あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-5]<虐待>新聞事件簿。隣の家の子どもは大丈夫?子どもを助けてあげて!

<産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(1) 親から認められぬ子供 自分の価値がわからない

 
 <産経新聞>虐待はどんな傷を残すのか(2) 虐待の傷跡・・絵は叫ぶ「お母さん!」 確かな境遇への渇望 <産経新聞>なぜわが子を傷つけるのか(5) 虐待の連鎖断ち切れ 社会の無関心に警鐘
2010/05/22 17:28

 「僕のこと、ふつうに見えますか」
 長身で色白の青年は、統合失調症による精神障害者手帳を持っていた。さいたま市のカラオケ店員、山口拓也さん(19)=仮名。小学5年のときに実母(45)が再婚、継父(43)から身体的虐待を受け、市内の児童養護施設で育った。
 「夕食を食べるのが遅かったので、テーブルに時計を置かれ、30分以内に食べないと殴られた。猫背や、つめをかむ癖も『直せ』といって殴られた。1発、2発ではなく、のしかかられて腕を押さえつけられ、顔だけを殴られたり、木の棒で頭を殴られたりした」
 継父は「大きくなれ」といって食事を吐くまで食べさせた。食べきれず吐き出すと、吐いた物を再び食べさせられた。コンクリート製のベランダで深夜まで正座させられ、生卵5、6個の一気飲みを強いられた。
 中学1年のとき、木刀を手に追いかけられた。裸足(はだし)で外へ逃げたら偶然、家庭科の女の先生に会った。「親に裸足で走れといわれた」とごまかしたが、先生は自宅を見に来てくれ、警察を通じて児童相談所へ通報が行った。
 「施設へ入ったら、不眠と幻聴が始まった。ひそひそ話が聞こえ、幻覚が見えた。情緒不安定のため県立高校を2年で中退し、定時制に入り直したけれど続かなかった。今も通院中で薬を6種類飲んでいます」

 ■「男なら捨てていた」
 東京都内に住むゲームショップ店員、南裕子さん(27)=同=は男物のカーキ色のジャケットとジーンズ姿で現れた。髪は短めで化粧気もない。女性であるが、心がそうではいられないという。
 幼いころ、「教育ママ」だった実母(51)から身体的、心理的虐待を受けた。習い事がうまくできないと「なぜできないの!」と叩(たた)かれ、振る舞いや言葉遣いが意に沿わないと平手打ちされた。「欧米のしつけ」と定規で手の甲を叩かれ、かっとなると包丁が飛んできた。
 「口答えするとさらに叱(しか)られ、黙り込むと叱られ、泣いても叱られ、どうしていいか分からずパニックになった。いつもびくびくして、自分からは何もやらなくなった。暗い子供というより、人形のようだった」
 母は男の子がきらいだった。「あんたが女の子だから育ててるんだから」「男だったら捨てていた」と何度も聞かされた。
 「男だったら捨てられる…。この恐怖は幼心にとても重たいものだった。私は『女の子』になろうと努力した。人形遊びやおままごとをやってみせ、好きではない色の洋服を着た」
 専門学校を出て、22歳で初めて母と離れて暮らし、解放されたと感じた。服装を自由に選ぶようになると男装を始めていたという。
 「親から認められないことほど子供を苦しめることはないと思う。自分の存在価値をどこに置けばいいか分からず、自己の確立が遅れてしまう。傷は大人になっても影響が続くのです」

 ■「いまさら何を心配」
 大正大学の玉井邦夫教授(50)=臨床心理学=は「交通事故やいじめ、大災害などさまざまなトラウマ(心的外傷)の中でも、虐待は最も深い傷を残す」と指摘し、こう続けた。
 「虐待と一口に言っても身体的虐待とネグレクト(育児放棄)、心理的虐待、性的虐待では影響は異なり、一人の子供の中で複合している。回復は時間を要し、また個別性が非常に高いため一人一人に適切な対応が求められる」
 児童虐待として認知される件数は年間4万件を超え、増え続けている。国の統計がある平成2~20年度の19年間の累計は31万7767件。一人の子供が何度か認知された重複もあるが、虐待経験を持つ若い世代が把握されただけでも数十万人、今も社会の中で暮らしていることになる。
 精神障害に苦しむ山口さんは昨春、施設を出てアパートで独り暮らしを始めた。継父と実母は同じ埼玉県内にいる。夫に逆らえず一緒になって虐待していた母親は先週、訪ねてきて洗濯用の洗剤と現金3千円を置いていった。
 「様子を見に来たのだろうが、いまさら何を心配してんのと思った。両親に対しては『無』ですね。どーでもいいとすら感じない。まったく意識していない。たぶん死んでも何も感じないと思う」
 虐待は子供にどんな「傷」を残すのか。傷を癒やすため社会にできることは何か。4月に連載した「なぜわが子を傷つけるのか」では親の視点から考えた。第2部として、今度は子供たちの側から考えてみたい。



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