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[Ⅶ-1]<DV・虐待・性暴力被害データ。支援・対応の現状>新聞事件簿。

<デイリー新潮>「児童虐待」3万人超で最多 連鎖を止めるには「親相談所」が必要だ

 
 <文春オンライン>「産後うつ」は「ホルモンのせい」ではない【「産後うつ」チェックリスト付】 <ダ・ヴィンチニュース>先生や保育者の“投稿”から作られた!「発達障害のある子」のための2800の対策
9/23(土) 8:02配信

虐待の「連鎖」
 今年の上半期、18歳未満の子供の3万人以上が、虐待を受けているとして全国の警察から児童相談所に通告されていたことが警察庁のまとめで分かった。また、今年8月には、全国の児童相談所に寄せられた昨年度の虐待相談件数を厚生労働省が発表したが、その数は12万件強。前年度より約2万件増加している。

 児童虐待を防ぐためには何が必要なのか。長年児童虐待事件を取材してきたノンフィクション作家・石井光太氏が提言する。(以下「新潮45」10月号掲載の「児童相談所より“親”相談所を作れ」より引用)

 社会には一定数の割合で、子供を虐待してしまう「問題親」が存在する。子供への接し方がわからない、生理的に愛せない、知的・精神障害があって養育ができないなど、親が子供を虐待する背景には、様々な事情が横たわっている。
 親が子供を虐待した場合、それがそのまた子供へと「連鎖」することがある。虐待が子供に与えた精神的な悪影響が、次世代への虐待へとつながるのだ。
(中略)
 私が『「鬼畜」の家』で取材した虐待親は、一様に生い立ちに問題を抱えていた。重度の統合失調症の母親のもとで育った男性は、電気もガスも水道も止められたゴミ屋敷の中で二年以上も雨戸を閉め切り、幼児を閉じ込めて餓死させた。風俗で働くシングルマザーに育児放棄された父親は、同じような境遇の女性と結婚して生活保護を受けながら七年間で七人の子供をつくり、次男を「言うことを聞かないから」とウサギ用ケージに三カ月監禁して死に至らしめた。
 彼らに共通するのは、正常な家庭のモデルを知らないことだ。育児放棄されたり、親から動物のように扱われたりしたことで、それが子育てだと思い込んでいる。ゆえに、ライフラインの止まったゴミ屋敷や、ウサギ用ケージに閉じ込めることをおかしいと思わないのである。
 端的に言えば、被虐待の子供たちの多くは、精神疾患、社会的常識の欠如といった問題を抱えたまま成長する。そして大人になって子供を産むことで、自分が受けたのと同じような虐待をしてしまう。これが「連鎖」の構造である。(中略)

児童相談所よりも「親」相談所を
 では、どうすればいいのか。
 虐待がはじまる前に、問題親を検知して見守り・支援をする必要がある。遅くとも、虐待が行われて子供が脳に損傷を受ける前――0歳の間――に介入しなければならない。それが子供を正常に育て、「連鎖」を断ち切ることにつながるのだ。
 ところが、今の児童相談所には、そうした機能がない。あくまでも被虐待の子供を保護するための機関なのである。ならば、その姉妹機関として、問題親を発見して、虐待が行われる前から支える「親相談所」をつくるべきではないか。
 親相談所の役割を具体的に提示したい。
 職員はソーシャルワーカー的なスキルを持った人々で構成される。児童相談所は児童福祉司、児童心理司、児童相談員など子供に特化したスキルが求められる。一方、親相談所は、問題親を医療機関につなげる、地域と結びつける、就職支援を行うなど、成人への支援知識が必要だ。これなら、問題親の支援は親相談所、子供の支援は児童相談所というように、棲み分けも可能になる。

出産前から支援を
 まず取り組むべきは、妊娠中の段階での問題親の発見だ。親は妊娠後に定期健診や親教育を受けるが、ここで親相談所による面談やアンケートを実施して問題親を検知するシステムをつくれば、早期発見につながる。親が抱える精神的問題、身体的問題、経済的問題、環境的問題を調べ、高リスクな親に対して出産前から支援を行うのだ。たとえば、親が統合失調症やアルコール依存症を抱えていたり、反社会勢力とのかかわりがあったりすることがわかれば、見守りを開始し、出産と同時に養育支援を行うのである。
 産後も検知はつづけるべきだ。赤ん坊の定期健診や予防接種の際に、医療機関と連携して早期発見に取り組むのである。現在では健診を担当する医師が虐待の専門知識を持っているわけではないため、赤ん坊に明らかな虐待の痕跡が見られないかぎり、通報することはない。だが、彼らに虐待発見の知識を身につけさせ、同時に親に対する調査を行えば、早期の発見や介入が可能になるはずだ。

犠牲になるのは子供
 読者の中には、「いい年齢の大人に対してどれだけ手をかけなければならないのか」と思う人もいるだろう。だが、すべての成人が正しい養育能力を持っているわけではない。これまで私たちはそういう大人を「自己責任」として切り捨ててきた。結果、犠牲になったのは子供である。(略)
 親になりきれない親たちが氾濫する時代。そんな今だからこそ、親相談所が欠かせないと考えるのである。
 全文は「新潮45」10月号に掲載。

石井光太(いしいこうた) 作家
1977年東京生まれ。『物乞う仏陀』でデビュー。『遺体』『浮浪児1945‐』『「鬼畜」の家』など精力的に執筆。最新刊は『世界の産声に耳を澄ます』。

「新潮45」2017年10月号 掲載




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