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[Ⅶ-5]<虐待>新聞事件簿。隣の家の子どもは大丈夫?子どもを助けてあげて!

<産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(3) ”犬小屋”に2児を監禁1年半 「究極のネグレスト」回想の鍵は「愛着」

 
 <産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(4) 「ママが来る! 怒られる!」夜鳴きする子供たち 矛盾噴出の児童擁護施設 <産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(2) 虐待の傷跡・・絵は叫ぶ「お母さん!」 確かな境遇への渇望
2010/05/24 18:58

 38年前の昭和47年、中部地方の小さな町で6歳女児と5歳男児の姉弟が実父により、犬小屋同然のトタン小屋で1年半にわたり監禁される事件があった。
 救出後、特別な治療教育チームが組まれ、約20年に及ぶ発達支援が行われた。重大なネグレクト(育児放棄)から救出された子供の「その後」の詳細な記録は、世界中で6例しかない。
チームの一員だったお茶の水女子大学の内田伸子教授(64)=発達心理学=は「救出時は2人とも身長80センチ、体重8キロほどだった。言葉は一言もしゃべらず、歩行もできず、はうのがやっと。どう見ても1歳半程度で、発達の遅れは恐ろしいほどだった」と振り返る。
 当時の報道などによると、左官だった37歳の父親は酒びたりで、39歳の実母がミシンの内職をしていた。子供7人が毎年生まれ、母親は子育てを投げ出した。姉弟は排泄(はいせつ)のしつけさえできておらず、「畳を汚す」と怒った父親はトタンで囲った屋根のない小屋を建て、むしろを1枚敷き、毛布1枚を与えて閉じ込めた。
 食事は小皿に盛られ、1日1~2回。当初は姉弟の下の乳児も一緒だったが、肺炎で死亡した。見かねた住民が町役場へ連絡した。救出時、2人は丸裸で骨と皮だけになり、仮死状態で横たわっていたという。

 ■目覚ましい発達
 施設へ保護された2人は、栄養条件が改善され身長や体重がみるみる増えていった。遅れていた知的・言語的な能力を発達させるための訓練を受け、2年遅れで小学校へ入学した。
 内田さんは「目覚ましい発達の鍵となったのは、保育士の女性との『愛着』の成立だった」と指摘する。
 愛着とは、乳幼児期に母親など1人の養育者と結ばれる強い絆(きずな)のことで、通常、生後12カ月前後で成立する。「人見知り」も同じころピークを迎えるが、これも養育者との愛着の裏返しであり、健全な発達ぶりを示すものだ。
 姉と弟のうち、姉は保育士にすぐなつき、愛着の成立と同時に言語や社会性などさまざまな面が順調に発達していった。一方の弟は保育士になじめず対人関係の遅れが目立った。保育士を代えると弟は新しい保育士になつき、猛スピードで追いついたという。

 ■人間は変われる
 「この姉と弟ほどまでは重度でないものの、似たような子供は今、施設の中にごっそりいます」
 「子どもの虹情報研修センター」の増沢高研修部長(48)はこう話す。
 食べ物をかみ砕く体験がなくサバの煮つけを丸のみする女の子。食事がハンバーガーばかりで濃い味つけを好み、調味料をどっさりかける男の子。トイレ以外の場所で平気で排泄し、お尻をふかない子供たち…。ネグレクトの結果、基本的な生活習慣さえ身についていない子供が目立つという。
 増沢さんは「この家庭環境は何? この成育状況は何? という子供は少なくない。だが、愛着は親とだけでなく施設の保育士や里親とも結び直せる。人間は変われる。そのことをこの姉と弟は証明している」。
 姉は現在、3児の母。弟はサラリーマンで1児の父という。内田さんは2人のことを講義で伝えている。女子学生は感想をこうつづった。
 《異常な環境で育てられたにもかかわらず回復していく様子は見事としか言いようがありません。今、救出後にしっかりと面倒を見てもらえる子はどれほどいるのでしょうか。救出されずに今も虐待されている子、救出されたものの適切な治療を受けられない子のことを考えると胸が痛みます》
 入所する子供の7割が被虐待児という児童養護施設を訪ねた。



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