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[Ⅶ-5]<虐待>新聞事件簿。隣の家の子どもは大丈夫?子どもを助けてあげて!

<産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(2) 虐待の傷跡・・絵は叫ぶ「お母さん!」 確かな境遇への渇望

 
 <産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(3) ”犬小屋”に2児を監禁1年半 「究極のネグレスト」回想の鍵は「愛着」 <産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(1) 親から認められぬ子供 自分の価値がわからない
2010/05/23 19:02

 傷つけられた子供の目に「虐待の風景」はどう見えていたのか。東京都江戸川区で今年1月、継父と実母から暴行を受け死亡した小学1年、岡本海渡(かいと)君=当時(7)=が亡くなる2カ月前に描いた絵がある。
国語の教科書の童話に添えられた母グマと2頭の子グマの写真をまねて、鉛筆で描いた。亡くなった際に開かれていた区の展覧会で優秀作に選ばれた作品だが、3頭の中で母グマだけ目がつり上がっていた。
 兵庫県尼崎市で平成13年、小学1年の勢田(せた)恭一君=同(6)=が継父と実母の虐待により死亡し、運河に捨てられた事件。恭一君は保護された児童養護施設から一時帰宅する直前、施設で海水浴へ行った思い出を絵日記に残していた。絵は手前に海が、奥に砂浜が描かれていた。
 心理療法の一つである絵画療法の専門家、吉田重人さん(65)は「子供がつり目の絵を描いたからといって、すべての親が虐待しているわけではないが」と前置きし、こう続けた。
 「クマは母性の悪い面の象徴であり、ふだんは抑えられている母親観を示している。一方、海水浴の絵は海と砂浜の位置が真逆だ。自身が海という不安定な場所にいて、陸に上がりたい、確かな境遇へ行きたいという願望を表している」

 ■親に愛してほしい
 絵画療法に詳しい目白大学の田中勝博教授(57)=臨床心理学=は「子供は言葉で表せないため、絵で示す。児童相談所で保護された子供が、自身がもう安全なのだと安心し、抑えていた感情を絵であふれさせることはよくある」とし、海渡君のクマの絵についてはこう述べた。
 「クマの母子は仲よく寄り添っている。母親の愛情を求めているように見える。親に愛してほしい。それが亡くなった子供の願望だったのだろう」
 親に愛されたいと思う気持ち。それは子供の本能といってもいいだろう。その思いがかなわず、逆の仕打ちを受けたとしたら…。
 東京都の会社員、松本めぐみさん(32)=仮名=は地方都市で過ごした少女時代、実母からしつけと称して日常的に身体的、心理的虐待を受けた。
 何をやっても決して褒められなかった。ほうきで叩(たた)かれ、尻はあざだらけだった。
 「どんなに叩かれても母からの愛情をあきらめなかった。あきらめられなかった。求めても得られなかった愛情は、次第に色を変え黒くにじみ、心に影を落としていった」
 高校時代に恋愛し、恋人に依存した。それでも満たされず、売春まがいのこともしたという。

 ■私で終わりに
 虐待された子供が親になったとき、わが子を虐待してしまう虐待の世代間伝達(世代間連鎖)。さまざまな研究から、虐待する親の3割に当てはまるといわれるが、松本さんは結婚し長男(1)を身ごもったときは迷い抜いたという。
 「生まれてくる子供を愛おしく思えるだろうか。虐待して殺してしまわないだろうか…。誰にも言えない不安が心をさいなみ続けた」
 結局、わが子を虐待することはなかった。保育所へ迎えに行くと息子ははち切れんばかりの笑顔で胸に飛び込んでくる。自分も全身で受け止める。
 なぜ連鎖を止められたのか。学生時代の恋人がかけてくれた言葉が支えになっているからだという。
 《あなたは、お母さんとは違う。あなたは、あなただよ》
 松本さんは言う。
 「虐待は子供の心に取り返しのつかない傷を作る。親の愛情を最も求める時期に虐待が長い間続くことが、どんなに子供の成長を妨げるか。自分と同じような子供を作りたくない。私だけで終わりにしたい」




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