あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-5]<虐待>新聞事件簿。隣の家の子どもは大丈夫?子どもを助けてあげて!

<ダイヤモンド・オンライン>生活苦と夫婦の不仲で”鬼父・鬼母”が急増!?

 
 <ダイヤモンド・オンライン>暴力から育児放棄まで、激増する「児童虐待」の実態。子どもたちの心の傷は本当にいえるのか? <ダイヤモンド・オンライン>”子育て疲れ”による虐待から子どもを救え!整備が急がれる「子どもショートステイ」の中身
過去最多の児童虐待の裏に潜む悲しすぎる事情

 児童虐待をテーマにしたドラマ「Mother」(日本テレビ)が好評だ。一方、ニュース番組では毎日のように虐待事件が報道され、週刊誌にも頻繁に非道な“鬼父、鬼母”の見出しが躍る。
 身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、そしてネグレクト(育児放棄)――。子どもの虐待はなぜとどまることがないのか。
 その裏事情を現場に聞いてみた。
生活苦や夫婦喧嘩が
虐待のきっかけに?

 厚生労働省の調べによると、児童相談所が対応した養護相談のうち「児童虐待相談の対応件数」は4万2664件。前年度に比べ5%増加し、過去最多となっている。
 とはいえ、虐待そのものの件数が増えているかどうかはわからない。
 NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事長の吉田恒雄さんは「対応件数は虐待の数そのものではなく、実態が深刻化しているかどうかについては、なんともいえません。対応数が増加したということは、それだけ通報が増えたということでもあり、虐待への社会的認知度、理解度が深まった証拠ともいえます」と説明する。
 ただ、経済情勢の悪化は、“鬼父、鬼母”をさらに生む可能性もある。虐待の温床ともいえる“家庭内の軋轢(あつれき)”が、不況によって引き起こされやすくなるからだ。
 実際、2009年3月におこなわれた全国児童相談所長会の報告では、虐待する家庭の状況でもっとも多く見られたのが「経済的困窮」。全体のおよそ3割を占めていた。
「両親ともに非正規雇用という家庭はたしかに目立ちますね」
と話すのは、東京都北児童相談所に勤務する児童福祉司、川松亮さん。
「もちろん、非正規で貧しい家庭だから虐待をしやすいということではけっしてありません。しかし、虐待の程度が重いケースでは経済的困難も抱えている場合が多いんです」

 失業と不安定就労を繰り返すうち、不安とストレスから、イライラを子どもについぶつけてしまう親がいても不思議ではない。
 父親は一家の大黒柱となり、妻子を養うもの――そんなプレッシャーがワーキングプアの夫を暴力へと駆り立てる危険もある。
夫不在で「育児うつ」になる妻たち
 ありがちなのは父親のドメスティックバイオレンスが子どもに向けられるパターンだ。この場合、母親も被害を受けており、子どもをかばいきれないことが多い。
 記憶に新しいのは今年4月、三重県鈴鹿市で起こった虐待事件。小学1年生の男児が、同居していた母親の交際相手(無職)から暴行を受けていた。その後、「暴行を手助けした」として母親が書類送検されているが、彼女は「容疑者が怖かった」と話しているという。
 夫婦間、親子間で起こるイライラの連鎖――川松さんによれば、父親が正社員の家庭もけっしてその例外ではないそうだ。
 給与カットでダブルワークをしていたり、人員削減で残業が増えていたりすると、夫の帰宅はどうしても遅くなる。そうなれば、妻はひとりで子育ての責任を抱え込むことになる。
 揚句、育児ノイローゼに陥る母親も少なくない。まじめな人ほど子どもの成長ぶりが気になりがちだ。育児本に書いてあることと違うと、それだけでパニック状態に陥ったりする。
「どうしておもらしするの」「なんで〇〇ができないの」などと叱責するうち、つい手を上げてしまうのだ。
 中にはうつ状態になってしまう母親もいる。
「保育園から『子どもの通園が途絶えている』という通報があり、自宅に行ってみると母親が寝ている。聞けば抗うつ剤のせいで眠気がひどく、起き上がることができないといいます」(川松さん)
「母性神話」が母親をがんじがらめに
 ひとり親家庭の実情も深刻だ。
「子どもがぺこぺこにお腹をすかせて学校に来るので、教師が毎朝おにぎりを用意している」
「子どもの泣き声が聞こえてくる。家の中から異臭も漂っている」
 川松さんのもとには、こんな情報が頻繁に寄せられるという。
 訪問してみると、親は生活のためダブルワーク、トリプルワークをこなして疲れきっている。障害を抱えている親もいる。見えてくるのは親子が置かれている厳しい貧困の現実だ。
 だが、「落ち着いた生活ができるようになるまで、お子さんをいったん施設でお預かりしますから」と言葉をかけると、たいていの母親はいきり立ち、抗議の声を上げるという。
「母親の癖に子どもを放りっぱなしにして」と日頃から周囲に責められ、白い目で見られてきたせいでは――と川松さん。
 母親は子どものために何もかも犠牲にするのが当たり前、という「母性神話」が、彼女たちを孤独へと追いやっている。「自力で育てられないのならなぜ産んだんだ」といった冷たい目線もある。パートナーとの断絶の次に親子を待ち受けているのは、社会との断絶なのだ。
 祖父母世代との断絶も、親たちにとっては切実である。
 核家族化の影響で、縁遠くなっているばかりではない。祖父母たち自身がリストラされていたりして、貧困に陥っているケースも多々あるという。金銭的にも時間的にも余裕がなく、孫の面倒を見づらいのが実情だ。地方に住んでいたり、もともと親子の縁が切れていたりして、頼れないこともまれではない。
お米のとぎ方を知らない
“ヤンママ”の娘たち
 虐待を受けた人が、自分もわが子に虐待を行うとは限らない。とはいえ、世代から世代へ、虐待が連鎖するケースは時折見られる。
 90年代、若くして恋人と同棲・結婚、出産した、いわゆる“ヤンママ”がどっと増えた時期がある。孤独な環境で育ってきたがゆえに、家族愛を求めた人も少なくなかったことだろう。「将来、自分の子どもは幸せにしてやりたい」と願った女性も多かったはずだ。

 だがその後、離婚するヤンママが続出。ひとりで子どもを抱え、苦労する母親も現れた。
 その娘たちがティーンになり、子どもを産み始めた今、経済情勢は以前にまして悪化している。子育てのしかたを親身に教えてくれたり、子どもを預かってくれる、親身な親戚やご近所さんも減った。不幸な虐待が再び行われないとは限らない状況だ。
「お米のとぎ方も知らず、子どもに食事を作ってやれない若いお母さんもいる。わが子が風邪をひいても、どうしていいかわからなかったり……。自分も親から大切に世話をされたことがないので、子どもにどう向き合っていいかわからないのだと思います」と川松さんは言う。
 さらに最近は、ごく普通の家庭に育った人々が新たな貧困層を形成している。このままでは、被害を受ける子がますます増えるかもしれない――。
 問題は、子どもたちが受ける心の傷だ。
 普段からちょっとしたことで虐待を受けている子どもは、失敗するとそのことを隠そうと、つい嘘をついたりする。また、他人の目を気にするあまり、他の子と無心に遊ぶこともできない。
 あるいは、ストレスのはけ口にされるうち、親に対してまるで大人のように振る舞い始める子もいる。解離性障害などの神経症を患う子どもも少なくない。
 もっとも深刻なのは自己肯定感が持てなくなってしまうことだ。
「自分なんか生きていてもしかたがない」
「頑張っても誰も喜んでくれない」
 そんな無力感に取りつかれ、希望を見失う子どもも多いという。
育児に疲れたら
「親を休む」ことも大切
 だが、地域のサポートによって、傷ついた親子の心が回復した例もある。
 川松さんは言う。
「こんなご家庭がありました。通報を受けて訪問してみると、家の中は足の踏み場もないほどぐちゃぐちゃになっている。『お子さんをお預かりします』と話すと、親子はしっかり抱き合い、離れまいとしていました。虐待はあっても、心では慈しみ合っている。引き離すのが本当につらかった……。

 でも、いったんお子さんを施設に引き取り、お母さんに生活保護を受けてもらうと、状況は一変しました。お母さんの表情が明るくなり、家の中もぴしっと片づいて見違えるようにきれいになったんです。もともとちゃんとそういうことができる人だったんですね」
 聞けば、務めていた飲食店を解雇され収入の道を断たれたのだという。生活保護を受けようと役所を訪れたが、窓口で断られてしまった。そのときの担当者の言葉が心に突き刺さり、他人を信じられなくなってしまったのだそうだ。だが、助けの手が差し伸べられたことで、前に踏み出す勇気が湧いてきたのだろう。
 前出の吉田さんは「虐待しそうだ、と思ったら勇気を出して周囲やSOSを出してほしい。子育てに疲れたら、児童養護施設などで行うショートステイを利用するなどして、“親を休む”ことも大切です」と助言する。
 相談先となるのは、各自治体の「SOS専用電話」。保護者からだけではなく、虐待を受けている子ども、虐待に気付いた周囲の人などからの電話も受け付ける。
 自治体のさまざまな制度を利用するのもいい。たとえば東京都・足立区では養育困難な子育て家庭に、育児、家事支援を行う「ほっと・ほーむ」というサービスを実施している。料金は1日300円~1000円だ。
 ただし、多くの場合、現行のヘルパー制度は、足立区のように使い勝手のいいものばかりではない。料金が割高なところも多く、改善が求められる。
 児童相談所も人員が不足している。たとえば、東京都の児童福祉司はたった173人で、実質「10万人あたり1人」の人員配置という。実際、各自が常時約100ケースを担当しているのが実情だそうだ。対応の遅れで取り返しのつかないことになる前に、一日も早く拡充すべきだ。
 さらに吉田さんは、一般の人に向け「子育て中の親を応援してあげてほしい」と訴える。
「電車やレストランで子どもが泣いていてもにらんだりせず、温かく見守って。『可愛いですね』『いいお子さんですね』などとほめてあげれば、それだけでピリピリしていた親もほっとするはず」(吉田さん)
“鬼父、鬼母”を責めるだけでは、子どもは救われない。社会が親を見守り支えることで、子どももまたのびのび育つのかもしれない。




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