あなたは、夫の暴力・DVを容認していませんか? 暴力のある家庭環境で暮らす子どもの心を守ることを忘れていませんか?

[Ⅶ-4]<逆DV>新聞事件簿。女性から男性への暴力、女性の心に潜む病理

<ダイヤモンド・オンライン>不況で急増? 夫を恐怖政治で支配する「DV妻」、操られる「リモ婚夫」

 
 <ニューズウィーク日本版>いじめの加害者をどう罰するべきか(1/2) <朝日新聞>群馬・小6自殺 願いは「学校消す」 学級崩壊、孤立深め
【第10回】 2009年5月22日

 友則謙介さん(仮名・38歳)は新進気鋭のITベンチャー社長だ。行動力と明晰な頭脳、リーダーシップを兼ね備え、社員全員からあこがれられ、慕われている。そんな彼が家庭では別人のように小さくなっていようとは、いったい誰が想像できるだろう。
 毎日、深夜に帰宅すると、散らかった部屋を片付けるのが日課の友則さん。妊娠して以来、妻は身体を動かすのを極端に厭うようになった。寝ている彼女を起こさないよう気遣いながら水を使い、床に散乱した衣服をたたむ。
『頼む、目を覚まさないでくれ……』
が、たいていは起きてくる。
「なにやってんの、こんな夜中に」
「え、だからちょっと部屋の片づけを」
「それ、私へのあてつけ?私の家事が気に入らないからやり直してるってこと?」
「まさか、そんな」
 ガッシャーン!
 何かが耳をかすめ、後ろの壁にぶつかって砕け散った。洗ったばかりのグラスを妻が投げたのだ。
「だから、それが嫌味ったらしいんだって!人の家事が不満なら口でそう言えばいいじゃん!仕事、仕事って、私のことはほうりっぱなしの癖に。あんたなんかと結婚しなければよかった。子どもも産みたくない……」
 泣きじゃくる妻の肩におそるおそる手を掛けると、「気やすく触んないでよっ!」と向こうずねに蹴りを入れられた。まるでスケバンだ。
 正直、離婚しようかと思うこともある。だが、勇気がない。社員や取引先に知られたらイメージがガタ落ちだ。とはいえ、このままでは精神に破たんをきたしてしまう――。

「甲斐性なし!」は言葉のDV
「相談者の3人に1人が男性。その内容の多くは妻からの肉体的、精神的暴力についてです」
 と打ち明けるのは、NPO夫婦問題相談チェンジの小林美智子さんだ。冒頭の男性のように「妊娠や出産を機に人格が豹変した」と訴える男性が多い。
 夫婦間のDVは、そのほとんどが夫から妻に対してのもの。傷つく女性の保護はじつに深刻な課題だ。だが、最近は妻からのDVに耐える夫の実態も浮き彫りになってきた。
 内閣府が2007年に実施した調査によると、これまでに身体に対する暴行を受けた男性は13.6%。精神的な嫌がらせや脅迫を受けた男性も8.8%に及んでいる。また、身体的暴行、心理的攻撃、性的強要のいずれかを何度も受けた男性は2.9%いた。
 経済情勢が悪化し、給与カットやリストラの憂き目に遭う男性が増える昨今。「この甲斐性なし」などと妻に罵られ、傷つくケースも多いようだ。

恐怖に操られる「リモ婚」夫たち
「結婚してしばらくは平和なラブラブ期間が続きますが、多くの場合、やがて2人のどちらかが“ナンバーワン”となり、もう1人が相手に従う“ナンバーツー”となってゆきます。
 女性がナンバーワンの場合、よい意味でかかあ天下になればいいのですが、中には言葉や態度で相手を威圧し、支配する人も。気に入らないことがあれば、言葉や暴力で相手をおびえさせ、『服従しなければ攻撃するぞ』というメッセージを送る。無視したり冷淡な態度を続けることで、服従を強いるケースもあります。やがて夫はどんなときも妻の顔色をうかがい、逆らえなくなっていく。
 ところが、何かのはずみで夫の堪忍袋の緒が切れることがあります。すると、これまで無抵抗だった相手が攻撃してきたことに妻は驚き、いっそう過激なDVに走ってしまうんです」(小林さん)
 こうした妻は、もともと他人より上に立たないと気が済まない性格だ。しかし、自分ではそのことに気づいておらず、「私は後からついていくタイプ」「夫に尽くすタイプ」などと思い込んでいることも多いという。
 暴力によって妻に思い通り操られる「リモ婚」夫たち。彼らが恐れるDV妻とは、どんな女性なのだろう。

DV妻のタイプその1「自己愛型」
 DV妻には、なぜか魅力的な女性が多いようだ。
「出会った頃の彼女は美人で頭もよく、仕事もできるから周囲に信頼されていた。付き合っている、って言うとみんな羨ましがったもんだよなあ」などと昔を懐かしむリモ婚夫は多いのではないか。
 こうした妻は「自己愛パーソナリティ」の持ち主の可能性がある。
 幼いころから美貌に恵まれ、両親や教師から可愛がられた彼女たち。愛されれば愛されるほど、周囲の期待に応えようと、つい理想の自分像を追いかけてしまう。勉強や仕事に精を出す一方、他人にいっそうよく思われようと愛想よく振る舞い、おしゃれにも手抜きをしない。
 それだけなら問題ないのだが、中には、自らの自己愛を満たすことしか考えていない人がいる。
 他人から称賛が得られないと不安になり、少しでも批判されれば激怒する。一方で、誰かを本心から気遣ったり、感謝したりすることはない。彼女にとって、すべての他人は自己愛のための道具にすぎないからだ。
 その傾向が極端になると、社会生活に支障をきたす場合もある。これがいわゆる「自己愛性人格障害」だ。

DV妻のタイプその2「境界型」
「ふだんは大人しくていい妻なのに、いったんキレると最後、もう手がつけられなくなる」というパターンもある。
機嫌がいいときは夫に甘えたり、またはやさしく世話を焼いたりと愛らしい妻。だが、ちょっとしたことで傷つくと突如として泣きわめいたり、ものを壊したり、あるいは暴力をふるったりする。その豹変ぶりは、まるで「ジギルとハイド」そのものだ。
 このように、スイッチを切り替えるがごとく人格が変わってしまう病的な状態を「境界型人格障害」と呼ぶ。とくに若い女性に多いことで知られるが、リストカットや自殺に走る人もおり、注意が必要だ。

「依存型妻」もDVに走りやすい?
 染谷浩司さん(仮名・50歳)は、妻からたびたび言葉の暴力に苦しめられた。彼女の両親の実家で4人暮らしをしている染谷さん。気に入らないことがあるたびに、「出て行け!」と怒鳴られるそうだ。
「ときには無理やり外に押し出して、内側からドアにチェーンをかけられてしまう。なにしろ部屋着のままだし、財布も持っていないから、どこかで時間をつぶすこともできません。仕方なく近所のコンビニに行くんですが、雨が降っていたり、寒かったりすると最悪です。冬はとくに言動に気を付けています」
 妻は依存心が強いタイプ、と染谷さんは言う。
「自分が仕事に恵まれないのも、裕福でないのも、子どもがいないのも、すべて僕のせいだと思っている。そこそこの暮らしをしているんだから、恵まれているじゃないかと思うけど、彼女は自分を不幸だと考えているんですね。そしてそれは、自分ではなく他人、つまり僕のせいだと。
 もちろん、僕がまったく悪くないとは言いません。でも、今の暮らしを幸せと感じて相手に感謝するか、不幸せと考えて責め立てるか、そこのところは彼女自身の問題じゃないのかなあ。誰かに依存しているうちは、幸せになんてなれないですよ」
「キミを幸せにするよ」は、プロポーズの決まり文句だが、他人に幸せにしてもらうのはじつはかなり難しい。染谷さんが言うように、幸せかどうかは自分の問題だからだ。過剰な依存心は女性を不幸にし、さらには暴力へと走らせてしまうのかもしれない。

妻の凶暴性を引き出す夫とは
 とはいっても、非は妻にばかりあるわけではない。
 人間はいろいろな心の顔を持っているが、接している相手によって出る顔と出ない顔とがある。妻の暴力を受け続ける男性には、ひょっとすると暴力的な顔を引き出してしまう何かを心の中に持っているのではないか。
 たとえば、「離婚すると後ろ指をさされる」という恐れから、なされるがままになっているとしたらどうだろう。きっと、妻はますますその弱点を利用するにちがいない。
 実際、こうした夫は多いようだ。前出の内閣府の調査でも「別れなかった理由」として「世間体を気にしたから」を挙げる男性が32%いた。
 男性は、他人に弱みをさらけ出すことが苦手だ。妻からのDVを誰にも相談できず、ひとりで苦しんでしまうケースも多い。だが、ほうっておくと自分だけでなく、妻の苦しみも助長することになってしまう。DVを続ける女性もまた、心のトラブルを抱えているはずだ。
 悩んでいる人は下のURLから相談機関を探し、解決に向けた一歩を踏み出してみてはどうだろう。

配偶者からの暴力被害者支援情報
 ちなみに妊娠、出産直後はホルモンのアンバランスから、情緒不安定になることがある。また、生理前にイライラが募る女性も多い。こうした女性独特のサイクルに注意すれば、ある程度、災難を回避することも可能と言えそうだ。


西川敦子 [フリーライター]



もくじ   3kaku_s_L.png   [Ⅶ-4]<逆DV>新聞事件簿。女性から男性への暴力、女性の心に潜む病理
FC2 Blog Ranking
   

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

~ Trackback ~

トラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

  • 【<ニューズウィーク日本版>いじめの加害者をどう罰するべきか(1/2)】へ
  • 【<朝日新聞>群馬・小6自殺 願いは「学校消す」 学級崩壊、孤立深め】へ