。
 情報を提供したり,他機関を紹介する段階で,その制度が利用できるのかどうか,他機関がこの被害者に適切な援助を提供しうる機関なのかどうかは,担当課や機関が判断することです。自分が分からないことは判断しないことが,連携するときには必要になってきます。
 また,単なる連絡先の紹介にとどまらず,他機関に行く被害者に同行したり,引き継ぎ先に事前に連絡するなどの配慮が大切です。
<Check it> 話を聴くときには・・・
○「それは○○ということでしょうか」と相談内容を確認します。
○相談の中で「この問題に対してはこういう方法で行ってみてはどうでしょう?」と時期を見ながら情報提供することも必要です。
○被害者の望む方向によっては,専門機関が必要になる場合があります。利用のしかたなど方法を紹介します。
○他機関を紹介する場合,十分な知識がないのに不用意なことをいうのは控えましょう。
○紹介するときは,引継ぎ先に事前連絡をとるか。状況によって同行するなど,相談が途切れることがないよう配慮しましょう。

<支援者が男性の場合>
 被害者の多くは男性に暴力を振るわれ続けてきた女性です。そのため,男性が支援にあたる場合,被害者に対し,脅威を与えてしまうこともあり得るということに留意しておく必要があります。
 相談に応じる前に「私があなたのお話を聞くことになりますが,男性ということで嫌ではありませんか」と声の大きさや言い回しなどに気をつけて威圧感のないように話しかけることに心がけましょう。
 もし「担当を女性に変えてほしい」と言われても,これは支援者個人に問題があるからではなく,その被害者が「男性」という性別に対して,安心感をもって話ができないということです。同じ男性でも,ある年齢層の男性が加害者を思い出させるということもあるので,すべての男性が支援者に不向きというわけではありません。


2 基本的留意事項
(1) 機関連携による援助
① 支援者個人ではなく組織として対応
 配偶者からの暴力により,被害者が場合によっては命を落とすなど初期の対応が十分になされなかったために,取り返しのつかない事態に至ることもあります。
 援助に関しては,組織的な対応が必要です。総合的,多角的に問題をとらえる必要があり,担当者が一人で問題を抱え込まないように心がけることが大切です。
② 複数機関の相互連携
 暴力については,問題が複合的に含まれているため,単一機関のみで援助を完結することは困難です。
 被害者の保護および自立支援を図るためには,関係機関が共通認識を持ち,日々の相談,保護,自立支援等を通じて,有機的に連携し,取り組みます。

(2) 構造的問題としての把握
 暴力の要因は,「暴力を振るう加害者は,特別な人である」「被害者の方が,暴力を引き起こすのではないか」と,あたかも個人に問題があるようにみなし,個人的問題として矮小化してしまうこともあります。しかし,DVは,個人的な問題ではなく,家庭や職場など社会における男女の固定的な役割分担,経済力の格差,上下関係等,わが国の男女が置かれている状況や,過去からの女性差別の意識の残存に根差した構造的問題であると把握することが必要と言われています。
 被害者の多くが女性であり,その女性の悩みは個人的な問題であるように見えても,文化や社会の制度の中で,「女性」であるという共通の問題が背景にあることを理解しておくことが必要です。支援者は,その理解の上に立って,総合的な視点を持って援助を行うことが望まれます。
<point>
・関係機関の相互の連携が重要
・構造的な問題として把握し,対応する
・安全確保を優先する
・被害者の意思を尊重する
・被害者のプライバシーの保護については十分配慮する
・より良い援助のためには,支援者自身のケアも重要

(3) 安全確保の優先
 相談を受けたときには「被害者は今,安全かどうか」を最初に確認します。被害者自身が自分の生き方について選択する権利および能力があることを尊重することが大切ですが,支援者は被害者が次の行動に移るときの安全についても配慮する必要があります。例えば,相談の後に帰宅するのであれば,帰宅した後の安全について,被害者と話し合っておくことが重要になります。

(4) 被害者の意思の尊重
 援助に関しては,支援者が思うとおりに進むとは限らず,歯がゆい思いをするかもしれません。せっかく支援したのに被害者が暴力を振るう加害者のもとに戻ってしまったり,将来の身の振り方について親身になって相談に乗っているのに,加害者との関係を断ち切る決心がつかなかったり,警察への届出を拒んだりすることはよくあることです。また「どうしたいのか」がはっきりせず,どう援助してよいのか分からないことがあるかもしれません。
 ときに支援者は,援助技術に自信を喪失することがあるかもしれませんが,被害者の優柔不断さやあいまいな言動を非難してはいけません。決めるのは当事者で,選択肢はいろいろあってよいのです。援助の最終目的は,被害者が問題を解決できるような行動を,自分自身で決定できるようにしていくことです。被害者が迷い,心が揺れている場合でも,「決められないあなたが悪い」と非難したり,「こうしなさい」と支援者が決め付けてしまうのではなく,被害者の意思を尊重し,心情に配慮して対応します。
 ただし,現に被害者に対する危険が急迫していると認められるときは,警察にその旨を通報するとともに,被害者に対し,一時保護を受けることを勧奨するなどの措置を講じることが必要です。

(5) プライバシーの保護
 暴力の被害については「恥ずかしい」「世間体が気になる」という理由で,被害者が自分の体験を人に話したり,相談すること自体が大変であると言われています。支援者は援助の際に知った事実を,たとえ相手が被害者の親や親戚,友人であっても断りなく口外すべきではありません。
 場合によっては,複数の関係機関で情報を共有することも重要となってきますが,援助活動上知り得た個人のプライバシーの保護に関しては細心の注意を払うことが必要です。言い換えれば秘密を保持できる意思と能力のある機関でなければ連携の対象として情報を提供してはいけないと言えます。個人情報を,他機関に提供する場合は,本人の同意を得ることが必要です。

(6) 支援者自身のケア
 被害者を援助することは,支援者のメンタルヘルスにも影響すると言われています。
 DVについては,一人の支援者が解決できることが少なく,仕事の達成感が得にくいといえます。被害者の状況を変えることができないことで,支援者自身が無力感を抱き,疲弊し,それまで熱心にかかわってきたことに急に興味を無くし,被害者から聞くショッキングな話に傷ついたりすることがあります。
 支援者が陥りやすいこととして「問題を一人で抱え込む」「何とかしなければならない,と被害者の意思よりも自分の思いを優先する」「仕事と個人のプライベートな時間を区別することができない」などがあります。
 支援者のセルフケアができていないと,良い援助を提供することはできません。
 支援者の心身の健康の保持は,非常に重要になってきます。
ア 代理受傷
 被害者の話を聴いていると,暴力の様子が生々しく浮かんできて,まるで自分が暴力を受けたように感じ傷ついてしまう。
イ 逆転移
 相談の中で,被害者が支援者を「優しい母」のように感じたり,逆にライバルと感じることや,援助する側が必要以上に同情したり,嫌悪感を抱いたりすることがある。
ウ 燃え尽き・無力感
 被害者に寄り添い,共感していく中で,被害者の状況を変えることができないことで支援者としての無力を感じ,それまで熱心に関わってきたことに急に興味をなくしてしまうことがある。(バーンアウト)
 また,支援者は被害者の安全確保だけでなく,自分自身の安全確保も必要です。被害者を探しに加害者が関係機関に来て,支援者に対して暴力を振るう場合もあります。また,支援者が不当な危害を加えられないように,組織として支援者個人を守る必要があります。
※支援者個人に対する妨害行為(p27参照)


3 対応のポイント
(1) DV被害者を受容する姿勢で相談を受ける
 「夫が暴力を振るうなんて,人に話していいのか」と何度も迷いながらも,やっと相談窓口にたどり着いた被害者は,胸がいっぱいだったり,興奮していたりしてなかなか話し出せないことがあります。
 また,話すことで記憶が生々しくよみがえり,とてもつらい思いをすることもあるので,支援者は本人が話せるようになるまで,慌てず焦らずゆったりと待つことが求められます。
 被害者と支援者は対等な関係であることが求められます。「支援」するつもりが「支配」になると,被害者を遠慮がちにさせることになります。
 支援者は被害者と同じ目線でいることに心がけます。
<良いとされる対応の例>
「もう我慢しなくてもいいのですよ」
「よく相談にきてくださいましたね」
「あなたが落ち着くまで待っているから,だいじょうぶですよ」
「一緒に考えていきましょうね」

(2) 話せないDV被害者を支持する気持ちを伝える
 相手の話をさえぎらず,とにかく聴きましょう。興奮がおさまったり,泣いてすっきりすれば,被害者は自分から話しはじめるものです。被害者の様子やペースに合わせましょう。
 問題はすぐに解決するものではありません。被害者は自分のなかにため込んでいた思いを共感をもって肯定的な態度で聞いてもらえることにまずは安心します。
 DVを長年受けてきた被害者にとって相談してよかったと思うのは,問題が解決したということよりもむしろ,「気持ちをわかってもらえた」ことなのです。
 しかし,ただ漫然と聴くだけでは被害者の方も不安になります。訴えを聴きながら,主訴を整理し,必要な情報提供もしていかなければなりません。対応するために必要な法律や制度などの知識や対応技術も必要です。
 ただし,押し付けにならないよう気をつけます。
<良いとされる対応の例>
「それはつらかったですね」
「本当に大変でしたね」
「あなたに落ち度はありません」
「自分のせいだと思わなくていいのですよ」
「暴力を振るわれていい人はいません。どんな言い訳をしようと,暴力は決して許されないことです」

(3) 二次被害を与えないよう配慮する
 「なぜ?」ではじめる質問はしないでください。この言い方は,相談者にとっては責めているように聞こえ,被害を受けたことに弁明や釈明を要求されているように感じます。「DVを受けるのは自業自得」「どうしようもない人」といった反発や「かわいそうな人」という同情で被害者をイメージしてしまうことで,相談が進むうち,自分の思っていたタイプと違ってくると共感できなくなることがあるからです。
 また,受けた性的虐待の内容についても必要以上に聞くことは避けましょう。
<悪いとされる対応の例>
「家を出るべきです」
「カウンセリングを受けるべきです」
「落ち着きなさい」
「私なら離婚します」
「子どもの幸せについてよく考えたの?」
「結婚する前に気がついていたんでしょう」
「あなたにも原因があるんじゃないの?」
「(相手がそんな人だと)わかっていて結婚したのでしょう」

(4) DVは犯罪であると同時に人権を侵害する重大な問題であることを説明する
 配偶者に対する暴力は,「力による支配,虐待」であり,基本的人権を脅かす犯罪となる行為です。「暴力は振るう側が悪い」ということを話し,「あなたは悪くない」と繰り返し伝えることが,被害者のエンパワーメントにつながっていきます。

(5) DV被害者が将来の計画,目標を自分で決められるよう支援
 DVによるパワーコントロールの下で,被害者は自信を無くし,自分は無能で無力と思い込み,怒りを感じる力さえ失っています。その生活は,まさに真っ暗なトンネルの中にいるようなものです。
 被害者にとっての光明とは,加害者のもとを離れても生きていけるという希望ではないでしょうか。そのために利用可能な社会資源についての情報提供を受けることではないでしょうか。DV加害者の特徴や加害者から離れて暮らすために必要な社会的資源の利用方法など,被害者が自分自身で決断をするまで時間をかけて伝えます。

(6) DV被害者への情報提供
・一時保護施設があり,緊急の場合は着の身着のままでも構わないこと(p19参照)
・保護命令の申し立てについて(p37参照)
・離婚に必要な手続きの方法 (p35参照)
・慰謝料,養育費請求に関する調停,裁判の方法(p35参照)
・法的な親権の獲得の方法 (p36参照)
・住民基本台帳の閲覧等の制限について (p21参照)
・医療保険の加入手続きを行う場合 (p21参照)
・住宅の確保のための制度 (p33参照)
・子どもの学校の手続きの方法 (p34参照)
・仕事を探すための制度 (p32参照)
・その他

(7) その他の留意点
①面談,待合いでの配慮
 DV被害者は,心的な外傷を負い精神的に追いつめられて相談に訪れます。人の目を気にしたり,加害者が追ってこないかとおびえていたりして,大変不安定な状態です。大声で名前を呼んだり,人前で相談内容を聞いたりすることは,相談に来たことを後悔させてしまいます。
 面談を開始するまでの間,不特定多数の人が出入りするロビー等を避け,個室で待てるような配慮が必要です。
②母子生活支援施設の入所者への配慮
 母子生活支援施設の入所者の中には,DV被害者が含まれています。母子生活支援施設がDVシェルターとしての機能を持つため,被害者,同伴児童の安全を図り,名称・所在地等については秘密にします。
③医療機関においての配慮
 DV被害者が診察を待つ間や,薬の受け取り,会計の際等に,知人に会うことは極力避けたいものです。通院の情報が加害者に伝わらないようにするためにも,病院内では,できるだけ被害者が人目につかないよう(衝立やカーテンのある場所で待つなど)工夫をします。



Ⅳ DV被害者の支援体制
相談内容と連絡先(p41参照)
救急119番・警察110番 1-(2)
医療機関           1-(2)
シェルター等         2-(1)
男女共同参画課 2-(1)
地方裁判所       2-(3)(4)
男女共同参画課・渡島支庁    3・4
女性相談室・シェルター等    3・4
生活保護受給福祉事務所          5-(1)
母子寡婦福祉資金貸付子育て推進課・福祉事務所   5-(1)
生活福祉資金貸付社会福祉協議会 5-(1)
仕事を探すハローワーク         5-(2)
住居の確保住宅課・渡島支庁建設指導課 5-(3)
医療機関・保健所       5-(4)(5)
児童相談所・子育て推進課      6 
CAPみなみ北海道          6
法律相談窓口・家庭裁判所      7
現に暴力をふるわれている,暴れている
加害者に追われている
ケガをしている
離婚を考えている
子どもの養育相談・児童虐待
今後の相談(家を出たい,とどまりたい)
治療(ケガ・心の病気)が必要
自立のための
生活の相談
加害者を遠ざけたい警察・渡島支庁     2-(3)(4)
行き先がない(一時保護を希望)
警察110番通報 1-(1)
相談の内容連絡先(関係機関)


1 緊急時(危険が迫っている時)の支援フロー図
(1) 警察の緊急介入などが必要な場合
 生命に危険を感じるような暴力を受けたり,加害者に追われている場合は,至急現場から逃げ,110番通報することを指示します。
 緊急性が低い場合には,安全な場所から,最寄りの警察署または交番に通報するよう助言します。
 警察はDV被害・加害について「刑罰法令に触れなくても積極的に対応する」方針で,主に生活安全課で相談窓口を設けています。対応には女性の警察官があたるなど,被害女性の心理状態に配慮されています。
被 害 者
道立女性相談援助センター
病院
警察
・北海道警察函館方面本部
生活安全課
・函館中央警察署警務課
・函館西警察署警務課
男女共同参画課
母子自立支援・女性相談室
・電話および面談による相談は必ず本人とする
(第三者による相談は絶対に行わないこと)
・警察などからの電話での問い合わせは一旦切り,こちらからかけ直す
緊急一時保護
・母子生活支援施設
・民間シェルター
 また,警察にDV被害の申告をすることは,たとえ告訴して立件されなくとも,事実上の暴力抑制効果があります。暴力を受けていると思われる相談者には,安心して警察に通報するよう伝えておくことが大切です。

(2) ケガをしていて医療機関を利用する場合
 緊急を要する場合には,119番通報をして,救急車を呼ぶよう助言します。(救急搬送証明書を請求することが可能)
 自分で病院に行く場合,暴力によるケガであることを伝えるように助言します。
 被害者が入院するような場合,同伴児童がいれば,必要に応じ「児童相談所」等関係機関への相談をしておくよう助言します。
<Check it> 受診の際には・・・
○ 暴力等によるケガや症状の証明となるものを請求します。
・診断書(有料)
・救急搬送証明書
○ 医療関係者(医師・歯科医師・看護師等)による支援と連携
 患者のケガや症状からDVを発見しやすい立場にある機関では,受診者がDV被害者であると判明した場合,一時保護や相談窓口等について患者へ情報提供することが,被害者救済につながります。
 また,医師会・歯科医師会では緊急対応が可能な病院の紹介をしています。


2 安全確保のための支援
(1) 緊急一時保護とは
 DV被害その他やむを得ない理由により,「加害者から逃れたい」,「家にいることができない」,「家に戻れない」など,その日の宿泊先がない場合には,短期的(原則14日間)にシェルターや母子生活支援施設に避難することができます。
 男女共同参画課,警察等に連絡し,一時保護についての指示を受け,相談者に伝えます。また,暴力の状況により警察への被害届を助言します。

(2) 被害者が家を出る場合
・被害者の保護
・加害者の検挙  ・一時保護・DV相談  ・保護命令
・保護命令違反事件の検挙
・被害者の保護相談
警  察 シェルター
 母子生活支援施設
  相談窓口  地方裁判所
(緊急)
被  害  者
加害者を罰してほしい加害者から逃げたい加害者を遠ざけたい
<point>
・相談機関や居場所を知らせる手がかりを残さないようにする。
(メモや相談所のリーフレットなど)
・アドレス帳や手紙など,関係資料を残さない。
・自宅の電話や携帯電話の発信履歴(リダイヤル)を消去する。
・子どもと一緒に生活する意思がある場合は,必ず子どもと一緒に避難する。
(別居中の相談者が離婚する際,現に子どもと生活をともにしていないと親権を主張することが困難となる場合が考えられるため。また,加害者が相談者を取り戻す手段として,子どもを人質にしたり,その子どもに暴力を振るうことがあるため)
・児童虐待のおそれがある場合,児童相談所に相談する。
 緊急避難したいとの相談を受けた場合は,次のような点について整理します。
ア いつ避難するのか
・確実に安全に避難できる日と時間を前もって計画する
・失敗した時のことも想定しておく
イ 避難の方法は
・交通手段(最寄り駅を使うのか,離れた駅を使うのか)
・避難の際,信頼できる援助者はいるのか
・援助者がいる場合,連絡方法などの確認
ウ だれと避難するのか
・単身で逃れる
・子どもと一緒に逃れる
その場合,
①子どもの理解を得たうえで,全員連れて出られるのか
②子ども全員から理解が得られないときは何人かだけでも連れて出るのか
エ 何を持ち出すのか
□現金(「常に身に付けておく。外に隠しておくことも考えておく」)
□預貯金通帳と印鑑(本人名義,子ども名義)
※口座番号はあらかじめメモしておくとよい
□自分名義のクレジットカード
□運転免許証,パスポートなどの身分証明
□カギ(家・自動車)~シェルターへの自動車持ち込みは不可
□財産に関する法的書類のコピー(土地の権利書など)
□常備薬,処方箋
□年金手帳
□住所録,相談機関や知人等の電話番号リスト
□本人や子どもの着替え(最小限に)
□子どもを同伴する場合,教科書などの学用品(最小限に)
□子どものおもちゃ
□母子健康手帳(子どもを同伴する場合)
□調停・裁判の際に証拠となるもの(診断書,被害届,日記,写真等)
オ 緊急一時保護についての説明事項
・緊急一時的なものであり,滞在できる期間は原則14日以内である。
・夫等との別居・離婚等の決心がつかない段階で安易にこの選択を行うと本当に必要な場合に施設に避難することができないこともある。
⇒ 決断の度合いを本人に確認する
・入所中は原則として学齢期の子どもの通学を想定していないこと。
・施設は他の利用者も生活しており,規則・指導に従う必要があること。
(飲酒・喫煙禁止等。相部屋の可能性もあり)。
・一時保護中は,外出や他者との連絡についての制限がある。
カ 医療扶助が必要な場合
生活保護(医療扶助)適用について,福祉事務所と調整し,本人に申請指導を行います。
キ 住民票の異動について
 安全確保のため,避難後しばらくは,住民票を元の住所地から異動しないほうがよいでしょう。
 住民票を異動した場合,加害者が住民票の写しの交付請求を行い,被害者の現在の住所地が知られてしまうことから,これを防止するため,DVおよびストーカー行為等の被害者は,「住民基本台帳の閲覧等の制限」について支援措置申出をすることができます。
 申出手続きは,市役所戸籍住民課または最寄りの支所において行いますが,警察または渡島支庁の所定の用紙に,被害者である旨の証明を受けることが必要です。
ク 子どもの就学について
 一時保護施設等は緊急一時的なものであるので,原則として,学齢期の子どもが一時保護施設等から通学することを想定していません。居住地が定まり,子どもが地域の学校に通学する場合,住民票の異動登録がなくても,居住の事実があれば転入は可能です。※p35参照
加害者が学校や教育委員会に対し,親権を盾に転校先の学校を聞き出そうとすることがあるので,関係機関への情報管理の依頼を行うよう助言をします。
ケ 健康保険の使用について
夫が被保険者の場合,持ち出した健康保険証を使用することは可能ですが,保険者から受診記録が夫に通知されることがあります。受診先を手がかりに避難先を探し出されることがあるため,健康保険証の使用については注意が必要です。
受診記録の通知方法などは各保険者で異なりますので,加入している保険者に確認してください。※p33参照

(3) 緊急保護したが,加害者のもとに戻る場合
・DVがさらにひどくなる場合を想定し,いつでも逃げ出せる準備と心構えをしておくことを勧める
・日頃よりいくつかの避難経路,方法を考えておくように伝える
・被害者がDVから身を守るために避難することは「正しい選択であり,自分を責めることはない」と伝えることが被害者の支えになる
・「暴力は振るう方が悪い」ことを認識させる
・保護された先(知人宅や施設の所在)の秘密を厳守することの大切さを伝える
・カウンセリングなど,心のケアとサポートのための関係機関情報を提供する

(4) 加害者を遠ざけたい場合(地方裁判所 42-2151)
 生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい場合,被害者を保護するために加害者を被害者から引き離す「保護命令」を地方裁判所に申し立てることができます。
※p37参照
・接近禁止命令(6か月間) 被害者への身辺の接近禁止
・退去命令(2か月間) 被害者と住んでいる住居から退去
・子への接近禁止命令(15歳以上の場合は同意書が必要)

(5) 加害者の追跡等の防止
 19ページでも触れましたが,家を出るときは居場所の手がかりとなるものは残さないように細心の注意をはらう必要があります。
また,相談者の中には,一時保護施設に入所しても,様々な思いから加害者に連絡を取ろうとすることがあります。避難場所を教えてしまうと,加害者が施設に来ることが予想され,他の利用者の安全を脅かすことにもなりかねません。
被害者には,一時保護施設に入所中は,加害者と連絡をとらないよう指導します。
 加害者が被害者の居場所を知ろうと,相談者の親や友人,職場の同僚などから巧みに聞き出すことも考えられます。信頼している人であっても居場所を知らせてはならないこと,「どうしても知人に連絡したい」という場合には居場所を明らかにせず,元気でいることだけを知らせるよう助言します。
①実家(知人)へ連絡する場合の例
・家を出たこと
・安全であること
・現在の居場所は明かせないこと
・夫からの問い合わせには「何も聞いていない」と応じてほしいこと
・今後についてはいずれ連絡し,相談すること
②学校等へ連絡する場合(担任または校長あてに)
・DVの事情でしばらく休むこと
・現在の居場所は明かせないこと
・夫からの問い合わせには「何も聞いていない」と応じてほしいこと
・今後についてはいずれ連絡すること
③諸手続きについての注意
・一時保護施設等の近くの銀行・郵便局からお金を引き出さないこと
・手紙の投函も消印から地域がわかってしまうので注意すること

(6) 加害者からの問い合わせについて
①対応の基本
被害者からの相談を受付けている機関や被害者の保護を行っている機関,被害者の保護を行っている機関に対し,加害者が被害者の居場所を聞きだそうとしたり,被害者との面会を求めたりすることがあります。被害者を支援している機関が第一に優先すべきは被害者の安全確保です。配偶者暴力防止法第23条においても,「職務上関係のあるものは,その職務を行うに当たり(略),その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない」と明記されています。
加害者からの要求については,毅然とした態度で応じます。
また,加害者が支援者に対し,暴言,暴行,傷害,脅迫等を行うこともありますが,このような暴力的な加害者に対しては,原則として複数の職員で対応し,必要に応じ,警察等の協力を求めます。
<point>
・被害者やその同伴する子どもの安全確保を優先する
・加害者からその被害者の所在等の問い合わせについては,「組織として一切答えることができない」と毅然とした態度で伝える
・刑罰法令に触れる行為があれば,警察に相談する
②電話での問い合わせ
加害者が被害者の居場所を教えるよう要求したり,被害者と面会させるよう要求したり,被害者が以前に相談したかどうかを教えるよう要求したりする場合には,電話での問い合わせであれば,と対応します。この場合に,被害者の居場所を「知っている/知らない」,相談を受けたり,保護したりしたことが「ある/ない」ということを答えてしまうと,更に情報を聞き出そうとして,加害者等の更なる追及へとつながります。たとえ加害者が「(電話の通話記録などから)そちらに相談したのは分かっている」などと言っても,「組織として一切お答えできない」と対応します。
ただし,このように答えても,何度も繰り返して要求し続ける場合があります。
そのような場合でも,同じ回答を繰り返し,相手の駆け引きに乗ることのないよう注意します。
なお,情報を聞き出そうとするのは,加害者に限りません。加害者の親族や被害者の親族などからの問い合わせもあります。実際に親族が問い合わせていることもありますが,加害者に頼まれて別の人が親族の名前を語って問い合わせをする場合もあります。また,警察官などの職務関係者だと偽って被害者の情報を聞き出そうする例も報告されています。
警察官等の職務関係者からの問い合わせについては,相手の所属や電話番号を聞き,折り返し電話して確かめるなど,被害者の情報についての外部からの問い合わせにどう対応するかを,組織として事前に決めておくことが重要です。
③来所での問い合わせ
加害者が来所した場合には,原則として複数の職員で対応します。被害者が相談している最中または保護されている期間中に,加害者が来所した場合には,まずは被害者の安全を確保します。加害者をなるべく被害者のいる部屋から遠ざけ,必要に応じ,被害者には別の出入口などから,他の安全な場所に避難してもらいます。
このとき,被害者と加害者が遭遇することのないよう十分注意します。
加害者と受付や玄関等で立ち話をすることも考えられますが,他の利用者の安全に配慮し,事務室近くの面接室などで対応する方がよい場合もあります。このとき,支援者は入口近くに座し,凶器になりそうな机の上の灰皿等は,事前に撤去しておくなどの配慮が必要です。
被害者が相談に来ているか,保護されているかといった問い合わせや,被害者と「申し訳ありませんが,そのようなご質問には一切お答えできないこととなっておりますので,ご了承ください」の面会を要求された場合にはと対応し、すぐに退去するよう求めます。
退去を要求してもそのまま居座ったり,支援者に対して暴言や暴行などを行ったり,静止したにもかかわらず被害者等のいる居室等に侵入しようとしたり,器物などを損壊したりした場合には,速やかに警察に通報します。
通報は,加害者に応対している支援者以外の人が別室から電話するなど,加害者を刺激しないような配慮も必要です。
<Check it> 参考判例について
○配偶者からの問い合わせ,相談者同伴児童への面会要求等について妻子が家出をして行方不明となった男性が,行政に対し児童を保護した事実の有無を児童の親権者として問い合わせ,行政職員が当該事実の有無を開示しなかった事案について提起した国家賠償訴訟の控訴審判決が,平成13年12月11日に名古屋高等裁判所民事第1部であった。
第1審では原告が勝訴していたが,(平成13年6月29日名古屋地方裁判所民事部第6部判決)高裁判決では,「母子が夫の暴力からの避難を求めて相談し,施設入所している場合には,その情報の開示を拒否することの選択については正当な理由があるといえる。また母子を保護している場合に回答を拒否し,保護していない場合にその旨回答することは,回答拒否の場合は保護していると推測されることが明らかであり,結局上記のような場合には一切の回答を拒否するとの選択に十分合理性があるといえよう」と述べて,原判決を取り消し,男性の請求を棄却している。最高裁判決(平成14年6月13日)でもこの高裁判決を支持し,男性の上告を棄却した。
「申し訳ありませんが,そのようなご質問には一切お答えできないこととなっておりますので,ご了承ください」
「あなたのパートナーがこちらにいるかいないかも含めて,一切お答えすることはできません」
④支援者個人に対する妨害行為
加害者の中には,被害者の相談相手となっている支援者に対し,被害者の所在を探すなどのため,危害を加えたり,脅迫したり,執拗に電話をかけたりすることがあります。支援者の個人情報を得て,支援者の自宅に電話したり,帰宅途中の支援者を待ち伏せしたり,支援者宅の周囲を徘徊したりすることもあります。
警察は,支援者等からつきまとい等について相談があった場合には,支援者等に対し,防犯指導等必要な措置を講じるとともに,ストーカー規制法の適用を積極的に検討することとされています。(H16.6 警察庁生活安全局生活安全企画課長通達)支援者がつきまとい等の被害にあった場合は,ためらうことなく警察に相談するようにします。
また,支援者個人の情報が流出し悪用されることのないよう,組織全体で情報管理の対策を考えることも必要です。
<支援者に対する妨害行為>
傷害(刑法第204 条) 人の身体を傷害した者
暴行(刑法第208 条) 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったとき
住居侵入等(刑法第130 条) 正当な理由がないのに,人の住居若しくは人の看守する邸宅,建造物若しくは艦船に侵入し,又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかったもの
逮捕・監禁(刑法第220 条) 不法に人を逮捕し,又は監禁した者脅迫(刑法第222 条) 生命,身体,自由,名誉,又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者
強要(刑法第223 条) 生命,身体,自由,名誉,又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し,または暴行を用いて,人に義務のないことを行わせ,又は権利の行使を妨害した者
名誉毀損(刑法第230 条) 公然と事実を摘示し,人の名誉を毀損した者
侮辱(刑法第231 条) 事実を摘示しなくても,公然と人を侮辱した者
信用毀損及び業務妨害
(刑法第233 条)
虚偽の風説を流布し,又は偽計を用いて人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者
威力業務妨害(刑法第234 条) 威力を用いて人の業務を妨害した者
公務執行妨害
(刑法第95 条1 項)
公務員が職務を執行するに当たり,これに対して暴行又は脅迫を加えた者
職務強要(刑法第95 条2 項) 公務員にある処分をさせ,若しくはさせないため,又はその職を辞させるために,暴力又は脅迫を加えた者
証人等威迫(刑法第105条の2) 自己若しくは他人の刑事事件の捜査若しくは審判に必要な知識を有すると認められる者又はその親族に対し,
当該事件に関して,正当な理由がないのに面会を強請し,又は強談威迫の行為をした者
公用文書等毀損
(刑法第258 条)
公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀損した者
器物損壊等(刑法第261 条) 他人の物を損壊し,又は傷害した者
軽犯罪(軽犯罪法第1 条) 公共の場所において多数の人に対して著しく粗野若しくは乱暴な言動(13 号)
他人の進路に立ちふさがって,若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず,又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者(28 号)
ストーカー行為
(ストーカー規制法第13 条)
ストーカー行為をした者
※同一の者に対し,つきまとい等を反復してすること


3 緊急に保護する必要がない場合の支援
DV被害者は,自分が被害者であるという明確な認識に至らないことがあります。たいていの場合は相談したものの家を出る決心がつかない,もう少し時間をかけて考えたいと相談や訴えを取り下げてしまうこともあります。「逃げたら殺されるかもしれない」という強い恐怖から無気力状態に陥っていることもあります。
このようにDV被害者は複雑な心理にあるため,逃げることに踏み切れずひとりで問題を抱え込むことが多いので,暴力から身を守るために何ができるかを伝えておく必要があります。
<Check it> 日頃の心構え
○DVの状況について警察に相談しておくこと
○日頃より被害者と連絡をとり,暴力の再発に十分注意をはらう
○加害者の気持ちが落ち着いている時に,第三者を交えて客観的な話し合いを持つ
○凶器になりうるものは目に触れないように隠す
○暴力が続いている場合は被害者と子どもの安全確保を最優先に考え,状況によっては関係機関と対策を調整しておく
○緊急に避難する場合に備えて,少しでも本人名義で貯金し,必要最低限のものを持ち出せるように準備を促すこと
(持ち物リスト p20参照)
○将来,裁判を起こすことも想定し,日頃から夫の暴力や行動を記録したり,写真などを撮っておいて証拠にする。証拠は実家等安全な場所に預ける


4 DV相談窓口
中央母子自立支援・女性相談室 27-8041・8042
(総合福祉センター)
月~土曜日 午前9時~午後5時(土曜日は正午まで)
亀田母子自立支援・女性相談室 45-5481
(亀田福祉事務所内)
月~金曜日 午前9時~午後4時
ウィメンズネット函館 33-2110
月~金曜日 午前10時~午後5時
渡島支庁 47-5789
(地域振興部生活環境課)
月~金曜日 午前9時~午後5時
道立女性相談援助センター 011-666-9955
月~金曜日 午前9時~午後5時
女性の人権ホットライン 0570-070-810
(函館地方法務局)
月~金曜日 午前8時半~午後5時15分
北海道警察函館方面本部相談センター #9110
月~金曜日 午前8時45分~午後5時半
緊急時は110番へ
家庭生活相談(函館市家庭生活カウンセラークラブ)
・女性センター 23-4188
月・水・金曜日 午前10時~午後3時
火・木曜日 午後6時半~午後8時半
・湯川支所 57-6161
火曜日 午前10時~午後3時
・亀田支所 45-5581
木曜日 午後1時~午後4時


5 自立支援
夫と別れる決心をしたあるいは離婚成立等により離れることが出来た場合,次にあげる福祉制度を利用して,DV被害者の自立を支援することが考えられます。
なお,これらの制度は被害者だからという理由で利用できるわけではなく,それぞれの困難に応じて利用できるものです。
(1) 社会福祉制度
① 生活保護制度(中央福祉事務所 21-3285)
生活に困窮した場合に最低限の生活を保障し,その自立を助長する制度です。
具体的な取り扱いについては,最寄りの福祉事務所に相談してください。
生活保護の種類
種類 扶助の範囲
生活扶助 衣食その他日常生活の需要を満たすために必要なもの等
教育扶助 義務教育に伴って必要な教科書その他の学用品,通学用品等
住宅扶助 住居,補修その他住宅の維持のために必要なもの
医療扶助
診察,薬剤又は治療材料,医学的処置,手術及びその他の治療並び
に施術等
介護扶助 居宅介護,福祉用具,住宅改修,施設介護等
出産扶助 分娩の解除,分娩前及分娩後の処置等
生業扶助 生業に必要な資金,器具又は資料,生業に必要な技能の習得等
葬祭扶助
検案,死体の運搬,火葬または埋葬,納骨その他葬祭のために必要
なもの
② 各種手当等(福祉部子育て推進課 21-3267)
ア 児童扶養手当
離婚による母子世帯等で,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの児童(または20歳未満で中程度以上の障がいがある児童)の母親または母親にかわってその児童を養育している人に支給(所得制限あり)
イ 児童手当
小学校修了まで(12歳になった年度末まで)の児童を養育している人(所得制限あり)
ウ 母子・寡婦福祉資金の貸付
母子家庭や寡婦の経済的自立と生活の安定,子どもの福祉の向上を図るために,無利子または低利子で各種資金(生活資金,修学資金,技能習得資金,転宅資金など)の貸付を行う。(保証人が必要)
エ 母子家庭自立支援給付金
母子家庭の母の就労に効果的な資格取得等を支援するもので,教育訓練講座を受講し,終了した場合,教育訓練費用の一部を修了後に支給
※講座受講開始前に申込みが必要
オ 母子家庭高等技能訓練促進給付金
母子家庭の母が就職に有利が資格を取得するために2年以上養成機関に通う場合,修業期間の最後の3分の1の期間(最長1年間)に毎月103,000円を支給。取得資格・養成機関要件のほか,本人要件および所得制限がある。
カ ひとり親家庭等医療費助成(医療助成課 21-3181)
国民健康保険や社会保険に加入しているひとり親家庭または両親のいない家庭の20歳未満の子とひとり親家庭の母または父を対象に,入院,通院,薬剤,訪問看護,補装具等の費用を助成する制度(所得制限・一部負担金あり)
③ 生活福祉資金貸付(社会福祉協議会 23-2226)
低所得者世帯,高齢者世帯,障がい者世帯等が必要な資金を借り受けることができる制度

(2) 仕事を探す
被害者が自立するためには,仕事を持ち,安定した収入を得ることが必要です。しかし,被害者の中には,加害者のパワー・コントロールによって自信を失っていることが多く,働きに出るのも困難な状態です。
被害者の自立のためには,就職に必要な職業能力を身につける職業訓練などで「自分もやれる」という自信を身に付けていくのも方法の一つです。
① 求職活動
ア ハローワーク函館(公共職業安定所)26-0735
ワークプラザひまわり 45-8609
職業紹介・職業指導・就職についての問い合わせや相談を受けています。
イ 母子家庭等就業・自立支援センター,無料職業紹介所 24-8040
母子家庭の母などの社会的自立を支援するため,就業相談,求人情報の提供などを行っています。
ウ 母子自立支援プログラム策定事業(母子家庭等就業・自立支援センター内申込み 24-8040)
就職や転職を希望する児童扶養手当受給者を対象に,専門の相談員が面談のうえ,本人の希望や実情に対応した自立支援計画書(プログラム)を策定して,個々に応じたきめ細やかな就業支援を行っています。
エ 各種求人情報誌,新聞などの求人情報
前もって写真を撮り,履歴書を記入しておいて,面接を受けたい会社があったらすぐに申し込むことができるよう準備しておくとよいでしょう。
② 相談・情報提供
ア 財団法人21世紀職業財団
「男女雇用機会均等法」施行を機に設立された財団法人です。
仕事と家庭の両立,再就職を考えている女性に対して,相談や情報提供,セミナー等を行っています。
21世紀職業財団北海道事務所
・フレーフレーテレホン
育児・介護等に関する各種サービスについての相談
(電話相談) 011-707-2020 月~金曜日 9:30~16:30
(パートタイム労働相談等 011-707-6198)
・フレーフレーネット http://www.2020net.jp/

(3) 住宅確保のための制度
住宅確保は,加害者から避難してきた被害者が自立に向けての生活を築いていくうえで重要な課題の一つです。母子で避難してきた場合には,次のような制度を利用することができます。
①市営住宅(住宅課 21-3384)
一般世帯向け募集と特定目的住宅の募集のいずれにも申込むことができます。
特定目的住宅に申込む母子世帯については,抽選ではなく,住宅に困窮する度合いに応じて優先的に入居することができます。(所得制限あり)※p40参照
② 道営住宅(土木現業所建設指導課 47-9466)
道営住宅の入居募集においても保護命令の適用を受けたり,一時保護された等,所定の条件に該当するDV被害者の当選確率を高める優先枠があります。

(4) 医療保険の加入手続きを行う場合
被害者は暴力による外傷以外の負傷や疾病の予防のためにも,保険給付を受ける必要があります。医療保険は世帯単位となっていますので,加害者の扶養家族として被害者および同伴児童が健康保険給付を受けている場合については下記のとおりです。
① 加害者の健康保険が市町村の国民健康保険の場合
(国保年金課 21-3149)
ア 住民票の住所(元の居住地)のままで,世帯分離することにより新たな国民健康保険世帯として保険証の交付を受ける方法があります。保険証の受け取り方法や保険料の納付方法について,住民票の住所の市町村とよく相談してください。
イ 現在の居住地で新たに国民健康保険に加入することを希望する場合,通常は住民票を異動させることになりますが,安全確保のため不用意に住民票を異動しないことが必要なことから,加入手続きについて現在居住地の市町村とよく相談してください。
② 加害者の健康保険が社会保険または国民健康保険組合の場合
被害者が社会保険のある職場に就職する場合は,その職場に年金手帳あるいは基礎年金番号通知書を提出して,厚生年金及び健康保険に加入することができます。
その際,健康保険に同伴児童を扶養家族として入れることもできます。
また,被害者が加害者の社会保険の被扶養者または国民健康保険組合の世帯員となっている場合は,社会保険事務所・健康保健組合・国民健康保険組合に対して,被扶養者等から外れたい旨の申告を行い,被扶養者等の資格を喪失したうえで,国民健康保険へ加入する方法がありますので,現在の居住地の市町村とよく相談してください。
被扶養者等から外れたい旨の申告の手続きおよび必要な書類は,社会保険事務所・健康保険組合・国民健康保険組合にお尋ねください。

(5) その他
① 疾病,精神面など医療面でのケアを必要とする場合
被害者の状態をみて,医療機関の紹介等を行います。
② 薬物,アルコール依存症などがある場合(保健予防課 32-1534)
薬物依存およびアルコール依存については,保健所を紹介します。


6 子どもへの支援
(1) 夫等から逃れて別居する場合の子どもの転校等の手続き
(学校教育課 21-3553)
母と子が夫の暴力から逃れるため家を出て,転居先での子どもの転校手続きが必要な場合,住民票の異動がなくても,居住の事実が確認できれば転校は可能です。
保育所等の相談窓口は子育て推進課(21-3267)です。
<転校手続き>
①転入先(現住所)の教育委員会に「就学関係届」(関係校の承諾印をもらったもの)を提出
②教育委員会より通学校を指定
教育委員会では住民票の住所ではなく,実際に住んでいる校区の学校へ登校させる。
③学校の受け入れ
④学校間での受け入れ書類等のやりとり
※転入についての問い合わせに関しては,個人情報及び被害者保護の観点から,市役所,教育委員会,学校とも「言えません」ときっぱり言い切ることが大切です。情報管理の周知徹底を図りましょう。
<高校進学に関して>
・原則として,全日制課程を志願する者については,志願先高等学校の通学区域の保護者とともに居住している者に限る。
・実際に住んでいる住所と「指導要録に記載される住所」が違うときは,入試の志願書提出時に中学校の校長から高等学校の校長に理由を説明し,中学校長を通じて志願承認申請書等を提出する。
・入試時,入学後とも住民票の提出の必要はない。
※私立高等学校でも基本的に同じですが,学校長を通じて相手の高等学校に相談し,柔軟に対応してもらいます。

(2) 児童虐待が疑われる場合
子育て推進課・児童相談所と連携します。
また,CAPみなみ北海道では,子どもたちが危険な状況から逃れるための知識や技術を身につけることができるプログラムを提供しています。


7 司法手続きの支援
(1) 法的支援に関する情報の提供
DVから逃れ,自らを守るため法的な知識と支援を受けることは重要です。相談者に法律相談の専門窓口を提供し,離婚やDV防止法などについての基礎的な法律知識を得ることを進めます。
<法律相談窓口> 市民課市民相談係 21-3136
・弁護士による無料相談(予約制)
日本司法支援センター
・法テラス 0570-078374
平日9:00~21:00 土曜9:00~17:00
※保護命令についてはp37参照

(2) 離婚手続き
DVにより離婚を申し立てる場合は,夫が暴力を否定するなどで協議離婚が成立しにくいことが多くみられますが,親権,養育費,慰謝料,財産分与などの問題をきちんと取り決めるためにも,調停や裁判にゆだねるほうが,かえって望ましいともいえます。また,DV関係では別れるときが一番危険ともいわれており,離婚の問題を持ち出すときは,前もって別居しておくなど安全に配慮します。
相手方としっかり対峙することが必要なので,心身の状態,子どもの環境などを冷静に考え,計画的に時機を選ぶことが賢明でしょう。
別居,離婚後の生活再建を考慮に入れながら,離婚手続きのための法律相談につなぐ必要があります。
① 主な離婚の種類
ア 協議離婚
夫と妻の双方が合意し,離婚届に必要事項を記入して署名捺印して,役所に届ければ離婚は成立します。養育費,財産分与,慰謝料などの取り決めは強制執行力のある「公正証書」を作成しておくことが望ましいでしょう。
※公正証書 公証人役場(函館駅前北洋ビル5階)で作成します。夫婦双方の署名と印鑑証明登録のある印鑑での捺印が必要です,手数料は慰謝料や養育費の額によって異なります。
イ 調停離婚
夫がなかなか離婚に同意しないとか,親権を楯に協議離婚に応じない場合は,家庭裁判所に調停を申し立てます。調停は,相手の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てることになりますが相手の同意は必要ありません。
調停で合意した場合は,調停調書を作成して離婚が成立しますが,何度か話し合っても合意に至らない場合や相手が出席しなかった場合は,「不調」となって調停は終了することになります。
※調停手続きでは,家庭裁判所にあらかじめDV被害などの事情を話しておくと,相手方と直接会わないように配慮をしてもらうことができます。
ウ 審判離婚
調停が成立しない場合に,家庭裁判所が相当と認めるときは,当事者双方の申し立ての趣旨に反しない限度で,事件の解決のため審判をすることができます。
この審判に異議が申し立てられた場合は,審判は失効するため,家庭裁判所へ離婚の訴えを提訴することになります。
エ 判決離婚
調停が「不調」になったり,審判が失効した場合は,家庭裁判所に離婚の訴えを起こすことができます。DVの場合は民法で認められた離婚原因の「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」に当たりますが,訴訟については弁護士とよく相談するよう助言しましょう。提出資料として暴力を振るわれた証拠となるもの(診断書やケガの写真など)をそろえておきます。
(証拠資料の例) 医師の診断書,ケガの状況がわかるカラー写真,録音テープ
日記,陳述書
② 子どもの親権と養育費
親権を得るためには以下のことに留意しておくよう指導します。
・親権が夫と妻双方の合意で決まらない場合は,家庭裁判所への離婚調停の申し立てに付随し,判断を求める申し立てをして決める。
・親権の判断として,子どもに対する愛情,生活環境,健康,経済状態などが対象となる。
・裁判所が判断する時点で,子どもがどちらで養育されているかが重視されることが多い(一緒に生活している方が有利)。
・養育費は夫との話し合いで決まるが,合意できないときには,調停か弁護士に入ってもらうこととなる。額は夫の支払能力によって左右される。
・調停で合意した場合は調停証書,双方の合意による場合は公正証書を作成しておくと後日,強制執行の際に有効
③ 生活費・慰謝料・財産分与・年金分割別居や離婚後の生活を維持するためにも,必要なものは請求しましょう。
・別居している場合,夫と同程度の生活ができるように生活費を請求することができる(婚姻費用分担請求の調停)。
・慰謝料は相談者に対する精神的身体的苦痛に対して支払われる性格のものである,夫側の責任を証明しなければならない。一般的に慰謝料は高額にならない場合が多いようである。
・財産分与は夫婦が婚姻中に協力して作った財産を分けること(親からの相続財産は対象外となるので留意)。
・平成19年4月以降に離婚した場合,夫(妻)が受給する厚生年金について,当事者間の話し合いにより婚姻期間に相当する部分を分割して受け取ることができる。専業主婦(夫),共働きなどの個々の状況によって受給できる金額が異なるので,社会保険事務所や弁護士に相談すること。
<参考> 配偶者等からの暴力に関する保護命令
1 保護命令とは
裁判所が加害者に対し,被害者に近寄らないように命じる決定です。
① 接近禁止命令(6か月) 加害者が被害者の身辺につきまとったり,被害者の住所や勤務先等の付近をうろつくことを禁止する命令です。
② 退去命令(2か月) 加害者に対して家から出て行くことを求める命令です。
③ 子への接近禁止命令 被害者と同居する未成年の子も接近禁止の対象にすることができます。15歳以上の場合は,子どもの同意書が必要です。
※接近禁止命令に違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金


2 保護命令の申立て
(1) 申立てのできる人
夫(妻)から暴力を受けた人
※離婚した元配偶者から,引き続き暴力が続いている場合も含みます。

(2) どんなときに申立てができるか
今後もさらに暴力を振るわれ,生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき。
<地方裁判所への申立て>
・加害者の住所(住所がないときは居所)を管轄する地方裁判所
・被害者の住所(住所がないときは居所)を管轄する地方裁判所
・加害者からの暴力が行われた場所を管轄する地方裁判所

(3) どのような書類が必要か
ア 申立書
イ 法律上または事実上の夫婦であることを証明する資料
ウ 暴力を受けたことを証明する証拠書類
・夫(妻)からさらに暴力を振るわれて,生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことを証明する証拠書類(医師の診断書,写真等)
※渡島支庁,警察に相談などをしたことがない場合は,渡島支庁(地域政策部環境政策課)または警察に相談するか,公証人役場に行って,宣誓供述書を作成してください
<申立てに必要な書類等>
申立書の記載事項
1申立人の氏名・住所(居所)
2(弁護士に申立てを委任したときは)代理人弁護士の住所・氏名
3相手方の氏名・住所(居所)
4申立ての趣旨(接近禁止命令・退去命令)
5申立ての理由
(1)夫(妻)から暴力を受けた状況
(2)夫(妻)からさらに暴力を振るわれて生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きい事情
(3)渡島支庁や警察に相談した日時や場所,相談内容等
※渡島支庁・警察に相談したことの有無の確認があります。
※申立書に虚偽の記載をした者は10万円以下の過料に処せられます。
必要な証拠書類等・裁判所に提出する部数
①申立書
原本と副本各1通 2通
②夫婦であることを証明する資料
例)全部事項証明書(戸籍謄本),戸籍の附票,住民票(続柄が記載されたもの),外国人登録済証明書等(ただし,世帯全員が記載されたもので,1か月以内に交付を受けたもの)
※以上のような公的な書類が必要です。事実上の夫婦であり,上記のような書類がないときは,地方裁判所の担当書記官にご相談ください。
1通
③暴力を受けたことを証明する証拠
例えば,医師の診断書があれば確実です。そのような書類がないときは,地方裁判所の担当書記官にご相談ください。
写し2通
④夫(妻)からさらに暴力を振るわれて,生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことを証明する証拠
例えば,夫(妻)の暴力の程度が次第にひどくなっていたり,夫(妻)がさらにひどい危害を加えようとしている状況を具体的に書いた申立人の報告書などです。
写し2通
⑤宣誓供述書
暴力を受けた状況や,夫(妻)がさらに暴力を振るわれて,生命・身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めることができる証拠となる事情を書いた書面を公証人役場に持っていき,公証人の前でその書面の内容が真実である事を宣誓し作成するものです。
原本と写し
各1通(公証人役場のみ)
⑥(弁護士に申立てを委任したときは)委任状1通

<参考> 市営住宅の入居について
1 申込資格
(1) 一般世帯向け市営住宅 申込資格
ア 入居しようとする世帯全員の1年間の合計所得から控除額を差し引いて12で割った金額が20万円以下の世帯。障がいのある方(4級以上)等裁量階層に該当する場合は26万8千円以下の世帯
イ 持ち家がない方。現在の居住地については制限はありません。
(2) 特定目的住宅
①管理特定目的住宅
ア 60歳以上の方(同居者が配偶者または60歳以上18歳未満の親族のみであること)
イ 障がい者(入居者または同居者が心身障がい者で,国土交通省令で定める障がいの程度の方)
②建設特定目的住宅
ア,イのほか
ウ 20歳未満の子を現に扶養している寡婦(20歳以上の者が1人でもいる場合は対象外)
エ 生活保護法による保護世帯および,これに準ずると認められる低所得世帯
オ 世帯全員の1年間の合計所得から控除額を差し引いて12で割った金額が13万7千円以下の世帯(裁量階層に該当する場合は17万8千円以下の世帯)
※裁量階層とは
・入居者または同居者のどなたかが障がい者(4級以上)の世帯
・入居者本人が60 歳以上で,かつ,同居者のいずれもが60 歳以上,または,18歳未満の世帯(ただし,平成19 年4月1日時点で51 歳以上の方は対象になります。)
・小学校就業前の子どもがいる世帯

函館市女性に対する暴力対策関係機関会議
住 所電 話
1 函館地方検察庁上新川町1-13 41-1209
2 北海道警察函館方面本部警務課五稜郭町15-5 31-0110
3 北海道警察函館方面本部生活安全課五稜郭町15-5 31-0110
4 北海道警察函館方面本部捜査課五稜郭町15-5 31-0110
5 函館中央警察署警務課五稜郭町15-5 54-0110
6 函館西警察署警務課海岸町11-27 42-0110
7 函館地方法務局人権擁護課 新川町25-18 26-5837
8 北海道渡島支庁地域振興部環境生活課 美原4 丁目6-16 47-9435
9 北海道函館児童相談所中島町37-8 54-4152
10 函館市医師会 湯川町3 丁目38-45 36-0001
11 函館歯科医師会大手町3-3 23-3650
12 函館弁護士会 上新川町1-3 41-0232
13 社会福祉法人函館市民生事業協会日乃出町21-17 51-5281
14 特定非営利法人ウィメンズネット函館 杉並町20-29 33-2110
15 CAP・みなみ北海道 事務局本通3-3-8 32-0302
16 函館家庭生活カウンセラークラブ東川町11-12 23-4188
17 函館市人権擁護推進協議会(地方法務局人権擁護課内) 新川町25-18 26-5837
18 函館市中央福祉事務所子育て推進課東雲町4-13 21-3269
19 函館市中央福祉事務所保護第1課東雲町4-13 21-3276
20 函館市亀田福祉事務所福祉課美原1 丁目26-8 45-5481
21 市立函館保健所保健予防課 五稜郭町23-1 32-1534
22 函館市教育委員会学校教育部南北海道教育センター 湯川町3 丁目38-38 57-8251
23 函館市病院局管理部庶務課 港町1 丁目10-1 43-2000
24 函館市都市建設部住宅課 東雲町4-13 21-3384
25 函館市市民部市民課東雲町4-13 21-3136
26 函館市市民部国保年金課 東雲町4-13 21-3148
27 函館市市民部戸籍住民課 東雲町4-13 21-3167
28 函館市市民部男女共同参画課東雲町4-13 21-3470
機 関 名
(順序不同)


「函館市女性に対する暴力対策関係機関会議」要領
(名称)
この会議は,「函館市女性に対する暴力対策関係機関会議」(以下「会議」という。)と称する。
(目的)
会議は,女性に対する暴力根絶に向け,女性被害者の人権擁護という観点から,民間,警察,行政などの関係諸機関が相互に連携・協力を図り,予防から救済までのサポート体制を総合的に検討することを目的とする。
(協議事項)
会議は,上記の目的を達成するために,次に掲げる連絡および協議を行う。
(1)女性に対する暴力対策の情報交換
(2)女性に対する暴力対策の研究,研修
(3)その他目的達成に必要な事項
(構成)
会議の構成は,別紙のとおりとする。
この会議の目的に賛同する行政機関や民間団体などについては,会議の承認により加わることができる。
(議長および副議長)
会議に,議長および副議長若干名を置く。議長および副議長は,構成員の互選によって選出し,任期は1年とする。ただし,再任はさまたげない。
(会議)
会議は,年1回定例会を開催するほか,構成員の要望により必要に応じて開催する。議長がその議事を主宰する。
(専門部会)
構成員が,必要と認めるときは,専門部会を設けることができる。
(会議の主管等)
会議の主管および庶務は,函館市市民部男女共同参画課が担当する。
附 則
この要領は,平成13年 5月22日から施行する。


配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成十三年法律第三十一号)
目次
前文
第一章 総則(第一条・第二条)
第二章 配偶者暴力相談支援センター等(第三条―第五条)
第三章 被害者の保護(第六条―第九条)
第四章 保護命令(第十条―第二十二条)
第五章 雑則(第二十三条―第二十八条)
第六章 罰則(第二十九条・第三十条)
附則
我が国においては,日本国憲法に個人の尊重と法の下の平等がうたわれ,人権の擁護と男女平等の実現に向けた取組が行われている。
ところが,配偶者からの暴力は,犯罪となる行為であるにもかかわらず,被害者の救済が必ずしも十分に行われてこなかった。また,配偶者からの暴力の被害者は,多くの場合女性であり,経済的自立が困難である女性に対して配偶者が暴力その他の心身に有害な影響を及ぼす言動を行うことは,個人の尊厳を害し,男女平等の実現の妨げとなっている。
このような状況を改善し,人権の擁護と男女平等の実現を図るためには,配偶者からの暴力を防止し,被害者を保護するための施策を講ずることが必要である。このことは,女性に対する暴力を根絶しようと努めている国際社会における取組にも沿うものである。
ここに,配偶者からの暴力に係る通報,相談,保護,自立支援等の体制を整備することにより,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため,この法律を制定する。
第一章 総則
(定義)
第一条 この法律において「配偶者からの暴力」とは,配偶者(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)からの身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。
2 この法律において「被害者」とは,配偶者からの暴力を受けた者(配偶者からの暴力を受けた後婚姻を解消した者であって,当該配偶者であった者から引き続き生命又は身体に危害を受けるおそれがあるものを含む。)をいう。
(国及び地方公共団体の責務)
第二条 国及び地方公共団体は,配偶者からの暴力を防止し,被害者を保護する責務を有する。

第二章 配偶者暴力相談支援センター等
(配偶者暴力相談支援センター)
第三条 都道府県は,当該都道府県が設置する婦人相談所その他の適切な施設において,当該各施設が配偶者暴力相談支援センターとしての機能を果たすようにするものとする。
2 配偶者暴力相談支援センターは,配偶者からの暴力の防止及び被害者(被害者に準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けた者を含む。以下この章及び第七条において同じ。)の保護のため,次に掲げる業務を行うものとする。
一 被害者に関する各般の問題について,相談に応ずること又は婦人相談員若しくは相談を行う機関を紹介すること。
二 被害者の心身の健康を回復させるため,医学的又は心理学的な指導その他の必要な指導を行うこと。
三 被害者(被害者がその家族を同伴する場合にあっては,被害者及びその同伴する家族。次号,第六号及び第五条において同じ。)の一時保護を行うこと。
四 被害者が自立して生活することを促進するため,情報の提供その他の援助を行うこと。
五 第四章に定める保護命令の制度の利用について,情報の提供その他の援助を行うこと。
六 被害者を居住させ保護する施設の利用について,情報の提供その他の援助を行うこと。
3 前項第三号の一時保護は,婦人相談所が,自ら行い,又は厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行うものとする。
(婦人相談員による相談等)
第四条 婦人相談員は,被害者の相談に応じ,必要な指導を行うことができる。
(婦人保護施設における保護)
第五条 都道府県は,婦人保護施設において被害者の保護を行うことができる。

第三章 被害者の保護
(配偶者からの暴力の発見者による通報等)
第六条 配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は,その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない。
2 医師その他の医療関係者は,その業務を行うに当たり,配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは,その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報することができる。この場合において,その者の意思を尊重するよう努めるものとする。
3 刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は,前二項の規定により通報することを妨げるものと解釈してはならない。
4 医師その他の医療関係者は,その業務を行うに当たり,配偶者からの暴力によって負傷し又は疾病にかかったと認められる者を発見したときは,その者に対し,配偶者暴力相談支援センター等の利用について,その有する情報を提供するよう努めなければならない。
(配偶者暴力相談支援センターによる保護についての説明等)
第七条 配偶者暴力相談支援センターは,被害者に関する通報又は相談を受けた場合には,必要に応じ,被害者に対し,第三条第二項の規定により配偶者暴力相談支援センターが行う業務の内容について説明及び助言を行うとともに,必要な保護を受けることを勧奨するものとする。
(警察官による被害の防止)
第八条 警察官は,通報等により配偶者からの暴力が行われていると認めるときは,警察法(昭和二十九年法律第百六十二号),警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところにより,暴力の制止,被害者の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
(被害者の保護のための関係機関の連携協力)
第九条 配偶者暴力相談支援センター,都道府県警察,社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所等の関係機関は,被害者の保護を行うに当たっては,その適切な保護が行われるよう,相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。
第四章 保護命令
(保護命令)
第十条 被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときは,裁判所は,被害者の申立てにより,その生命又は身体に危害が加えられることを防止するため,当該配偶者に対し,次の各号に掲げる事項を命ずるものとする。ただし,第二号に掲げる事項については,申立ての時において被害者及び当該配偶者が生活の本拠を共にする場合に限る。
一 命令の効力が生じた日から起算して六月間,被害者の住居(当該配偶者と共に生活の本拠としている住居を除く。以下この号において同じ。)その他の場所において被害者の身辺につきまとい,又は被害者の住居,勤務先その他その通常所在する場所の付近をはいかいすることを禁止すること。
二 命令の効力が生じた日から起算して二週間,被害者と共に生活の本拠としている住居から退去すること。
(管轄裁判所)
第十一条 前条の規定による命令(以下「保護命令」という。)の申立てに係る事件(以下「保護命令事件」という。)は,相手方の住所(日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所)の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に属する。
2 保護命令の申立ては,次の各号に掲げる地を管轄する地方裁判所にもすることができる。
一 申立人の住所又は居所の所在地
二 当該申立てに係る配偶者からの暴力が行われた地
(保護命令の申立て)
第十二条 保護命令の申立ては,次に掲げる事項を記載した書面でしなければならない。
一 配偶者からの暴力を受けた状況
二 更なる配偶者からの暴力により生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる事情
三 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対し,配偶者からの暴力に関して相談し,又は援助若しくは保護を求めた事実の有無及びその事実があるときは,次に掲げる事項
イ 当該配偶者暴力相談支援センター又は当該警察職員の所属官署の名称
ロ 相談し,又は援助若しくは保護を求めた日時及び場所
ハ 相談又は求めた援助若しくは保護の内容
ニ 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容
2 前項の書面(以下「申立書」という。)に同項第三号イからニまでに掲げる事項の記載がない場合には,申立書には,同項第一号及び第二号に掲げる事項についての申立人の供述を記載した書面で公証人法(明治四十一年法律第五十三号)第五十八条ノ二第一項の認証を受けたものを添付しなければならない。
(迅速な裁判)
第十三条 裁判所は,保護命令事件については,速やかに裁判をするものとする。
(保護命令事件の審理の方法)
第十四条 保護命令は,口頭弁論又は相手方が立ち会うことができる審尋の期日を経なければ,これを発することができない。ただし,その期日を経ることにより保護命令の申立ての目的を達することができない事情があるときは,この限りでない。
2 申立書に第十二条第一項第三号イからニまでに掲げる事項の記載がある場合には,裁判所は,当該配偶者暴力相談支援センター又は当該所属官署の長に対し,申立人が相談し又は援助若しくは保護を求めた際の状況及びこれに対して執られた措置の内容を記載した書面の提出を求めるものとする。この場合において,当該配偶者暴力相談支援センター又は当該所属官署の長は,これに速やかに応ずるものとする。
3 裁判所は,必要があると認める場合には,前項の配偶者暴力相談支援センター若しくは所属官署の長又は申立人から相談を受け,若しくは援助若しくは保護を求められた職員に対し,同項の規定により書面の提出を求めた事項に関して更に説明を求めることができる。
(保護命令の申立てについての決定等)
第十五条 保護命令の申立てについての決定には,理由を付さなければならない。ただし,口頭弁論を経ないで決定をする場合には,理由の要旨を示せば足りる。
2 保護命令は,相手方に対する決定書の送達又は相手方が出頭した口頭弁論若しくは審尋の期日における言渡しによって,その効力を生ずる。
3 保護命令を発したときは,裁判所書記官は,速やかにその旨及びその内容を申立人の住所又は居所を管轄する警視総監又は道府県警察本部長(道警察本部の所在地を包括する方面を除く方面については,方面本部長)に通知するものとする。
4 保護命令は,執行力を有しない。
(即時抗告)
第十六条 保護命令の申立てについての裁判に対しては,即時抗告をすることができる。
2 前項の即時抗告は,保護命令の効力に影響を及ぼさない。
3 即時抗告があった場合において,保護命令の取消しの原因となることが明らかな事情があることにつき疎明があったときに限り,抗告裁判所は,申立てにより,即時抗告についての裁判が効力を生ずるまでの間,保護命令の効力の停止を命ずることができる。事件の記録が原裁判所に存する間は,原裁判所も,この処分を命ずることができる。
4 前項の規定による裁判に対しては,不服を申し立てることができない。
5 前条第三項の規定は,第三項の場合及び抗告裁判所が保護命令を取り消した場合について準用する。
(保護命令の取消し)
第十七条 保護命令を発した裁判所は,第十条第一号に掲げる事項に係る保護命令の申立てをした者の申立てがあった場合には,当該保護命令を取り消さなければならない。同号に掲げる事項に係る保護命令が効力を生じた日から起算して三月が経過した場合において,当該保護命令を受けた者が申し立て,当該裁判所が当該保護命令の申立てをした者に異議がないことを確認したときも,同様とする。
2 第十五条第三項の規定は,前項の場合について準用する。
(保護命令の再度の申立て)
第十八条 保護命令が発せられた場合には,当該保護命令の申立ての理由となった配偶者からの暴力と同一の事実を理由とする再度の申立ては,第十条第一号に掲げる事項に係る保護命令に限り,することができる。
2 再度の申立てをする場合においては,申立書には,当該申立てをする時における第十二条第一項第二号の事情に関する申立人の供述を記載した書面で公証人法第五十八条ノ二第一項の認証を受けたものを添付しなければならない。
(事件の記録の閲覧等)
第十九条 保護命令に関する手続について,当事者は,裁判所書記官に対し,事件の記録の閲覧若しくは謄写,その正本,謄本若しくは抄本の交付又は事件に関する事項の証明書の交付を請求することができる。ただし,相手方にあっては,保護命令の申立てに関し口頭弁論若しくは相手方を呼び出す審尋の期日の指定があり,又は相手方に対する保護命令の送達があるまでの間は,この限りでない。
(法務事務官による宣誓認証)
第二十条 法務局若しくは地方法務局又はその支局の管轄区域内に公証人がいない場合又は公証人がその職務を行うことができない場合には,法務大臣は,当該法務局若しくは地方法務局又はその支局に勤務する法務事務官に第十二条第二項及び第十八条第二項の認証を行わせることができる。
(民事訴訟法の準用)
第二十一条 この法律に特別の定めがある場合を除き,保護命令に関する手続に関しては,その性質に反しない限り,民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定を準用する。
(最高裁判所規則)
第二十二条 この法律に定めるもののほか,保護命令に関する手続に関し必要な事項は,最高裁判所規則で定める。

第五章 雑則
(職務関係者による配慮等)
第二十三条 配偶者からの暴力に係る被害者の保護,捜査,裁判等に職務上関係のある者(次項において「職務関係者」という。)は,その職務を行うに当たり,被害者の心身の状況,その置かれている環境等を踏まえ,被害者の人権を尊重するとともに,その安全の確保及び秘密の保持に十分な配慮をしなければならない。
2 国及び地方公共団体は,職務関係者に対し,被害者の人権,配偶者からの暴力の特性等に関する理解を深めるために必要な研修及び啓発を行うものとする。
(教育及び啓発)
第二十四条 国及び地方公共団体は,配偶者からの暴力の防止に関する国民の理解を深めるための教育及び啓発に努めるものとする。この場合において,配偶者からの心身に有害な影響を及ぼす言動が,配偶者からの暴力と同様に許されないものであることについても理解を深めるよう配慮するものとする。
(調査研究の推進等)
第二十五条 国及び地方公共団体は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に資するため,加害者の更生のための指導の方法,被害者の心身の健康を回復させるための方法等に関する調査研究の推進並びに被害者の保護に係る人材の養成及び資質の向上に努めるものとする。
(民間の団体に対する援助)
第二十六条 国及び地方公共団体は,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための活動を行う民間の団体に対し,必要な援助を行うよう努めるものとする。
(都道府県及び市の支弁)
第二十七条 都道府県は,次の各号に掲げる費用を支弁しなければならない。
一 第三条第二項の規定に基づき同項に掲げる業務を行う婦人相談所の運営に要する費用(次号に掲げる費用を除く。)
二 第三条第二項第三号の規定に基づき婦人相談所が行う一時保護(同条第三項に規定する厚生労働大臣が定める基準を満たす者に委託して行う場合を含む。)に要する費用
三 第四条の規定に基づき都道府県知事の委嘱する婦人相談員が行う業務に要する費用
四 第五条の規定に基づき都道府県が行う保護(市町村,社会福祉法人その他適当と認める者に委託して行う場合を含む。)及びこれに伴い必要な事務に要する費用
2 市は,第四条の規定に基づきその長の委嘱する婦人相談員が行う業務に要する費用を支弁しなければならない。
(国の負担及び補助)
第二十八条 国は,政令の定めるところにより,都道府県が前条第一項の規定により支弁した費用のうち,同項第一号及び第二号に掲げるものについては,その十分の五を負担するものとする。
2 国は,予算の範囲内において,次の各号に掲げる費用の十分の五以内を補助することができる。
一 都道府県が前条第一項の規定により支弁した費用のうち,同項第三号及び第四号に掲げるもの
二 市が前条第二項の規定により支弁した費用

第六章 罰則
第二十九条 保護命令に違反した者は,一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第三十条 第十二条第一項の規定により記載すべき事項について虚偽の記載のある申立書により保護命令の申立てをした者は,十万円以下の過料に処する。
附 則
(施行期日)
第一条 この法律は,公布の日から起算して六月を経過した日から施行する。ただし,第二章,第六条(配偶者暴力相談支援センターに係る部分に限る。),第七条,第九条(配偶者暴力相談支援センターに係る部分に限る。),第二十七条及び第二十八条の規定は,平成十四年四月一日から施行する。
(経過措置)
第二条 平成十四年三月三十一日までに婦人相談所に対し被害者が配偶者からの暴力に関して相談し,又は援助若しくは保護を求めた場合における当該被害者からの申立てに係る保護命令事件に関する第十二条第一項第三号並びに第十四条第二項及び第三項の規定の適用については,これらの規定中「配偶者暴力相談支援センター」とあるのは,「婦人相談所」とする。
(検討)
第三条 この法律の規定については,この法律の施行後三年を目途として,この法律の施行状況等を勘案し,検討が加えられ,その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする。
(民事訴訟費用等に関する法律の一部改正)
第四条 民事訴訟費用等に関する法律(昭和四十六年法律第四十号)の一部を次のように改正する。 別表第一の一六の項中「非訟事件手続法の規定により裁判を求める申立て」の下に「,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成十三年法律第三十一号)第十条の規定による申立て」を加え,同表の一七の項ホ中「第二十七条第八項の規定による申立て」の下に「,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第十六条第三項若しくは第十七条第一項の規定による申立て」を加える。


配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針(概要)
平成16 年12 月2日
内閣府,国家公安委員会,
法務省,厚生労働省告示第1号

第1 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する基本的事項
1 基本的な考え方
配偶者からの暴力は,犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である。
2 我が国の現状
配偶者暴力防止法の制定(平成13年4月)により,一定の成果が挙がるとともに,社会の認識も高まってきている。
3 基本方針及び基本計画策定の目的
基本方針は,都道府県が地域の実情に応じて策定する基本計画の指針となるべきものである。

第2 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の内容に関する事項
1 配偶者からの暴力についての通報等及びその対応に関する事項
(1) 通報
ア 一般からの通報
被害者を発見した者は,その旨を配偶者暴力相談支援センター又は警察官に通報するよう努めなければならない。国及び地方公共団体においては,通報についての法の規定とその趣旨等について,啓発に努めることが必要である。
イ 医師その他の医療関係者からの通報
医師その他の医療関係者は,被害者を発見しやすい立場にあることから,被害者の発見及び通報において積極的な役割が期待される。医療関係者は,配偶者からの暴力の被害者を発見した場合には,守秘義務を理由にためらうことなく,配偶者暴力相談支援センター又は警察官に対して通報を行うことが必要である。
(2) 通報等への対応
ア 配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターは,通報者に対し,被害者に配偶者暴力相談支援センターの利用に関する情報を教示してもらうよう協力を求めることが必要である。現に被害者に対する危険が急迫している場合は,警察に通報するとともに被害者に一時保護を受けることを勧めることが必要である。
イ 警察において配偶者からの暴力が行われていると認めた場合は,暴力の制止に当たるとともに,被害者の保護その他の配偶者からの暴力による被害の発生を防止するために必要な措置を講ずることが必要である。

2 被害者の保護に関する事項
(1) 被害者からの相談等に関する事項
ア 配偶者暴力相談支援センター
(ア) 配偶者暴力相談支援センターの機能
配偶者暴力相談支援センターが,被害者の保護を行う上で中心的な役割を果たす。
(イ) 相談を受けた場合の対応
配偶者暴力相談支援センターは,来所した被害者について,話を十分に聴いた上で,問題解決に向けて助言を行うことが必要である。また,不適切な対応により,被害者に更なる被害(二次的被害)が生じることのないよう留意することが必要である。
イ 警察
(ア) 相談を受けた場合の対応
警察は,加害者について,被害者の意思を踏まえ,検挙するほか,加害者への指導警告を行うなどの措置を講ずることが必要である。被害者やその親族,支援者等に対するつきまとい等の行為がある場合は,ストーカー行為規制法の活用を検討することが必要である。
(イ 援助の申出を受けた場合の対応
警察においては,被害者から警察本部長等の援助を受けたい旨の申出を受けた場合に,申出が相当であると認めるときは,国家公安委員会規則で定めるところにより,被害者への必要な援助を行うことが必要である。
ウ 人権擁護機関
法務省の人権擁護機関は,配偶者暴力相談支援センター,警察等と連携を図りながら,被害者に必要な助言,婦人相談所等一時保護施設への紹介などの援助をし,暴力行為に及んだ者等に対しては,これを止めるよう,説示,啓発を行うことが必要である。
(2) 被害者に対する医学的又は心理学的な指導等に関する事項
ア 婦人相談所
婦人相談所は,心身に大きな被害を受けている被害者に対して,心理判定員等による心理学的諸検査や面接を行い,被害者の心理的な被害の状況を把握して,事案に応じた心理学的側面からの指導等を行うことが必要である。
イ 女性センター等
いわゆる「女性センター」等は,婦人相談所等と連携して,被害者の心身の健康を回復させるための必要な対応をとることが望ましい。
ウ 児童相談所
児童相談所においては,医学的又は心理学的なケアを必要とする子どもに対しては,精神科医や心理判定員等が連携を図りながら,個々の子どもの状況に応じてカウンセリング等を実施することが必要である。
(3) 被害者の保護に関する事項
ア 婦人相談所
婦人相談所は,適当な寄宿先がなく,緊急に保護することが必要であると認められる場合等に,被害者本人の意思に基づき,一時保護を行う施設である。一時保護の期間は,入所者の状況により,事案に応じて弾力的に対応するよう配慮することが必要である。
イ 被害者の一時保護を委託する施設
婦人相談所一時保護所における一時保護の件数は増加しており,受入れが困難な場合,民間シェルター等に対する一時保護委託の拡充等の対応が必要である。
ウ 婦人保護施設等
婦人保護施設及び母子生活支援施設においては,適切な職員を配置し,心身の健康の回復や生活基盤の安定化と自立に向けた支援を行うことが必要である。
(4) 被害者の自立の支援に関する事項
ア 就業の促進
配偶者暴力相談支援センターは,被害者の状況に応じて公共職業安定所,職業訓練施設,職業訓練制度等についての情報提供と助言を行い,事案に応じて当該関係機関と連絡調整を行うなど,被害者の就業に向けた支援に努めることが必要である。
イ 住宅の確保
地方公共団体は,公営住宅への入居について優先入居や目的外使用の実施等の特段の配慮を行い,配偶者暴力相談支援センターは,住宅の確保についての情報提供等を行う等被害者の住宅の確保に向けた支援に努めることが必要である。
ウ 援護
配偶者暴力相談支援センターは,生活保護制度の適用,母子生活支援施設における保護,児童扶養手当の支給について情報提供等を行うことが必要である。一時保護施設の入所者については,他に居住地がない限り,居住地がない者と認定し,現在地保護を行うことが必要である。
エ 健康保険
配偶者暴力相談支援センターは,医療保険に関わる相談があった場合,被害者が,被害を受けている旨の証明書(婦人相談所において発行。)を持って保険者へ申し出ることにより,健康保険における被扶養者又は国民健康保険における組合員の世帯に属する者から外れること等の情報提供等を行うことが必要である。
オ 国民年金
配偶者暴力相談支援センターは,被害者が国民年金の第3号被保険者であって,その配偶者の収入により生計を維持しなくなった場合は,第1号被保険者となる手続きが必要となること等の情報提供等を行うことが必要である。
カ 同居する子どもの就学
配偶者暴力相談支援センターは,教育委員会や学校と連携し,同居する子どもの就学について情報提供等を行うことが必要である。また,配偶者暴力相談支援センターは被害者や被害者と同居している子どもに対して接近禁止命令が出された場合にはその旨を学校に申し出るよう被害者に促すとともに,教育委員会や学校は,被害者の子どもの転校先や居住地等の情報を適切に管理することが必要である。
キ 住民基本台帳の閲覧等の制限
配偶者暴力相談支援センターは,住民基本台帳の閲覧等に関し,被害者を保護する観点から,加害者からの請求に対しては「不当な目的」があるものとし,交付しない又は閲覧させない等の措置が執られていることについて,情報提供等を行うことが必要である。
ク その他配偶者暴力相談支援センターの取組
配偶者暴力相談支援センターは,事案に応じ,離婚調停手続についての相談対応,弁護士による法律相談窓口の紹介や,被害者の状況に応じ関係機関への付き添いを行うことなど,被害者の自立を支援するために必要な措置を講ずることが望ましい。
(5) 保護命令制度の利用等に関する事項
ア 保護命令制度の利用
配偶者暴力相談支援センターは,被害者に対し,保護命令の制度について説明し,被害者が保護命令の申立てを希望する場合には,申立先の裁判所や申立書等の記入方法等についての助言を行い,被害者が円滑に保護命令の申立てができるようにすることが必要である。
イ 保護命令の通知を受けた場合の対応
警察において裁判所から通知を受けた場合は,速やかに被害者と連絡を取り,被害者の意向を確認した上で被害者の居所を訪問するなどして危害を防止するための留意事項等を教示するほか,加害者に対しても保護命令を遵守するよう指導警告等を行うことが必要である。
(6) 民間団体との連携に関する事項
ア 婦人相談所
婦人相談所は一時保護の委託先となっている民間団体と連携を図り,被害者にとって安全で利用しやすい場所で保護できるように対応することや,入所者の処遇等について連携を図ること等,実情に応じて民間団体の協力を得ながら被害者の問題解決に向けて協力することが必要である。
イ 婦人相談所以外の配偶者暴力相談支援センター
婦人相談所以外の配偶者暴力相談支援センターにおいても,実情に応じて民間団体と連携を図りながら被害者の保護に取り組むことが必要である。
(7) 婦人相談員の役割に関する事項
婦人相談員は,婦人相談所,福祉事務所等において配偶者からの暴力の被害者に関する各般の相談に応じるとともに,その態様に応じた適切な援助を行うことが必要である。
(8) 福祉事務所の役割に関する事項
福祉事務所においては,被害者の自立を支援するために,生活保護法,児童福祉法,母子及び寡婦福祉法及び児童扶養手当法の規定に基づく措置を講ずることが必要である。

3 関係機関の連携協力に関する事項
被害者の保護及び自立支援を図るためには,関係機関が共通認識を持ち,緊密に連携しつつ取り組むことが必要である。このためには,関係機関の協議会の設置,被害者の保護及び自立支援のモデルケースを想定し,マニュアル等の形で関係機関の相互の協力のあり方をあらかじめ決めておくことなどが有効であると考えられる。市町村の関係機関も,他の関係機関と連携を図りながら協力するよう努めることが必要である。

4 職務関係者による配慮・研修及び啓発に関する事項
職務関係者においては,配偶者からの暴力の特性等を十分理解した上で,被害者の置かれた立場に配慮して職務を行うことが必要である。職務を行う際は,被害者の安全の確保を第一に,被害者及び支援者に関する秘密の保持に十分配慮することが必要である。また,被害者には,日本在住の外国人や障害のある者も当然含まれていることに十分留意することが必要である。

5 苦情の適切かつ迅速な処理に関する事項
関係機関においては,申し出られた苦情について,誠実に受け止め,適切かつ迅速に処理し,必要に応じ職務の執行の改善に反映するとともに,可能な限り処理結果について申立人に対する説明責任を果たすことが望ましい。

6 教育啓発に関する事項
男女の人権を尊重し,個人の尊厳を傷つける暴力は許さないという意識を社会全体で共有していくことが必要である。啓発を行うに当たっては,配偶者からの暴力には,身体に対する暴力のみならず精神的暴力及び性的暴力も含まれることに留意することが必要である。

7 調査研究の推進等に関する事項
(1) 加害者の更生のための指導について
国においては,加害者の更生のための指導の方法として,どのようなものが有効であるかについては未解明な部分が多く,場合によっては,被害者にとって危険なものになり得ることについても十分留意し,被害者の安全を第一に考えつつ,調査研究の推進に努める。
(2) 被害者の心身の健康の回復について
国においては,被害者の心身の健康を回復させるための方法等について,配偶者からの暴力の被害の実態把握や被害者の自立支援に寄与するため,調査研究の推進に努める。
(3) 人材の育成等
被害者の保護に係る人材の育成及び資質の向上については,職務関係者に対する研修等を通じ,十分配慮することが必要である。

8 民間の団体に対する援助等に関する事項
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るため,国及び地方公共団体と民間団体等とが緊密に連携を取りながら,より効果的な施策の実施を図ることが必要である。民間団体との連携については,様々なものが考えられるが,地方公共団体の判断において,連携内容に応じ,情報提供,資料の提供,財政的援助等の必要な援助を行っていくことが望ましい。

第3 その他配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の実施に関する重要事項
1 基本方針の見直し
策定後3年を目途に見直す。その際は,被害者の保護に取り組む民間団体等広く関係者の意見を聴取する。なお,特別の事情がある場合は,3年を待たず見直すこととする。
2 基本計画の策定の手続等の指針
(1) 基本計画の策定
ア 関係部局の連携
基本計画の策定に当たっては,関係部局が連携して取り組むことが望ましい。
イ 関係者からの意見聴取
基本計画の策定に当たっては,被害者の保護に取り組む民間団体等広く関係者の意見を聴取することが望ましい。
(2) 基本計画の見直し
基本計画については,基本方針の見直しに合わせて見直すことが必要である。また,見直しはそれまでの施策の実施状況等を勘案して行うことが必要である。なお,計画期間内であっても,新たに基本計画に盛り込むべき事項が生じるなどの場合は,必要に応じ,基本計画を見直すことが望ましい。


ドメスティック・バイオレンス被害者対応マニュアル
平成19年7月発行
函館市市民部男女共同参画課
〒040-8666 函館市東雲町4番13号
TEL(0138)21-3470
FAX(0138)23-7173
danjokyodo@city.hakodate.hokkaido.jp


ps.DV被害支援室poco a pocoでは、被害女性のアボドケーター(支援者)としての延べ10年間の活動をもとに、平成28年2月28日、『暴力の影響を「事例」で学ぶ。DVの早期発見・支援。母と子どもが暴力から脱するための手引き(マニュアル。3部5章31節)』をまとめ、カテゴリー[Ⅲ-1]-[Ⅲ-7]で公開しています。
 主に、「婚姻破綻の原因はDVにある」とする離婚調停(夫婦関係調整調停)に対するサポート、暴力のある家庭環境で育ち、再び、配偶者から暴力を受けることになった被害女性に対するカウンセリングをおこなうアボドケーターの立ち位置から、被害女性の抱える心の問題、加害者の特性をフォーカスし、心理学・行動科学・脳科学の視点から深く踏み込んで解説したものです。
 
 5章31節の内容は、以下のとおりです。

Ⅲ-1.はじめに/目次

Ⅲ-2.Ⅰ.児童虐待とドメスティック・バイオレンス
1.虐待の発見。DV家庭における子ども
 (1) 子どもが最大の被害者
 (2) 子どもは心を傷めている
 (3) 子どもの複雑の思いを理解する
 (4) 子どもに表れる影響
 (5) 子どものSOS(発信するサイン)を見逃さない

2.差別と女性の貧困、そして、児童虐待
 (1) 貧困の世代間連鎖
 (2) 差別という暴力、そして、同和問題
 (3) 貧困と教育
 (4) 貧困と犯罪
 (5) 家出と「宿カレ」という問題
 (6) 外国人母子家庭
 (7) 社会的養護下の子どもたち

3.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか
 (1) 暴力のある環境に順応するということ
 (2) DVの本質。暴力で支配されるということ
 (3) DVとは、どのような暴力をいうのか
 (4) DV被害者にとって、区別し難い解釈
 (5) DVでない暴力、DVそのものの暴力
 (6) 被害者に見られる傾向、加害者が持つ特性

4.デートDV。別れ話を切りだしたことが発端となるストーカー殺人事件
 (1) デートDV。人生に大きな影響を及ぼすリベンジポルノとレイプ
 (2) デートDVから結婚に至る経緯
 (3) デートDVとストーカー殺人事件

5.被害者心理。暴力で支配、マインドコントロールされるということ
 (1) トラウマティック・ボンディング
 (2) ストックホルム症候群
 (3) 学習された無力感
 (4) ミルグラムのアイヒマン実験
 (5) 暴力、洗脳、マインドコントロール
 (6) 霊感商法、対人認知の心理
 (7) 結婚詐欺師の言動・行動特性
 (8) 自己啓発セミナー。それはカルト活動の隠れ蓑


Ⅲ-3.添付資料
・DV・夫の暴力、子への虐待チェック・ワークシートにもとづく「DV被害状況書」
・「ワークシート」にとり組んだあとのDV加害者特性のチェック
・IES-R(改訂出来事インパクト尺度)


Ⅲ-4.Ⅱ.児童虐待・面前DV。暴力のある家庭環境で暮らす、育つということ
-基礎編-
6.脳と子どもの発達
 (1) 脳の仕組み
 (2) 脳の発達(乳児期:0-1歳)
 (3) 脳の発達(幼児期早期:1-3歳)
 (4) 脳の発達(幼児期後期:3-6歳)
 (5) 脳の発達の臨界期(感受期)
 (6) 学童期(6-12歳)
 (7) 思春期(10-15歳)と青年期(15-22歳)
 (8) 男性と女性の脳の違い

7.トラウマと脳
 (1) トラウマ(心的外傷)
 (2) トラウマになりえるできごとに直面すると
 (3) 単回性トラウマの子どもに見られる行動
 (4) 慢性反復的トラウマ
 (5) 慢性反復的トラウマがひきおこす7つの問題

8.慢性反復的トラウマの種類(児童虐待分類)と発達の障害
 (1) ネグレクト(育児放棄)
 (2) 身体的虐待
 (3) 心理的(精神的・情緒的)虐待
 (4) 性的虐待

-応用編-
9.虐待・面前DVを受けた子ども。発達段階で見られる傾向
 (1) 乳児期。既に、母親と父親との関係性を理解している
 (2) 発達の遅れ
 (3) ツラさを体調不良で訴える
 (4) ファンタジー色の強い子どもの解離
 (5) 子どもが“ズル”をする深層心理
 (6) 学童期(小学校低学年)にみられる被虐待児童たちの行動特徴
 (7) 面前DV・虐待を受け愛着を損なう子どもたちの脳では、なにがおきているか
 (8) 反応性愛着障害(RAD)
 (9) 失感情言語症(アレキシサイミア)と高次神経系トラブル
 (10) 危機とPTSD
 (11) 自己正当化型ADHDとAC
 (12) 思春期・青年期の訪れとともに
 ・がまんさせられること、抑圧されることはなにをもたらすか
  ・父母の不和と暴力は、子どもの心の土台になる安心感と愛着を揺さぶる
 ・家族間の信頼関係を損なった子どもたち
  ・親に配慮しなければならない状況は、子どもに緊張を強いている
  ・子どもにとっての緊張とは
  ・親にとって都合のいい従順な子は、ありのままの私を認めて欲しいと訴える
  ・周りが輝いて見えるとき、人とのかかわりを避ける
  ・子どものために、“しつけ”と銘うった暴力が、子どもを従順な子にさせる
 ・思春期、男の子は14歳が母子間におけるターニングポイントになる
  ・女の子は、自分の命が大切だからこそ、傷つける価値があると思う
 (13) 問題行動としての“依存”
 (14) 子どもに手をあげる背景。幼児期に抑圧された怒り
 (15) 回避的な意味を持つ子どもの「非行」
 (16) 「キレる17歳」、理由なき犯罪世代
 (17) アタッチメントを損ない、抑圧がもたらした凄惨な殺害事件

10.PTSDとC-PTSD、解離性障害
 (1) PTSDになると、どうなるか?
 (2) PTSDの主要症状
 (3) C-PTSDの主要症状
 (4) C-PTSDと不安障害、人格障害
 (5) 性暴力被害と解離性障害
 (6) 摂食障害とクレプトマニア(窃盗癖)
 (7) 解離性障害とアルコールや薬物依存症

11.パラフィリア(性的倒錯)
 (1) 精神疾患としてのパラフィリア(性心理障害)
 (2) フェティシズム
 (3) 露出症・窃視症
 (4) 性的マゾヒズムと性的サディズム
 (5) 性的サディズムを示す刻印という“儀式”
 (6) 小児性愛(ペドファリア)
 (7) パラフィリア(性的倒錯)の夫との性生活
 (8) 性的サディズム、露出性愛者の夫による性暴力
 (9) 性的サディズムと人格障害などが結びついた誘拐監禁・殺傷事件

12.ACという考え方と人格障害(パーソナリティ障害)
 (1) ACという考え方
 (2) どうして、ACになってしまうのか?
 (3) 時に、ACは母親がつくる
 (4) ACと人格障害、そして、ACの破綻
 (5) ACのカウンセリング、認知の修正
 (6) ACに“共依存”の傾向がみられるとき
 (7) 共依存からの回復
 (8) 仮面うつ病(非定型うつ病・新型うつ病)
 (9) 人格障害と呼ぶ前に..
 (10) 人格障害(パーソナリティ障害)とは
 (11) 人格障害の治療
 (12) 児童虐待やDVといった暴力も依存症のひとつという考え方

第1部の結びとして


第2部
Ⅲ-5.Ⅲ.学校現場で、児童虐待・面前DVとどうかかわるか
13.児童虐待の定義
 (1) 児童虐待の定義
 (2) 虐待を疑うということ
 (3) 児童虐待への対応に関する法律
 (4) 教育現場で、児童虐待の早期発見を妨げる心のブレーキ
 (5) 児童虐待を見逃さないために
 (6) 早期発見のためのチェックリスト
 (7) 虐待している保護者の特徴

14.初期対応としての緊急性の判断
 (1) 学校検診(保健室)における虐待への気づき
 (2) 身体的虐待を疑う
 (3) 虐待による熱傷の所見
 (4) ネグレクト(neglect)
 (5) 性的虐待が気になるとき

15.性的虐待への初期対応
 (1) 発見の難しさ
 (2) 適切な気づきのための留意点
 (3) 児童の訴えを聴くとき
 (4) 児童の訴えを聴くときの留意点
 (5) 通告したら
 (6) 家庭内暴力被害の通告にあたる児童の告白内容
 (7) より本質的な:家庭内暴力や児童への性暴力の予防について
 (8) 性的虐待・家庭内性暴力問題についての虐待対応の原則

16.子どもの心理的援助-トラウマ反応について学ぶ-
 (1) トラウマ(心的外傷)
 (2) トラウマの3つの反応(制御反応)
 (3) 虐待によるトラウマの接近
 (4) トラウマからの回復
 (5) 感情コントロールの形成
 (6) 自己イメージ・他者イメージの修正

17.児童相談所への「通告」と連携
 (1) 児童虐待防止法第6条にもとづく「通告」がはじまりとなる
 (2) 身体的暴力のあるDV環境下では、6割の子どもが身体的暴力を受けている
 (3) 学校でできること
 (4) 校内連携
 (5) 関係機関との連携

18.通告後の児童への対応。子どものケア、回復のプロセス
 (1) 児童への対応
 (2) 混乱した行動への対応
 (3) 子どもの心理的なケア
 (4) ASDとPTSDの回復への支援の原則
 (5) 心の回復プログラム
 (6) ケアする人に求められること
 (7) 虐待を受けてきた子どもへの対応
 (8) 学校園での周囲の子どもへの対応

19.児童虐待・DV事件、保護者の苦情の捉え方
 (1) 大切な初期対応
 (2) その後の組織的な対応 -学校として保護者等の声と正対するために-
 (3) 保護者とのかかわり方
 (4) 一時保護の決定、保護命令の発令事案への学校の対応-基本的心得-
 (5) 学校でのDV加害者からの追及と対応のあり方

20.援助者(支援者)・教職員のメンタルケア
 (1) 援助者(支援者)・教職員の傷つき
 (2) 援助者(支援者)・教職員が傷ついたとき、心の手当てのあり方

第2部の結びとして


第3部
Ⅲ-6.Ⅳ.「婚姻破綻の原因はDVにある」ときの離婚
21.一時保護の決定、保護命令の発令。「身を守る」という選択
 (1) 保護命令とは
 (2) 保護命令の申立て
 (3) 一時保護
 (4) 「身を守るということを最優先に考える」ということ
  ・家をでるとき、持っていくもの(家をでる前に、用意しておくもの)

22.夫婦関係調整(調停)離婚
 (1) 民法770条に定める離婚事由
 (2) 親権者・監護権者の指定
 (3) 離婚調停とは
 (4) 離婚調停の進行
 (5) DV立証に欠かせない「陳述書(証拠としての事実経過をまとめた報告書)」
 (6) DV離婚事件、証拠としての「診断書」をどう捉えるか
 (7) 離婚裁判の進行と判決文(判例12-24)

23.DV離婚を考えたとき、事前に確認しておくこと
 (1) 別居後、離婚後の生活を(経済的に)破綻させない
 (2) 財産の保全
 (3) 家財(私有物)の搬出
 (4) 暴力の事実を証拠として残す
 (5) 証拠の保全と履歴の削除
 (6) 管轄警察署での相談記録(警察安全相談記録表)
 (7) 役場(市役所や区役所など)での手続き
 (8) 学校園への連絡
 (9) 弁護士への依頼(委任契約)について
 (10) 内容証明郵便

24.DV加害者に共通する行動特性
 (1) DV加害者に共通する暴力のあり方
 (2) DV加害者の認知にもとづく言動・行動パターン
 (3) 妻が家をでたあと、DV加害者が送るメールやLINEに認められる特徴
 (4) 感受性訓練の要素を組み込んだ手法に似通っている論理構成
 (5) シェルターや児童相談所を非難する冤罪DV信奉者
 (6) シェルター、児童相談所に不信感をいだいているのは、加害者だけではない
 (7) 被害者宛のメールの文面からストーカーリスクを把握する
 (8) 「自殺」を匂わせ心を支配し、別れる意志を阻害する

25.DV被害者に待ち受ける懸案事項
 (1) 妻が別れを切りだし、家をでたあとのDV加害者のふるまい
 (2) してはいけない! 当事者間、親族や近親者を交えた話し合い
 (3) 母親の“これから”が、子どもには“いまさら”となるDVの理不尽さ
 (4) DV加害者の更生。「変わってくれる」との期待感は捨て去る
 (5) 暴力に順応してきた被害者が、調停に持ち込んではいけない考え方
 (6) トラウマの再体験による事実経過の把握
 (7) ストレスの程度は、科学的診断で明らかに

26.悩ましい面会交流。いま司法はどのように捉えているか
 (1) 面会交流のあり方を一転させた民法766条改正とハーグ条約
 (2) 難しい判断。面会交流は「条件提示」で合意をめざし裁判を避ける
 (3) 徹底抗戦。「子どもに悪影響を及ぼす」と面会交流を拒むのは困難
 (4) DV被害者が被虐待者であるとき、気づくことができない「私の事情」
 (5) 国際結婚における離婚問題。子どもの連れ去りとハーグ条約


Ⅲ-7.Ⅴ.DVのある家庭環境で育った子どもと母親のケア
27.DV被害者の抱える心の傷、回復にいたる6ステップ
 ・丹田呼吸法。セロトニンを安定させる反復運動
 (1) STEP-1.トラウマの再体験
 (2) STEP-2.否定的な自己を軽減する
 (3) STEP-3.怒りのワークの段階
 -怒りの感情をマネジメントする(アンガーマネジメント)-
 (4) STEP-4.喪のワークの段階..弔いと別れの儀式
 (5) STEP-5.被害に意味づけを行う段階
 (6) STEP-6.新しい人生を構築する段階

28.暴力被害女性と子どものためのプログラム-コンカレントプログラム-
 (1) プログラムの流れ
 (2) 安全のための計画
 (3) 母親と子どもへの支援

29.虐待する親の回復の視点-MY TREEペアレンツ・プログラム-
(1) MY TREEペアレント・プログラムの特徴
(2) セッション・プラン

30.性暴力被害者支援の連携体制-SART(性暴力被害支援チーム)-
  ・事例173-175
(1) 性暴力被害の状況
(2) サバイバーとして、人生を自分らしく生きるということ
(3) 夫婦間強姦(レイプ)
(4) SART(性暴力被害者対応チーム)
(5) ワンストップ支援センターでおこなわれる支援
(6) SARC東京が対応した性暴力の臨床的課題
(7)「しまね性暴力被害者支援センターさひめ

31.DV加害者プログラム-「ケアリングダッド」を実施するうえでの原則-
(1) RRPプログラム実施に至る経緯と“思い(理念)”
(2) プログラムに共通する基本的な考え方
(3) インフォメーションでとりあげるテーマ
(4)「ケアリングダッド」を実施するうえでの原則

マニュアルの結びとして





もくじ   3kaku_s_L.png   [Ⅵ-G] DV・児童虐待行政対応マニュアル
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~ Comment ~

・・市・・母子ホーム 

・・市・・母子ホームのNという先生が人のことをバカにしたり私の話を聞かないで勝手に物事をきめつけたり
時間内に帰ってきてるのにも関わらず怒鳴り散らしたり
私と彼氏のことを離れさせようとしたり
侮辱したりしてきます

規則やマナーを破ったこともないのにも関わらず外出禁止といういわゆる、監禁状態にさせようとしています
毎日ストレスがたまってたまってどうしようもありません
言葉の暴力なんか日常茶飯事ですし、どうしていいかわかりません
同じ寮の方々のお話も聞いたのですけど、私と全く同じことを言ってます
こんなところに居たくない
通報したい
消えてほしい
などの意見がほぼ全員なくらいです


※ もし、「母子ホーム」が緊急一時保護施設(母子寮)を指しているときには、施設名や氏名の記載は、加害者に場所を特定される怖れがあるため好ましくありませんので、記載方法を変えさせていただきました。
DV被害支援室poco a poco 庄司薫

・・市・・母子ホーム、N氏のことを、コメントに記載された方へ。 

 当ブログでは、ブログの最初の投稿記事「はじめに(お知らせ、DVという暴力はなにを指すかを含む)」の中で、下記のように「コメント記載に関するお願い」を記しています。
<コメント記載に関するお願い>
 ブログを訪問し、投稿記事を読まれる方の中には、「コメント」を通じて、さまざまな人の考えに触れたり、活動の輪を広げたりできることから、コメント内でのやり取りを楽しみにしている方も多くいらっしゃると思います。しかし、当ブログは、配偶者(特に、夫)からの暴力・DVにかかわる情報を提供し、いま、苦しんでいるDV被害者の方を支援するためのブログです。
 一方で、DV加害者からの検索・アクセスもあり、彼らにも情報を提供してしまうことにもなりますし、コメントに残した記述が自分の妻ではないかと探ったりすることもあります。そのため、コメントを残すことによって身元が割れてしまうことがないように細心の注意を払っていただきたいと思います。さらに、コメントを残された方に対しての中傷・非難するといった接触を防ぐ意味合いから、投稿記事へのコメントは、必ず『管理者のみ閲覧』で書き込んでいただきたいと思います。
 上記の理由から、コメントを残していただいた場合であっても、コメント欄内で、返答することは極力控えています。お聞きになりたいこと、確認したいことなど返答を望まれるときには、相談・問合せ用の「フリーメール(Yahooメール)のアドレス宛」にお送りいただきたいと思います。なお、返答を特にお求めにならない場合のコメントやご意見、または、“こういったことを載せて欲しい”などのご要望についても、「管理者のみ閲覧」として書込みをいただければと思います。
 訪問者間同士のコメントのやり取りができないこと、DV被害者支援のためのブログという事情を察しいただきければと思います。

 そこで、poco_a_poco_marine_s@yahoo.co.jp 宛に、改めてメールをお送りいただけないでしょうか。メールをお送りいただくときには、①「・・市・・母子ホーム」とはどのような施設なのか、②あなたが「・・市・・母子ホーム」に入居された経緯、そして、入居からどのくらいの月日が経過しているのか、③「N先生」は、「・・市・・母子ホーム」の中で、どのような立場で、どのような役割を担っている(仕事をしている)のかについて、詳しく教えていただければと思います。


DV被害支援室poco a poco 庄司薫

  • #68 DV被害支援室poco a poco 庄司薫 
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  • 2014.03/15 01:20 
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