あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅲ-5]Ⅱ.児童虐待と面前DVの影響。暴力のある家庭で暮らす、育つということ

第1部の結びとして

 
 Ⅲ.学校現場で、児童虐待・DV事案とどうかかわるか 15.ACという考え方と人格障害(パーソナリティ障害)
* 現在、この「手引き」は、第3次改訂の編集をおこなっています。編集終了後、差し替えていきます。

第1部
プロローグ
1.人の脳の機能は、生まれ育った環境に合うようにつくられる
(1) 必要のない脳の機能を発達させないリスク
(2) 人類の歩みにとって、危機的な状況とは
(3) 危機的状況がもたらす脳のトラブル
(4) 発達期の脳のダメージは、鬱や衝動的攻撃性をもたらす

2.「人が人を殺す」という行為は、本当に異常なのか?
(1) 糖質(炭水化物)は、コカインより中毒性が高い
(2) 中毒性の高い小麦の栽培。人類の定住化が殺し合いの原点
(3) 乳幼児期、心地よさが欠乏。快感中枢が渇望状態に
(4) 「快感中枢」を刺激し、中毒性を伴う“暴力”と“性行為”
(5) 中毒化した脳が暴走したとき、規定や規範は無力
(6) 狩りと武器。競うこと、権力を握ることの意味
(7) 意思決定、「遅いシステム」の未習熟が招く悲劇
(8) 性暴力。自尊心を回復するための承認欲求を満たすための行為
(9) 「人が人を傷つけない」ために、いま、できること

3.東日本大震災後の児童虐待とDVの増加。
-戦争体験によるPTSDの発症から学べるものはなにか-
(1) 東日本大震災後、児童虐待・DVが増加
(2) PTSDの“晩発性”という特性
(3) アメリカ社会、帰還兵が抱える精神的障害
 ・事例1-3
(4) 絶望、戦地に戻りたい衝動と殺人・暴力・レイプ
 ・事例4
(5) 女性兵士の33.5%が、米軍内でレイプされている
 ・事例5
(6) 大戦の被災者と大震災の被災者、傷つき、失ったものは同じ
(7) 東日本大震災後の現状、いま、阪神淡路大震災から学ぶこと

4.差別と女性の貧困、そして、児童虐待とDV
 ・事例6-9
(1) 貧困の世代間連鎖
(2) 差別という暴力、そして、同和問題
 ・事例10
  ・家族システムを崩壊させた“富国強兵策”
  ・「内助の功」という教え。それは、DVを許す考え方
 ・日本のママカーストとマタニティハラスメントは、“同質”で異常
  (事例11-12)
・女性性、男性性が認められないということ
(3) 貧困と教育
(4) ひきこもりと貧困、精神疾患・発達障害との関係
(5) 貧困と犯罪
(6) 家出と「宿カレ」という問題
(7) 外国人母子家庭
  ・事例13
  ・外国籍のDV被害女性特有の問題
(8) 社会的養護下の子どもたち
 ・事例14

-「日本社会にひとつの構図」を数字で読み解く-

Ⅰ.密接な関係。児童虐待とドメスティック・バイオレンス
-DV事件等のデータ-

5.DVは、夫婦の関係、親子の関係になにをもたらすか
  ・事例15
 ・事例16-17(分析研究1-2)

(1) 暴力のある環境に順応するということ
(2) DVの本質。暴力で支配されるということ
  ・事例18 同棲した男からのDV被害は、つきまとい・ストーカー行為からはじまった
  ・事例19 暴力の連鎖。暴力のある家庭環境で育った夫によるDV、息子をかばう義母の暴言
  ・事例20 たとえ一度の暴力でも、その後、心が凍るほどの恐怖に支配される
  ・事例21 暴力と知りながら、助けてくれない人たち
  ・事例22 離婚の決意。凄惨なDV被害よりも愛人をつくったことに思いが
  ・事例23 夫の暴力から逃げる難しさ
  ・事例24-26(分析研究3-5)
(3) DVとは、どのような暴力をいうのか
  ・離婚調停申立書の「動機欄」とDVの相関性
  ・暴力にかかわる用語の説明
  ・DV行為の具体例
(事例27-53)
(4) DV被害者にとって、区別し難い解釈
(5) DVでない暴力、DVそのものの暴力
・事例54
・“障害の特性”が結果として暴力になる(自己正当化型ADHD、アスペルガー症候群)
  (事例55-59)
・サイコパス
(6) 被害者に見られる傾向
  ・レノア・E・ウォーカーの「暴力のサイクル理論」と「被虐待女性症候群」
  (事例60-61)
・暴力の後遺症としてのPTSD
  (事例62-64)
  ・被虐待体験による後遺症
  ・カサンドラ症候群
  (事例65-67)
  ・事例68(分析研究6)
   (“恋愛幻想”下でのデートDV)
   (別れる決意、恐怖のストーカー体験)
   (再び別れ話を切りだし、酷くなる暴力)
   (DV環境下で育ってきた子どもの状況)
   (快楽刺激とトラウマティック・ボンディング)
   (感覚鈍磨と誤認)
   (退行願望)
   (トラウマティック・ボンディングとできない理由づくり)
   (別れることの障壁)
   (思考混乱、考えるということ)
  ・事例69(分析研究7)
   (「見捨てられ不安」と無視・無反応)
  (暴力の世代間連鎖、低い暴力への障壁)
   (暴力から逃れたあと、「共依存」へのアプローチ)
   (加害者の生い立ちに共感)
   (暴力のある家庭環境で育ったことを起因とする精神的脆弱さ)
  (被害者の空虚感、渇望感を埋める加害者の夢と財)
 ・暴力をエスカレートさせないために..「脅し」を含んだことばには、まず「ノー」という

Ⅱ.児童虐待と面前DVの影響。-暴力のある家庭環境で暮らす、育つということ-
-基礎編-
8.虐待の発見。DV家庭における子ども
(1) 子どもが最大の被害者
(2) 子どもは心を傷めている
  ・事例106
(3) 子どもの複雑の思いを理解する
(4) 子どもに表れる影響
 ・事例107-128
(5) 子どものSOS(発信するサイン)を見逃さない
・6つのこ食
 ・「食べてよい」、すなわち「おいしい」
  ・味は必要、危険のシグナル
  ・おいしさは食欲を刺激する
  ・おいしさは生命維持のために備わった快感
・砂糖の過剰摂取(ペットボトル症候群)と低血糖症
・心身の健康にはミネラルが欠かせない
  ・情緒不安や体調不良。見逃しがちな気象変化

9.脳と子どもの発達
(1) 脳の仕組み
(2) 脳の発達(乳児期:0-1歳)
(3) 脳の発達(幼児期早期:1-3歳)
(4) 脳の発達(幼児期後期:3-6歳)
(5) 脳の発達の臨界期(感受期)
(6) 学童期(6-12歳)
(7) 思春期(10-15歳)と青年期(15-22歳)
(8) 男性と女性の脳の違い

10.トラウマと脳
(1) トラウマ(心的外傷)になりうるできごとに直面すると
(2) 単回性トラウマの子どもに見られる行動
(3) 慢性反復的トラウマがひきおこす7つの問題

11.慢性反復的トラウマの種類(児童虐待分類)と発達の障害
(1) ネグレクト(育児放棄)
<ネグレクトによる発達の障害>
(2) 身体的虐待
<身体的虐待による発達の障害>
(3) 心理的(精神的・情緒的)虐待
<精神的虐待による発達の障害>
(4) 性的虐待
<児童期性的虐待の基準(ハーマン著「父-娘 近親姦」抜粋)>
<性的虐待による発達の障害>

-応用編-
12.暴力のある家庭で育った子ども。発達段階で見られる傾向
(1) 乳児期。既に、母親と父親との関係性を理解している
 ・乳児部屋のおばけ
  ・産後うつ
(2) 発達の遅れ
 ・睡眠不足症候群(ISS)
  ・小児慢性疲労症候群(OCFS)
(3) ツラさを体調不良で訴える
 ・子どもの心身症
  ・子どもの気分障害
(4) ファンタジー色の強い子どもの解離
(5) 子どもが“ズル”をする深層心理
(6) 学童期(小学校低学年)にみられる被虐待児童たちの行動特徴
(7) 暴力を受けて育った子どもの脳では、なにがおきているか
(8) 反応性愛着障害(RAD)
(9) 失感情言語症(アレキシサイミア)と高次神経系トラブル
(10) 危機とPTSD
(11) 自己正当化型ADHDとAC
(12) 思春期・青年期の訪れとともに
 ・がまんさせられること、抑圧されることはなにをもたらすか
  ・父母の不和と暴力は、子どもの心の土台になる安心感と愛着を揺さぶる
 ・家族間の信頼関係を損なった子どもたち
  ・親に配慮しなければならない状況は、子どもに緊張を強いている
  ・子どもにとっての緊張とは
・親にとって都合のいい従順な子は、ありのままの私を認めて欲しいと訴える
  ・周りが輝いて見えるとき、人とのかかわりを避ける
  ・子どものために、“しつけ”と銘うった暴力が、子どもを従順な子にさせる
 ・思春期、男の子は14歳が母子間におけるターニングポイントになる
  ・女の子は、自分の命が大切だからこそ、傷つける価値があると思う
(13) 問題行動としての“依存”
  ・事例129-130
(14) 子どもに手をあげる背景。幼児期に抑圧された怒り
  ・事例131-136
(15) 回避的な意味を持つ子どもの「非行」
 ・事例137(事件研究22:広島県16歳少女集団暴行死事件(平成25年6月))
  ・事例138(事件研究23:大阪2児餓死事件(平成20年7月))
(16) 「キレる17歳」、理由なき犯罪世代
 ・事例139(事件研究24:栃木女性教師刺殺事件(平成10年1月))
 ・事例140(事件研究25:豊川主婦刺殺事件(平成12年5月))
  ・事例141(事件研究26:西鉄バスジャック事件(平成12年5月))
 ・事例142(事件研究27:岡山県金属バット母親殺害事件(平成12年6月))
  ・事例143(事件研究28:会津若松母親殺害事件(平成19年5月))
 ・事例144(事件研究29:八戸母子殺害放火事件(平成20年1月))
(17) アタッチメントを損ない、抑圧がもたらした凄惨な殺害事件
  ・事例145(事件研究30:東大浪人生父親殺害事件(平成7年4月))
 ・事例146(事件研究31:光市母子殺害事件(平成11年4月))
  ・事例147(事件研究32:音羽幼女殺害事件(平成11年11月))
 ・事例148(事件研究33:佐世保小6女児同級生殺害事件(平成16年6月))
  ・事例149(事件研究34:宇治学習塾小6女児殺害事件(平成17年12月))
 ・事例150(事件研究35:奈良自宅放火母子3人殺害事件(平成18年6月))
  ・事例151(事件研究36:秋葉原無差別殺傷事件(平成20年6月8日))
 ・事例152(事件研究37:柏市連続通り魔殺傷事件(平成26年3月))
  ・事例153(事件研究38:北海道南幌町母祖母殺害事件(平成26年9月))

13.PTSDとC-PTSD、解離性障害
(1) PTSDになると、どうなるか?
(2) PTSDの主要症状
(3) C-PTSDの主要症状
(4) C-PTSDと不安障害、人格障害
(5) 性暴力被害と解離性障害
  ・事例154-182
 ・皮膚から心地よい安心感をとり組む女性が、性的虐待を受ける残酷さ
  ・「レイプ神話」という間違った考え
  ・セックスをどう捉えるかは、思春期までに受けた親の影響
 ・事例183(事件研究39)
(6) 摂食障害とクレプトマニア(窃盗癖)
 ・事例184-185
(7) 解離性障害とアルコールや薬物依存症
  ・事例186(分析研究15)
  ・アルコール依存とギャンブル依存の相関
 ・事例187-189

14.パラフィリア(性的倒錯・性嗜好障害)
(1) 精神疾患としてのパラフィリア(性嗜好障害)
(2) フェティシズム
  ・事例190(事件研究40:宝塚市窃盗・少女強姦事件(平成25年12月))
(3) 露出症・窃視症
(4) 性的マゾヒズムと性的サディズム
  ・窒息プレイ
 ・事例191(事件研究41:京都連続強盗・強姦事件(平成22年7月-10月))
(5) 性的サディズムを示す刻印という“儀式”
(6) 小児性愛(ペドファリア)
 ・日本のロリコン事情と児童ポルノ
  ・女の子は母親と父親に興味を示し、男女関係、夫婦関係を学ぶ
  ・事例192(事件研究42:奈良小1女児誘拐殺人遺棄事件(平成16年11月))
 ・事例193(事件研究43:倉敷市女児監禁事件(平成26年7月))
(7) パラフィリア(性的倒錯)の夫との性生活
  ・事例194-195
(8) 性的サディズム、露出性愛者の夫による性暴力
 ・事例196(分析研究16)
(9) 性的サディズムと人格障害などが結びついた誘拐監禁・殺傷事件
  ・事例197(事件研究44:新潟少女監禁事件(平成2年11月(発覚:平成12年1月)))
 ・事例198(事件研究45:北海道・東京連続少女監禁事件(平成13年-平成17年))
  ・事例199(事件研究46:東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(昭和63年8月-平成元年7月))
 ・事例200(事件研究47:大分県一家6人殺傷事件(平成12年8月))
  ・事例201(事件研究48:大阪姉妹殺害事件(平成17年11月))
 ・事例202(事件研究49:自殺サイト連続殺人事件(平成17月2月-))
  ・事例203(事件研究50:付属池田小児童殺傷事件(平成13年6月))
 ・事例204(事件研究51:神戸連続児童殺傷事件(平成9年2月))
  ・事例205(事件研究52:佐世保同級生殺害事件(平成26年7月))
 ・事例206(事件研究53:名古屋大生殺害事件(平成27年1月))
(10) 福祉と医療、教育。行為障害、反抗挑戦性障害者のサポート

15.ACという考え方と人格障害(パーソナリティ障害)
(1) ACという考え方
(2) どうして、ACになってしまうのか?
(3) 時に、ACは母親がつくる
 ・事例207
(4) ACと人格障害、そして、ACの破綻
(5) ACのカウンセリング、認知の修正
(6) ACに“共依存”の傾向がみられるとき
(7) 共依存からの回復
(8) 仮面うつ病(非定型うつ病・新型うつ病)
(9) 人格障害と呼ぶ前に..
(10) 人格障害(パーソナリティ障害)とは
(11) 人格障害の治療
(12) 児童虐待やDVといった暴力も依存症のひとつという考え方

第1部の結びとして


第1部(プロローグ(1-4)、第1章(5-7)、第2章(8-15))の結びとして、「群れをつくって生きる日本サルが親からひき離されて育つとどうなるか」ということ、「盲導犬になるには、里親のもとで、人とのゆるぎない信頼関係を築いていかなければならない」ということを例に、子育て、子どもとのかかわり方、子育てのあり方を考えていきたいと思います。
ホモサピエンス(人類)と600万年前に分化し、遺伝子の99%を同じくするチンパンジーは、仲間のチンパンジーを、棒などを用いて集団でリンチして殺戮し、肉を食らうことがわかっています。
チンパンジーの食事の5%は、動物を捕食し、殺戮能力の高いチンパンジーの握力は200kgに及びます。
一方のベジタリアンであり、身体が大きく力が強いゴリラは、胸を叩いて威嚇することで、オス同士の争い(殺し合い)を避けることで命をつなげてきました。
こうした人類と遺伝子が近く、多くの共通点を持つ、群れをつくって生きるサル科の生態学は、私たちに多くのことを教えてくれます。
そのひとつに、日本サルの子どもが親からひき離されて育つとどうなるのかというものがあります。
生まれたばかりの赤ちゃんが、母親に抱かれ、授乳を受けないと死んでしまうことは誰にでもわかります。母親代わりとなる飼育員が手袋などをしていっさい肌(皮膚)を触れず(肌を通した触れ合いをすることなく)にミルクを与えても、まもなく死んでしまいます。
また、授乳期に人の手によって育てられた子どものサルに、肌が触れ合うことなく物越し(大きなしゃもじのような板)に餌を与えられ育ったサルは、その後、群れに入れずにひとり孤立してしまうグループと、コトあるごとにちゃちゃを入れ、ケンカをしかけ、トラブルをおこすグループにわかれてしまいます。
そして、なんのケアも受けることなく餌だけ与えて育てたサルは、自分に子どもができたとき、子どものケアがあまりできないのです。
他に、子どもが社会的な刺激を受けながら成長するとき、脳では神経細胞同士が接続し、グルタミン酸などの神経伝達物質の受けわたしがおこなわれますが、ラットを使った研究では、「隔離されて育ったラットの脳は、社会行動に重要な領域である内側前頭前野では、ストレスホルモンの増加により、神経細胞同士の接続部にグルタミン酸を受けとるたんぱく質が移行し難くなっている。」、「細胞の骨格を制御する物質の作用で、脳神経回路の形成異常や強い攻撃性につながる。」ことが明らかにされています。
これらは、親とのアタッチメント(愛着形成)の獲得が損なわれると、後々コミュニティ(群れ)の中で生きていくうえで様々な障害を抱えることを教えるものです。
次は、盲導犬になるためには、人とのゆるぎない信頼関係ができあがっていなければならないというものです。
盲導犬の候補となる赤ちゃん犬は、1歳(大型犬なので人の12歳に相当)になるまで里親のもとで愛情をたっぷり注がれて育ちます。
「愛情たっぷり」というのは、“甘やかして、育てる”ということではありません。
里親(養育者)と犬との信頼関係を築けるようにきちんと育てるということです。
人と犬との信頼関係を築くために、養育者(里親)は、盲導犬の候補となる赤ちゃん犬に対し、「人」は、わたし(赤ちゃん犬)に安全と安心をもたらしてくれる、つまり、「わたしを決して傷つけたりしない、決して裏切ったりしない、家族としてのわたしを尊重し大切にしてくれる存在である」ということを、しっかりと心に刻み込まれるように接していかなければならないのです。
そのため、里親には、「叩いて躾ける」、「怒鳴って躾ける」、「否定・批判することばを使って躾ける」、「罰を与えて躾ける」おこないは認められていません。
なぜなら、盲導犬には、人は“わたし”に危害を与えない、裏切らない信頼できる存在であるとの思いが育まれていなければならないのです。
つまり、赤ちゃん犬を1歳(人の12歳に相当)になるまで育てる(人でいえば乳幼児期、思春期(10-15歳)に入るまでのプロセスに該当する)中で、叩いたり、怒鳴りつけたり、否定・批判することばを浴びせたり、罰を与えて従わせようとしたりするふるまいは、養育者と犬との信頼関係を損ない、人を信じることができなくなってしまうのです。
盲導犬は1歳までに、里親のもとで「人は信頼できる」と心に刻み込んでいるからこそ、その後の厳しい訓練に耐え、目の不自由な人の命を守ることができる高い技術を身につけることができるのです。
厳しい訓練を乗り超えてきた盲導犬だからこそ、目の不自由な人が安心して身を委ね、命を預けることができるのです。
お互いを信頼できる、信用できるかかけがえのない存在と認め合うことができなければ、成り立たない関係です。
養育者を「親」、犬を「子ども」と置き換えてみると、このことが教えてくれる意味は、実に重いものです。
盲導犬を育成するプロセスは、私たちに、親としてどう子どもに向き合ったらいいのか、人とのかかわり方について実に多くのことを教えてくれるものです。
最後に、子どもを持つ親や子どもと接する大人がどうあるべきなのかを示す“真”が述べられているドロシー・L・ノルテの「子どもはわたしの鏡」という詩を紹介したいと思います。
子どもは批判といっしょに住めば、人を批判することを学び
敵意といっしょに住めば、反抗することを学ぶ
子どもは嘲笑といっしょに住めば、引っ込み思案になることを学び
恥辱といっしょに住めば、自分を責めることを学ぶ
一方、子どもは励ましと一緒に住めば、自信を持つことを学び
賞賛といっしょに住めば、感謝することを学ぶ
子どもは公正といっしょに住めば、正義を学び
安全といっしょに住めば、人を信じることを学ぶ
子どもは容認といっしょに住めば、自分を愛するようになり
受容といっしょに住めば、周囲に愛を見いだすことを学ぶのだ

子どもが対人関係、男女の関係を学ぶのは親からです。
子育てには、「投げない、捨てない、あきらめない心」が求められ、子どもからは親としての力量をはかられています。
古来、子育てにあたって、ア)赤ん坊のときは、肌を離さない、イ)幼児のときは、手を離さない、ウ)子どものときは、目を離さない、エ)少年のときは、心を離さないとの教えがあります。
私たちが、子どもと接するうえで勘違いをしてはいけないことが、2つあります。
ひとつは、「手厚く育てる」といっても、“わがまま”を放任してしまったり、甘やかしたりする「過保護」では、その後、対人関係に問題を抱えることになりかねないということです。
もうひとつは、「過干渉」や「厳しい」だけ、つまり、“がまんさせられているだけ(強い抑圧下)”では、本当の<やる気>は身につかないということです。
なぜなら、親にとって都合のいい考えやおこないを強いる、押しつけるための、禁止と否定のことばをなげかけている、つまり、支配のためのことばの暴力に他ならないからです。
これらのふるまいは、親が、子どもの“わたし”を生きること、自立して生きることを奪ってしまうことを意味するのです。


2016.3/4 ブログ再編成(第3次改訂)に伴い、主記事として掲載
2017.4/24 「第2章(Ⅱ(8-15))」の「改訂2版」を差し替え掲載




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